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誘拐計画
闘争
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先頭を、速度を落とさず突っ走るテリュスを見、ラステルは懐を探る。
細長い金属の笛を取り出すと、一気に吹いた。
キィィィィーーーーーーーーーーーーン!!!
甲高い音がそこら中に鳴り響き、テリュスは振り返ろうかとも思った。
が、敵は20m向こうから、どんどん距離を詰めていた。
左手で手綱を繰り、右手で腰に差した木の棒を取り出す。
あっという間に10mと距離が縮まった時。
テリュスは一本に折りたたまれた、木の棒を開く。
それは小さな弓となった。
棒の横に付いていた、小さな木の矢をつがえ、引く。
瞬時に二本を放った。
「!」
ラステルはテリュスの背後で、向かい来る黒装束の先頭、二人が、顔を歪め身を跳ね上げ、馬上から落ちるのを見た。
どっっっ!!!
また一人!
そしてもう一人。
ドォッ!!!
テリュスの速度が落ち、ラステルは斜め横に併走して初めて。
テリュスが手綱を放し、両手で小ぶりの弓矢を放ってる姿を目にした。
ド…ンッ!!!
また一人が。
飛び来る小さく鋭い矢で射られ、痛みに身を仰け反らせ、馬上でバランスを崩し、馬から落ちて行った。
が、向かい来る賊の後続らが群れから離れ、一気に土手を駆け下りて行く。
テリュスはそれを見た途端、手綱を握ると土手から川辺へ。
駆け下りて行く敵を迎え撃つように、馬を走らせた。
ラステルは、直ぐ後ろに迫る駒音に振り向く。
剣を抜くエリューンに、首を振ってテリュスへと促す。
エリューンは頷きもせず、直ぐ馬の首を土手の端へと向け、川岸へ一直線に下って行った。
半数は川辺へと降りて行ったが、それでも十数騎は向かって来る。
ラステルは背後、馬を繰るロットバルトと、後ろに跨がり既に剣を抜く、エルデリオンを見た。
が、エルデリオンが手に握る剣は、短剣よりは長いものの緊急用に常に身につけている、細く短い華奢な剣。
2mと、敵との距離が縮まると。
ラステルは懐から短剣よりも更に小さな、釘のような剣を手に持ち、敵に向かって投げた。
しゅっ!しゅっ!
どんっ!
ドオッ!!!
“…ともかく、笛で呼んだ部下達が。
駆けつける間に少しでも、敵の数を減らす!”
ラステルはまた、三振り投げて敵を馬上から叩き落とし、向かい来る敵の数を減らした。
川ではエウロペが、遮二無二両手で押し下げようとする賊の腕を掴もうと、腕を伸ばす。
が、賊は舳先に掴まるエウロペの手首を握り、引き剥がそうと力を込める。
エウロペの手が、舳先を離すと同時。
エウロペが賊の腕を掴み、思い切り引き。
賊はバランス崩し、ボート上から転がって川へと
ずぶん!
と大きな水音立て、落ちて行った。
デルデロッテも今だ船の縁に掴まりながら、川へと押し戻そうとする賊と、掴み合いをしていた。
が、ボートの漕ぎ手は今だ漕ぐのを止めず。
エウロペがようやく、両腕で縁に掴まり身を乗り上げた時。
気絶したレジィリアンスの胴に、なめし革に空気を入れた、浮き輪を括り付けていた男が、焦った表情でエウロペに視線を投げる。
エウロペは縁に足をかけようと、数度滑り。
それでもやっと足を引っかけ、身をボートへと、乗り上げた。
が、ボートに降り立つと、漕ぎ手がオールを捨て、エウロペの足に両腕絡ませる。
その間に、レジィリアンスに浮き輪を付けた男は華奢な少年の体を抱き上げ、川の支流をしきりに覗う。
「!」
デルデロッテは男がもう、何をする気か。
分かって賊に縁を掴む手を握らせ、エウロペに叫んだ。
「支流は流れが速い!!!」
言うなり、思いっきり足を持ち上げ、のし掛かる男の腹に足を押しつけ、そのまま蹴って川へと、投げ入れた。
どっぽん!!!
ザッ!!!
デルデロッテも一気に身を持ち上げ、ボートに乗り込む。
エウロペは足に両腕巻き付ける、賊の腕を外そうともがいていた。
が、デルデロッテの叫びを聞くなり、賊の喉に手を瞬間、強く当てた。
賊はぐったりし、エウロペは絡む腕から足を引き抜き、ボートの反対端へ駆けつける。
デルデロッテも、濡れたブーツで滑りながらも駆け寄る。
が、男はもうレジィリアンスの身を、支流へと続く川へ、投げ入れた。
ザッブン!!!
レジィリアンスが投げ込まれた直後。
賊らは一斉にオールを投げ捨て、ひたすらエウロペとデルデロッテに乗しかかり、二人が後を追い、川へと飛び込むのを防ぎ始める。
が、エウロペは瞬間腕を振り、一人は喉。
もう一人はみぞおちに拳当て、ボートを飛んで跨ぎ、一気に川へ飛び込んだ。
ザッブン!!!
川の支流は、確かに流れが速かった。
浮き輪を付けたレジィリアンスは、あっという間に早い流れで下り行き、うんと下流にその姿を消して行く。
エウロペは必死に泳ぎ始めた。
デルデロッテも少し遅れて川へと飛び込む。
が、その時川岸へ、馬で駆け下りた黒装束の賊らが、続々と川に飛び込み。
デルデロッテへと、泳ぎ寄る。
テリュスは馬に乗ったまま川へ飛び込むと、泳ぐ馬上から矢を放つ。
ひゅん!!!
泳ぐデルデロッテの衣服を掴もうとした賊は、肩に手をやり、水中に沈んだ。
エリューンも同様、馬ごと川へ突っ込むと。
泳ぎ来る賊に剣を振って薙ぎ払い、支流の岸を目指した。
デルデロッテがようやく、川の支流へと泳ぎ入る。
一気に流れに押され、下流へ流されて行きながらも、先を覗うが。
レジィリアンスの姿は、最早まるで見えず。
遙か先、泳ぐエウロペが凄まじく流れる水の間に覗い見え、猛烈に両腕回し、泳ぎ始めた。
細長い金属の笛を取り出すと、一気に吹いた。
キィィィィーーーーーーーーーーーーン!!!
甲高い音がそこら中に鳴り響き、テリュスは振り返ろうかとも思った。
が、敵は20m向こうから、どんどん距離を詰めていた。
左手で手綱を繰り、右手で腰に差した木の棒を取り出す。
あっという間に10mと距離が縮まった時。
テリュスは一本に折りたたまれた、木の棒を開く。
それは小さな弓となった。
棒の横に付いていた、小さな木の矢をつがえ、引く。
瞬時に二本を放った。
「!」
ラステルはテリュスの背後で、向かい来る黒装束の先頭、二人が、顔を歪め身を跳ね上げ、馬上から落ちるのを見た。
どっっっ!!!
また一人!
そしてもう一人。
ドォッ!!!
テリュスの速度が落ち、ラステルは斜め横に併走して初めて。
テリュスが手綱を放し、両手で小ぶりの弓矢を放ってる姿を目にした。
ド…ンッ!!!
また一人が。
飛び来る小さく鋭い矢で射られ、痛みに身を仰け反らせ、馬上でバランスを崩し、馬から落ちて行った。
が、向かい来る賊の後続らが群れから離れ、一気に土手を駆け下りて行く。
テリュスはそれを見た途端、手綱を握ると土手から川辺へ。
駆け下りて行く敵を迎え撃つように、馬を走らせた。
ラステルは、直ぐ後ろに迫る駒音に振り向く。
剣を抜くエリューンに、首を振ってテリュスへと促す。
エリューンは頷きもせず、直ぐ馬の首を土手の端へと向け、川岸へ一直線に下って行った。
半数は川辺へと降りて行ったが、それでも十数騎は向かって来る。
ラステルは背後、馬を繰るロットバルトと、後ろに跨がり既に剣を抜く、エルデリオンを見た。
が、エルデリオンが手に握る剣は、短剣よりは長いものの緊急用に常に身につけている、細く短い華奢な剣。
2mと、敵との距離が縮まると。
ラステルは懐から短剣よりも更に小さな、釘のような剣を手に持ち、敵に向かって投げた。
しゅっ!しゅっ!
どんっ!
ドオッ!!!
“…ともかく、笛で呼んだ部下達が。
駆けつける間に少しでも、敵の数を減らす!”
ラステルはまた、三振り投げて敵を馬上から叩き落とし、向かい来る敵の数を減らした。
川ではエウロペが、遮二無二両手で押し下げようとする賊の腕を掴もうと、腕を伸ばす。
が、賊は舳先に掴まるエウロペの手首を握り、引き剥がそうと力を込める。
エウロペの手が、舳先を離すと同時。
エウロペが賊の腕を掴み、思い切り引き。
賊はバランス崩し、ボート上から転がって川へと
ずぶん!
と大きな水音立て、落ちて行った。
デルデロッテも今だ船の縁に掴まりながら、川へと押し戻そうとする賊と、掴み合いをしていた。
が、ボートの漕ぎ手は今だ漕ぐのを止めず。
エウロペがようやく、両腕で縁に掴まり身を乗り上げた時。
気絶したレジィリアンスの胴に、なめし革に空気を入れた、浮き輪を括り付けていた男が、焦った表情でエウロペに視線を投げる。
エウロペは縁に足をかけようと、数度滑り。
それでもやっと足を引っかけ、身をボートへと、乗り上げた。
が、ボートに降り立つと、漕ぎ手がオールを捨て、エウロペの足に両腕絡ませる。
その間に、レジィリアンスに浮き輪を付けた男は華奢な少年の体を抱き上げ、川の支流をしきりに覗う。
「!」
デルデロッテは男がもう、何をする気か。
分かって賊に縁を掴む手を握らせ、エウロペに叫んだ。
「支流は流れが速い!!!」
言うなり、思いっきり足を持ち上げ、のし掛かる男の腹に足を押しつけ、そのまま蹴って川へと、投げ入れた。
どっぽん!!!
ザッ!!!
デルデロッテも一気に身を持ち上げ、ボートに乗り込む。
エウロペは足に両腕巻き付ける、賊の腕を外そうともがいていた。
が、デルデロッテの叫びを聞くなり、賊の喉に手を瞬間、強く当てた。
賊はぐったりし、エウロペは絡む腕から足を引き抜き、ボートの反対端へ駆けつける。
デルデロッテも、濡れたブーツで滑りながらも駆け寄る。
が、男はもうレジィリアンスの身を、支流へと続く川へ、投げ入れた。
ザッブン!!!
レジィリアンスが投げ込まれた直後。
賊らは一斉にオールを投げ捨て、ひたすらエウロペとデルデロッテに乗しかかり、二人が後を追い、川へと飛び込むのを防ぎ始める。
が、エウロペは瞬間腕を振り、一人は喉。
もう一人はみぞおちに拳当て、ボートを飛んで跨ぎ、一気に川へ飛び込んだ。
ザッブン!!!
川の支流は、確かに流れが速かった。
浮き輪を付けたレジィリアンスは、あっという間に早い流れで下り行き、うんと下流にその姿を消して行く。
エウロペは必死に泳ぎ始めた。
デルデロッテも少し遅れて川へと飛び込む。
が、その時川岸へ、馬で駆け下りた黒装束の賊らが、続々と川に飛び込み。
デルデロッテへと、泳ぎ寄る。
テリュスは馬に乗ったまま川へ飛び込むと、泳ぐ馬上から矢を放つ。
ひゅん!!!
泳ぐデルデロッテの衣服を掴もうとした賊は、肩に手をやり、水中に沈んだ。
エリューンも同様、馬ごと川へ突っ込むと。
泳ぎ来る賊に剣を振って薙ぎ払い、支流の岸を目指した。
デルデロッテがようやく、川の支流へと泳ぎ入る。
一気に流れに押され、下流へ流されて行きながらも、先を覗うが。
レジィリアンスの姿は、最早まるで見えず。
遙か先、泳ぐエウロペが凄まじく流れる水の間に覗い見え、猛烈に両腕回し、泳ぎ始めた。
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