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決戦
突如訪れた緊急事態 「傀儡(くぐつ)の凶王」
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バルバロッサ王の邸宅では。
ミラーレスの治療に、デルデロッテは横たわったまま、ほぼ拷問のように苦痛の呻きを上げるのを、皆が聞き。
揃って顔を下げ、居心地悪そうにしていた。
がふいに…エドウィンが脳裏に、声なき声で叫ぶ。
その直後、ロットバルトは足元に転がる、さっき殺したばかりの黒装束の死体が。
ゆらり…と身を起こすのを見た。
ローフィスがくったくたに疲れ切って、シュアンとエドウィンの間にへたり込み、唸る。
「傀儡の凶王…」
オーガスタスは右手の剣を肩に担ぎ、足元の転がる死体がヨロヨロとぎこちなく、起き上がり始めるのを眺め、呻く。
「…知り合いか?」
ノルデュラス公爵は転がった死体が、次々起き上がって来るのを見、言葉も出ず目を見開く。
エルデリオンは寝台の横で、苦痛に顔歪めてるデルデを見守っていたけど。
直ぐ背後に立つ死体に
「ひっ!」
と叫んで、身を引いた。
シュアンが直ぐ、二階と回路を繋ぐ。
エディエルゼが脳裏で叫んでた。
“斬った死体が、起き上がって来てる!”
その後、テリュスのすっとぼけた声。
“魔法使いに、言ってくれないか?
死体で遊ぶなら、俺の居ないところでやってくれと”
オーレが怒鳴る。
“俺達が、そんな余計なマネするか!”
ラフォーレンは疑り深く呻く。
“しそうな人…いそうですけど”
ソファに起き上がってたレンフが、直ぐ言い返す。
“俺か?!
俺の事、言ってんのか?!”
シュテフは額に手を当て、言い返す。
“レンフは自分の欲求のタメにしか、能力使わないから、無実だ”
庇われたレンフは、だが文句付ける。
“…なんて庇い方だ!
確かにその通りだが…もっと言い方ってモンが、あるだろ?!”
スフォルツァが、落ち込んだ声で囁く。
“じゃやっぱり…『影の民』の障気?”
ローフィスが、脳裏でがなる。
“傀儡の凶王…つて『影』だ!!!
払いたいけど、俺はクタクタ。
召喚呪文、唱えられない…”
けれど階上では。
レジィの胸から白い光の筋が漂い始め、ミラーシェンへと伸びて包み込み、直ぐ横に立つエディエルゼに伸びて行くと、周囲を包み込んで白く光り始め。
次にラウール、スフォルツァ、ラフォーレン。
そしてエリューンとテリュスに光は漂い届くと、皆を一気に白い光で包み込む。
起き上がった死体は、まるでヘタな操り人形師が操ってるみたいに、手足を変な風に動かし、ひしゃげ…ぎこちなく、やって来る。
が、白い光に触れると、どたっ!
と倒れた。
「今度こそ、殺ったか?!」
テリュスが歓喜の表情で叫ぶ。
が、倒れた死体はまた、両手床に付いて起き上がろうともがいてる…。
「…ダメか…」
エリューンが顔下げて呻き、ラフォーレンも同意した。
「…ですね…」
その時、起き上がった死体の上に、赤黒い衣服を着た女の顔が、幽霊のように透けて浮かび上がる。
“さっさとやってよ!
もうこれ以上、城の男達を眠らせとくの、無理だからね!”
横に、不気味な妖精のような顔が浮かび上がり、呻く。
“気配消すのも限界…”
だが、女は不気味な妖精に怒鳴る。
“もう気配なんて、消す必要無いじゃ無い!
とっくにバレてるわよ!”
不気味な妖精は目を見開くと
“あ…そっか…”
と不気味なしゃがれ声で、返答した。
テリュスが見てると。
黒装束の死体は次々起き上がる。
…ものの、歩き方はすごーく、スローできごちない。
「…押せば倒れそうなんだけど…触ると、マズい?」
脳裏でオーレが
“お前らアースルーリンドの外のヤツは、『影』に耐性まるでナイだろう?!
絶対!
触るな!”
と怒鳴った。
テリュスは足を蹴り出そうとし…引っ込めた。
空間に浮かぶ、女の顔は尚も怒鳴ってる。
“あいつの中に居る、ル・シャレファ!
