105 / 286
キーナンの森
105 火花散らす三対三
しおりを挟む
レオ達が岩陰から登って来るファオンらを、下りながら出迎える。
キースは背後の皆に首を振り、岩陰から出ると、《化け物》の群れが駆け上っていた広い坂を下り来る、レオらの方へと歩出す。
赤い髪を風に嬲らせ、レオが言った。
「杖付きを、殺ったのか」
キースが言葉を返す。
「ファオンが。
が、向き変えて戻る《化け物》の群れにぶつかられ、肩を少し痛めてる」
レオとファルコンの背後から、リチャードが咄嗟叫ぶ。
「…重傷?!」
キースはリチャードに向くと、呟く。
「いや…桃の“力”で治癒したので、殆ど痛まないらしい」
ファルコンが頷く。
「お前の怪我も治したしな。
…だが驚いたぜ。
一斉に向かって来る《化け物》の群れが…一瞬にして向きを変え…」
レオも頷く。
「頭で解っていても…幾度もあれ位の規模の群れと相対した時の、緊迫感に包まれたから…思わず剣を、握り込んでいたが…」
ファルコンも頷く。
「…俺も覚悟を決めた。
だが群れが引いて行った時…正直、心の底からほっとした」
岩陰から歩み来る、アラン、セルティス、デュランの背後に、ファオンが姿を見せる。
両側に、アリオンとシーリーンを連れて。
皆が一斉にファオンを見つめる。
…が。
ファオン、それにデュランが、まじまじとレオを見る。
「?」
「?」
レオも思ったが、ファルコンも思った。
「…どうしてレオを、あんな目で見てる?」
ファルコンが、ファオンを親指で指し、キースに尋ねる。
キースは振り向き、苦笑した。
「…レイデンの話をしたせいかな」
はぁ…。
レオが俯き、額に指を付けて、溜息を吐く。
ファルコンが腕組んで尋ねる。
「…なんでそんな話になった?」
キースが肩竦める。
「成り行きで」
だが、アランらがレオの前に来た時、背後から声。
「200の群れを下したと!
東の伝令から知らせが入ったが、あんたらがやったのか?!」
東尾根の長、レドナンドが、白っぽい髪を靡かせ、坂の上から姿を見せる。
長身で逞しく美丈夫の東尾根の長は迫力で、北尾根の誰もが彼を敬意を込めて見つめる。
が、寄って行く赤い髪のレオには、それに負けぬ迫力があって、北尾根の一同は、ほっと胸を撫で下ろす。
レオはレドナンドの前に立って言う。
「…ファオンが。
岩陰を伝い、群れの下に移動して杖付きを殺った」
レドナンドは皆の一番後ろにいるファオンに、感じ良く微笑んで、頷く。
ファオンは従兄弟なのに殆ど話した事の無い、立派な東尾根の長に、少しはにかんで頷き返す。
「で?
まさか、北の長が自分の地を放り出し、東尾根を見回ってた訳じゃあるまい?」
レドナンドに問われ、レオは少し躊躇い、だが顔を上げて言った。
「北東の森の“巣”を、幾つか潰そうと思って」
レドナンドはレオの言葉に目を見開く。
そして、北尾根全員と、その後ろに控える雑兵の精鋭ら10数人を見つめ、苦笑する。
「その人数で、本気で《化け物》の森に入る気か?」
レオが少し背の高い、レドナンドを見つめ、言う。
「無謀か?」
「かなりな」
ファオンは、遅れてやって来た東尾根の《勇敢なる者》らの先頭に、長兄ファーレーンの姿を見つけ、目を輝かせる。
ファーレーンは背後に、三人の逞しく美男な《勇敢なる者》らを引き連れ、長レドナンドの後ろに立つ。
レドナンドはチラと見、けれど顔をレオに戻して言った。
「手助けする」
レオが頷く。
ファルコンが顎をしゃくる。
「新人デュケスは昨日の激戦で怪我でも負ったのか?」
ファーレーンの顔が揺れる。
「いや。
シーリーンの足が治ったと聞いた」
ファーレーンの言葉の後を、レドナンドがくすり。と笑いながら継ぐ。
「…治ったところを、また怪我をさせても不味いだろう」
