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パーティー!
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パーティー当日。
朝早くに迎えが来て、慌ただしくツィーゲ伯爵のセカンドハウスに行った。
……そこで。
…………なぜか。
おれが風呂に入れられてオイルマッサージされてかつらを被らされてドレスを着せられました。なんで女性がいないのにドレスがあるんだよ!!
メリハリボディは憧れの的!ってコルセットも締められました。かかとの高い靴も履かされ、生まれたての子鹿よろしく、ぷるぷるしています。
「チサトせんせい、お姫様みたい……」
「お姫様っ!?」
女性がいないのにお姫様って!?
「あぁ、正にお姫様だね。小柄で華奢でたおやかで儚げな美貌だ」
つまり、女性的な人を『姫』と呼ぶのか。翻訳だしな。それにしてもおれだってもう16歳でさすがに女の子に間違えられる事なんてないはず!!
って、思ったのに。
メイク技術か!! 誰でも美女になっちゃう整形メイクかよ!!
侍従すごい。
そしてツィーゲ伯爵にエスコートされ、ギゼを従えて領主の屋敷へドナドナされました。
「!!」
いるよね。お気に入りだもんね。
て言うか警備というよりお客さん?
会場にはフィールがいました。あと副隊長さんもエルマーさんも他の隊員の方々も。
第一部隊を労う会なんだって。
パートナー連れの人、1人の人、それに隊服じゃない、タキシードやドレスや民族服っぽい服で着飾った人もいる。
隊員と仲良くなりたい人達らしい。
え? お見合いパーティーだったの?
「本日は第一部隊の隊員達に楽しんでもらうためのパーティーだ。無礼講で楽しんでくれたまえ」
領主の簡単な挨拶でパーティーは始まり、ツィーゲ伯爵はおれたちを連れて領主に挨拶をした。
「この姫がテオフィールの?」
「そうだ。美しいだろう?」
2人がかりで覗き込まれて恥ずかしい。
こんな仮装で美しいとか言われても……地顔は全然別人ですよ!!
「ギゼラ君、主人とパートナーがパーティーに出席する場合、一緒に来ることもあるし、別室で待機する事もあるんだよ」
「は、はい!」
「あのぅ、なんでぼくエスコートされる役なんですか?」
「ギゼラ君がお世話しやすいかと思ってね」
なるほど。
知らない人でギゼが失敗して怒られたりしないように配慮したのか。やっぱり良い人なんだ。
「ではデーメル隊長に挨拶しようか?」
良い人じゃないかも!!
こんな格好、いくら親ばかフィルターがかかってても笑われるよ! 逃げ出したい!!
でも、靴のせいで立っているのがやっとなおれはツィーゲ伯爵に捕まってないと歩く事もままならない。
「デーメル隊長。今日の私のパートナーを自慢させてくれ!」
「ツィーゲ伯爵、本日は隊員達を…… ギゼ?」
「たいちょうさん! チサトせんせい、きれいでしょ?」
って、ドヤ顔でばらさないでぇ!!
おれがこの姿になってからギゼは頬を薔薇色に染めて目を潤ませて、それはもう美少女感満載だった。そうか、自慢したかったのか。
「チサト…… なのか」
「デーメルさん、こ、こんばんは」
「チサトか!? こりゃ化けたな!」
「副隊長さん……」
おれの女装姿とか何のネタだよ!
「伯爵、チサトがなぜあなたのパートナーなのですか?」
「それはね、ギゼに侍従の体験をしてもらうに当たって、失敗しても怒ったりしないであろうチサトくんにお願いしたんだ。ギゼラ君、チサトくんのお世話はどうだった?」
「はい! せんせいがきれいになっていくのをみて、ごしゅじんさまを だいじにしたいきもちが わかりました!」
ギゼ……
「……ではチサトの役目はもう終わりですね?」
「そうだな。だがせっかくだからここからは客としてもう少し楽しんで行ってくれると嬉しいな」
「お客さん!? ごはんたべていいの?」
「あぁ。好きなだけ食べなさい」
「やったぁ! ごしゅじんさま、ありがとうございます!!」
「ギゼ、カイに恨まれるぞ?」
「でも……」
「明日、気に入った料理を孤児院に届けさせるよ。だから気にせずお食べ」
「「ごしゅじんさま!!」」
思わずギゼとハモってしまった。(笑)
お言葉に甘えて食べるぞー!!
「……あの、デーメルさん、ぼく……歩けなくて……掴まらせてもらっても良いですか?」
「歩けない?」
「はい、靴が……」
靴を見せようとスカートを捲ると、なぜか会場内からどよめきが起きた。
「チサト! その姿で肌を晒さないでくれ」
男だし膝下しか見えてないと思うけど……。 でもそうか、ドレス着て化けてるし、ミニスカで見える太ももよりよりロングスカートで見えるふくらはぎの方がエロく見えるやつかな? チラリズムだっけ? まぁ、歩きにくいアピールはできただろうからこれ以上見せる必要はないよー。
デーメルさんの腕に掴まろうと手を伸ばし、1歩前に出た途端、盛大にコケてカツラが飛んだ。……痛い。
心配したギゼとデーメルさんが駆け寄ってくれたけど副隊長さんが爆笑してるし、まわりの私服の人たちは笑いをこらえてプルプルしてる。あ、領主様達は目が点になってる。いっそ笑ってくれ!!
助け起こされたおれの髪を手櫛で整え、カツラに飾られてた花を取っておれの耳の後ろあたりにつけて整えてくれたのは副隊長さん。器用だな。
デーメルさんがこちらの方がチサトらしくて好きだ、と言ってくれた。甘いぃぃぃぃ!!
