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昼食の席の出来事
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大食堂には既に二年が先に食事を始め、一年、そして遅れて三年が、中に入り始めていた。
シェイルが入ると、皆が視線を向けてる。
けど半数は、隣のローランデを見てる。
と気づく。
ローランデが進むと、二年達は通路を開ける。
無言で。
けど、敬意を込めて。
でも横のシェイルを見た途端。
騎士然としてた態度を崩し、まるで…女の子を見るように、見惚れた。
シェイルは思わず、顔を下げる。
一年、大貴族用テーブルにフィンスがもう座っていて、横のシュルツと話してた。
シェイルは、トレーを持って列に並ぶヤッケルとその仲間達。
そして給仕付きの、食事を用意される大貴族用テーブルを見て、迷った。
でもローランデに微笑んで促され、彼と並んで、大貴族用テーブルに着く。
学年筆頭のローランデと一緒のせいか。
他の大貴族らは、平貴族のシェイルが混ざる事に異論を唱えない。
ほっとして、シェイルは椅子に座る。
けど、顔を上げると。
一年大貴族らも二年達のように、女の子を見る目つきで…。
シェイルは思わず、顔を下げた。
料理はみんな、同じだけど。
大貴族用の料理は、綺麗に盛り付けられていた。
飲み物も、給仕が注いでくれる。
シェイルはつい…四つある開け放たれた両扉を見つめ、四年が入って来ないか。
幾度も振り向き、伺った。
暫くして、長身のディアヴォロスを筆頭に。
ガタイのいい四年らが、迫力の姿を現す。
一年達は一斉に憧れを込めて、四年らを見た。
ディアヴォロスは遠く離れたテーブルの、シェイルが自分に振り向く姿を見つけると、にっこり、とても素敵な笑顔を送る。
シェイルは一年らの視線が、ディアヴォロスに笑顔を送られた自分に、一斉に注がれるのを感じた。
ディアヴォロスはシェイルに微笑んだ後。
隣に座るローランデに、引き締まった騎士然とした表情で、軽く会釈を送る。
シェイルが振り向いて見つめると、ローランデは頬を染め、とても光栄だ。
と言う表情で、会釈を返した。
次にディアヴォロスの視線は、四つある一番離れた扉へと、向けられる。
シェイルも見たけど。
他の生徒達も、一斉にその扉を見る。
オーガスタスとローフィスが、並んで他の三年に遅れて、入って来ていた。
オーガスタスは食堂の皆に注目され、目を見開いたけど。
気づいたように視線を、一番遠い扉の近くに立つディアヴォロスに向け、納得いった。
と軽く頷く。
ローフィスは、オーガスタスが見られてる。
と顔を背けてたけど。
視線を感じ、振り向くと。
ディアヴォロスがじっ…と見てるので一瞬、慌てた。
ディアヴォロスはローフィスを見た後。
顎を振り、外を差し示す。
ローフィスが軽く頷くと、ディアヴォロスは視線を外し、四年大貴族用テーブルへと歩いて行く。
それでローフィスは、食事の後の話か。
とため息吐き、長身のオーガスタスに顔を下げられ、見つめられて見つめ返した。
「…ディアヴォロスの話って、多分シェイル?」
オーガスタスに問われ、ローフィスは頷く。
「俺とディアヴォロスだぞ?
それしか話題、無いと思わないか?」
ローフィスに不機嫌にそう言われ、大柄なオーガスタスは思い切り、肩を竦めた。
一年大貴族らは途端、顔を寄せて囁き合う。
「…ディアヴォロスって、いつ見ても迫力」
「俺も。何度見ても、見慣れない」
「ディングレーも王族然としてて、近寄り難いと思ってたけど。
ディアヴォロスに比べると、まだ親しみ易い」
「そうか?
どっちも近寄り難いぞ?」
そしてみんな一斉に、シェイルに視線を注ぐ。
「どっちとも、親しいみたいだけど」
一人に言われて、シェイルは飲み込んだスープを、喉に詰まらせそうになった。
ローランデに、水のグラスを差し出され、飲み込んでやっと、顔を上げる。
けど、“ディアヴォロス”を意識した・だけで。
頬が真っ赤に染まった。
テーブルは突然、微妙な空気が流れる。
そんな中、ローランデだけが。
「昨夜、君を迎えに来てたよね?
やっぱりディアヴォロスの私室って、豪華だった?
