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一掃
131 いにしえのレグウルナス
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ファオンは次に、いつも食事を取る中央広場の焚き火の周囲の、石の椅子に座ってるシリルローレルの仲間達に出会う。
まだお昼で皆、テスから昼食の皿を受け取り、話しをしていて、自分を見かけると
「ヨゥ!
キルファースの三男坊!」
と陽気に声をかけられた。
「桃で傷が治癒出来るって、お前が見つけたって?」
ファオンは四人いる、シリルローレルと同年代のかつての《勇敢なる者》達に寄って行く。
「…父を、ご存知なんですか?」
「あいつはめちゃくちゃ強かったが、堅物だ」
「だな」
皆、同感だと言うように、首を横に振る。
「奥さんを…凄く愛していて…熱烈にな…」
「…だから、奥さん亡くした後は暫く、魂が抜けたようで…。
荒れていたし…」
「…子供に両親とも亡くさせたいのか?
と俺は怒鳴ったぜ」
ファオンは俯く。
「子供と引き替えに亡くなったと言うから…その子を身代わりと思って、大切にしてやれ。
と言ったが…男の子でがっかりしてた」
「女の子だったら、ベタ甘に育てたな」
皆、はははっ!と笑っていたが、ファオンは俯いた。
横の一人が、腕に触れる。
「…だが一番可愛い息子だと。
でも近寄れないとも言ってた。
他の二人を差し置いて、お前しか目に入らなくなる。
次男は放って置いてもしたい放題するが…長男は母を亡くして自分同様…寂しそうにしていたからと」
「まあ…堅物の厳格な男程…結構脆い」
ファオンは顔を上げる。
「よく言えば、一途だ」
その人にそう言われ…ファオンは頷く。
「シリルローレルが…歴代でも異色の《勇敢なる者》として育て上げたのに、《皆を繋ぐ者》になっちまった。と零していたが…」
「セグナ・アグナータになったそうだな?」
ファオンは顔を下げる。
「…僕は《皆を繋ぐ者》が凄く嫌だったのに、色気が無いってあんまり…《勇敢なる者》に、相手にされません」
皆、一斉に笑い出した。
「さて…!
俺達はそろそろ尾根を降りる」
ファオンが顔を上げる。
「シリルローレルは暫く残るそうだ」
ファオンは、ほっとした。
皆、空の皿を置く。
「俺達の時代にも、治癒力を使う方法が解ってたらな!」
「レッドの怪我が異様に早かったの。
あれ、そうじゃないのか?」
「…無意識に使ってる奴、結構いたぞ?」
「でも全部、“桃の奇跡”で片付けられてたな」
ファオンは皆が、立ち上がるのを見た。
背を向け、尾根から下へ降りる出口の岩へと歩き出す。
一人が顔だけ振り向いて、言った。
「…皆、ほぼ死に程(てい)からは、脱した」
先を歩いてた一人も怒鳴る。
「必要ならまた駆けつけてやるから、安心しろ!」
ファオンは笑って去って行く、頼もしい男達の背に、叫んだ。
「ありがとう!」
皆、手を上げたり振り向いて笑ったりして…けれど終いに姿を消した。
風が尾根を吹き抜ける。
《化け物》を…絶滅させる迄には行かないけれど…。
数は減らせ、襲撃も…うんと楽に出来る。
きっと…。
風は白の魔法使いの化身のように感じる。
髪が風に揺れて顔にかかる。
けど顔を上げる。
…《勇敢なる者》らの戦いは、もっともっと楽になる。
風に乗った白の魔法使いの化身は、青空の中微笑んでいるように、ファオンには感じられた。
まだお昼で皆、テスから昼食の皿を受け取り、話しをしていて、自分を見かけると
「ヨゥ!
キルファースの三男坊!」
と陽気に声をかけられた。
「桃で傷が治癒出来るって、お前が見つけたって?」
ファオンは四人いる、シリルローレルと同年代のかつての《勇敢なる者》達に寄って行く。
「…父を、ご存知なんですか?」
「あいつはめちゃくちゃ強かったが、堅物だ」
「だな」
皆、同感だと言うように、首を横に振る。
「奥さんを…凄く愛していて…熱烈にな…」
「…だから、奥さん亡くした後は暫く、魂が抜けたようで…。
荒れていたし…」
「…子供に両親とも亡くさせたいのか?
と俺は怒鳴ったぜ」
ファオンは俯く。
「子供と引き替えに亡くなったと言うから…その子を身代わりと思って、大切にしてやれ。
と言ったが…男の子でがっかりしてた」
「女の子だったら、ベタ甘に育てたな」
皆、はははっ!と笑っていたが、ファオンは俯いた。
横の一人が、腕に触れる。
「…だが一番可愛い息子だと。
でも近寄れないとも言ってた。
他の二人を差し置いて、お前しか目に入らなくなる。
次男は放って置いてもしたい放題するが…長男は母を亡くして自分同様…寂しそうにしていたからと」
「まあ…堅物の厳格な男程…結構脆い」
ファオンは顔を上げる。
「よく言えば、一途だ」
その人にそう言われ…ファオンは頷く。
「シリルローレルが…歴代でも異色の《勇敢なる者》として育て上げたのに、《皆を繋ぐ者》になっちまった。と零していたが…」
「セグナ・アグナータになったそうだな?」
ファオンは顔を下げる。
「…僕は《皆を繋ぐ者》が凄く嫌だったのに、色気が無いってあんまり…《勇敢なる者》に、相手にされません」
皆、一斉に笑い出した。
「さて…!
俺達はそろそろ尾根を降りる」
ファオンが顔を上げる。
「シリルローレルは暫く残るそうだ」
ファオンは、ほっとした。
皆、空の皿を置く。
「俺達の時代にも、治癒力を使う方法が解ってたらな!」
「レッドの怪我が異様に早かったの。
あれ、そうじゃないのか?」
「…無意識に使ってる奴、結構いたぞ?」
「でも全部、“桃の奇跡”で片付けられてたな」
ファオンは皆が、立ち上がるのを見た。
背を向け、尾根から下へ降りる出口の岩へと歩き出す。
一人が顔だけ振り向いて、言った。
「…皆、ほぼ死に程(てい)からは、脱した」
先を歩いてた一人も怒鳴る。
「必要ならまた駆けつけてやるから、安心しろ!」
ファオンは笑って去って行く、頼もしい男達の背に、叫んだ。
「ありがとう!」
皆、手を上げたり振り向いて笑ったりして…けれど終いに姿を消した。
風が尾根を吹き抜ける。
《化け物》を…絶滅させる迄には行かないけれど…。
数は減らせ、襲撃も…うんと楽に出来る。
きっと…。
風は白の魔法使いの化身のように感じる。
髪が風に揺れて顔にかかる。
けど顔を上げる。
…《勇敢なる者》らの戦いは、もっともっと楽になる。
風に乗った白の魔法使いの化身は、青空の中微笑んでいるように、ファオンには感じられた。
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