凄く弱ってるから、光の結界もじき切れるよ!
『闇の第二』様が穴開けた場所、光竜憑きが見つけたって!
さっさと王子らの中に潜り込んで、取り憑かないと!
退路が消えて居場所が無くなるって、急かしていらっしゃる!”
その時、更に上の空間が震え始め、黒い靄が沸き出ると、デカい鷲鼻の、老人のような男の顔を形作る。
“…この地では上手く、力が使えない…”
その震える声に、女は噛みつくように怒鳴る。
“んな事、言ってる場合?!”
“とーすればいいかな…”
スフォルツァが、痛めた肩の後ろに手を添え、眉間寄せながら尋ねる。
ラフォーレンもが、脳裏の声を伺いながら尋ねる。
“下も…取り込み中?!”
階下では。
死人のように横たわっていた、ヤッハ族の族長が。
目を青く光らせ、起き上がり始める。
オーレが光の結界強め、バッタン!
と光と空圧で、族長を寝台に沈めた。
がまた。
もぞもぞと手足の先をズラし、もがき始める。
シュテフが慌てて両手広げ、ローフィス、オーガスタス、ノルデュラス公爵、ロットバルトを光で包み込む。
ミラーレスはデルデの治療を止め、横たわるデルデとエルデリオンを、光で包み込んだ。
ソファに座るエドウィンとシュアンが、ぐったりとソファに身を沈め、レンフもラフィーレも眉間寄せ、レンフが
「きっつ…!」
と呻いた。
“結界で護るだけじゃ…『影』との我慢比べみたいになっちゃう!”
ラフィーレが叫ぶけど。
シュテフも、ミラーレスもが余裕無し。
光の結界で護るダケで、精一杯。
オーレは階上の、レジィの中のシャーレを促し、光送って二階の皆を護らせてるので。
大量の光を、継続して消費し、エドウィンとシュアンは気絶寸前。
ラフィーレとレンフが何とか、皆に光送って、エドウィンとシュアンを庇った。
だんっ!!!
また、オーレが起き上がろうとする、ヤッハ族の族長を寝台に沈めた。
死体は白い光に触れる度、どたっ!!!
と転がる。
ノルデュラス公爵はあまりの不気味さに、声も出なかったけど。
死体が周囲を包む白い光に触れる度、背から音立てて床に倒れ込むのを見、一安心し、胸をなで下ろした。
ロットバルトも間近に迫る、目のイった死体が。
どたっ!と倒れるのを見て
“悪夢にうなされそうですが…とりあえずは、安心ですな”
と脳裏に呟いた。
オーガスタスが、見かねてくたびれきった、友に尋ねる。
“打開法は?”
ローフィスはそれを聞くなり、脳裏に叫んだ。
“ディアヴォロス!!!”
オーガスタスは、待った。
オーレもシュテフも、ミラーレスも。
そしてロットバルトもノルデュラス公爵も、エルデリオンも横たわるデルデロッテもが、無言でローフィスを見つめる。
がその時、扉の外から、声。
「…これって、どういう事態なんです?」
ラステルだった。
彼は自分の部下らの姿が見えず、彼らを探しに部屋を出たばかり。
扉の前で起き上がってる死体の、二つが。
扉の外の、ラステルに振り向くのを見、オーガスタスが血相変えて飛んで行く。
“俺はアースルーリンドの民だから、平気だな?!”
何をする気か、ぐったりしてるシュアンもエドウィンも、眉間寄せてるラフィーレもレンフも。
そしてオーレもシュテフも分かって。
皆を代表し、ミラーレスが脳裏で叫んだ。
“大丈夫、ブッ飛ばして下さい”
オーガスタスは駆けて行くと、前を塞ぐ死体の、足を尽く回し払い、次々死体を転がし倒す。
足元で蠢く死体を蹴って退かし、ラステルに襲いかかろうとする死体二体の腰を、長い足で思いっきり回し蹴って、吹っ飛ばした。
ダンッ!
どんっ!
