森と花の国の王子

あーす。

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記憶を無くしたレジィリアンス

デルデロッテの告白

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「7・8歳の時だった…」

デルデは、ぽつり…と語り始めるので、レジィは彼の肩に頭を埋め、聞いていた。

「父と共に、領地の農場に行った時の事。
父は森に張った罠に、獲物がかかってないか見に行く。
そう言って、一人で出かけてしまい、私はぽつんと残され…。
一人で納屋で、探検ごっこして遊んでた。
が。
タチの悪いごろつき共が、その辺をうろついているのを…。
久しぶりに来た父は、知らなかった。
それで…」

レジィの表情がみるみるうち、不安に襲われ、曇り始める。
けれどデルデはレジィを見ないまま、話を続けた。

「納屋の中にごろつきが押し入って来た。
四人…いたかな?
ともかく、あっという間に捕まって。
衣服を剥がれたよ」

レジィは震える小声で尋ねた。
「…デルデ、それって…」

デルデロッテの声は、変わらず平静。
さらっと答える。
「…そう、乱暴された」

レジィは自分の身に起きた事が朧に蘇りかけ、ぞっとしてデルデにしがみつく。
労るように。

デルデはそれを感じたものの、少しも湿っぽくならず、快活に話を続ける。
「…ともかく、一人目の男にしゃにむに突っ込まれて。
痛いのなんの。
目から火が出そうだったよ。
二人目のをねじ込まれた時には、それと解るくらい出血していたな。
三人目で…多分出血か痛みのショックで…意識を失いかけた。
が、四人目は…。
不思議な事に、随分と良かったんだ。
その男は、かなり優しくしてくれたからね」
「…でも…!そんなのって…!!!
まだたったの、8歳だったんでしょう?!」

レジィのか細い声は、悲鳴に近かった。

けど相変わらずデルデは、微笑すら浮かべて話を続ける。
「…そうだけど…。
そういう話は、良く聞いてた。
けどまさか自分が…なんて、思わなかったんだ。
だって、いつも私と母とじゃ。
母の美貌がダントツ、引き立つだろう?
綺麗な少年には注意が必要だと、聞いてはいたけど…。
自分が当てはまるとは、まるで考えてなかった」

レジィはデルデの横顔を、じっ…と見た。
とても綺麗な顔立ち。
幼かった時は…きっととても目立つ、美少年だったろう…。

けれどデルデの快活さは、失われなかった。
「…多分、父も。
私が男に襲われる美少年だなんて、まるで考えてなかったと思う。
彼の眼中には、母しか無かったからね」

それを聞いてレジィリアンスは、デルデが父に…愛されてないのかと心配した。
が、デルデは明朗な声音で話し続ける。
「…ともかく四人目が済んだ時。
私はもうだらだら血を流していたし、意識を無くす寸前。
最初の男が、再び突っ込もうと腕を引いた。
その時、四人目の男が殴りかかってくれたんだ」

「………………」
レジィはどう反応していいか、まるで解らなかった。

デルデは思い出して…少し、笑いながら告げる。
「けど、三対一だろう?
四人目の男は二人に押さえ込まれ、ぼこぼこにされてしまった。
そうして一人目の男が、再び私を犯そうと腕を引いた時。
私は真剣、これ以上傷ついて出血したら死んでしまうかも!と思って…。
必死で叫んだ。
一人目の男は酷く乱暴で…ヘタクソだったからね。
…ともかくその農場は、父と私以外は誰も居なかったけど。
そんな事言ってられず、必死で遮二無二、叫びまくった。
『助けて!!!助けて!!!』
ってね…。
…その時だったよ」

レジィは“その時”を聞いて、助け手が現れるんだと予想出来、ほっとしてデルデを見た。

デルデは…けれど…思い出すと楽しくて仕方ないみたいに、くすくすくすっと笑うから。
レジィリアンスは、きょとん。とした。

「…ああ、失礼。
今思い出しても…笑えるんだけど。
父がね。
顔を…そりゃ遠目から解るくらい、真っ赤にして。
何やら大声で喚きながら、両手をぶんぶんぶん回し、鬼のような形相で突進して来た。
腰に下げていた剣を、走るのに邪魔だからと投げ捨て、私を犯そうとした男に飛びかかって殴りつける。
私は呆けて…。
父が背後に投げ捨て、遠くの草の上に転がってる剣を、暫く眺めてたよ。
剣を、投げ捨てるだなんて!
父は剣の名手なのに、一体どれだけ取り乱してたんだか…。
呆れるだろう?」

凄く愉快そうに笑うデルデに、レジィは目を、まんまるにした。

デルデは少し笑い止むと、その後を話出す。
「父は私を犯そうとした男を組み強いて、殴る殴る…!
二人の男が慌てて加勢に入るけど…。
ぶんぶん腕をぶん回し、二人共をふっ飛ばし。
まだ組み敷いた一人目を、父は殴り続けてた。
いつまでたっても父は殴り続けるから…。
とうとう男はひいひい泣いて、父に命乞いをした程だ。
父は気が済んだように膝立ちすると、背後に吹っ飛ばした男に振り向いて突進し、殴りかかる。
三人目の男はビビリまくり、仲間を見捨て、一目散に逃げ始めた。
ともかく…。
男達が体を引きずって、必死に逃げ始めると。
やっと父は、私に振り返った。
下半身剥かれ、後ろからだらだら出血してるもんだから。
父は、真っ青になってね」

そこで、デルデはおかしくてたまらない。
と言う表情で、笑い出す。
レジィは心から、びっくりした。

「…くっくっくっくっ…それまで…真っ赤だった父の顔が。
本当に、一気に青くなって…。
私は今まで、あんな一瞬で顔色が変わったのを見たのは。
後にも先にも、その時一度きりだ…!」

デルデが、おかしくてたまらない…!
と言うように、笑いながら肩を揺らすので。
レジィは、心から呆れた。

「ともかく、いきなり私を抱きしめると。
その後、子供のような大声で泣き喚き始める。
『デルデロッテが死んでしまう!!!
どうしよう、死んでしまう!!!
死んじまうーーー!!!』」

レジィはデルデが、父親に愛されてないんじゃ無いかと思ったのは、誤解で。
凄く心配されたのを聞いて、心底ほっとした。

けれど、デルデはぼやいた。
「私の方は、出血で失神しかけてたから。
さっさと手当てをしてもらいたかったけどね」

レジィは再び、その文句を聞いて、目を丸くしてデルデロッテを見つめた。
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