朝早くに迎えが来て、慌ただしくツィーゲ伯爵のセカンドハウスに行った。
……そこで。
…………なぜか。
おれが風呂に入れられてオイルマッサージされてかつらを被らされてドレスを着せられました。なんで女性がいないのにドレスがあるんだよ!!
メリハリボディは憧れの的!ってコルセットも締められました。かかとの高い靴も履かされ、生まれたての子鹿よろしく、ぷるぷるしています。
「チサトせんせい、お姫様みたい……」
「お姫様っ!?」
女性がいないのにお姫様って!?
「あぁ、正にお姫様だね。小柄で華奢でたおやかで儚げな美貌だ」
つまり、女性的な人を『姫』と呼ぶのか。翻訳だしな。それにしてもおれだってもう16歳でさすがに女の子に間違えられる事なんてないはず!!
って、思ったのに。
メイク技術か!! 誰でも美女になっちゃう整形メイクかよ!!
侍従すごい。
そしてツィーゲ伯爵にエスコートされ、ギゼを従えて領主の屋敷へドナドナされました。
「!!」
いるよね。お気に入りだもんね。
て言うか警備というよりお客さん?
会場にはフィールがいました。あと副隊長さんもエルマーさんも他の隊員の方々も。
第一部隊を労う会なんだって。
パートナー連れの人、1人の人、それに隊服じゃない、タキシードやドレスや民族服っぽい服で着飾った人もいる。
隊員と仲良くなりたい人達らしい。
え? お見合いパーティーだったの?
「本日は第一部隊の隊員達に楽しんでもらうためのパーティーだ。無礼講で楽しんでくれたまえ」
領主の簡単な挨拶でパーティーは始まり、ツィーゲ伯爵はおれたちを連れて領主に挨拶をした。
「この姫がテオフィールの?」
「そうだ。美しいだろう?」
2人がかりで覗き込まれて恥ずかしい。
こんな仮装で美しいとか言われても……地顔は全然別人ですよ!!
「ギゼラ君、主人とパートナーがパーティーに出席する場合、一緒に来ることもあるし、別室で待機する事もあるんだよ」
「は、はい!」
「あのぅ、なんでぼくエスコートされる役なんですか?」
「ギゼラ君がお世話しやすいかと思ってね」
なるほど。
知らない人でギゼが失敗して怒られたりしないように配慮したのか。やっぱり良い人なんだ。
「ではデーメル隊長に挨拶しようか?」
良い人じゃないかも!!
こんな格好、いくら親ばかフィルターがかかってても笑われるよ! 逃げ出したい!!
でも、靴のせいで立っているのがやっとなおれはツィーゲ伯爵に捕まってないと歩く事もままならない。
「デーメル隊長。今日の私のパートナーを自慢させてくれ!」
「ツィーゲ伯爵、本日は隊員達を…… ギゼ?」
「たいちょうさん! チサトせんせい、きれいでしょ?」
って、ドヤ顔でばらさないでぇ!!
おれがこの姿になってからギゼは頬を薔薇色に染めて目を潤ませて、それはもう美少女感満載だった。そうか、自慢したかったのか。
「チサト…… なのか」
「デーメルさん、こ、こんばんは」
「チサトか!? こりゃ化けたな!」
「副隊長さん……」
おれの女装姿とか何のネタだよ!
「伯爵、チサトがなぜあなたのパートナーなのですか?」
「それはね、ギゼに侍従の体験をしてもらうに当たって、失敗しても怒ったりしないであろうチサトくんにお願いしたんだ。ギゼラ君、チサトくんのお世話はどうだった?」
「はい! せんせいがきれいになっていくのをみて、ごしゅじんさまを だいじにしたいきもちが わかりました!」
ギゼ……
「……ではチサトの役目はもう終わりですね?」
「そうだな。だがせっかくだからここからは客としてもう少し楽しんで行ってくれると嬉しいな」
「お客さん!? ごはんたべていいの?」
「あぁ。好きなだけ食べなさい」
「やったぁ! ごしゅじんさま、ありがとうございます!!」
「ギゼ、カイに恨まれるぞ?」
「でも……」
「明日、気に入った料理を孤児院に届けさせるよ。だから気にせずお食べ」
「「ごしゅじんさま!!」」
思わずギゼとハモってしまった。(笑)
お言葉に甘えて食べるぞー!!
「……あの、デーメルさん、ぼく……歩けなくて……掴まらせてもらっても良いですか?」
「歩けない?」
「はい、靴が……」
靴を見せようとスカートを捲ると、なぜか会場内からどよめきが起きた。
「チサト! その姿で肌を晒さないでくれ」
男だし膝下しか見えてないと思うけど……。 でもそうか、ドレス着て化けてるし、ミニスカで見える太ももよりよりロングスカートで見えるふくらはぎの方がエロく見えるやつかな? チラリズムだっけ? まぁ、歩きにくいアピールはできただろうからこれ以上見せる必要はないよー。
デーメルさんの腕に掴まろうと手を伸ばし、1歩前に出た途端、盛大にコケてカツラが飛んだ。……痛い。
心配したギゼとデーメルさんが駆け寄ってくれたけど副隊長さんが爆笑してるし、まわりの私服の人たちは笑いをこらえてプルプルしてる。あ、領主様達は目が点になってる。いっそ笑ってくれ!!
助け起こされたおれの髪を手櫛で整え、カツラに飾られてた花を取っておれの耳の後ろあたりにつけて整えてくれたのは副隊長さん。器用だな。
デーメルさんがこちらの方がチサトらしくて好きだ、と言ってくれた。甘いぃぃぃぃ!!
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