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第15話
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ーー イーノ side ーー
「リーフ様、見て下さい! 良い感じです!」
「ふむ、確かに興味深い。だが……」
「だが……?」
「イーノが居なくてはつまらない」
不満を口にして部屋を出て行ってしまった。怒らせてしまったのだろうか?
「イーノ、彼女にそれの使い方を説明してくれ」
リーフ様は女将さんを連れて来た。
良かった、怒ってない!
魔道具の使い方を説明し、リーフ様にあれこれ指示されて絵姿が8枚もできた。……おれは引き立て役にもならないレベル。(涙)
「うふふ、分かるわぁ。エルフ様に手を取られたら緊張するわよねぇ」
「うぅ……、おれ、めちゃくちゃ変な顔してる……!!」
「イーノはいつも通り愛らしいが?」
「リーフ様はこんなのがお好きなんですか!?」
自分ではただの地味顔だと思ってたのに、リーフ様と並ぶとめちゃくちゃ不細工だった事がはっきりする。これは辛い。
「人間の女性はどれだけ憧れてもエルフ様を伴侶に求めないのよ。分かるでしょう?」
あぁ、そうか。
普通の絵姿なら加工してもらえるけど、2人一緒にいる限り人からはこう見られているのか。女性には辛いだろうなぁ。
「だが貴方はゲラーニエの伴侶だろう?」
「私は自分の幸せよりあの方の幸せが大切だもの」
自分がどう見られようが憧れのエルフ様に尽くしたかったと言う。そうか……、そうだよな!!
「そうですよね! リーフ様が良いなら良いんですよね!」
「そうよ。私はお側に居られるだけで幸せなんですもの」
「その通りです!!」
女将さんと手を取り合って共感していたらリーフ様にそっと引き離された。そして女将さんもリーフ様より少し歳上らしきエルフ様に抱きこまれている。
もしかして!!
「ミュルテ、いくらリーフの連れでも気を許しすぎてはいけないよ」
「まぁっ! 妬いて下さるの? でもこの子は大丈夫! だって同士ですもの」
からからと朗らかに笑う女将さんはとても可愛らしい。
「リーフ様、素敵なお2人ですね」
「……そうだな」
あれ? なんだか不機嫌?
「リーフ、その子を紹介しなさい」
「リーフ様、私からもお願いします」
エルフ様と女将さんに促され、リーフ様が紹介してくれた。
「叔父上、この子はイーノ。最果ての町からポーターとして連れて来た。ずっと共に居たいと考えている」
「リーフ様の叔父様なんですか! イーノです。なんの取り柄もないおっさんですが、よろしくお願いします」
「まぁっ! 何も取り柄がないだなんて!」
自分を卑下してはいけない、と女将さんから窘められてしまった。リーフ様に望まれているんだからそれを否定してはいけない、と。
……少しは自信を持っても良いのかな?
愛でもどうにもならなかった女将さんの料理の腕を引き合いに出して場を和ませつつ、励ましてくれたお2人に感謝の気持ちが溢れる。おかげでリーフ様と並んで歩く距離が今までより少し近くなった。
「そろそろ夕飯を食べに行こうか」
約束をした『木漏れ日亭』に向かうとちょうどエスグリさんとルーさんが来た所だった。……エスグリさんが纏わりついているように見えるけど、気のせいだよね。
個室にするか聞かれたけど、店の雰囲気を楽しみたくて4人がけのテーブルが3つとカウンター席5つのホールを希望した。リーフ様の隣が俺で向かいがルーさん。はっ!リーフ様を見るには正面の方が良かったかも???
定番のコース料理を4人分注文し、お酒で乾杯する。
「無事な旅とルーの美貌に乾杯!」
「リーフ様の前でぼくの美貌とか、嫌味?」
「ルーさん、綺麗じゃないですか! エスグリさんは本気ですよ!!」
「エスグリの考えでは私は論外らしいからな」
「おう! オレは純粋なエルフより、ハーフエルフの方が好みなんだよ」
完璧過ぎてつまらないとか、贅沢な事言ってる。エルフの郷で色々やらかした癖に……。
「だからあれは興味本意だって」
「エルフ様達に対して興味本位なんて、失礼過ぎ。本当に嫌い」
ここら辺はよく知らないので聞くだけにしておく。
そう言えばリーフ様とエスグリさんの馴れ初めってどんなだろう?
「よくぞ聞いてくれた! あれはオレがまだ……」
「エルフの郷での姿があまりにも愚かで興味を惹かれたんだ。それで少し質問をしたら絡まれるようになった」
「絡むとか言うなよ! あれは友達になったって言うんだ!!」
「友人……?」
少し迷惑そうだけど、リーフ様もそこまで嫌がってない気がする。面白い人だなぁ。
「ルーさんはご両親のどちらがエルフ様なんですか?」
「えっ、あっ、……その……」
「隠す必要はないだろう。ルーの祖母が私の妹だ」
「……え?」
「私の家系は人間を好むようだ」
あれ? ならハーフエルフ、じゃない……?
