若き騎士達の危険な日常

あーす。

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城を覆い尽くす浄化の光

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 長は頭の中に響く言葉で、神聖騎士、そして配置された部下らに響き渡る声で叫ぶ。

“皆、光竜殿の御光みひかりだ!
濃厚で強烈!
だが神聖神殿隊騎士の名目にかけても、打ち負けるな!

配置は全て完了!
いつでもどうぞ!”

神聖騎士は頷き、光始めるディアヴォロスの身を白い光で包み支え、ワーキュラスはディアヴォロスの胸で、まばゆいばかりの黄金の光を放ち、輝き始める。

その光は城の中を照らし始め、各部屋に配置された神聖神殿隊騎士らに届く。

彼らは届く光を受け止め、光竜の光を取り込み、みずから光を発して配置された部屋を光で満たし、浄化を始めた。

「止めろ!
止めろ!!!

奪うな!!!
俺のものだ!!!
あいつは俺の物なんだ!!!」

見ているディラフィスが、ガーナデットの叫びに怒り、ぎり!!!と歯を擦り合わせて唇を噛む。

禍々しい本の少年は、光で城内が満たされていく毎に、黒い靄が消え去り少しずつ…紅顔のあどけない少年へと姿を変えて行く。

ガーナデットは半狂乱で叫び、気狂いのような奇声を上げ続けていた。

キィエェェェェェェェェェェェ!!!

各部屋の神聖神殿隊騎士は、届く光竜ワーキュラスの強烈な光に押されながらも、身の内に取り込んで浄化の光に変え、部屋の中を満たし、拡散して行く。

が、幾人はキツそうに、眉を寄せていた。

長が命じたのか。
幾人が仲間を助けるために城に飛び現れ、きつそうな仲間を助け、二人で光を室内へと、拡散し始めた。

城の全体が映像に映し出された時。
城がぼやけて見える程の、巨大な光で満たされていた。

その中でガーナデットの奇声が、きっかいで哀れに響き渡る。

キィェェェエエエエェェェェェェェ!!!
キィェェェェェェェェェェェェ!!!

召使いらは皆、一室に固まり、ぞっとするあるじの奇声を聞いていた。

次第に、光は薄くなる。

本の幻の少年は、泣いていた。

“僕は出来損ないじゃ無い!
父様も母様も間違ってる!
僕は…偉大なのに!”

ワーキュラスが荘厳な声で叱る。

“『影』を心に引き入れた途端、出かける両親の馬車の車輪に細工し、殺したな!”

ガーナデットは両手を頭に当て、身を揺すって奇声上げ続け、幻の少年は叫ぶ。

“二人が悪いんだ!!!
僕が、悪い子だって!
男の子とは、遊ぶだけ!
好きになるのは、変だって!
僕が、出来損ないだなんて、言うからだ!
そんな親なんて、要らない…!
二人が死ねば僕が!
城の支配者だ!
ライラアンが首尾良くシェリアンを垂らし込んだ…。

シェリアンはライラアンに夢中…。
今度こそ…僕はシェリアンを手に入れる!
あいつ…は僕に、やくそくしたんだ!
シェリアンを僕にくれるって!
あいつは…”

神聖神殿隊騎士の長は激しく怒鳴る。

“あいつは『闇の第二』!
お前を利用し、その息子シェイルの無垢な魂が欲しかっただけだ!”

“違う!
あいつは俺が…偉大だと!
俺こそが偉大なのに、誰も認めないと!
シェリアンに俺が偉大だと、認めさせてやると…そう言った!”

少年はいつの間にか、青年のガーナデットとなり…。

そしてゆっくり消えて、気狂いのようなガーナデットの胸に、戻り消えて行った。

ガーナデットは分身の自分が戻った途端、激しい悲鳴を上げる。

「キィェエエエェェェェェェェェェェェェィィィィィィィィイイイイ!!!」

その瞬間、光は消え、各部屋の神聖神殿隊騎士は強烈な光から解放され、膝をがっくり折る者。
身をなんとか支える者、床に崩れ落ちる者。
それぞれが、きつい任務に荒い息を吐き、消耗しきっていた。

おさが叫ぶ。
“動ける者から、引いて良し!!!”

その声が届くと、各部屋の神聖神殿隊騎士らが、その場から次々と姿を消し始めた。

ディラフィスは、どっか!!!と背もたれに背をもたせかけ、ローフィスはきつく握るシェイルの手を、優しく握り返す。

シェイルもぐったりしたように、顔を下げた。

光が消え去った城で。
地下室で。

神聖神殿隊騎士の長が、神聖騎士に告げる。

“お戻りになる時。
いつでもお運び致します”

そしてその場から、一瞬で姿を消し去った。

ワーキュラスが神聖騎士に囁く。

“君の光に守られ、ディアスへの負担はかなり軽減された。
が、このしばらく、東の聖地の結界内で休ませたい”

神聖騎士は頷く。

そして部屋の横で、両膝床に付け、ぶつぶつ言う廃人同様のガーナデットを見た。

ガーナデットは今だ
「俺は偉大だ…」
と繰り返し、呟き続けていた…。

神聖騎士に心話で尋ねられたのか…ローフィスやシェイルが居る室内に、姿を現した女顔の綺麗な“癒す者”は、腕組みして頷く。

“仕方ありませんね。
暫くこちらで保護します。
が、長く『闇の第二』に操られていたので。
光の中は牢獄より、過酷でしょうが”

ガーナデットは光で包み込まれた時、絶叫を上げた。
が直ぐ、光に遮断され絶叫は聞こえない。

眩い光の中、叫び続けている様子だった。
が、やがて消える。

その身から輝きを消した神聖騎士は、横のディアヴォロスに振り向く。
支える光が消えた途端、ぐら…と身を後ろに倒すディアヴォロスの背を、神聖騎士はさり気なく腕を差し出し、抱き止める。

そして微笑を浮かべながら、ディアヴォロスと共にその場から姿を消した。

女顔の“癒す者”は、ディラフィス、ローフィス、シェイルに、消えて行きながら告げる。

“彼らはこの後、光の浄化結界内じょうかけっかいないで身を清め、そして休ませますから。
この部屋には、帰って来られません”

「ご丁寧に。
どうも」

ディラフィスが言うと、女顔の“癒す者”は、ほぼ消えながら
“それ、嫌味ですね。
日頃ひごろ貴方あなたに、ここのみな
そんなに対応、悪いですか?”

そしてすっかり、消え去った。

ディラフィスは消えた空間に、頷く。

「親切にこの後の、ご説明頂けたのが。
なんせ、初めてだしな」

ローフィスは憮然と言う父親に、思わず目を見開いて、振り向いた。

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