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エルデリオンの過去の夢
テラスの昼食
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エルデリオンはこの宿屋自慢の、二階のテラスでの昼食をラステルに提案され、デルデロッテと共に階段を降りた。
長身の彼の横に並び歩くと、なぜか意識して、頬が赤らむ。
ラステルが先を降りながら
「不快ならいつでも自室へ食事を運ばせ、食事の場から引いて良いと告げてありますから…」
と、説明を口にする。
ラステルのその言葉の後、デルデロッテが横から顔を覗き込んで、囁く。
「…つまりまた。
レジィリアンス殿に変に絡んではいけないと、ラステルは忠告してますが…聞いてます?」
エルデリオンは頬を赤らめ、顔を下げて呟く。
「…聞いている」
けれどラステルが足を止めて振り向き、デルデロッテまでじっ…と見るので、エルデリオンは顔を下げた。
「…意味は、分かってない」
ラステルは肩を竦め、デルデロッテはため息を吐いた。
「…好きな相手を手に入れるのには。
軽く寝られる相手の数十倍も慎重に、大切に扱わないとならないと。
分かってるんですか?」
デルデロッテはそう言いながら階段を降り始めるので、エルデリオンは慌てて後に続く。
「…君でも?」
「常識です」
綺麗な顔で振り向かれ、目を見つめられて言われ、エルデリオンは顔を下げたかった。
間近で見るとデルデロッテは、男らしいのにとても美しくて。
濃い艶やかな栗毛も濃紺の瞳もが、彼の美しさを引き立たせ、宮廷中の美女が夢中になる気持ちが、分かった。
「…常識…だった…のか?」
「敬意を払う相手に、正装をするのと同じ。
軽くお喋りをし。
気の利いた事で相手の気持ちをほぐし。
そして少しずつ、触れる。
偶然を装って。
相手が意識してくれても、まだ。
手は出さない」
エルデリオンはそう、階段を降りながら講釈してくれる、デルデロッテを見つめた。
「…それで?」
「少しずつ、足場の悪いところへ導き、手を貸したり、支えたりして…さりげなく大事に扱う。
そうすれば、相手も貴方が安心出来る相手だと分かる。
相手が貴方を、とても好ましい相手だと、頬を染めたりしたら…そっ…と腕の中に包むように…軽く抱きしめる。
けど、手を出すのはもっと先」
エルデリオンは顔を下げた。
「…そんな…手間が要るのか?」
「宮廷の女性なら、直ぐ口づけをねだって来るでしょうが…。
口づけもまだの相手なら、顔を寄せたり不審な事をしようものなら。
せっかく与えた安心感はふっ飛び、警戒心バリバリで、その先なんて到底出来ませんよ」
エルデリオンはそこで、ふと気づく。
「…つまりそんな手順も踏まず…」
ラステルは階段降りる背を向けたまま、言い切る。
「いきなり最後までしちゃ…その後警戒心しか相手から引き出せず、二度目をしようと思ったら、拉致監禁で強姦しか無いでしょうね」
デルデロッテが直ぐその後を引き継ぐ。
「貴方は最初から、それをしてる。
拉致監禁、その後…」
エルデリオンは隣のデルデロッテに、思わず振り向いて噛みついた。
「だから!
そんなつもりは…」
けれどラステルとデルデロッテは、揃ってため息交じりに首を横に、振りまくった。
レジィリアンスはテラスの端の、庭園を見渡せるテーブルにロットバルトに招かれ、横にエウロペが座り、テリュスとエリューンがその先の左右に座っているのを見て、笑顔を見せた。
テラスは洒落た彫刻の彫られた、白い手すりで覆われ、庭園に階段で降りていけた。
庭園は奥に噴水。
小道の先は色とりどりの薔薇が咲き乱れ、ガーデンアーチやパーゴラには蔓薔薇が巻き付き、素晴らしく美しかった。
白くはためく布のテント。
風が吹き抜け、テントの上には晴れ渡った青空が広がる。
ロットバルトはまだ、テーブルの端に立って待っていたけれど。
ラステルがやって来ると、テリュスの横に
「ここに座って、構いませんか?」
と丁寧に尋ねた。
テリュスは大国の年上の重臣の、丁重な申し出にびっくりし、手にした水のグラスを揺らしながら目を見開き
「ど…どうぞ」
と、どもりながら返事した。
ラステルはエリューンの横にやって来ると
「座っても?」
と軽やかに尋ね、頷くエリューンに微笑みかけて、椅子を引いた。
レジィリアンスとエウロペに向かい合う場に、エルデリオンとデルデロッテがやって来て、椅子を引く。
対面とはいえ、かなり離れた距離で、エルデリオンはチラ…とレジィリアンスに視線を送った。
レジィリアンスは目を伏せていて…けれどどこか心細げな小さな肩や華奢な腕。
肩を覆う豪奢な波打つ金の髪。
伏せた長い金の睫と、美しい青い瞳。
可愛らしいピンクの唇を見た途端、エルデリオンの脳裏に昨日の馬車の中で、腕に抱いた感触が蘇かけ…。
それを感じたレジィリアンスが頬を染め、エルデリオンを恥ずかしそうに見つめ、その後顔を下げた。
間に腰掛けてる従者らが揃って、居心地悪げに顔を伏せ始めると、デルデロッテは横に座るエルデリオンの肘に、自分の肘を軽く触れる。
エルデリオンは途端、横のデルデロッテの…昨夜の舌使いを股間に感じ、レジィリアンスとの思い出から意識をデルデロッテに向ける。
レジィリアンスは途端、ほっ…としたように、給仕に運ばれてきた、食事に目を向けた。
