可愛がって下さい。

香月ミツほ

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8 もふもふ天国です。

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故意か無意識か牛さんの手がぼくのお尻を撫でていた。

「しっぽがないのって、物足りなくないですか?」

そう聞くとハッとして手を放す。無意識だったみたい。じっと見つめて返事を待つ。

「初めて、触ったけど……その…」
「どれどれ?私にも触らせて!!」

って、ラブさんに撫で回される。うわぁ…滑りの良い生地の上から撫で回されるの、気持ち良い。

「ひゃう!」

「ユキちゃんのお尻、丸くて小さくて可愛い!足なんかなにコレ!って感じじゃない!?」
「どれ?うわっ!本当だ。え?こんなきめ細かな肌触った事無いんだけど!!」

「そうですか?自分じゃよく分かりませんけど。」

初めてがこれじゃ、この先誰にも満足できないから触るの止めとけ、って牛さんに言ってる。戸惑う牛さんの手を腿裏に触らせて

「触らせてもらってるから、触って良いですよ?」

おずおずと撫でる大きな手は性的な感覚より安心感が勝る。その手が上がって来て服の中に入りそうになった。

「だっダメ!!服の中はダメ!」

シュンとしてしまう牛さんに謝る。

「そこはまだ誰にも触られた事ないから…ちょっと怖くて…」
「うっそぉ!!」

ラブさんがめちゃくちゃ驚いている。そこまで驚く事ないだろう、と思ったのはぼくだけではなかったようで

「こう言うお店で働いてるにしても、新人だし若いんだからそこまで驚く事でもないんじゃない?」

犬さんの言葉にだってだってと反論するラブさん。

「だってこの子! 耳としっぽのお触りだけでイかせるスーパーテクニシャンなのよ!?私もだけどタッツィーネさんまでイかされたんだから!!」

声、大きいです!!
まさか、と呟く犬さん。ちょっと試してみたくなって勝手に耳を触ってイタズラしちゃった。

「うぁぁぁ、やばい、それやばい!」

「やばいですか? 前は加減が分からなくて夢中になっちゃって、それで…」

ごにょごにょと尻すぼみになるぼくを空いた口が塞がらず、赤い顔でただ見つめる犬さん。

「ちゃんと加減を学びますから。ね、牛さんは大丈夫だったでしょう?」

「…大丈夫、でしたけど… そう言うのも… 興味あります。」

初めて声が聞けた。身体はゴツいけど結構若い。まだ十代かな?

黒服さんが次の指名を知らせに来たので

「じゃぁ、次はもっと触らせてもらいますね。」

と言ってハグして挨拶をして席を離れる。新人は顔を広めるためにあちこちから呼ばれるようだ。



次のお相手は……
大きい。クマさんと同じくらい大きい。でもこちらの人は銀髪だ。耳を見る限り人っぽい。

「失礼します。」

ここでもリスのマリンさんが付いていた。マリンさんマッチョ担当?

お客さんの顔を見た。…これは!この顔は!! イケメンゴリラ!!
彫りの深い顔に太い眉、大きな口に厚い唇。鼻は少し大きいけどそれほどでもない。

挨拶をすると優しく声をかけてくれてお酒を作ってくれる?と腰に来る低音ボイスで囁かれる。
マッチョでもコンプレックスない人いるじゃん!

場慣れしたゴリラさんは話し上手でとっても楽しい。でもやっぱり気になる大胸筋。

「ユキちゃん、胸見過ぎよ!」

ってマリンさんに笑われた。だってぇ…

「変わってるね。良いよ、触っても。」

眩しい!シャツをはだけて見せつけてくれる大胸筋の谷間。直ですか?直お触り良いんですか!?

ぺたりと両手を肌につけ、意外にも滑らかな胸を撫でる。くっきりと象られた胸の盛り上がりは彫刻のようでいくらでも触っていたくなる。弾力を楽しむように揉みながら頬を寄せると男らしい香りに包まれる。

「ふわぁ…かっこいい~…」

すりすりナデナデ、幸せです。

「お、おなかも良いですか…?」

絶対だらしない顔してるけど、もう夢中でぐいぐい行く。ゴリラさんは引き気味に頷いてくれた。

あぁぁ…シックスパック…腹斜筋…

「筋肉は…どうして噛みたくなるんでしょう?」
「ならないから!!」

マリンさんの鋭いツッコミに正気に戻る。

「ご、ごめんなさい!」

「いや、良いよ。でも本当に幸せそうだね。」

上気した顔で柔らかく微笑むゴリラさんは男の色気がダダ漏れだ。手触りを思い出してまただらしない顔になる。

「このお仕事、天職です!」

ハァハァ…

その後、ウサギさんとキツネさんとオオカミさんをもふもふして今日は終了。迎えに来てくれたヤマネさんもベッドの中でモフらせてもらって幸せ最高潮のままに眠った。
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