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第二章
エルザークの悪魔
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剣を振る。
敵が死ぬ。
剣を振る。
敵の首が宙を舞う。
「ははははははははは!!さあもっと来いよ殺してやる! 」
ライルは次々に迫ってくる敵を斬り殺す。
相手の腕やら首が飛び血と内臓が舞い散る。
ライルはすでに敵の血を浴びて血塗れになっていた。
「くそッ死ね! 」
異端審問官が剣を振るう。
それを容易く躱すと審問官の顔面を被っているカラス面ごと剣で貫く。
すると突き立てた剣が抜けなくなる。
「チッ 」
ライルは剣から手を離し審問官の死体を蹴り飛ばし次に来た審問官の首を掴むと握り潰し審問官が持っていた短剣を奪う。
そのまま一度地を蹴りまた審問官を殺す。
もう何人殺したか分からない。
すると審問官の一人が言う。
「くそッエルザークの悪魔め! 」
それはライルが一年前エルザーク帝国で大佐をしていた頃イルミア王国の兵達から呼ばれていた名だ。
かつて女神アルテスに選ばれた勇者が悪魔と呼ばれてしまう。
ライルはその審問官に向かい声を張り上げて言う。
「ああそうだ!お前達が欲しい姫はこの悪魔が連れ去った!貴様達が女神アルテスの意志でここに来たのならば俺は全力でそれに抗おう、だから貴様も地面に赤い花を咲かせたい奴からかかって来い! 」
まるで何かの劇の様な台詞だなとライルは苦笑する。
ライルは再び地を蹴り審問官を殺す。
すると敵の後方から矢が数十本ライルに降りそそぐ。
おそらくは白兵戦では勝てないと踏んでのことだろう。
ライルは短剣を振るい数本の矢を弾く。
しかし二本は防ぎ切れず右肩と左太腿に突き刺さる。
「グッ 」
ライルは苦悶の表情を浮かべる。
これでライルは片手でしか剣が振れなくなった。
それに太腿に刺さっているため先程の様に走ることはできないだろう。
動きが鈍くなったライルを討ち取りに三人の審問官が迫る、しかしライルは笑う。
「はは、片手が使えないくらいで俺を殺せると思うなよ! 」
ライルはまず一人の審問官の首を跳ね二人目の審問官に短剣を投げると見事に心臓を貫く。
三人目のナイフを使えなくなった右腕でわざと受ける。ナイフは軽々ライルの右腕に刺さる。
ライルは左手で右肩に刺さった矢を引き抜くとそのまま審問官の眼球に突き刺す。
審問官が激痛のあまりナイフから手を離すとライルは突き刺さったナイフを引き抜き審問官の首を斬る。
ライルはそこまでを行うと夜空に浮かぶ三日月を仰ぎ笑う。
嗤う。
その姿は恐らくどんな魔獣や魔族ですら恐怖し嫌悪するだろう。
まさしく悪魔だった。血塗れで笑うその姿は悪魔としか呼びようがない。これが魔王を倒し世界を救った英雄だと誰が思うだろうか。
「クソッ撤退だ! 」
審問官達は次々に撤退していく。
これ以上の戦闘は無意味だと分かったのだろう。
ライルは撤退していく審問官を見てから手に持っていたナイフを地に落とす。
そして自分の姿を確認する。
審問官達の血と内臓塗れの姿を見る。
「これじゃソフィア驚いちゃうかな… 」
そう言うとライルはふらふらと歩き出す。
目的地は近くの川だった。
ライルはそこで身体を洗い着ていた赤いロングコートを洗う。
このコートは元々の色が赤なのでこれが血なのかが分からない。
ライルは取り敢えず川にロングコートを漬ける。
すると一瞬で月明かりを映していた透明な川は赤色に染まる。
ライルはゴシゴシと付いた血が無くなるまで洗う。
ふと首から下げていたロザリオが目にとまる。ソフィアから貰った物だ。
そのロザリオには血が一滴も付いていなかった。
血を洗い流したライルは廃屋戻る。すると廃屋の前はむせ返る程の血の匂いがした。
ライルは廃屋の前でまじないをかける。
「————掻き消せ 」
するとたちまち血の匂いが薄くなる。ソフィアに使ったまじない同様エルザーク帝国の大魔術師レティシアから教えて貰ったものだ。
ライルは魔術が使えないがこういった簡単なまじないならばいくつか知っていた。
実際に旅をしたりする時にあるとかなり便利だ。
ライルは廃屋の中に入る。ソファではソフィアが気持ち良さそうに寝ていた。
ライルは取りあえず服を脱ぐと荷物から包帯と布切れ、消毒液を取り出す。
まず右肩の傷を見る。
ライルは布切れに消毒液を染み込ませると乱暴に押し付ける。
消毒液が傷口にしみて思わず顔を歪ませる。
その後違う布切れを傷口に当て包帯で固定する。
次に左太腿も同様に手当てしていく。
一通り終わるとライルは廃屋の壁に横たわり何処を見るわけでもなくボーっとする。
そこで明日の朝あの死体の山をどうしようかと悩む。
少し悩むとこの廃屋には裏口があった事を思い出しそこからソフィアを出させればソフィアは死体を見なくて済むと考える。
