181 / 418
記憶を無くしたレジィリアンス
少しずつレジィリアンスの記憶を取り戻すデルデロッテ
しおりを挟む
デルデロッテは悪戯っぽい笑みを浮かべながら、レジィに振り向くと、うっとりするような美貌で見つめる。
「その後、近所の農地の女将さんが騒ぎを聞きつけ、娘と共にすっ飛んで来てくれて…。
そこでやっと、私は手当てを受けられた」
デルデに見つめられたレジィは
「…良かった…」
と呟くと、ほっと吐息を吐いた。
デルデは煌めくような笑顔を見せ、告げた。
「心配してくれて、ありがとう。
…ともかくその後、父は女将さんにがみがみ怒られてた。
『こんな綺麗な子を、一人で放っとくなんて…!』
ってね。
父は、しょげまくっていた。
あんな…」
そう言って…思い出したのか。
デルデは肩を揺すり、目の縁に涙まで溜め、笑う。
「…くくっ…あんな、取り乱した父を見たのは。
後先にも、あれ一度切り」
そう言って、また可笑しそうにくっくっくっ、と笑う。
レジィはとうとう呆れ返ると、囁く。
「…だって乱暴されて…すごく怖かっただろうし、痛かったでしょう……?」
デルデはレジィに振り向く。
「でも君だって。
私が父に愛されてないんじゃないかって…思ったろう?
私もその時までは、そう思ってた。
父は私に、愛情なんて持ってないって。
そりゃ…痛かったし。
ひどい体験だったけど。
悪い事ばかりじゃない。
父が心配しまくると…あんなに取り乱すって、解ったからね」
レジィはそう言われて、こくん。と頷く。
「…確かに、それは良かったけど…」
その後デルデは、またその時の父を思い出したように笑う。
「…バツが悪かったんだろうな。
私が産まれ、性別が男だと知った途端。
父は強姦なんて心配は、一切必要無いと思い込んでたらしいから…。
父ときたらあれ以来、私の姿を見かけると、タメ息を吐いて言う。
『お前は母親、そっくりだったんだな』
…そして、肩を落としてしょげ返る。
子供みたいな人だろう?
でもそれから父は、私を男の子として扱わなくなって。
今度はまるで、お姫様扱い」
レジィは笑顔のデルデを見つめ、感想を口にした。
「…極端だよね…」
デルデは快活に笑った。
「そうなんだ!
けど母は冷静で、とても利口な人で。
父の対応に
『何を馬鹿な真似してるの?』
と、それは辛辣で」
レジィはじっ…と、デルデを見た。
「…凄い美人の、お母さん?」
デルデは素晴らしい美貌で頷く。
「…そう。
まるで叶う相手じゃ無いのに、父は言うんだ。
『だって…。
お前そっくりな顔が、男にのし掛かられるなんて耐えられない。
大事な一人息子が、あんな下賤な輩に汚されたんだぞ!』」
汚された、辺りでデルデは吹き出す。
レジィはまた、きょとん!とした。
「ああ、失礼…。
ずっとこの国に住んでるのに、父は一度も男に口説かれた経験が無い…。
だから、女性の気持ちがまるで分からない朴念仁。
ロットバルトも、多分そうだろうな。
ラステルは少年の頃、何回かはあるだろが…。
彼なんて口説いたら、上手く騙されて逆にあり金全部、取られそうだ」
レジィが目をまん丸にしてるので。
そこでデルデは初めて聞いた。
「ロットバルトとラステルは、もう思い出した?」
問われて、レジィは栗毛で鼻髭の、いかつい顔だけど頼り甲斐ある立派な男の顔が思い浮かぶ。
「ロットバルト…って…男らしくって…栗毛で鼻髭?」
デルデは頷く。
「そう」
ラステルは…真っ先に空色の瞳が浮かび、その後…爽やかな笑顔を浮かべる、明るい跳ねた栗毛の、人好きする感じの良い青年が思い浮かぶ。
「…ラステルって、空色の瞳?」
デルデは笑顔で頷く。
「そう。
で、話を続けるけど、この国の女性達は美少年の子供を持つと、貞操が危険だって、よく知ってる。
ごろつき達は突っ込めればナンでも良くて、特に力の弱い、女子供を狙うし。
護衛の居ない物騒な地に赴けば、一度はそういう目にあうしね。
だから母はけろりとして、父に言ったんだ。
『この国にはあんな輩はごろごろしてるし。
この先、同じ体験をしないとも限らないわ。
女の子と違って、男の子は閉じこめておけませんからね。
貴方も、息子の貞操が心配なら。
お姫様扱いしてないで、ちゃんと剣術を叩き込んだらどう?