二体は床に吹っ飛んで、倒れ込む。
オーガスタスは戸の前で
「…………………………」
無言で事態が理解出来ず沈黙し立ち尽くす、ラステルの腕を掴むと引っ張り、室内へと連れ込む。
腕を掴まれた時点で、ラステルもオーガスタス同様、光の結界で包み込まれた。
くたびれきるエドウィン、ローフィス、シュアンの座るソファの前まで連行し、そこでオーガスタスはラステルの腕を放す。
ラステルはとっても背の高い、オーガスタスを見上げた後。
「…あれ…やっぱり死体でした?」
と尋ねるので、オーガスタスは息を切らしながら、頷く。
「…で、『影』とか言う、魔物とかが、操ってたりします?」
ラステルの疑問に、オーガスタスはまた、無言で頷いた。
けれどいつも饒舌なラステルが、その後口を開かず。
倒れた後、もぞもぞと動き、起き上がろうとする、戸口近くのオーガスタスが転がした死体や。
ロットバルト、ノルデュラス公爵に近づき、光の結界に触れた途端、床に転がる死体を見てる、その様子に。
ロットバルトもノルデュラス公爵も、気持ちが分かって顔を下げ、頷く。
「…あり得ない光景ですよね…」
ノルデュラス公爵が、また近寄って来た死体が
バタン!
と音立てて転がるのを見ながら、沈んだ声で告げる。
ロットバルトも、感想を述べた。
「見慣れてくると…不気味なだけで無く、ちょっと…滑稽?
…な感じも、しますけどね」
エルデリオンがその言葉を聞き、首振って振り向く。
「本気?!
ただひたすら、不気味だと思うけど!!!」
ラステルは首下げて転がる死体が、うごめきもがく様子を見、呻いた。
「…確かに不気味なのは認めます。
けど…」
そこで言葉を区切るので、皆が一斉に、ラステルを注視した。
「…だって生きてた時の方が。
動きももっと素早く、剣も使うし、とっても危険でしたけど…。
今この…どんくさい動作…。
果たして本当に、危険なんですか?」
尋ねられ、オーレとシュテフはため息吐く。
ミラーレスが、腕組みして言った。
「迂闊に触れて、君が乗っ取られると。
君が剣を抜いて、私達に襲いかかってくるから。
それが、危険だ」
ラステルはやっと、頷いて言った。
「なるほど」
ミラーレスの治療に、デルデロッテは横たわったまま、ほぼ拷問のように苦痛の呻きを上げるのを、皆が聞き。
揃って顔を下げ、居心地悪そうにしていた。
がふいに…エドウィンが脳裏に、声なき声で叫ぶ。
その直後、ロットバルトは足元に転がる、さっき殺したばかりの黒装束の死体が。
ゆらり…と身を起こすのを見た。
ローフィスがくったくたに疲れ切って、シュアンとエドウィンの間にへたり込み、唸る。
「傀儡の凶王…」
オーガスタスは右手の剣を肩に担ぎ、足元の転がる死体がヨロヨロとぎこちなく、起き上がり始めるのを眺め、呻く。
「…知り合いか?」
ノルデュラス公爵は転がった死体が、次々起き上がって来るのを見、言葉も出ず目を見開く。
エルデリオンは寝台の横で、苦痛に顔歪めてるデルデを見守っていたけど。
直ぐ背後に立つ死体に
「ひっ!」
と叫んで、身を引いた。
シュアンが直ぐ、二階と回路を繋ぐ。
エディエルゼが脳裏で叫んでた。
“斬った死体が、起き上がって来てる!”
その後、テリュスのすっとぼけた声。
“魔法使いに、言ってくれないか?
死体で遊ぶなら、俺の居ないところでやってくれと”
オーレが怒鳴る。
“俺達が、そんな余計なマネするか!”
ラフォーレンは疑り深く呻く。
“しそうな人…いそうですけど”
ソファに起き上がってたレンフが、直ぐ言い返す。
“俺か?!
俺の事、言ってんのか?!”
シュテフは額に手を当て、言い返す。
“レンフは自分の欲求のタメにしか、能力使わないから、無実だ”
庇われたレンフは、だが文句付ける。
“…なんて庇い方だ!
確かにその通りだが…もっと言い方ってモンが、あるだろ?!”
スフォルツァが、落ち込んだ声で囁く。
“じゃやっぱり…『影の民』の障気?”
