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第34話 『三人の旅』
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参上! 怪盗イタッチ
第34話
『三人の旅』
ユキメの提案で三人は一緒に旅行に行くことになった。
目的地は少し離れた山にある大きな滝の観光地。日帰りであるが、日程を決めた三人は、ダッチが車を運転で観光地を目指した。
「ダッチ、こんな高そうな車。私が乗って大丈夫なの?」
後部座席に座るユキメが心配そうに運転席にいるダッチに尋ねる。
三人が乗っている車は、中国で人気の高級車であった。ダッチの私物であり、時折り故郷から取り寄せている。
心配そうなユキメに、アンは横でお菓子を食べながら伝える。
「問題ないですよ~。ダッチさん、成金ですから、こういうところで見栄を張りたいんですよ」
アンがそんなことをユキメに言うと、運転しながらダッチが舌打ちをする。
「誰が成金だ。後お菓子をこぼすなよ」
「はーい!」
アンは良い返事をするが、鏡に映るアンの姿はどこからどう見ても溢しまくっている。ダッチが旅行が終わったら、アンに車内の掃除をさせようと企んでいる中、目的地に辿り着いた。
まだ駐車場からだが、ここからでも滝の姿が見える。山を割るように形成された巨大な滝。その姿を見て、三人は言葉を失った。
⭐︎⭐︎⭐︎
──自分達は小さい。そう感じてしまうほどの巨大な滝。全てを飲み込み、流していく。そんな光景を三人は並んで眺めていた。
車を駐車場に停めて、残りの距離は徒歩で進んだ。観光客もチラホラいるが、多過ぎず少なすぎず。
アンはポーチの中からカメラを取り出す。
「皆さんで写真を撮りましょ!」
それぞれが交代でカメラを持って、撮影を行う。二人ずつ撮影をしていたが、ユキメは最後の撮影をしたいと、カメラを持っていくと、近くにいた他の観光客にお願いする。
観光客はカメラを持つと、三人にメンズを向ける。
「じゃあ、撮影しますよ~。ほら、娘さんに寄って。はいチーズ」
写真撮り終え、観光客からカメラを返してもらう。アンはポーチにカメラをしまうと、二人に笑いかける。
「娘って言われちゃいましたよ! 私、二人の子供みたいなんですかね!」
アンの言葉にユキメもふふと笑う。
「周りからはそう見えたのかもね」
二人で笑い合うが、ダッチはそっぽを向いた。
「ッチ。なんだよそりゃ……」
冷たくダッチは言うが、いつもなら否定しそうなダッチが、観光客に違うと言わなかったことが、アンは嬉しかった。
「あ、私アイスクリーム買ってきますね! ここのアイスが美味しいらしいんです!」
アンは旅立つ前に調べていた情報のことを思い出し、二人にそう告げると売店の方へと駆けて行った。
そんなアンにダッチとユキメは同時に呼びかける。
「走ると危ないよ。アンちゃん」
「気をつけろよ。足場悪いぞ」
二人の声を聞き、アンは大きく手を振りながら、売店に向かった。
アンがいなくなり、ダッチとユキメは滝を眺め直す。二人で並んで滝を眺める中、ユキメの手がダッチの手を包む。
「家族だってさ……。ねぇ、ダッチ、私、小さい頃から家族を持つのが夢だったの。……ダッチ、あなたとなら……」
ユキメはそこまで言いかけて、手を離して言葉を止めた。
「いえ、なんでもない……」
ユキメは滝に背を向けて、アンの向かった売店へと向かう。
「アンちゃん、私も一つ買うよ~!」
⭐︎⭐︎⭐︎
旅行を終え帰宅した三人は、それぞれの家に帰った。アンは居候しているイタッチのアジトに戻ると、イタチがご飯を用意して待ってくれていた。
「お帰り、アン」
「ただいまです! イタチさん!」
台所からカレーの匂いが漂う。アンは手洗いうがいを済ませると、イタチの手伝いをする。
アンが手伝ってくれたおかげで、予定よりも早く支度を済ませることができ、すぐにご飯を食べることになった。