唯一、貴方の誇れる特技でしょ?』」
レジィはデルデの話で、ぼんやり思い出した事を聞いてみる。
「…僕…の国では…。
悪い奴らは、食料を奪うよ?
それに、そういう事は子供にはしなくて、女性だけ…。
…この国では、違うの?」
デルデは頷く。
「違うんだ。
君らの国は、平地が少なくて地面がでこぼこしてて、小川や渓谷、小さな森がたくさんあって…。
逃げたら、幾らでも隠れられる。
でもこの国は、殆ど平地。
大人の男相手じゃ、逃げても大抵直ぐ掴まる。
女子供は捕まると、ほぼ間違いなく犯されるから。
…だから、汚されたなんて大袈裟で。
痛い目にあいたくなければ、気をつけるか。
武器を携帯し、相手を倒すしか、方法が無いんだ」
レジィはじっ、とそう言った…美しい男の人を、見つめた。
けれどデルデは顔を崩し、またくっ!と笑い始める。
「で…。
父はそれ以降、母から女の召使い全部に至るまで。
注意を怠った、ぼんくら扱いされ続けて…。
『こんな綺麗な少年を、たった一人。
しかも人気の無い納屋に、残していくなんて!』
って毎度。
私が居る時に父が通りかかると、彼女達の一人が必ずわざと、大声で叫ぶんだ。
それを聞いた途端、父は亀みたいに、頭引っ込め縮こまってね………」
レジィはその時とうとう、様子が思い浮かんで。
デルデと一緒に、くすくすくすっ…と笑った。
「その後、近所の農地の女将さんが騒ぎを聞きつけ、娘と共にすっ飛んで来てくれて…。
そこでやっと、私は手当てを受けられた」
デルデに見つめられたレジィは
「…良かった…」
と呟くと、ほっと吐息を吐いた。
デルデは煌めくような笑顔を見せ、告げた。
「心配してくれて、ありがとう。
…ともかくその後、父は女将さんにがみがみ怒られてた。
『こんな綺麗な子を、一人で放っとくなんて…!』
ってね。
父は、しょげまくっていた。
あんな…」
そう言って…思い出したのか。
デルデは肩を揺すり、目の縁に涙まで溜め、笑う。
「…くくっ…あんな、取り乱した父を見たのは。
後先にも、あれ一度切り」
そう言って、また可笑しそうにくっくっくっ、と笑う。
レジィはとうとう呆れ返ると、囁く。
「…だって乱暴されて…すごく怖かっただろうし、痛かったでしょう……?」
デルデはレジィに振り向く。
「でも君だって。
私が父に愛されてないんじゃないかって…思ったろう?
私もその時までは、そう思ってた。
父は私に、愛情なんて持ってないって。
そりゃ…痛かったし。
ひどい体験だったけど。
悪い事ばかりじゃない。
父が心配しまくると…あんなに取り乱すって、解ったからね」
レジィはそう言われて、こくん。と頷く。
「…確かに、それは良かったけど…」
その後デルデは、またその時の父を思い出したように笑う。
「…バツが悪かったんだろうな。
私が産まれ、性別が男だと知った途端。
父は強姦なんて心配は、一切必要無いと思い込んでたらしいから…。
父ときたらあれ以来、私の姿を見かけると、タメ息を吐いて言う。
『お前は母親、そっくりだったんだな』
…そして、肩を落としてしょげ返る。
子供みたいな人だろう?
でもそれから父は、私を男の子として扱わなくなって。
今度はまるで、お姫様扱い」
レジィは笑顔のデルデを見つめ、感想を口にした。
「…極端だよね…」
デルデは快活に笑った。
「そうなんだ!
