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三学年最終対決
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講師は、今にも剣を振り合いそうな二人の間に割って入り、デルアンダーに詰め寄る。
「剣を、替えろ」
デルアンダーは言われて、ディングレーを見るが、ディングレーも頷いてる。
「これで…やれる」
「いいから替えろ!モーリアスを見たろう?!
二の舞はゴメンだ」
デルアンダーは睨み付ける講師に、吐息交じりで告げる。
「…だが、刃が真剣だった部分に一度軽く当たった時。
何かヤバいと感じたので。
以来そこは避けて剣を当てたので、モーリアス程の消耗は…」
が、とうとう講師は怒鳴った。
「ごたくはいいから、さっさと替えろ!
じゃなきゃ失格にするぞ!」
デルアンダーは睨めつける講師の迫力に、また一つため息を吐き、三年席の自分の椅子に立てかけてあった替えの剣を取りに行く。
さっ!とデルアンダーの剣を取り、差し出したのはモーリアス。
「貴方は、恥をかくべきでない」
モーリアスがそう言った途端、取り巻き大貴族らは一斉にこっそり笑いだし、負けたテスアッソンですら、顔を下げて笑ってた。
「ありがとう」
デルアンダーに丁寧にそう言われて剣を持ち上げられ、モーリアスは笑う仲間に怒鳴った。
「お前らだって同意見だろう?!」
「…だが多分デルアンダーは。
折れると分かったら、思い切り上には振り上げないと思う」
テスアッソンにそう言われ、仲間達はいっそう笑い、モーリアスは腕組みして憤慨した。
中央試合の場に戻るデルアンダーに、四年から声援が飛ぶ。
「替えても、恥じゃ無いぞ!この場合!」
「同感だ!
一・二年にはオーガスタスがいない!」
どっ!と笑い声が飛び、ディングレーは相変わらず砕けた四年らの態度に、呆れた視線を送った。
デルアンダーがディングレー目前へと歩を運び、ようやく講師が開始を叫ぶ。
「始め!」
その鋭い声に、講堂中が途端静まりかえって息を飲み、三年の最終対決を見守る。
どちらも動かなかった。
ディングレーは堂とした態度を崩さぬまま、デルアンダーを真っ直ぐ見つめ、デルアンダーも剣を下げて構えたまま、見つめ返し剣を振り上げようとはしない。
静けさだけが講堂中を覆い、誰も口を、開こうとはしなかった。
が、ディングレーが、来ないのか?
と言うように剣を持ち上げ横に僅かに振ってデルアンダーの意向を伺い、デルアンダーが一瞬剣を動かすディングレーに反応し、顔を横に揺らした。
途端、だった。
真っ直ぐディングレーが間を詰め一気に剣で襲いかかる。
一瞬で振り上げられた剣が襲い来て、デルアンダーは持ち上げた剣をぶつけ、止める。
がっ!
ディングレーが止めた剣を持ち上げ、デルアンダーは二度、激しく真上から振り下ろされるその剣を、表情を歪め受け止める。
がっっっっ!
すっ…!
いきなりだった。
ディングレーは止められた剣を外しそのまま美しい弧を描き振り下げたかと思うと、下から一気に薙ぎ払う。
ざっっっ!
デルアンダーは血相変えて一気に下がった。
ディングレーは空ぶった剣をそのまま一瞬で肩に引き寄せ、間髪入れず避けたデルアンダーを追いかける。
ざっ!
ざっっっっ!
デルアンダーは追い来て胴を薙ぎ払うディングレーの鋭い剣を、後ろに吹っ飛び避ける。
がっっっ!
二度目は剣を、合わせ止めた。
二人は剣越しに激しい眼差しを交わし合い、一気に同時に、後ろに下がる。
会場は一瞬の戦いの間に、そこら中で詰めた息を吐き出す吐息が聞こえた。
ディングレーは下げた剣を円を描き回し上げて上段に構え、デルアンダーは下げたまま、手首を回して下段で構える。
が今度はデルアンダーが一気に走り寄り、下げた剣を回し上げ、振らずに引き、ディングレーの胴目がけ突いた。
ディングレーはその剣を、上から叩き折ろうとし、はっ!と気づき、剣の軌道に沿って身を横にずらし交わす。
デルアンダーはそのまま手首を返すと、突き出した剣を横のディングレーの腹目がけ振った。
ディングレーはくるりと回転し剣を振るデルアンダーの左横に、持ち上げた剣ごと雪崩れ込み、素早く胴を薙ぎ払おうとする。
がデルアンダーは右足を軸に剣の回転に合わせ、後ろに鮮やかに避けた。
会場中が機敏なデルアンダーに内心、拍手を送った。
がディングレーは直ぐ剣を避けた先のデルアンダー目がけ突き刺す。
がっっっ!
デルアンダーはその剣を上から叩き止めた。
フィンスはローランデを、見た。
ディングレーは明らかにローランデとの対戦を意識し、剣を庇ってる。
がデルアンダーは最後の一戦。と、繰り出す剣を惜しまない。
まるでローランデどの対戦は念頭に無く、ここまで勝ち上がってきたのはこの一戦のため。
そう言わんばかりに捌くのを止め、力を込めてディングレーの剣を叩いていた。
ディングレーはだがデルアンダーの剣が自分の剣にぶつかる瞬間、力を抜いて剣を下げる。
デルアンダーの剣が激しくディングレーの剣を叩くが、ディングレーは反動で一気に剣を自分に引き寄せ、デルアンダーが次に正面の自分目がけ剣を突き入れるのに構えた。
ディングレーに軽く捌かれて、デルアンダーは剣を引き上げ突き入れようとディングレーに身を向けた途端、動きを止める。
ディングレーは止まるデルアンダーを斜に見つめ剣を引き、一歩前へすっ…と身を乗り出した。
デルアンダーは弾かれて一気に止めた剣を、真っ直ぐ突き出す。
がもうディングレーの剣は、上からデルアンダーの肩めがけ振られていて、デルアンダーは慌てて突き出した剣を斜め上に持ち上げ、ぶつけ止めた。
がっっっ!
「…流石……三年の最終試合って…………」
マレーは横で対戦を喰い入るように見てるアスランの呟きに振り向き、後を継いだ。
「…迫力あるね…………」
アスランもこくん…!と大きく頷いた。
「剣を、替えろ」
デルアンダーは言われて、ディングレーを見るが、ディングレーも頷いてる。
「これで…やれる」
「いいから替えろ!モーリアスを見たろう?!
二の舞はゴメンだ」
デルアンダーは睨み付ける講師に、吐息交じりで告げる。
「…だが、刃が真剣だった部分に一度軽く当たった時。
何かヤバいと感じたので。
以来そこは避けて剣を当てたので、モーリアス程の消耗は…」
が、とうとう講師は怒鳴った。
「ごたくはいいから、さっさと替えろ!
じゃなきゃ失格にするぞ!」
デルアンダーは睨めつける講師の迫力に、また一つため息を吐き、三年席の自分の椅子に立てかけてあった替えの剣を取りに行く。
さっ!とデルアンダーの剣を取り、差し出したのはモーリアス。
「貴方は、恥をかくべきでない」
モーリアスがそう言った途端、取り巻き大貴族らは一斉にこっそり笑いだし、負けたテスアッソンですら、顔を下げて笑ってた。
「ありがとう」
デルアンダーに丁寧にそう言われて剣を持ち上げられ、モーリアスは笑う仲間に怒鳴った。
「お前らだって同意見だろう?!」
「…だが多分デルアンダーは。
折れると分かったら、思い切り上には振り上げないと思う」
テスアッソンにそう言われ、仲間達はいっそう笑い、モーリアスは腕組みして憤慨した。
中央試合の場に戻るデルアンダーに、四年から声援が飛ぶ。
「替えても、恥じゃ無いぞ!この場合!」
「同感だ!
一・二年にはオーガスタスがいない!」
どっ!と笑い声が飛び、ディングレーは相変わらず砕けた四年らの態度に、呆れた視線を送った。
デルアンダーがディングレー目前へと歩を運び、ようやく講師が開始を叫ぶ。
「始め!」
その鋭い声に、講堂中が途端静まりかえって息を飲み、三年の最終対決を見守る。
どちらも動かなかった。
ディングレーは堂とした態度を崩さぬまま、デルアンダーを真っ直ぐ見つめ、デルアンダーも剣を下げて構えたまま、見つめ返し剣を振り上げようとはしない。
静けさだけが講堂中を覆い、誰も口を、開こうとはしなかった。
が、ディングレーが、来ないのか?