ローフィスが、脳裏でがなる。
“傀儡の凶王…つて『影』だ!!!
払いたいけど、俺はクタクタ。
召喚呪文、唱えられない…”
けれど階上では。
レジィの胸から白い光の筋が漂い始め、ミラーシェンへと伸びて包み込み、直ぐ横に立つエディエルゼに伸びて行くと、周囲を包み込んで白く光り始め。
次にラウール、スフォルツァ、ラフォーレン。
そしてエリューンとテリュスに光は漂い届くと、皆を一気に白い光で包み込む。
起き上がった死体は、まるでヘタな操り人形師が操ってるみたいに、手足を変な風に動かし、ひしゃげ…ぎこちなく、やって来る。
が、白い光に触れると、どたっ!
と倒れた。
「今度こそ、殺ったか?!」
テリュスが歓喜の表情で叫ぶ。
が、倒れた死体はまた、両手床に付いて起き上がろうともがいてる…。
「…ダメか…」
エリューンが顔下げて呻き、ラフォーレンも同意した。
「…ですね…」
その時、起き上がった死体の上に、赤黒い衣服を着た女の顔が、幽霊のように透けて浮かび上がる。
“さっさとやってよ!
もうこれ以上、城の男達を眠らせとくの、無理だからね!”
横に、不気味な妖精のような顔が浮かび上がり、呻く。
“気配消すのも限界…”
だが、女は不気味な妖精に怒鳴る。
“もう気配なんて、消す必要無いじゃ無い!
とっくにバレてるわよ!”
不気味な妖精は目を見開くと
“あ…そっか…”
と不気味なしゃがれ声で、返答した。
テリュスが見てると。
黒装束の死体は次々起き上がる。
…ものの、歩き方はすごーく、スローできごちない。
「…押せば倒れそうなんだけど…触ると、マズい?」
脳裏でオーレが
“お前らアースルーリンドの外のヤツは、『影』に耐性まるでナイだろう?!
絶対!
触るな!”
と怒鳴った。
テリュスは足を蹴り出そうとし…引っ込めた。
空間に浮かぶ、女の顔は尚も怒鳴ってる。
“あいつの中に居る、ル・シャレファ!
凄く弱ってるから、光の結界もじき切れるよ!
『闇の第二』様が穴開けた場所、光竜憑きが見つけたって!
さっさと王子らの中に潜り込んで、取り憑かないと!
退路が消えて居場所が無くなるって、急かしていらっしゃる!”
その時、更に上の空間が震え始め、黒い靄が沸き出ると、デカい鷲鼻の、老人のような男の顔を形作る。
“…この地では上手く、力が使えない…”
その震える声に、女は噛みつくように怒鳴る。
“んな事、言ってる場合?!”
“とーすればいいかな…”
スフォルツァが、痛めた肩の後ろに手を添え、眉間寄せながら尋ねる。
ラフォーレンもが、脳裏の声を伺いながら尋ねる。
“下も…取り込み中?!”
階下では。
死人のように横たわっていた、ヤッハ族の族長が。
目を青く光らせ、起き上がり始める。
オーレが光の結界強め、バッタン!
と光と空圧で、族長を寝台に沈めた。
がまた。
もぞもぞと手足の先をズラし、もがき始める。
シュテフが慌てて両手広げ、ローフィス、オーガスタス、ノルデュラス公爵、ロットバルトを光で包み込む。
ミラーレスはデルデの治療を止め、横たわるデルデとエルデリオンを、光で包み込んだ。
ソファに座るエドウィンとシュアンが、ぐったりとソファに身を沈め、レンフもラフィーレも眉間寄せ、レンフが
「きっつ…!」
と呻いた。
“結界で護るだけじゃ…『影』との我慢比べみたいになっちゃう!”
ラフィーレが叫ぶけど。
シュテフも、ミラーレスもが余裕無し。
光の結界で護るダケで、精一杯。
オーレは階上の、レジィの中のシャーレを促し、光送って二階の皆を護らせてるので。
大量の光を、継続して消費し、エドウィンとシュアンは気絶寸前。
ラフィーレとレンフが何とか、皆に光送って、エドウィンとシュアンを庇った。
だんっ!!!
また、オーレが起き上がろうとする、ヤッハ族の族長を寝台に沈めた。
死体は白い光に触れる度、どたっ!!!