そんな事を考えていると急な眠気が襲う。ライルはなんとか我慢しようとするが結局抗えず泥の様に眠った—————。
敵が死ぬ。
剣を振る。
敵の首が宙を舞う。
「ははははははははは!!さあもっと来いよ殺してやる! 」
ライルは次々に迫ってくる敵を斬り殺す。
相手の腕やら首が飛び血と内臓が舞い散る。
ライルはすでに敵の血を浴びて血塗れになっていた。
「くそッ死ね! 」
異端審問官が剣を振るう。
それを容易く躱すと審問官の顔面を被っているカラス面ごと剣で貫く。
すると突き立てた剣が抜けなくなる。
「チッ 」
ライルは剣から手を離し審問官の死体を蹴り飛ばし次に来た審問官の首を掴むと握り潰し審問官が持っていた短剣を奪う。
そのまま一度地を蹴りまた審問官を殺す。
もう何人殺したか分からない。
すると審問官の一人が言う。
「くそッエルザークの悪魔め! 」
それはライルが一年前エルザーク帝国で大佐をしていた頃イルミア王国の兵達から呼ばれていた名だ。
かつて女神アルテスに選ばれた勇者が悪魔と呼ばれてしまう。
ライルはその審問官に向かい声を張り上げて言う。
「ああそうだ!お前達が欲しい姫はこの悪魔が連れ去った!貴様達が女神アルテスの意志でここに来たのならば俺は全力でそれに抗おう、だから貴様も地面に赤い花を咲かせたい奴からかかって来い! 」
まるで何かの劇の様な台詞だなとライルは苦笑する。
ライルは再び地を蹴り審問官を殺す。
すると敵の後方から矢が数十本ライルに降りそそぐ。
おそらくは白兵戦では勝てないと踏んでのことだろう。
ライルは短剣を振るい数本の矢を弾く。
しかし二本は防ぎ切れず右肩と左太腿に突き刺さる。
「グッ 」
ライルは苦悶の表情を浮かべる。
これでライルは片手でしか剣が振れなくなった。
それに太腿に刺さっているため先程の様に走ることはできないだろう。
動きが鈍くなったライルを討ち取りに三人の審問官が迫る、しかしライルは笑う。
「はは、片手が使えないくらいで俺を殺せると思うなよ! 」
ライルはまず一人の審問官の首を跳ね二人目の審問官に短剣を投げると見事に心臓を貫く。
三人目のナイフを使えなくなった右腕でわざと受ける。ナイフは軽々ライルの右腕に刺さる。
ライルは左手で右肩に刺さった矢を引き抜くとそのまま審問官の眼球に突き刺す。
審問官が激痛のあまりナイフから手を離すとライルは突き刺さったナイフを引き抜き審問官の首を斬る。
ライルはそこまでを行うと夜空に浮かぶ三日月を仰ぎ笑う。
嗤う。
その姿は恐らくどんな魔獣や魔族ですら恐怖し嫌悪するだろう。
まさしく悪魔だった。血塗れで笑うその姿は悪魔としか呼びようがない。これが魔王を倒し世界を救った英雄だと誰が思うだろうか。
「クソッ撤退だ! 」
審問官達は次々に撤退していく。
これ以上の戦闘は無意味だと分かったのだろう。
ライルは撤退していく審問官を見てから手に持っていたナイフを地に落とす。
そして自分の姿を確認する。
審問官達の血と内臓塗れの姿を見る。
「これじゃソフィア驚いちゃうかな… 」
そう言うとライルはふらふらと歩き出す。
目的地は近くの川だった。
ライルはそこで身体を洗い着ていた赤いロングコートを洗う。
このコートは元々の色が赤なのでこれが血なのかが分からない。
ライルは取り敢えず川にロングコートを漬ける。
すると一瞬で月明かりを映していた透明な川は赤色に染まる。
ライルはゴシゴシと付いた血が無くなるまで洗う。
ふと首から下げていたロザリオが目にとまる。ソフィアから貰った物だ。
そのロザリオには血が一滴も付いていなかった。
血を洗い流したライルは廃屋戻る。すると廃屋の前はむせ返る程の血の匂いがした。
ライルは廃屋の前でまじないをかける。
「————掻き消せ 」
するとたちまち血の匂いが薄くなる。ソフィアに使ったまじない同様エルザーク帝国の大魔術師レティシアから教えて貰ったものだ。
ライルは魔術が使えないがこういった簡単なまじないならばいくつか知っていた。
実際に旅をしたりする時にあるとかなり便利だ。
ライルは廃屋の中に入る。ソファではソフィアが気持ち良さそうに寝ていた。
ライルは取りあえず服を脱ぐと荷物から包帯と布切れ、消毒液を取り出す。
まず右肩の傷を見る。
ライルは布切れに消毒液を染み込ませると乱暴に押し付ける。
消毒液が傷口にしみて思わず顔を歪ませる。
その後違う布切れを傷口に当て包帯で固定する。
次に左太腿も同様に手当てしていく。
一通り終わるとライルは廃屋の壁に横たわり何処を見るわけでもなくボーっとする。
そこで明日の朝あの死体の山をどうしようかと悩む。
少し悩むとこの廃屋には裏口があった事を思い出しそこからソフィアを出させればソフィアは死体を見なくて済むと考える。
そんな事を考えていると急な眠気が襲う。ライルはなんとか我慢しようとするが結局抗えず泥の様に眠った—————。
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