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第一章
湖の街トリス
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「もう直ぐ森を抜けるぞ 」
ライルは後ろからついて来ているソフィアに呼び掛ける。
光が徐々に強くなり今まであまり感じなかった風が肌を撫でる。
そして。
「う…まぶし…… 」
ソフィアは日の光の眩しさに瞼を閉じる。
「目開けてみてソフィア 」
ライルが促すのでソフィアは目をゆっくり開ける。
「うわ~綺麗ですね 」
ソフィアは目の前に広がる景色に感動する。
ソフィア達が立っていたのは森から続く丘の上だった。
そして目下には大きな湖とその周りには街が広がっていた。
「ここが湖の街トリス、元々はあの大きな湖の観光で栄えた街だ 」
ライルが湖を指差しながら説明するがソフィアは目の前の景色に夢中で話を聞いていない。
「ライル、早く行きましょう! 」
目を輝かせて言うソフィア。
「ああ、そうだな 」
ライルとソフィアは丘を下り街に入った。
街に入ったライルとソフィアは街の様子に違和感を感じた。
あまりにも活気が無さすぎるのだ。
「どういう事だ、活気が無い。二年前はこんなんじゃ無かったはずなのに 」
「そうですね。何かあったのでしょうか? 」
「ああ、かもな。ちょっと聞いてくる 」
ライルはそう言うと近くにある野菜を売っている露店に居る初老の女性に何かあったのか聞きに行った。
「なあおばさん、この街は何かあったのか? 二年前はもっと活気があったと思うんだが 」
すると初老の女性は快く答えてくれた。
「ああ、ここを治める領主が変わったんだよ、その領主が酷い奴でね税金を馬鹿みたいに上げやがったのさ。更には犯罪があっても放ったらかしにするしでろくに仕事をしないんだよ。しかも税金を払えなくなったら奴隷にされちまうだよ、それでこんなに荒れ果てちまった訳さ 」
その話を聞いたソフィアは表情を暗くする。
「そんな……酷いですね 」
「ああだからあんた達も長居せずに出てった方が身の為だよ 」
初老の女性の忠告を聞いたライルは女性に言う。
「忠告ありがとう、でも二日はここに居る予定何だ 」
「そうかい、それじゃあ気を付けなよ 」
「ああ、ありがとう。ところでその林檎二つでいくらだ? 」
ライルは林檎の入った籠を指差し言う。
「銅貨四枚だよ 」
ライルは革袋から銅貨を四枚出す。
「まいどあり 」
露店を後にしたライル達は大通りから細い路地に入った。
路地は大通りより酷いものだった。
ゴミが散乱し痩せ細った犬がゴミ溜めを漁っている。
民家の前にはこちらも痩せ細った子供が泣きじゃくっている。
その近くにいる母親らしき女性は子供をあやす気も無くただ葉巻を咥え呆けている。
ソフィアはライルが手渡した林檎を見つめ俯いている。
「ライル、あの子供にこの林檎をあげてもいいでしょうか? 」
ソフィアはライルを見る。
ソフィアは今にも胸が張り裂けそうな顔だ。
しかしライルは首を横に振る。
「やめておけ、砂漠にコップ一杯の水があってもそれを巡って争いが起きるだけだ 」
「ですが! このままではあの子供は死んでしまいます! 」
ソフィアは強く言った。
しかしライルは首を縦に振ろうとはしない。
更には少し冷たい表情で言う。
「お前のするべき事はあの子供一人救うことか? 違うだろ、お前のするべき事は帝国と王国の戦争を止める事だろ 」
「しかし! いえ…分かりました。ですがこのままこの街をほっとけば新たな争いが起きるのは事実です、ですから私は…… 」
ソフィアは一拍間を置いて言う。
「私は、この街を救ってみせます。街一つ救えないのでは戦争を止めるなど出来ませんから 」
「……本気か? 」
「はい、止めても無駄だと貴方は知っているでしょう 」
「分かった協力する 」
ライルがそう言うとソフィアは表情を明るくする。
「ありがとうございます! 」