と転がる。
ノルデュラス公爵はあまりの不気味さに、声も出なかったけど。
死体が周囲を包む白い光に触れる度、背から音立てて床に倒れ込むのを見、一安心し、胸をなで下ろした。
ロットバルトも間近に迫る、目のイった死体が。
どたっ!と倒れるのを見て
“悪夢にうなされそうですが…とりあえずは、安心ですな”
と脳裏に呟いた。
オーガスタスが、見かねてくたびれきった、友に尋ねる。
“打開法は?”
ローフィスはそれを聞くなり、脳裏に叫んだ。
“ディアヴォロス!!!”
オーガスタスは、待った。
オーレもシュテフも、ミラーレスも。
そしてロットバルトもノルデュラス公爵も、エルデリオンも横たわるデルデロッテもが、無言でローフィスを見つめる。
がその時、扉の外から、声。
「…これって、どういう事態なんです?」
ラステルだった。
彼は自分の部下らの姿が見えず、彼らを探しに部屋を出たばかり。
扉の前で起き上がってる死体の、二つが。
扉の外の、ラステルに振り向くのを見、オーガスタスが血相変えて飛んで行く。
“俺はアースルーリンドの民だから、平気だな?!”
何をする気か、ぐったりしてるシュアンもエドウィンも、眉間寄せてるラフィーレもレンフも。
そしてオーレもシュテフも分かって。
皆を代表し、ミラーレスが脳裏で叫んだ。
“大丈夫、ブッ飛ばして下さい”
オーガスタスは駆けて行くと、前を塞ぐ死体の、足を尽く回し払い、次々死体を転がし倒す。
足元で蠢く死体を蹴って退かし、ラステルに襲いかかろうとする死体二体の腰を、長い足で思いっきり回し蹴って、吹っ飛ばした。
ダンッ!
どんっ!
二体は床に吹っ飛んで、倒れ込む。
オーガスタスは戸の前で
「…………………………」
無言で事態が理解出来ず沈黙し立ち尽くす、ラステルの腕を掴むと引っ張り、室内へと連れ込む。
腕を掴まれた時点で、ラステルもオーガスタス同様、光の結界で包み込まれた。
くたびれきるエドウィン、ローフィス、シュアンの座るソファの前まで連行し、そこでオーガスタスはラステルの腕を放す。
ラステルはとっても背の高い、オーガスタスを見上げた後。
「…あれ…やっぱり死体でした?」
と尋ねるので、オーガスタスは息を切らしながら、頷く。
「…で、『影』とか言う、魔物とかが、操ってたりします?」
ラステルの疑問に、オーガスタスはまた、無言で頷いた。
けれどいつも饒舌なラステルが、その後口を開かず。
倒れた後、もぞもぞと動き、起き上がろうとする、戸口近くのオーガスタスが転がした死体や。
ロットバルト、ノルデュラス公爵に近づき、光の結界に触れた途端、床に転がる死体を見てる、その様子に。
ロットバルトもノルデュラス公爵も、気持ちが分かって顔を下げ、頷く。
「…あり得ない光景ですよね…」
ノルデュラス公爵が、また近寄って来た死体が
バタン!
と音立てて転がるのを見ながら、沈んだ声で告げる。
ロットバルトも、感想を述べた。
「見慣れてくると…不気味なだけで無く、ちょっと…滑稽?
…な感じも、しますけどね」
エルデリオンがその言葉を聞き、首振って振り向く。
「本気?!
ただひたすら、不気味だと思うけど!!!」
ラステルは首下げて転がる死体が、うごめきもがく様子を見、呻いた。
「…確かに不気味なのは認めます。
けど…」
そこで言葉を区切るので、皆が一斉に、ラステルを注視した。
「…だって生きてた時の方が。
動きももっと素早く、剣も使うし、とっても危険でしたけど…。
今この…どんくさい動作…。
果たして本当に、危険なんですか?」
尋ねられ、オーレとシュテフはため息吐く。
ミラーレスが、腕組みして言った。
「迂闊に触れて、君が乗っ取られると。
君が剣を抜いて、私達に襲いかかってくるから。
それが、危険だ」
ラステルはやっと、頷いて言った。
「なるほど」
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