ディングレーは…あの、あんまり家具とか、興味を示さないって聞いたけど…。
確かディアヴォロスは、凄く趣味が良いって。
そう聞いた」
みんな、ホントは内心
「(…そうか。
夕べディアヴォロスの私室に泊まったのか。
それでか…)」
と、一斉に顔を下げる中、シェイルだけがローランデに、まだ赤い頬で言葉を返す。
「うん。
ディングレーのとこは、執事が用意した家具、ディングレー幾つか抜粋して適当に置いてるから、ちぐはぐだって」
フィンスも気を取り直して、会話に加わる。
「…どうりでやたら、金綺羅金だよね…。
豪華なのに、落ち着かない感じで」
けどその時。
ちょうど背後に姿を現したディングレーが、憮然。
と告げた。
「悪かったな。
落ち着かなくて。
俺だって、ディアヴォロスに相談したかった。
が、忙しい彼に、家具の配置の相談なんて出来るか?」
ぶっ!
ぶっ!
ぶぶっ!
あちこちで、スープを吹く音がして、一年大貴族達は慌てて、汚したテーブルを拭こうと、台拭きを取り合った。
シュルツは横のフィンスが、一番思い切り吹いて衣服の胸元を汚すのを、気の毒そうに見た。
「今日の補習。
オーガスタスが遅れるから、彼が来るまで俺が、任された。
お前、はぐれずに。
ずっと俺の側に、くっついてろ」
威厳たっぷりの王族、ディングレーにそう言われたシェイルを。
テーブルの皆が、こそっと伺う。
けどシェイルは、頬を膨らませて言った。
「ディングレーさ。
オーガスタスが居ないと凄く、威張って見える!」
みんな、びっくりして今度はこそっと。
言われたディングレーを見る。
ディングレーは顔を、下げていた。
「…威張って…見えるか?」
小声で尋ねられたフィンスは、まだ胸元を拭いていたけど。
ピタッ!と動きを止め、固まって顔だけ、背後のディングレーに向けた。
「ええと…。
威厳の塊には…見え…ます」
ディングレーは援護を貰ったみたいに、顔を上げて言う。
「これは威張ってるんじゃない!
威厳を滲ませるだけだ」
「…もしかして今、王族してる?」
シェイルに尋ねられ、またディングレーは顔を下げる。
「…シェイル。
オーガスタスが居ない時。
俺は大抵、王族してる」
「分かった」
そう言われたディングレーは、ほっとしたようにため息を吐くので。
一年大貴族らは、びっくりしてディングレーを、二度見した。
シェイルが入ると、皆が視線を向けてる。
けど半数は、隣のローランデを見てる。
と気づく。
ローランデが進むと、二年達は通路を開ける。
無言で。
けど、敬意を込めて。
でも横のシェイルを見た途端。
騎士然としてた態度を崩し、まるで…女の子を見るように、見惚れた。
シェイルは思わず、顔を下げる。
一年、大貴族用テーブルにフィンスがもう座っていて、横のシュルツと話してた。
シェイルは、トレーを持って列に並ぶヤッケルとその仲間達。
そして給仕付きの、食事を用意される大貴族用テーブルを見て、迷った。
でもローランデに微笑んで促され、彼と並んで、大貴族用テーブルに着く。
学年筆頭のローランデと一緒のせいか。
他の大貴族らは、平貴族のシェイルが混ざる事に異論を唱えない。
ほっとして、シェイルは椅子に座る。
けど、顔を上げると。
一年大貴族らも二年達のように、女の子を見る目つきで…。
シェイルは思わず、顔を下げた。
料理はみんな、同じだけど。
大貴族用の料理は、綺麗に盛り付けられていた。
飲み物も、給仕が注いでくれる。
シェイルはつい…四つある開け放たれた両扉を見つめ、四年が入って来ないか。
幾度も振り向き、伺った。
暫くして、長身のディアヴォロスを筆頭に。
ガタイのいい四年らが、迫力の姿を現す。
一年達は一斉に憧れを込めて、四年らを見た。
ディアヴォロスは遠く離れたテーブルの、シェイルが自分に振り向く姿を見つけると、にっこり、とても素敵な笑顔を送る。
シェイルは一年らの視線が、ディアヴォロスに笑顔を送られた自分に、一斉に注がれるのを感じた。
ディアヴォロスはシェイルに微笑んだ後。
隣に座るローランデに、引き締まった騎士然とした表情で、軽く会釈を送る。
シェイルが振り向いて見つめると、ローランデは頬を染め、とても光栄だ。
と言う表情で、会釈を返した。
次にディアヴォロスの視線は、四つある一番離れた扉へと、向けられる。
シェイルも見たけど。
他の生徒達も、一斉にその扉を見る。
オーガスタスとローフィスが、並んで他の三年に遅れて、入って来ていた。
オーガスタスは食堂の皆に注目され、目を見開いたけど。
気づいたように視線を、一番遠い扉の近くに立つディアヴォロスに向け、納得いった。
と軽く頷く。
ローフィスは、オーガスタスが見られてる。
と顔を背けてたけど。
視線を感じ、振り向くと。
ディアヴォロスがじっ…と見てるので一瞬、慌てた。
ディアヴォロスはローフィスを見た後。
顎を振り、外を差し示す。
ローフィスが軽く頷くと、ディアヴォロスは視線を外し、四年大貴族用テーブルへと歩いて行く。
それでローフィスは、食事の後の話か。
とため息吐き、長身のオーガスタスに顔を下げられ、見つめられて見つめ返した。
「…ディアヴォロスの話って、多分シェイル?」
オーガスタスに問われ、ローフィスは頷く。
「俺とディアヴォロスだぞ?