「まーとりあえず宿屋に行こう、そこで作戦会議だ 」
ライルとソフィアは宿屋へ歩きだした—————。
ライルは後ろからついて来ているソフィアに呼び掛ける。
光が徐々に強くなり今まであまり感じなかった風が肌を撫でる。
そして。
「う…まぶし…… 」
ソフィアは日の光の眩しさに瞼を閉じる。
「目開けてみてソフィア 」
ライルが促すのでソフィアは目をゆっくり開ける。
「うわ~綺麗ですね 」
ソフィアは目の前に広がる景色に感動する。
ソフィア達が立っていたのは森から続く丘の上だった。
そして目下には大きな湖とその周りには街が広がっていた。
「ここが湖の街トリス、元々はあの大きな湖の観光で栄えた街だ 」
ライルが湖を指差しながら説明するがソフィアは目の前の景色に夢中で話を聞いていない。
「ライル、早く行きましょう! 」
目を輝かせて言うソフィア。
「ああ、そうだな 」
ライルとソフィアは丘を下り街に入った。
街に入ったライルとソフィアは街の様子に違和感を感じた。
あまりにも活気が無さすぎるのだ。
「どういう事だ、活気が無い。二年前はこんなんじゃ無かったはずなのに 」
「そうですね。何かあったのでしょうか? 」
「ああ、かもな。ちょっと聞いてくる 」
ライルはそう言うと近くにある野菜を売っている露店に居る初老の女性に何かあったのか聞きに行った。
「なあおばさん、この街は何かあったのか? 二年前はもっと活気があったと思うんだが 」
すると初老の女性は快く答えてくれた。
「ああ、ここを治める領主が変わったんだよ、その領主が酷い奴でね税金を馬鹿みたいに上げやがったのさ。更には犯罪があっても放ったらかしにするしでろくに仕事をしないんだよ。しかも税金を払えなくなったら奴隷にされちまうだよ、それでこんなに荒れ果てちまった訳さ 」
その話を聞いたソフィアは表情を暗くする。
「そんな……酷いですね 」
「ああだからあんた達も長居せずに出てった方が身の為だよ 」
初老の女性の忠告を聞いたライルは女性に言う。
「忠告ありがとう、でも二日はここに居る予定何だ 」
「そうかい、それじゃあ気を付けなよ 」
「ああ、ありがとう。ところでその林檎二つでいくらだ? 」
ライルは林檎の入った籠を指差し言う。
「銅貨四枚だよ 」
ライルは革袋から銅貨を四枚出す。
「まいどあり 」
露店を後にしたライル達は大通りから細い路地に入った。
路地は大通りより酷いものだった。
ゴミが散乱し痩せ細った犬がゴミ溜めを漁っている。
民家の前にはこちらも痩せ細った子供が泣きじゃくっている。
その近くにいる母親らしき女性は子供をあやす気も無くただ葉巻を咥え呆けている。
ソフィアはライルが手渡した林檎を見つめ俯いている。
「ライル、あの子供にこの林檎をあげてもいいでしょうか? 」
ソフィアはライルを見る。
ソフィアは今にも胸が張り裂けそうな顔だ。
しかしライルは首を横に振る。
「やめておけ、砂漠にコップ一杯の水があってもそれを巡って争いが起きるだけだ 」
「ですが! このままではあの子供は死んでしまいます! 」
ソフィアは強く言った。
しかしライルは首を縦に振ろうとはしない。
更には少し冷たい表情で言う。
「お前のするべき事はあの子供一人救うことか? 違うだろ、お前のするべき事は帝国と王国の戦争を止める事だろ 」
「しかし! いえ…分かりました。ですがこのままこの街をほっとけば新たな争いが起きるのは事実です、ですから私は…… 」
ソフィアは一拍間を置いて言う。
「私は、この街を救ってみせます。街一つ救えないのでは戦争を止めるなど出来ませんから 」
「……本気か? 」
「はい、止めても無駄だと貴方は知っているでしょう 」
「分かった協力する 」
ライルがそう言うとソフィアは表情を明るくする。
「ありがとうございます! 」
「まーとりあえず宿屋に行こう、そこで作戦会議だ 」
ライルとソフィアは宿屋へ歩きだした—————。
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