シーリーンが、ほっとしたように肩を落とす。
アランとアリオンに見つめられ、眉を寄せて怒鳴った。
「あいつ、不意打ちするんだぞ!」
が、ふとシーリーンがファーレーンの背後。
三人の東尾根、《勇敢なる者》に、怪訝な視線を送る。
次に、アリオン。
そして、キースまでも。
ファオンはファーレーンしか目に入らず、兄を嬉しそうに見つめている。
ファーレーンも末弟の無事な姿に、安堵を滲ませ、見つめ返す。
が。
まず、キースが睨む。
次にシーリーン。
そしてアリオンもが。
ファーレーン背後の三人の《勇敢なる者》らが、ファオンをじっと…スケベな目で見てるのに気づいて。
東尾根の三人も、キース、シーリーン、アリオンが睨んでいる事に気づく。
ファーレーン背後の一人、明るい真っ直ぐの栗毛でグレーの瞳の、柔和な顔付の美男、ザスナッチが口を開く。
「…北尾根はいいですね。
こんな…愛らしくて綺麗な…セグナ・アグナータの体を、思う様好きに出来て」
そう言ったザスナッチは、どちらかと言えば三人の中では一番口達者で愛想が良い男。
顔だけ見てると、苦労知らずのぼんぼんに見える。
東尾根の男らしく、それは逞しく、引き締まった体付きをしている。
が…。
「(相変わらず、ど・スケベだな…)」
シーリーンが目を剥く。
たまに出会うと、どの女が名器か。
とか、南尾根の《皆を繋ぐ者》の口は凄い。
だとか、丁寧な言葉でずっと下(しも)の話しばかりしてる、不愉快な男。
「(俺の外観が軟弱に見えるから、同類と思って寄って来て、延々スケベな話しかしない)」
と睨み付ける。
だがまた別の男が言う。
「…本当に、表情が愛らしい…。
顔立ちは…ファーレーン殿を幼くしたようなのに。
…けれど…やはり、咥えたりハメたり、するんですね」
ファオンはそう言われて、真っ赤に頬を染める。
アリオンはずい!と出ると、ファオンを背後に隠して睨め付ける。
「物は言い様だな。
あんただって、好きな女とやるんだろう?」
レオは静かにそう言う、アリオンの怖じない態度に振り向く。
言った男。アンドレアは、プラチナの巻き毛。緑色の垂れ目の、やさ男風美男。
但し体付きは東尾根のどの男もそうだが、引き締まりきって逞しい。
「…ファーレーン殿とそっくりなお顔立ちで…。
どんな体位もされると聞くと…確かに我々東尾根の男達には、たまらない」
濃い栗色巻き毛のスカした美男、ドロイドがそう言うと、キースがぎっ!と一瞬目を剥き…。
が、いつもの王者の風格を醸し出して言い返す。
「…そう聞くと、普段東尾根の《勇敢なる者》の皆さんは、《皆を繋ぐ者》では無くファーレーン殿をオカズに、抜いてるように聞こえる」
が、これに怒ったのはファーレーンだった。
「そんなふざけた男は、お前くらいだ!」
キースが、綺麗な顔を怒りで満たして怒鳴るファーレーンに、肩を竦める。
ドロイドが冷たく笑う。
「…ずっと北にいた頃口説き続けて…けれどファーレーン殿は東の《勇敢なる者》に志願され、君は振られたと。
噂で聞いたが、まさか本当か?」
アランも思ったが、セルティスも同様。
そう言ったドロイドは嘲笑を浮かべ、キースを侮辱した態度で、二人は同時にドロイドに、むっ。とする。
ファルコンがキースを庇い、静かな口調で嫌味を言い返す。
「…だがもしそうだとしても、目当ては誰より男ぶりのいいお従兄弟殿のレドナンド殿だろう。
間違っても、その他大勢の、体、だけ良い、男ぶりはウチのキースよりかなり劣る東の《勇敢なる者》らには、ファーレーンは見向きもしないだろうな」
ドロイドが、一瞬でファルコンを睨み付ける。
レオがファルコンに振り向くが、ファルコンは視線を下げたまま平然としていた。
レドナンドが、その場の敵対する雰囲気に気づき、振り向く。
「《化け物》繁殖期の真っ最中だ!
昨夜ですら、南尾根の手助けを受けている!
少しは気を引き締めたらどうだ?!」
一番口達者な、ザスナッチが言い返す。
「が、今年は杖付きを殺ると群れは引く。
去年の1/10も《化け物》を斬ってない」
アンドレアも長に、言い訳る。
「体力、気力共に多少余裕が出来ても仕方無い。
…昨夜は暗がりだったが…真昼の陽の中で見ると、ファーレーン殿と良く似た顔立ちのファオン殿は、あまりに可憐で美しいのでつい、北尾根の男が羨ましかっただけだ」
レドナンドがその言葉に、眉を寄せる。
「…まさかお前達、日頃本当にファーレーンに夢想して抜いてないな?!」
レドナンドがそう言った時、“氷の男”ファーレーンが、周囲が凍り付くような、冷たい空気を醸し出して背後の三人を、じろり。と見た。
三人は途端、所在なげにファーレーンから、視線を下げて俯く。
レオも背後の、アリオン、シーリーン、キースを見る。
が、キースはドロイドを。
シーリーンはザスナッチ。
アリオンはアンドレアを。
それぞれきつい眼差しで見つめていた。
背後、アランを見る。
アランはレオと目が合った途端、肩を竦めて見せ、セルティスは俯き加減。
一番長身のファルコンは腕組みし
『またウチの男を侮辱したら、何だって言って、嫌味返してやる』
とすましてる。
リチャードは溜息を吐いて顔を下げ…そして、横にいたデュランがついに、口を開く。
「ファーレーン殿とどれだけしたくても相手にして貰えないから、ファオンをどスケベな目で、見てるんですね…」
と、そう、心から気の毒げに、首を横に振る。
アランがとうとう吹き出す。
東尾根の三人の《勇敢なる者》らは一気にむっ。として、ぎっ!とデュランを、目を剥き睨めつけた。
ファルコンとセルティスが珍しく
『よく言った!』
と揃ってデュランに、微笑みを送った。
キースは背後の皆に首を振り、岩陰から出ると、《化け物》の群れが駆け上っていた広い坂を下り来る、レオらの方へと歩出す。
赤い髪を風に嬲らせ、レオが言った。
「杖付きを、殺ったのか」
キースが言葉を返す。
「ファオンが。
が、向き変えて戻る《化け物》の群れにぶつかられ、肩を少し痛めてる」
レオとファルコンの背後から、リチャードが咄嗟叫ぶ。
「…重傷?!」
キースはリチャードに向くと、呟く。
「いや…桃の“力”で治癒したので、殆ど痛まないらしい」
ファルコンが頷く。
「お前の怪我も治したしな。
…だが驚いたぜ。
一斉に向かって来る《化け物》の群れが…一瞬にして向きを変え…」
レオも頷く。
「頭で解っていても…幾度もあれ位の規模の群れと相対した時の、緊迫感に包まれたから…思わず剣を、握り込んでいたが…」
ファルコンも頷く。
「…俺も覚悟を決めた。
だが群れが引いて行った時…正直、心の底からほっとした」
岩陰から歩み来る、アラン、セルティス、デュランの背後に、ファオンが姿を見せる。
両側に、アリオンとシーリーンを連れて。
皆が一斉にファオンを見つめる。
…が。
ファオン、それにデュランが、まじまじとレオを見る。
「?」
「?」
レオも思ったが、ファルコンも思った。
「…どうしてレオを、あんな目で見てる?」
ファルコンが、ファオンを親指で指し、キースに尋ねる。
キースは振り向き、苦笑した。
「…レイデンの話をしたせいかな」
はぁ…。
レオが俯き、額に指を付けて、溜息を吐く。
ファルコンが腕組んで尋ねる。
「…なんでそんな話になった?」
キースが肩竦める。
「成り行きで」
だが、アランらがレオの前に来た時、背後から声。
「200の群れを下したと!