それしか話題、無いと思わないか?」
ローフィスに不機嫌にそう言われ、大柄なオーガスタスは思い切り、肩を竦めた。
一年大貴族らは途端、顔を寄せて囁き合う。
「…ディアヴォロスって、いつ見ても迫力」
「俺も。何度見ても、見慣れない」
「ディングレーも王族然としてて、近寄り難いと思ってたけど。
ディアヴォロスに比べると、まだ親しみ易い」
「そうか?
どっちも近寄り難いぞ?」
そしてみんな一斉に、シェイルに視線を注ぐ。
「どっちとも、親しいみたいだけど」
一人に言われて、シェイルは飲み込んだスープを、喉に詰まらせそうになった。
ローランデに、水のグラスを差し出され、飲み込んでやっと、顔を上げる。
けど、“ディアヴォロス”を意識した・だけで。
頬が真っ赤に染まった。
テーブルは突然、微妙な空気が流れる。
そんな中、ローランデだけが。
「昨夜、君を迎えに来てたよね?
やっぱりディアヴォロスの私室って、豪華だった?
ディングレーは…あの、あんまり家具とか、興味を示さないって聞いたけど…。
確かディアヴォロスは、凄く趣味が良いって。
そう聞いた」
みんな、ホントは内心
「(…そうか。
夕べディアヴォロスの私室に泊まったのか。
それでか…)」
と、一斉に顔を下げる中、シェイルだけがローランデに、まだ赤い頬で言葉を返す。
「うん。
ディングレーのとこは、執事が用意した家具、ディングレー幾つか抜粋して適当に置いてるから、ちぐはぐだって」
フィンスも気を取り直して、会話に加わる。
「…どうりでやたら、金綺羅金だよね…。
豪華なのに、落ち着かない感じで」
けどその時。
ちょうど背後に姿を現したディングレーが、憮然。
と告げた。
「悪かったな。
落ち着かなくて。
俺だって、ディアヴォロスに相談したかった。
が、忙しい彼に、家具の配置の相談なんて出来るか?」
ぶっ!
ぶっ!
ぶぶっ!
あちこちで、スープを吹く音がして、一年大貴族達は慌てて、汚したテーブルを拭こうと、台拭きを取り合った。
シュルツは横のフィンスが、一番思い切り吹いて衣服の胸元を汚すのを、気の毒そうに見た。
「今日の補習。
オーガスタスが遅れるから、彼が来るまで俺が、任された。
お前、はぐれずに。
ずっと俺の側に、くっついてろ」
威厳たっぷりの王族、ディングレーにそう言われたシェイルを。
テーブルの皆が、こそっと伺う。
けどシェイルは、頬を膨らませて言った。
「ディングレーさ。
オーガスタスが居ないと凄く、威張って見える!」
みんな、びっくりして今度はこそっと。
言われたディングレーを見る。
ディングレーは顔を、下げていた。
「…威張って…見えるか?」
小声で尋ねられたフィンスは、まだ胸元を拭いていたけど。
ピタッ!と動きを止め、固まって顔だけ、背後のディングレーに向けた。
「ええと…。
威厳の塊には…見え…ます」
ディングレーは援護を貰ったみたいに、顔を上げて言う。
「これは威張ってるんじゃない!
威厳を滲ませるだけだ」
「…もしかして今、王族してる?」
シェイルに尋ねられ、またディングレーは顔を下げる。
「…シェイル。
オーガスタスが居ない時。
俺は大抵、王族してる」
「分かった」
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