けど母は冷静で、とても利口な人で。
父の対応に
『何を馬鹿な真似してるの?』
と、それは辛辣で」
レジィはじっ…と、デルデを見た。
「…凄い美人の、お母さん?」
デルデは素晴らしい美貌で頷く。
「…そう。
まるで叶う相手じゃ無いのに、父は言うんだ。
『だって…。
お前そっくりな顔が、男にのし掛かられるなんて耐えられない。
大事な一人息子が、あんな下賤な輩に汚されたんだぞ!』」
汚された、辺りでデルデは吹き出す。
レジィはまた、きょとん!とした。
「ああ、失礼…。
ずっとこの国に住んでるのに、父は一度も男に口説かれた経験が無い…。
だから、女性の気持ちがまるで分からない朴念仁。
ロットバルトも、多分そうだろうな。
ラステルは少年の頃、何回かはあるだろが…。
彼なんて口説いたら、上手く騙されて逆にあり金全部、取られそうだ」
レジィが目をまん丸にしてるので。
そこでデルデは初めて聞いた。
「ロットバルトとラステルは、もう思い出した?」
問われて、レジィは栗毛で鼻髭の、いかつい顔だけど頼り甲斐ある立派な男の顔が思い浮かぶ。
「ロットバルト…って…男らしくって…栗毛で鼻髭?」
デルデは頷く。
「そう」
ラステルは…真っ先に空色の瞳が浮かび、その後…爽やかな笑顔を浮かべる、明るい跳ねた栗毛の、人好きする感じの良い青年が思い浮かぶ。
「…ラステルって、空色の瞳?」
デルデは笑顔で頷く。
「そう。
で、話を続けるけど、この国の女性達は美少年の子供を持つと、貞操が危険だって、よく知ってる。
ごろつき達は突っ込めればナンでも良くて、特に力の弱い、女子供を狙うし。
護衛の居ない物騒な地に赴けば、一度はそういう目にあうしね。
だから母はけろりとして、父に言ったんだ。
『この国にはあんな輩はごろごろしてるし。
この先、同じ体験をしないとも限らないわ。
女の子と違って、男の子は閉じこめておけませんからね。
貴方も、息子の貞操が心配なら。
お姫様扱いしてないで、ちゃんと剣術を叩き込んだらどう?
唯一、貴方の誇れる特技でしょ?』」
レジィはデルデの話で、ぼんやり思い出した事を聞いてみる。
「…僕…の国では…。
悪い奴らは、食料を奪うよ?
それに、そういう事は子供にはしなくて、女性だけ…。
…この国では、違うの?」
デルデは頷く。
「違うんだ。
君らの国は、平地が少なくて地面がでこぼこしてて、小川や渓谷、小さな森がたくさんあって…。
逃げたら、幾らでも隠れられる。
でもこの国は、殆ど平地。
大人の男相手じゃ、逃げても大抵直ぐ掴まる。
女子供は捕まると、ほぼ間違いなく犯されるから。
…だから、汚されたなんて大袈裟で。
痛い目にあいたくなければ、気をつけるか。
武器を携帯し、相手を倒すしか、方法が無いんだ」
レジィはじっ、とそう言った…美しい男の人を、見つめた。
けれどデルデは顔を崩し、またくっ!と笑い始める。
「で…。
父はそれ以降、母から女の召使い全部に至るまで。
注意を怠った、ぼんくら扱いされ続けて…。
『こんな綺麗な少年を、たった一人。
しかも人気の無い納屋に、残していくなんて!』
って毎度。
私が居る時に父が通りかかると、彼女達の一人が必ずわざと、大声で叫ぶんだ。
それを聞いた途端、父は亀みたいに、頭引っ込め縮こまってね………」
レジィはその時とうとう、様子が思い浮かんで。
デルデと一緒に、くすくすくすっ…と笑った。
0
お気に入りに追加
286
あなたにおすすめの小説
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
奴隷騎士のセックス修業
彩月野生
BL
魔族と手を組んだ闇の軍団に敗北した大国の騎士団。
その大国の騎士団長であるシュテオは、仲間の命を守る為、性奴隷になる事を受け入れる。
軍団の主力人物カールマーと、オークの戦士ドアルと共になぶられるシュテオ。
セックスが下手くそだと叱責され、仲間である副団長コンラウスにセックス指南を受けるようになるが、快楽に溺れていく。
主人公
シュテオ 大国の騎士団長、仲間と国を守るため性奴隷となる。
銀髪に青目。
敵勢力
カールマー 傭兵上がりの騎士。漆黒の髪に黒目、黒の鎧の男。
電撃系の攻撃魔術が使える。強欲で狡猾。
ドアル 横柄なオークの戦士。
シュテオの仲間
副団長コンラウス 金髪碧眼の騎士。女との噂が絶えない。
シュテオにセックスの指南をする。
(誤字脱字報告不要。時間が取れる際に定期的に見直してます。ご報告頂いても基本的に返答致しませんのでご理解ご了承下さいます様お願い致します。申し訳ありません)
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
公開凌辱される話まとめ
たみしげ
BL
BLすけべ小説です。
・性奴隷を飼う街
元敵兵を性奴隷として飼っている街の話です。
・玩具でアナルを焦らされる話
猫じゃらし型の玩具を開発済アナルに挿れられて啼かされる話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる