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誘拐されたレジィリアンス
塔の上の攻防
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ざざざざざっ!!!
やっと木々の途切れた草地で、案内役のラステル配下は馬を必死に止める。
テリュスは抜き去った途端気づき、慌てて馬を止めた。
次に飛び込んで来た案内役の男は直ぐ気づき、横に馬を避けて止める。
が、後続のエリューンは。
少し遅れて来たので気づかず、駆け抜けてテリュスを追い抜いた後、慌てて馬を止め。
デルデロッテも併走して先に皆の姿が無いのに気づき、手綱を思い切り引いて、馬を止める。
テリュスが振り向くと、案内役の男は上空を…空を、見つめていた。
テリュスも顔を上げる。
月明かりの夜空に、籠が遙か上空を滑って行き、そのかなり後からなんとか。
小さな黒い人影が。
ロープらしき細い綱を、滑って行くのが見えた。
「…こちらだ!!!」
案内役の男は着地先の塔に見当付け、咄嗟手綱を回し叫ぶ。
直ぐ、もう一人の案内役も併走し、二人が言葉を交わしながら、道を草原に向けて駆け始め、テリュスは一気に上がる速度に、追随して拍車かける。
二人の案内役は、上空の滑る籠と速度を競うように疾走し、テリュスも必死に馬と共に駆け続けた。
エリューンは先の皆が、どういう訳で急いでるかに気づく。
“レジィが見つかった?!”
先を猛烈に急ぎかけた矢先、併走するデルデロッテが上空へと視線を促す。
エリューンはデルデロッテを二度見し、けど二度とも首を僅かに振られて上に促され、やっと顔を上げて夜空を見上げた。
籠が夜空を滑って行き、その先の…あまり高さの無い、小さな塔の屋上へと。
到達しようとしていた。
エリューンはあの籠に、レジィが乗っているからこそ。
皆が必死に馬を急かしてるのだと理解する。
とうとう籠は塔の屋上に到達し、草地の向こうにそびえ立つ、荒廃した石の瓦礫のような塔が見え始める。
エリューンは気づくとも無く馬を猛烈に、駆けさせた。
籠が、がくん!!!
と大きく揺れ、レジィは籠から飛び出しそうになって、籠の縁に手を伸ばす。
けれどレガートにきつく抱き寄せられ、もがいた。
腰を掴む腕を、押そうとするのに…。
まるで力が入らず、レジィは愕然とした。
喉が渇いてた時。
喉に注がれた水に、薬が混ぜられてたのだと、突然気づく。
レガートの、きつく抱く腕の力が緩んでも。
床についた足は力が抜けきっていて、ロクに立つ事すらままならない…!
突然。
腰に回された腕が解かれ、レジィは転がりそうになって、籠の縁に手を伸ばす。
が、掴む事も出来ず、籠の縁に体ごと倒れかかり、転ぶのは何とか防げた。
顔を上げると、籠から飛び降りたレガートは、今滑ってきた方向を見つめながらナイフを取り出していた。
視線を落とすと、石床の端に鉄の大きな輪が埋め込まれていて、その鉄の輪に、ロープの先が括られている。
レジィはロープの先を目で追った。
その先に、滑ってくる…人影が見えた。
かなり遠くだけど、どんどん近く…大きくなって来る!!!
“エウロペ…!!!”
確信出来た。
心の中で叫んだ途端、ロープを伝ってこちらに滑ってくる黒い人影は、一瞬輝くように見えたから。
懐かしい…暖かく強く、大きな瞬き。
けれどレジィは、その時不安を感じ、レガートに振り向く。
レガートは遮二無二ロープを…エウロペがこの屋根に辿り着く、その前に!
斬り落とそうとしている!!!
レジィは籠の縁を掴み、どすん!!!と音立て、籠から落ちた。
痛みも感じなかった。
立ち上がろうとしても、足が利かない。
けれどレジィは自分を叱咤し、必死で立ち上がる。
…おぼつかない足どりで、ヨロめきながらも歩を進める。
“レガートのナイフの動きを、止めなくちゃ!!!”
視線を向けると、今や太いロープの半分まで切れていて、レガートはエウロペが辿り着く前に切り落とせると確信し、笑みを浮かべながらナイフを引いている。
「…ダメ…っ!!!」
レジィはヨロめきながら、レガートの動く腕に手を伸ばす。
肘にレジィの手が絡んだ途端、レガートは思いっきり腕を振った。
ザンッ!!!
吹っ飛ばされ、レジィは床に転がる。
けれど…エウロペはもう直、ここに着く!
もしその前に、ロープが切れたら…!!!
気が気でなくて、レジィは必死に立ち上がり、再びレガートの腕に飛びついた。
「…邪魔だ!」
また、思いっきり振り払われる。
けど今度レジィは、必死にナイフを引くレガートの腕にしがみつき、離れなかった。
「ダメ…っ!!!
絶対…ダメ!!!」
レガートは近づくエウロペを睨めつけ、振り払う時間も惜しみ、レジィを腕に巻き付けたまま、必死にナイフを引いた。
塔の近くにはもう、ラステル配下の男が二人、駆けつけて来ていて、案内役の男は馬から飛び降り、叫ぶ。
「入り口は…!」
「こっちだ!!!」
エリューンも馬から飛び降り、後に続こうとした。
が、テリュスは馬から降りた後、上空を見つめてる。
エリューンも視線を送るが、かなり遅れて小さな人影が。
ロープを滑って行くのが見えた。
「あれは…エウロペ…?!」
「先に行け!!!」
テリュスに言われ、エリューンは塔の入り口に駆ける、ラステル配下四人に視線を送る。
が、その時入り口から、賊らが続々と姿を見せ始め…剣を抜いて、塔の前に立ち塞がった。
やっと木々の途切れた草地で、案内役のラステル配下は馬を必死に止める。
テリュスは抜き去った途端気づき、慌てて馬を止めた。
次に飛び込んで来た案内役の男は直ぐ気づき、横に馬を避けて止める。
が、後続のエリューンは。
少し遅れて来たので気づかず、駆け抜けてテリュスを追い抜いた後、慌てて馬を止め。
デルデロッテも併走して先に皆の姿が無いのに気づき、手綱を思い切り引いて、馬を止める。
テリュスが振り向くと、案内役の男は上空を…空を、見つめていた。
テリュスも顔を上げる。
月明かりの夜空に、籠が遙か上空を滑って行き、そのかなり後からなんとか。
小さな黒い人影が。
ロープらしき細い綱を、滑って行くのが見えた。
「…こちらだ!!!」
案内役の男は着地先の塔に見当付け、咄嗟手綱を回し叫ぶ。
直ぐ、もう一人の案内役も併走し、二人が言葉を交わしながら、道を草原に向けて駆け始め、テリュスは一気に上がる速度に、追随して拍車かける。
二人の案内役は、上空の滑る籠と速度を競うように疾走し、テリュスも必死に馬と共に駆け続けた。
エリューンは先の皆が、どういう訳で急いでるかに気づく。
“レジィが見つかった?!”
先を猛烈に急ぎかけた矢先、併走するデルデロッテが上空へと視線を促す。
エリューンはデルデロッテを二度見し、けど二度とも首を僅かに振られて上に促され、やっと顔を上げて夜空を見上げた。
籠が夜空を滑って行き、その先の…あまり高さの無い、小さな塔の屋上へと。
到達しようとしていた。
エリューンはあの籠に、レジィが乗っているからこそ。
皆が必死に馬を急かしてるのだと理解する。
とうとう籠は塔の屋上に到達し、草地の向こうにそびえ立つ、荒廃した石の瓦礫のような塔が見え始める。
エリューンは気づくとも無く馬を猛烈に、駆けさせた。
籠が、がくん!!!
と大きく揺れ、レジィは籠から飛び出しそうになって、籠の縁に手を伸ばす。
けれどレガートにきつく抱き寄せられ、もがいた。
腰を掴む腕を、押そうとするのに…。
まるで力が入らず、レジィは愕然とした。
喉が渇いてた時。
喉に注がれた水に、薬が混ぜられてたのだと、突然気づく。
レガートの、きつく抱く腕の力が緩んでも。
床についた足は力が抜けきっていて、ロクに立つ事すらままならない…!
突然。
腰に回された腕が解かれ、レジィは転がりそうになって、籠の縁に手を伸ばす。
が、掴む事も出来ず、籠の縁に体ごと倒れかかり、転ぶのは何とか防げた。
顔を上げると、籠から飛び降りたレガートは、今滑ってきた方向を見つめながらナイフを取り出していた。
視線を落とすと、石床の端に鉄の大きな輪が埋め込まれていて、その鉄の輪に、ロープの先が括られている。
レジィはロープの先を目で追った。
その先に、滑ってくる…人影が見えた。
かなり遠くだけど、どんどん近く…大きくなって来る!!!
“エウロペ…!!!”
確信出来た。
心の中で叫んだ途端、ロープを伝ってこちらに滑ってくる黒い人影は、一瞬輝くように見えたから。
懐かしい…暖かく強く、大きな瞬き。
けれどレジィは、その時不安を感じ、レガートに振り向く。
レガートは遮二無二ロープを…エウロペがこの屋根に辿り着く、その前に!
斬り落とそうとしている!!!
レジィは籠の縁を掴み、どすん!!!と音立て、籠から落ちた。
痛みも感じなかった。
立ち上がろうとしても、足が利かない。
けれどレジィは自分を叱咤し、必死で立ち上がる。
…おぼつかない足どりで、ヨロめきながらも歩を進める。
“レガートのナイフの動きを、止めなくちゃ!!!”
視線を向けると、今や太いロープの半分まで切れていて、レガートはエウロペが辿り着く前に切り落とせると確信し、笑みを浮かべながらナイフを引いている。
「…ダメ…っ!!!」
レジィはヨロめきながら、レガートの動く腕に手を伸ばす。
肘にレジィの手が絡んだ途端、レガートは思いっきり腕を振った。
ザンッ!!!
吹っ飛ばされ、レジィは床に転がる。
けれど…エウロペはもう直、ここに着く!
もしその前に、ロープが切れたら…!!!
気が気でなくて、レジィは必死に立ち上がり、再びレガートの腕に飛びついた。
「…邪魔だ!」
また、思いっきり振り払われる。
けど今度レジィは、必死にナイフを引くレガートの腕にしがみつき、離れなかった。
「ダメ…っ!!!
絶対…ダメ!!!」
レガートは近づくエウロペを睨めつけ、振り払う時間も惜しみ、レジィを腕に巻き付けたまま、必死にナイフを引いた。
塔の近くにはもう、ラステル配下の男が二人、駆けつけて来ていて、案内役の男は馬から飛び降り、叫ぶ。
「入り口は…!」
「こっちだ!!!」
エリューンも馬から飛び降り、後に続こうとした。
が、テリュスは馬から降りた後、上空を見つめてる。
エリューンも視線を送るが、かなり遅れて小さな人影が。
ロープを滑って行くのが見えた。
「あれは…エウロペ…?!」
「先に行け!!!」
テリュスに言われ、エリューンは塔の入り口に駆ける、ラステル配下四人に視線を送る。
が、その時入り口から、賊らが続々と姿を見せ始め…剣を抜いて、塔の前に立ち塞がった。
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