東の伝令から知らせが入ったが、あんたらがやったのか?!」
東尾根の長、レドナンドが、白っぽい髪を靡かせ、坂の上から姿を見せる。
長身で逞しく美丈夫の東尾根の長は迫力で、北尾根の誰もが彼を敬意を込めて見つめる。
が、寄って行く赤い髪のレオには、それに負けぬ迫力があって、北尾根の一同は、ほっと胸を撫で下ろす。
レオはレドナンドの前に立って言う。
「…ファオンが。
岩陰を伝い、群れの下に移動して杖付きを殺った」
レドナンドは皆の一番後ろにいるファオンに、感じ良く微笑んで、頷く。
ファオンは従兄弟なのに殆ど話した事の無い、立派な東尾根の長に、少しはにかんで頷き返す。
「で?
まさか、北の長が自分の地を放り出し、東尾根を見回ってた訳じゃあるまい?」
レドナンドに問われ、レオは少し躊躇い、だが顔を上げて言った。
「北東の森の“巣”を、幾つか潰そうと思って」
レドナンドはレオの言葉に目を見開く。
そして、北尾根全員と、その後ろに控える雑兵の精鋭ら10数人を見つめ、苦笑する。
「その人数で、本気で《化け物》の森に入る気か?」
レオが少し背の高い、レドナンドを見つめ、言う。
「無謀か?」
「かなりな」
ファオンは、遅れてやって来た東尾根の《勇敢なる者》らの先頭に、長兄ファーレーンの姿を見つけ、目を輝かせる。
ファーレーンは背後に、三人の逞しく美男な《勇敢なる者》らを引き連れ、長レドナンドの後ろに立つ。
レドナンドはチラと見、けれど顔をレオに戻して言った。
「手助けする」
レオが頷く。
ファルコンが顎をしゃくる。
「新人デュケスは昨日の激戦で怪我でも負ったのか?」
ファーレーンの顔が揺れる。
「いや。
シーリーンの足が治ったと聞いた」
ファーレーンの言葉の後を、レドナンドがくすり。と笑いながら継ぐ。
「…治ったところを、また怪我をさせても不味いだろう」
シーリーンが、ほっとしたように肩を落とす。
アランとアリオンに見つめられ、眉を寄せて怒鳴った。
「あいつ、不意打ちするんだぞ!」
が、ふとシーリーンがファーレーンの背後。
三人の東尾根、《勇敢なる者》に、怪訝な視線を送る。
次に、アリオン。
そして、キースまでも。
ファオンはファーレーンしか目に入らず、兄を嬉しそうに見つめている。
ファーレーンも末弟の無事な姿に、安堵を滲ませ、見つめ返す。
が。
まず、キースが睨む。
次にシーリーン。
そしてアリオンもが。
ファーレーン背後の三人の《勇敢なる者》らが、ファオンをじっと…スケベな目で見てるのに気づいて。
東尾根の三人も、キース、シーリーン、アリオンが睨んでいる事に気づく。
ファーレーン背後の一人、明るい真っ直ぐの栗毛でグレーの瞳の、柔和な顔付の美男、ザスナッチが口を開く。
「…北尾根はいいですね。
こんな…愛らしくて綺麗な…セグナ・アグナータの体を、思う様好きに出来て」
そう言ったザスナッチは、どちらかと言えば三人の中では一番口達者で愛想が良い男。
顔だけ見てると、苦労知らずのぼんぼんに見える。
東尾根の男らしく、それは逞しく、引き締まった体付きをしている。
が…。
「(相変わらず、ど・スケベだな…)」
シーリーンが目を剥く。
たまに出会うと、どの女が名器か。
とか、南尾根の《皆を繋ぐ者》の口は凄い。
だとか、丁寧な言葉でずっと下(しも)の話しばかりしてる、不愉快な男。
「(俺の外観が軟弱に見えるから、同類と思って寄って来て、延々スケベな話しかしない)」
と睨み付ける。
だがまた別の男が言う。
「…本当に、表情が愛らしい…。
顔立ちは…ファーレーン殿を幼くしたようなのに。
…けれど…やはり、咥えたりハメたり、するんですね」
ファオンはそう言われて、真っ赤に頬を染める。
アリオンはずい!と出ると、ファオンを背後に隠して睨め付ける。
「物は言い様だな。
あんただって、好きな女とやるんだろう?」