デルデロッテはエウロペの、驚愕に目を見開く視線を感じたものの、わざと視線を合わせ、にっこり微笑んで見せた。
長身の彼の横に並び歩くと、なぜか意識して、頬が赤らむ。
ラステルが先を降りながら
「不快ならいつでも自室へ食事を運ばせ、食事の場から引いて良いと告げてありますから…」
と、説明を口にする。
ラステルのその言葉の後、デルデロッテが横から顔を覗き込んで、囁く。
「…つまりまた。
レジィリアンス殿に変に絡んではいけないと、ラステルは忠告してますが…聞いてます?」
エルデリオンは頬を赤らめ、顔を下げて呟く。
「…聞いている」
けれどラステルが足を止めて振り向き、デルデロッテまでじっ…と見るので、エルデリオンは顔を下げた。
「…意味は、分かってない」
ラステルは肩を竦め、デルデロッテはため息を吐いた。
「…好きな相手を手に入れるのには。
軽く寝られる相手の数十倍も慎重に、大切に扱わないとならないと。
分かってるんですか?」
デルデロッテはそう言いながら階段を降り始めるので、エルデリオンは慌てて後に続く。
「…君でも?」
「常識です」
綺麗な顔で振り向かれ、目を見つめられて言われ、エルデリオンは顔を下げたかった。
間近で見るとデルデロッテは、男らしいのにとても美しくて。
濃い艶やかな栗毛も濃紺の瞳もが、彼の美しさを引き立たせ、宮廷中の美女が夢中になる気持ちが、分かった。
「…常識…だった…のか?」
「敬意を払う相手に、正装をするのと同じ。
軽くお喋りをし。
気の利いた事で相手の気持ちをほぐし。
そして少しずつ、触れる。
偶然を装って。
相手が意識してくれても、まだ。
手は出さない」
エルデリオンはそう、階段を降りながら講釈してくれる、デルデロッテを見つめた。
「…それで?」
「少しずつ、足場の悪いところへ導き、手を貸したり、支えたりして…さりげなく大事に扱う。
そうすれば、相手も貴方が安心出来る相手だと分かる。
相手が貴方を、とても好ましい相手だと、頬を染めたりしたら…そっ…と腕の中に包むように…軽く抱きしめる。
けど、手を出すのはもっと先」
エルデリオンは顔を下げた。
「…そんな…手間が要るのか?」
「宮廷の女性なら、直ぐ口づけをねだって来るでしょうが…。
口づけもまだの相手なら、顔を寄せたり不審な事をしようものなら。
せっかく与えた安心感はふっ飛び、警戒心バリバリで、その先なんて到底出来ませんよ」
エルデリオンはそこで、ふと気づく。
「…つまりそんな手順も踏まず…」
ラステルは階段降りる背を向けたまま、言い切る。
「いきなり最後までしちゃ…その後警戒心しか相手から引き出せず、二度目をしようと思ったら、拉致監禁で強姦しか無いでしょうね」
デルデロッテが直ぐその後を引き継ぐ。
「貴方は最初から、それをしてる。
拉致監禁、その後…」
エルデリオンは隣のデルデロッテに、思わず振り向いて噛みついた。
「だから!
そんなつもりは…」
けれどラステルとデルデロッテは、揃ってため息交じりに首を横に、振りまくった。
レジィリアンスはテラスの端の、庭園を見渡せるテーブルにロットバルトに招かれ、横にエウロペが座り、テリュスとエリューンがその先の左右に座っているのを見て、笑顔を見せた。
テラスは洒落た彫刻の彫られた、白い手すりで覆われ、庭園に階段で降りていけた。
庭園は奥に噴水。
小道の先は色とりどりの薔薇が咲き乱れ、ガーデンアーチやパーゴラには蔓薔薇が巻き付き、素晴らしく美しかった。
白くはためく布のテント。
風が吹き抜け、テントの上には晴れ渡った青空が広がる。
ロットバルトはまだ、テーブルの端に立って待っていたけれど。
ラステルがやって来ると、テリュスの横に
「ここに座って、構いませんか?」
と丁寧に尋ねた。
テリュスは大国の年上の重臣の、丁重な申し出にびっくりし、手にした水のグラスを揺らしながら目を見開き
「ど…どうぞ」
と、どもりながら返事した。
ラステルはエリューンの横にやって来ると
「座っても?」
と軽やかに尋ね、頷くエリューンに微笑みかけて、椅子を引いた。
レジィリアンスとエウロペに向かい合う場に、エルデリオンとデルデロッテがやって来て、椅子を引く。
対面とはいえ、かなり離れた距離で、エルデリオンはチラ…とレジィリアンスに視線を送った。
レジィリアンスは目を伏せていて…けれどどこか心細げな小さな肩や華奢な腕。
肩を覆う豪奢な波打つ金の髪。
伏せた長い金の睫と、美しい青い瞳。
可愛らしいピンクの唇を見た途端、エルデリオンの脳裏に昨日の馬車の中で、腕に抱いた感触が蘇かけ…。
それを感じたレジィリアンスが頬を染め、エルデリオンを恥ずかしそうに見つめ、その後顔を下げた。
間に腰掛けてる従者らが揃って、居心地悪げに顔を伏せ始めると、デルデロッテは横に座るエルデリオンの肘に、自分の肘を軽く触れる。
エルデリオンは途端、横のデルデロッテの…昨夜の舌使いを股間に感じ、レジィリアンスとの思い出から意識をデルデロッテに向ける。
レジィリアンスは途端、ほっ…としたように、給仕に運ばれてきた、食事に目を向けた。
デルデロッテはエウロペの、驚愕に目を見開く視線を感じたものの、わざと視線を合わせ、にっこり微笑んで見せた。
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