と言うように剣を持ち上げ横に僅かに振ってデルアンダーの意向を伺い、デルアンダーが一瞬剣を動かすディングレーに反応し、顔を横に揺らした。
途端、だった。
真っ直ぐディングレーが間を詰め一気に剣で襲いかかる。
一瞬で振り上げられた剣が襲い来て、デルアンダーは持ち上げた剣をぶつけ、止める。
がっ!
ディングレーが止めた剣を持ち上げ、デルアンダーは二度、激しく真上から振り下ろされるその剣を、表情を歪め受け止める。
がっっっっ!
すっ…!
いきなりだった。
ディングレーは止められた剣を外しそのまま美しい弧を描き振り下げたかと思うと、下から一気に薙ぎ払う。
ざっっっ!
デルアンダーは血相変えて一気に下がった。
ディングレーは空ぶった剣をそのまま一瞬で肩に引き寄せ、間髪入れず避けたデルアンダーを追いかける。
ざっ!
ざっっっっ!
デルアンダーは追い来て胴を薙ぎ払うディングレーの鋭い剣を、後ろに吹っ飛び避ける。
がっっっ!
二度目は剣を、合わせ止めた。
二人は剣越しに激しい眼差しを交わし合い、一気に同時に、後ろに下がる。
会場は一瞬の戦いの間に、そこら中で詰めた息を吐き出す吐息が聞こえた。
ディングレーは下げた剣を円を描き回し上げて上段に構え、デルアンダーは下げたまま、手首を回して下段で構える。
が今度はデルアンダーが一気に走り寄り、下げた剣を回し上げ、振らずに引き、ディングレーの胴目がけ突いた。
ディングレーはその剣を、上から叩き折ろうとし、はっ!と気づき、剣の軌道に沿って身を横にずらし交わす。
デルアンダーはそのまま手首を返すと、突き出した剣を横のディングレーの腹目がけ振った。
ディングレーはくるりと回転し剣を振るデルアンダーの左横に、持ち上げた剣ごと雪崩れ込み、素早く胴を薙ぎ払おうとする。
がデルアンダーは右足を軸に剣の回転に合わせ、後ろに鮮やかに避けた。
会場中が機敏なデルアンダーに内心、拍手を送った。
がディングレーは直ぐ剣を避けた先のデルアンダー目がけ突き刺す。
がっっっ!
デルアンダーはその剣を上から叩き止めた。
フィンスはローランデを、見た。
ディングレーは明らかにローランデとの対戦を意識し、剣を庇ってる。
がデルアンダーは最後の一戦。と、繰り出す剣を惜しまない。
まるでローランデどの対戦は念頭に無く、ここまで勝ち上がってきたのはこの一戦のため。
そう言わんばかりに捌くのを止め、力を込めてディングレーの剣を叩いていた。
ディングレーはだがデルアンダーの剣が自分の剣にぶつかる瞬間、力を抜いて剣を下げる。
デルアンダーの剣が激しくディングレーの剣を叩くが、ディングレーは反動で一気に剣を自分に引き寄せ、デルアンダーが次に正面の自分目がけ剣を突き入れるのに構えた。
ディングレーに軽く捌かれて、デルアンダーは剣を引き上げ突き入れようとディングレーに身を向けた途端、動きを止める。
ディングレーは止まるデルアンダーを斜に見つめ剣を引き、一歩前へすっ…と身を乗り出した。
デルアンダーは弾かれて一気に止めた剣を、真っ直ぐ突き出す。
がもうディングレーの剣は、上からデルアンダーの肩めがけ振られていて、デルアンダーは慌てて突き出した剣を斜め上に持ち上げ、ぶつけ止めた。
がっっっ!
「…流石……三年の最終試合って…………」
マレーは横で対戦を喰い入るように見てるアスランの呟きに振り向き、後を継いだ。
「…迫力あるね…………」
アスランもこくん…!と大きく頷いた。
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