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幸せ家族 ※
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ーー デーメル side ーー
悔しい。
チサトに良いところを見せたかったのに負けてしまうとは。だがチサトは怯えていた。私の怪我を1番に心配してくれていた。鍛錬は続けるが次があっても出場は辞退しよう。
出場者が警備に当たる予定はなかったのだが予想以上に喧嘩が多く、チサトを先に返さざるを得なくなった。だがひとりで帰すのは心配で思い悩んでいたところへ先日会った兄弟の家で預かってくれると言う。人助けは巡ると言うが、体感したのは初めてだ。ドレスでなければ1人で帰れるのに、と言うチサトの意見は着替えを持ち帰ってしまったコリンに言ってもらおう。
普段着でも1人では返すのは危険だ。
ドレス姿で子供達と手を繋ぐチサトを見送って仕事に戻った。
「隊長、やっぱりチサトくん可愛いですね」
「慰労会の時のドレス姿、また見られて嬉しいなぁ」
隊員達は褒めているのだが、なんだかもやもやする。私はなぜドレスを選んでしまったのか。目立たぬ服を着せるべきだった、と反省しながら喧嘩の仲裁をして回った。
「警備隊隊長、デーメルだ。チサトの迎えに来た」
「おかえりなさーい!」
ドアを開けてくれたのはアーベルで、部屋に通されるとこの家の父親のヴィルギルの肩に乗ってはしゃぐバルドゥルとチサト……?
「フィール、おかえりなさい。ヴィルギルさん力持ちなの!」
「おとうさんすごいの! チサトせんせいも かついじゃうの!」
「試合は負けたが力比べなら負けないぞ!」
豪快に笑うヴィルギルにじゃれつく子供達、と一緒になって子供扱いされるチサト。
「隊長さん、うちのダンナが調子に乗っててすみません。成長した息子を見るようでかわいくなっちゃって」
「……もしかして酒を?」
「ほんの少しだったんですけど……弱いんですね」
「お酒はちょっとしか飲んでない! ダイジョーブ!」
チサトが全く安心できない調子で言った。
「チサトを預かってくれて感謝する」
「うちも子供達と遊んでもらって助かったよ。それにあんなかわいい姿で1人で帰したらどこに連れ込まれるか心配だしね」
「あぁ、選択を間違えたようだ」
「あ、今着ている服はいつでも良いから」
「ありがとう。では」
「「チサトせんせー、おやすみなさーい」」
「おやすみなさーい」
「気ぃつけて帰れよー」
それほど酔ってはいないようだが妙に機嫌の良かったチサトが突然寂しげな声でぽつりと呟いた。
「おれ、赤ちゃん……産めないと思うよ……」
「急にどうしたんだ?」
チサトのいた世界ではチサトは赤ん坊を産めない体だったらしい。結婚して愛し合えばどちらでも子供ができるこの世界の人間とは違うと。幸せそうな家族を見て寂しくなったのか?
「私はチサトを独り占めしたくて結婚したいんだ。だから子供はできてもできなくても良い」
「産めなくても良い……?」
「チサトが側にいてくれるならそれ以上の事は望まない。子供が欲しくなったら孤児院から引き取る手もあるだろう」
「うふふ……フィール、ありがと」
買って来た物と作り置きの物で簡単な食事を済ませ、風呂に入ると疲れてるだろうからとチサトが世話を焼いてくれた。しかも少し酔っているせいか時折あらぬ所に触れたり泡で滑りの良くなった体を擦り付けたりとイタズラしてくるので風呂から上がる前に完全に準備が整ってしまった。
当然、イタズラは返しているのでチサトも蕩けている。
「あのね、も……入れて欲しいの」
「だがここでは上気せるぞ?」
「ん。だから、あの……入れて、そのまま運んで?」
チサトの言うがままに体を繋げ、抱き上げてベッドに運ぶ。深く繋がり、歩く振動で奥を刺激されるのが堪らないようだ。早く思うさま可愛いがりたい。
「あっ、あっ、あっ! これ、だめ……も……んんんっっっ!!!!」
ベッドにたどり着く前に果てたチサト。
自分から誘ったのに1人で良くなってしまうなんて可愛らしすぎる。
「イったばかりなのに悪いが、私も限界だ」
「ひゃうっ!!」
なるべく優しくしたつもりだが私が逹する前にもう1度昇り詰め、3度目には止まらなくなって気を失ってしまった。次からは時間をかけ過ぎないよう気をつけよう。
「おはよ……あの、朝ごはんできたよ」
「ああ、おはようチサト。ありがとう、体は大丈夫か?」
「だい……じょう、ぶ」
真っ赤になって踵を返し、よろめきながら給仕しようとする。
「無理をするな。いや、無理をさせたのは私か。すまなかった」
「謝らないで。……おれが調子に乗っただけだし、最近は2回くらいしても平気だったから油断した、って言うか。うぅ……気持ち良かったよぅ…… まだ奥がもやもやしてて……気持ち良かったの思い出しちゃうの」
「う…… なぜ今日が休みではないのか」
「しかも今日はおれ、孤児院に泊まりだよ? なのにこれ……」
くっきりと残る胸の脇の所有痕。
「謝って済むものじゃないな……」
「今日は風邪気味って事にしてお風呂に入らないようにしておく。でも次は……一緒に気をつけてね」
「肝に命じておく」
このモヤモヤを抱えて夜を過ごすのか、と侘しさを感じた。
悔しい。
チサトに良いところを見せたかったのに負けてしまうとは。だがチサトは怯えていた。私の怪我を1番に心配してくれていた。鍛錬は続けるが次があっても出場は辞退しよう。
出場者が警備に当たる予定はなかったのだが予想以上に喧嘩が多く、チサトを先に返さざるを得なくなった。だがひとりで帰すのは心配で思い悩んでいたところへ先日会った兄弟の家で預かってくれると言う。人助けは巡ると言うが、体感したのは初めてだ。ドレスでなければ1人で帰れるのに、と言うチサトの意見は着替えを持ち帰ってしまったコリンに言ってもらおう。
普段着でも1人では返すのは危険だ。
ドレス姿で子供達と手を繋ぐチサトを見送って仕事に戻った。
「隊長、やっぱりチサトくん可愛いですね」
「慰労会の時のドレス姿、また見られて嬉しいなぁ」
隊員達は褒めているのだが、なんだかもやもやする。私はなぜドレスを選んでしまったのか。目立たぬ服を着せるべきだった、と反省しながら喧嘩の仲裁をして回った。
「警備隊隊長、デーメルだ。チサトの迎えに来た」
「おかえりなさーい!」
ドアを開けてくれたのはアーベルで、部屋に通されるとこの家の父親のヴィルギルの肩に乗ってはしゃぐバルドゥルとチサト……?
「フィール、おかえりなさい。ヴィルギルさん力持ちなの!」
「おとうさんすごいの! チサトせんせいも かついじゃうの!」
「試合は負けたが力比べなら負けないぞ!」
豪快に笑うヴィルギルにじゃれつく子供達、と一緒になって子供扱いされるチサト。
「隊長さん、うちのダンナが調子に乗っててすみません。成長した息子を見るようでかわいくなっちゃって」
「……もしかして酒を?」
「ほんの少しだったんですけど……弱いんですね」
「お酒はちょっとしか飲んでない! ダイジョーブ!」
チサトが全く安心できない調子で言った。
「チサトを預かってくれて感謝する」
「うちも子供達と遊んでもらって助かったよ。それにあんなかわいい姿で1人で帰したらどこに連れ込まれるか心配だしね」
「あぁ、選択を間違えたようだ」
「あ、今着ている服はいつでも良いから」
「ありがとう。では」
「「チサトせんせー、おやすみなさーい」」
「おやすみなさーい」
「気ぃつけて帰れよー」
それほど酔ってはいないようだが妙に機嫌の良かったチサトが突然寂しげな声でぽつりと呟いた。
「おれ、赤ちゃん……産めないと思うよ……」
「急にどうしたんだ?」
チサトのいた世界ではチサトは赤ん坊を産めない体だったらしい。結婚して愛し合えばどちらでも子供ができるこの世界の人間とは違うと。幸せそうな家族を見て寂しくなったのか?
「私はチサトを独り占めしたくて結婚したいんだ。だから子供はできてもできなくても良い」
「産めなくても良い……?」
「チサトが側にいてくれるならそれ以上の事は望まない。子供が欲しくなったら孤児院から引き取る手もあるだろう」
「うふふ……フィール、ありがと」
買って来た物と作り置きの物で簡単な食事を済ませ、風呂に入ると疲れてるだろうからとチサトが世話を焼いてくれた。しかも少し酔っているせいか時折あらぬ所に触れたり泡で滑りの良くなった体を擦り付けたりとイタズラしてくるので風呂から上がる前に完全に準備が整ってしまった。
当然、イタズラは返しているのでチサトも蕩けている。
「あのね、も……入れて欲しいの」
「だがここでは上気せるぞ?」
「ん。だから、あの……入れて、そのまま運んで?」
チサトの言うがままに体を繋げ、抱き上げてベッドに運ぶ。深く繋がり、歩く振動で奥を刺激されるのが堪らないようだ。早く思うさま可愛いがりたい。
「あっ、あっ、あっ! これ、だめ……も……んんんっっっ!!!!」
ベッドにたどり着く前に果てたチサト。
自分から誘ったのに1人で良くなってしまうなんて可愛らしすぎる。
「イったばかりなのに悪いが、私も限界だ」
「ひゃうっ!!」
なるべく優しくしたつもりだが私が逹する前にもう1度昇り詰め、3度目には止まらなくなって気を失ってしまった。次からは時間をかけ過ぎないよう気をつけよう。
「おはよ……あの、朝ごはんできたよ」
「ああ、おはようチサト。ありがとう、体は大丈夫か?」
「だい……じょう、ぶ」
真っ赤になって踵を返し、よろめきながら給仕しようとする。
「無理をするな。いや、無理をさせたのは私か。すまなかった」
「謝らないで。……おれが調子に乗っただけだし、最近は2回くらいしても平気だったから油断した、って言うか。うぅ……気持ち良かったよぅ…… まだ奥がもやもやしてて……気持ち良かったの思い出しちゃうの」
「う…… なぜ今日が休みではないのか」
「しかも今日はおれ、孤児院に泊まりだよ? なのにこれ……」
くっきりと残る胸の脇の所有痕。
「謝って済むものじゃないな……」
「今日は風邪気味って事にしてお風呂に入らないようにしておく。でも次は……一緒に気をつけてね」
「肝に命じておく」
このモヤモヤを抱えて夜を過ごすのか、と侘しさを感じた。
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