レオは静かにそう言う、アリオンの怖じない態度に振り向く。
言った男。アンドレアは、プラチナの巻き毛。緑色の垂れ目の、やさ男風美男。
但し体付きは東尾根のどの男もそうだが、引き締まりきって逞しい。
「…ファーレーン殿とそっくりなお顔立ちで…。
どんな体位もされると聞くと…確かに我々東尾根の男達には、たまらない」
濃い栗色巻き毛のスカした美男、ドロイドがそう言うと、キースがぎっ!と一瞬目を剥き…。
が、いつもの王者の風格を醸し出して言い返す。
「…そう聞くと、普段東尾根の《勇敢なる者》の皆さんは、《皆を繋ぐ者》では無くファーレーン殿をオカズに、抜いてるように聞こえる」
が、これに怒ったのはファーレーンだった。
「そんなふざけた男は、お前くらいだ!」
キースが、綺麗な顔を怒りで満たして怒鳴るファーレーンに、肩を竦める。
ドロイドが冷たく笑う。
「…ずっと北にいた頃口説き続けて…けれどファーレーン殿は東の《勇敢なる者》に志願され、君は振られたと。
噂で聞いたが、まさか本当か?」
アランも思ったが、セルティスも同様。
そう言ったドロイドは嘲笑を浮かべ、キースを侮辱した態度で、二人は同時にドロイドに、むっ。とする。
ファルコンがキースを庇い、静かな口調で嫌味を言い返す。
「…だがもしそうだとしても、目当ては誰より男ぶりのいいお従兄弟殿のレドナンド殿だろう。
間違っても、その他大勢の、体、だけ良い、男ぶりはウチのキースよりかなり劣る東の《勇敢なる者》らには、ファーレーンは見向きもしないだろうな」
ドロイドが、一瞬でファルコンを睨み付ける。
レオがファルコンに振り向くが、ファルコンは視線を下げたまま平然としていた。
レドナンドが、その場の敵対する雰囲気に気づき、振り向く。
「《化け物》繁殖期の真っ最中だ!
昨夜ですら、南尾根の手助けを受けている!
少しは気を引き締めたらどうだ?!」
一番口達者な、ザスナッチが言い返す。
「が、今年は杖付きを殺ると群れは引く。
去年の1/10も《化け物》を斬ってない」
アンドレアも長に、言い訳る。
「体力、気力共に多少余裕が出来ても仕方無い。
…昨夜は暗がりだったが…真昼の陽の中で見ると、ファーレーン殿と良く似た顔立ちのファオン殿は、あまりに可憐で美しいのでつい、北尾根の男が羨ましかっただけだ」
レドナンドがその言葉に、眉を寄せる。
「…まさかお前達、日頃本当にファーレーンに夢想して抜いてないな?!」
レドナンドがそう言った時、“氷の男”ファーレーンが、周囲が凍り付くような、冷たい空気を醸し出して背後の三人を、じろり。と見た。
三人は途端、所在なげにファーレーンから、視線を下げて俯く。
レオも背後の、アリオン、シーリーン、キースを見る。
が、キースはドロイドを。
シーリーンはザスナッチ。
アリオンはアンドレアを。
それぞれきつい眼差しで見つめていた。
背後、アランを見る。
アランはレオと目が合った途端、肩を竦めて見せ、セルティスは俯き加減。
一番長身のファルコンは腕組みし
『またウチの男を侮辱したら、何だって言って、嫌味返してやる』
とすましてる。
リチャードは溜息を吐いて顔を下げ…そして、横にいたデュランがついに、口を開く。
「ファーレーン殿とどれだけしたくても相手にして貰えないから、ファオンをどスケベな目で、見てるんですね…」
と、そう、心から気の毒げに、首を横に振る。
アランがとうとう吹き出す。
東尾根の三人の《勇敢なる者》らは一気にむっ。として、ぎっ!とデュランを、目を剥き睨めつけた。
ファルコンとセルティスが珍しく
『よく言った!』
と揃ってデュランに、微笑みを送った。
0
お気に入りに追加
227
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる