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逢瀬
早朝の乱闘
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エウロペが入って来た途端、全員がシン…と静まり返り、場は固まった。
エウロペはエルデリオンのガウンを羽織った、恥ずかしげなレジィリアンスの様子を、目を見開き見つめる。
直後、寝台と共同の居間の扉の中間に、背を向けて立つエルデリオン。
そして開いた扉の向こうに姿を見せる、ロットバルトとデルデロッテを、殺気籠もる凄まじい緑の瞳で、ジロリ…!と睨んだ。
「…ああレジィリアンス殿が、足をくじいてしまって。
それで薬草を」
さすが、最年長のロットバルト。
誰一人口を開けず固まる中、唯一人、言い訳を口にした。
エウロペはそれを聞くなり、つかつかとレジィの寝台に歩み寄る。
そして、恥じらい俯くレジィに、チラ…と視線を投げた後。
サイドテーブルの水の瓶を持ち上げ、匂いを嗅ぐ。
瓶を置き、次に寝台に乗り上がると、枕の匂いを嗅いだ。
枕の下から、布に包まれた、小さな香り袋を取り出すと、固まってるオーデ・フォール一同に差し示し、怒鳴り付ける。
「…誰がこれを!!!」
エルデリオンは香り袋を見て目を見開き、エウロペ激怒の、意味が分からず呆け。
ロットバルトとデルデロッテが、揃って首を横に振る中。
デルデロッテの背後にやって来ていたラステルが、デカいデルデロッテの体を押し退け、部屋の中に入っ来ると、言って退ける。
「…私が」
だんっ!
エウロペはラステルを急襲し、ラステルの喉に腕を当て、一気にその背を壁へと押しつけた。
ラステルは咄嗟、エウロペの腕と喉の間に自分の右腕を挟み入れ、喉の骨が、折れるのを防ぐ。
エウロペは間近でラステルの顔を見つめ、凄まじい声で怒鳴りつけた。
「…これは香媚薬だ!
こんな手を使って!
エルデリオンにレジィを襲われせたのか?!!!!」
エルデリオンはなぜ…レジィがあれ程体がおかしいと訴え続け…。
そして簡単に抱けた事に思い当たり、愕然とした後、ゆっくり…エウロペに背を壁に押しつけられてる、ラステルに振り向く。
ラステルはエウロペの腕で喉を圧迫され、間近に歯を剥くエウロペの顔を見つつも、落ち着き払った声音で、デルデロッテとロットバルトに告げる。
「ここは…大…丈夫だから。
早くエルデリオンを連れ…二人は、式典へ」
ロットバルトが、自身の腕で防ぐものの、明らかに首を腕で圧迫されかけてる、窮地のラステルを見、ぼやく。
「いや、大丈夫じゃないだろう…」
ぐいぐい腕を押し付け、ラステルの喉を潰そうとし、凄まじい迫力でラステルを締め上げるエウロペに、とうとうデルデロッテが駆け寄って、腕を掴もうと手を伸ばしかける。
「やめろ!!!」
ラステルに鋭い声で叫ばれ、デルデロッテは呆けてラステルを見つめた。
エウロペは自分に言われたと思った。
が、横に来たデルデロッテが、ラステルの喉に当ててる自分の腕を掴もうと、伸ばしかけた手を咄嗟、止めるのを見た。
とうとうレジィが、怒りの塊の、エウロペに囁く。
「そんなに喉を圧迫したら…!
どうしてラステル様がそうしたのか、聞けないと思う…」
エウロペは、エルデリオンに抱かれ、すっかり艶の増したレジィリアンスに、悲しげな視線を一瞬送り、喉を押す腕の力を抜く。
ラステルは空色の瞳で、凄まじく睨むエウロペに負けないほど真っ直ぐ見つめ返し、囁いた。
「引け。
デルデロッテ。
君が手を出せば、この場は修羅と化す」
デルデロッテはエウロペが容赦しないほど怒ってるのを目にし、止めようと持ち上げ、そのまま静止させた、腕を下げた。
ラステルは自分より顔半分背の高いエウロペを見上げ、言い放つ。
「…確かめたかった」
「…なにを?!」
「レジィリアンス殿が、貴方に助けを求めるか。
それともエルデリオンかを」
もうその件を耳にした途端、ロットバルトは室内に入り、エルデリオンの手を引こうとし、エルデリオンに腕を払われ、耳元で囁く。
「そんな出で立ちでは、式典に出られない。
一刻も早く着替えないと」
エウロペはラステルが。
“やっぱり食えない食わせ物だ”と内心呟き、苦虫噛みつぶした表情を見せながらも。
低く、怒り籠もる声音で尋ねる。
「…つまりエルデリオンの、命じゃ無いと?」
ラステルは素早く囁き返す。
「エルデリオンは何も知らない。
私の独断だ。
レジィリアンスが選んだのは。
結局貴方では無く、エルデリオン。
…つまりその程度に、レジィリアンス殿はエルデリオンに、好意を持ってる」
ざっっっ!
エウロペはラステルの喉に押し当てた腕を一気に下ろし、忌々しげにラステルを睨めつけた。
「…本当に、エルデリオンの企みじゃ無いんだな?!」
ラステルは喉に手を当てさすりながら、それでも空色の瞳の鋭い輝きを消さず、言い放つ。
「貴方の眼力で。
エルデリオンを見ればいい。
彼が企みを、したかどうかを!!!」
エルデリオンはエウロペの、鷹のように鋭い、探るような明るい緑の瞳を向けられ、一瞬背筋が凍った。
が、エウロペは視線を、ラステルに戻す。
ラステルは、笑っていた。
けれどラステルを睨めつけるエウロペの緑の瞳は、あまりに鋭く。
エルデリオン、ロットバルト、そしてデルデロッテでさえ。
エウロペが本気になれば躊躇無く一瞬で、相手の命を簡単に奪う事が出来る男と、思い知った。
そして味方のラステルが。
凄腕の暗殺者相手ですら、微塵も怯まぬその度胸に、呆れ返った。
エウロペはエルデリオンのガウンを羽織った、恥ずかしげなレジィリアンスの様子を、目を見開き見つめる。
直後、寝台と共同の居間の扉の中間に、背を向けて立つエルデリオン。
そして開いた扉の向こうに姿を見せる、ロットバルトとデルデロッテを、殺気籠もる凄まじい緑の瞳で、ジロリ…!と睨んだ。
「…ああレジィリアンス殿が、足をくじいてしまって。
それで薬草を」
さすが、最年長のロットバルト。
誰一人口を開けず固まる中、唯一人、言い訳を口にした。
エウロペはそれを聞くなり、つかつかとレジィの寝台に歩み寄る。
そして、恥じらい俯くレジィに、チラ…と視線を投げた後。
サイドテーブルの水の瓶を持ち上げ、匂いを嗅ぐ。
瓶を置き、次に寝台に乗り上がると、枕の匂いを嗅いだ。
枕の下から、布に包まれた、小さな香り袋を取り出すと、固まってるオーデ・フォール一同に差し示し、怒鳴り付ける。
「…誰がこれを!!!」
エルデリオンは香り袋を見て目を見開き、エウロペ激怒の、意味が分からず呆け。
ロットバルトとデルデロッテが、揃って首を横に振る中。
デルデロッテの背後にやって来ていたラステルが、デカいデルデロッテの体を押し退け、部屋の中に入っ来ると、言って退ける。
「…私が」
だんっ!
エウロペはラステルを急襲し、ラステルの喉に腕を当て、一気にその背を壁へと押しつけた。
ラステルは咄嗟、エウロペの腕と喉の間に自分の右腕を挟み入れ、喉の骨が、折れるのを防ぐ。
エウロペは間近でラステルの顔を見つめ、凄まじい声で怒鳴りつけた。
「…これは香媚薬だ!
こんな手を使って!
エルデリオンにレジィを襲われせたのか?!!!!」
エルデリオンはなぜ…レジィがあれ程体がおかしいと訴え続け…。
そして簡単に抱けた事に思い当たり、愕然とした後、ゆっくり…エウロペに背を壁に押しつけられてる、ラステルに振り向く。
ラステルはエウロペの腕で喉を圧迫され、間近に歯を剥くエウロペの顔を見つつも、落ち着き払った声音で、デルデロッテとロットバルトに告げる。
「ここは…大…丈夫だから。
早くエルデリオンを連れ…二人は、式典へ」
ロットバルトが、自身の腕で防ぐものの、明らかに首を腕で圧迫されかけてる、窮地のラステルを見、ぼやく。
「いや、大丈夫じゃないだろう…」
ぐいぐい腕を押し付け、ラステルの喉を潰そうとし、凄まじい迫力でラステルを締め上げるエウロペに、とうとうデルデロッテが駆け寄って、腕を掴もうと手を伸ばしかける。
「やめろ!!!」
ラステルに鋭い声で叫ばれ、デルデロッテは呆けてラステルを見つめた。
エウロペは自分に言われたと思った。
が、横に来たデルデロッテが、ラステルの喉に当ててる自分の腕を掴もうと、伸ばしかけた手を咄嗟、止めるのを見た。
とうとうレジィが、怒りの塊の、エウロペに囁く。
「そんなに喉を圧迫したら…!
どうしてラステル様がそうしたのか、聞けないと思う…」
エウロペは、エルデリオンに抱かれ、すっかり艶の増したレジィリアンスに、悲しげな視線を一瞬送り、喉を押す腕の力を抜く。
ラステルは空色の瞳で、凄まじく睨むエウロペに負けないほど真っ直ぐ見つめ返し、囁いた。
「引け。
デルデロッテ。
君が手を出せば、この場は修羅と化す」
デルデロッテはエウロペが容赦しないほど怒ってるのを目にし、止めようと持ち上げ、そのまま静止させた、腕を下げた。
ラステルは自分より顔半分背の高いエウロペを見上げ、言い放つ。
「…確かめたかった」
「…なにを?!」
「レジィリアンス殿が、貴方に助けを求めるか。
それともエルデリオンかを」
もうその件を耳にした途端、ロットバルトは室内に入り、エルデリオンの手を引こうとし、エルデリオンに腕を払われ、耳元で囁く。
「そんな出で立ちでは、式典に出られない。
一刻も早く着替えないと」
エウロペはラステルが。
“やっぱり食えない食わせ物だ”と内心呟き、苦虫噛みつぶした表情を見せながらも。
低く、怒り籠もる声音で尋ねる。
「…つまりエルデリオンの、命じゃ無いと?」
ラステルは素早く囁き返す。
「エルデリオンは何も知らない。
私の独断だ。
レジィリアンスが選んだのは。
結局貴方では無く、エルデリオン。
…つまりその程度に、レジィリアンス殿はエルデリオンに、好意を持ってる」
ざっっっ!
エウロペはラステルの喉に押し当てた腕を一気に下ろし、忌々しげにラステルを睨めつけた。
「…本当に、エルデリオンの企みじゃ無いんだな?!」
ラステルは喉に手を当てさすりながら、それでも空色の瞳の鋭い輝きを消さず、言い放つ。
「貴方の眼力で。
エルデリオンを見ればいい。
彼が企みを、したかどうかを!!!」
エルデリオンはエウロペの、鷹のように鋭い、探るような明るい緑の瞳を向けられ、一瞬背筋が凍った。
が、エウロペは視線を、ラステルに戻す。
ラステルは、笑っていた。
けれどラステルを睨めつけるエウロペの緑の瞳は、あまりに鋭く。
エルデリオン、ロットバルト、そしてデルデロッテでさえ。
エウロペが本気になれば躊躇無く一瞬で、相手の命を簡単に奪う事が出来る男と、思い知った。
そして味方のラステルが。
凄腕の暗殺者相手ですら、微塵も怯まぬその度胸に、呆れ返った。
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