「ルーは両親共にハーフエルフだから、ハーフエルフなんだよ!」
「なるほど!」
俺の疑問に答えてくれたのはエスグリさん。
この街でルーさんと同じく魔道具作りをしていたお母さんと植物系素材ハンターのお父さんが仲良くなるのは自然な流れだったんだろうな。
「リーフ様、見て下さい! 良い感じです!」
「ふむ、確かに興味深い。だが……」
「だが……?」
「イーノが居なくてはつまらない」
不満を口にして部屋を出て行ってしまった。怒らせてしまったのだろうか?
「イーノ、彼女にそれの使い方を説明してくれ」
リーフ様は女将さんを連れて来た。
良かった、怒ってない!
魔道具の使い方を説明し、リーフ様にあれこれ指示されて絵姿が8枚もできた。……おれは引き立て役にもならないレベル。(涙)
「うふふ、分かるわぁ。エルフ様に手を取られたら緊張するわよねぇ」
「うぅ……、おれ、めちゃくちゃ変な顔してる……!!」
「イーノはいつも通り愛らしいが?」
「リーフ様はこんなのがお好きなんですか!?」
自分ではただの地味顔だと思ってたのに、リーフ様と並ぶとめちゃくちゃ不細工だった事がはっきりする。これは辛い。
「人間の女性はどれだけ憧れてもエルフ様を伴侶に求めないのよ。分かるでしょう?」
あぁ、そうか。
普通の絵姿なら加工してもらえるけど、2人一緒にいる限り人からはこう見られているのか。女性には辛いだろうなぁ。
「だが貴方はゲラーニエの伴侶だろう?」
「私は自分の幸せよりあの方の幸せが大切だもの」
自分がどう見られようが憧れのエルフ様に尽くしたかったと言う。そうか……、そうだよな!!
「そうですよね! リーフ様が良いなら良いんですよね!」
「そうよ。私はお側に居られるだけで幸せなんですもの」
「その通りです!!」
女将さんと手を取り合って共感していたらリーフ様にそっと引き離された。そして女将さんもリーフ様より少し歳上らしきエルフ様に抱きこまれている。
もしかして!!
「ミュルテ、いくらリーフの連れでも気を許しすぎてはいけないよ」
「まぁっ! 妬いて下さるの? でもこの子は大丈夫! だって同士ですもの」
からからと朗らかに笑う女将さんはとても可愛らしい。
「リーフ様、素敵なお2人ですね」
「……そうだな」
あれ? なんだか不機嫌?
「リーフ、その子を紹介しなさい」
「リーフ様、私からもお願いします」
エルフ様と女将さんに促され、リーフ様が紹介してくれた。
「叔父上、この子はイーノ。最果ての町からポーターとして連れて来た。ずっと共に居たいと考えている」
「リーフ様の叔父様なんですか! イーノです。なんの取り柄もないおっさんですが、よろしくお願いします」
「まぁっ! 何も取り柄がないだなんて!」
自分を卑下してはいけない、と女将さんから窘められてしまった。リーフ様に望まれているんだからそれを否定してはいけない、と。
……少しは自信を持っても良いのかな?
愛でもどうにもならなかった女将さんの料理の腕を引き合いに出して場を和ませつつ、励ましてくれたお2人に感謝の気持ちが溢れる。おかげでリーフ様と並んで歩く距離が今までより少し近くなった。
「そろそろ夕飯を食べに行こうか」
約束をした『木漏れ日亭』に向かうとちょうどエスグリさんとルーさんが来た所だった。……エスグリさんが纏わりついているように見えるけど、気のせいだよね。
個室にするか聞かれたけど、店の雰囲気を楽しみたくて4人がけのテーブルが3つとカウンター席5つのホールを希望した。リーフ様の隣が俺で向かいがルーさん。はっ!リーフ様を見るには正面の方が良かったかも???
定番のコース料理を4人分注文し、お酒で乾杯する。
「無事な旅とルーの美貌に乾杯!」
「リーフ様の前でぼくの美貌とか、嫌味?」
「ルーさん、綺麗じゃないですか! エスグリさんは本気ですよ!!」
「エスグリの考えでは私は論外らしいからな」
「おう! オレは純粋なエルフより、ハーフエルフの方が好みなんだよ」
完璧過ぎてつまらないとか、贅沢な事言ってる。エルフの郷で色々やらかした癖に……。
「だからあれは興味本意だって」
「エルフ様達に対して興味本位なんて、失礼過ぎ。本当に嫌い」
ここら辺はよく知らないので聞くだけにしておく。
そう言えばリーフ様とエスグリさんの馴れ初めってどんなだろう?
「よくぞ聞いてくれた! あれはオレがまだ……」
「エルフの郷での姿があまりにも愚かで興味を惹かれたんだ。それで少し質問をしたら絡まれるようになった」
「絡むとか言うなよ! あれは友達になったって言うんだ!!」
「友人……?」
少し迷惑そうだけど、リーフ様もそこまで嫌がってない気がする。面白い人だなぁ。
「ルーさんはご両親のどちらがエルフ様なんですか?」
「えっ、あっ、……その……」
「隠す必要はないだろう。ルーの祖母が私の妹だ」
「……え?」
「私の家系は人間を好むようだ」
あれ? ならハーフエルフ、じゃない……?
「ルーは両親共にハーフエルフだから、ハーフエルフなんだよ!」
「なるほど!」
俺の疑問に答えてくれたのはエスグリさん。
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