「「頂きます」」
二人はちゃぶ台を囲んで、カレーを頬張る。よく作るカレーではあるが、慣れた味だからこそ美味く感じる。
カレーを食べながら、イタチをアンに今日の出来事を尋ねた。
「アン、旅行はどうだったんだ?」
「楽しかったです!」
「そうか、なら良かったよ!」
アンの話を聞き、イタチはニコリと笑う。そんなイタチの顔を見て、アンもニコリと笑い返した。
「私、ユキメさんなら許せます。ダッチさんも楽しそうですし」
「なんの話だ?」
「なんでもないです!」
咄嗟に出てしまった言葉だったため、アンはそのことを隠す。イタチも無理に聞き出すことはせず、そのまま今日の思い出を語りながら食事を進めた。
カレーを食べ終えた二人は、食器を片付けて、寝る準備を始めていた。
イタチは中央の部屋に布団を敷きアンは奥にある和室に布団を敷いた。
「イタチさん、おやすみなさい!」
「ああ、おやすみ」
扉を閉めて、それぞれ布団に潜る。しかし、アンは布団の中にノートパソコンを持ち込んで、あることを調べていた。
「ユキメさんは本当に良い人です……でも、気になる情報があるんですよね……」
しかし、アンはサーバーの奥に入り込もうとするが、そこから先がセキュリティにより守られている。
「またですか……なんでユキメさんの情報を調べようとすると…………」
アンはダッチがユキメと接触してから、ユキメについて調べていた。しかし、なかなかユキメの情報に辿り着くことができなかった。
公式な情報では出身や経歴も見つけられるが、書き換えられた形跡がある。
ネットでの情報収集に限界を感じたアンは直接ユキメに接触したが、そこでも何も得られず。またこうしてパソコンで調べていた。
だが、どんなに探ろうとも──
「ユキメさん……」
今はユキメさんを信じるしかない。公式の情報が正しく、アンが警戒しているようなことはない……そうだと…………。
第34話
『三人の旅』
ユキメの提案で三人は一緒に旅行に行くことになった。
目的地は少し離れた山にある大きな滝の観光地。日帰りであるが、日程を決めた三人は、ダッチが車を運転で観光地を目指した。
「ダッチ、こんな高そうな車。私が乗って大丈夫なの?」
後部座席に座るユキメが心配そうに運転席にいるダッチに尋ねる。
三人が乗っている車は、中国で人気の高級車であった。ダッチの私物であり、時折り故郷から取り寄せている。
心配そうなユキメに、アンは横でお菓子を食べながら伝える。
「問題ないですよ~。ダッチさん、成金ですから、こういうところで見栄を張りたいんですよ」
アンがそんなことをユキメに言うと、運転しながらダッチが舌打ちをする。
「誰が成金だ。後お菓子をこぼすなよ」
「はーい!」
アンは良い返事をするが、鏡に映るアンの姿はどこからどう見ても溢しまくっている。ダッチが旅行が終わったら、アンに車内の掃除をさせようと企んでいる中、目的地に辿り着いた。
まだ駐車場からだが、ここからでも滝の姿が見える。山を割るように形成された巨大な滝。その姿を見て、三人は言葉を失った。
⭐︎⭐︎⭐︎
──自分達は小さい。そう感じてしまうほどの巨大な滝。全てを飲み込み、流していく。そんな光景を三人は並んで眺めていた。
車を駐車場に停めて、残りの距離は徒歩で進んだ。観光客もチラホラいるが、多過ぎず少なすぎず。
アンはポーチの中からカメラを取り出す。
「皆さんで写真を撮りましょ!」
それぞれが交代でカメラを持って、撮影を行う。二人ずつ撮影をしていたが、ユキメは最後の撮影をしたいと、カメラを持っていくと、近くにいた他の観光客にお願いする。
観光客はカメラを持つと、三人にメンズを向ける。
「じゃあ、撮影しますよ~。ほら、娘さんに寄って。はいチーズ」
写真撮り終え、観光客からカメラを返してもらう。アンはポーチにカメラをしまうと、二人に笑いかける。
「娘って言われちゃいましたよ! 私、二人の子供みたいなんですかね!」
アンの言葉にユキメもふふと笑う。
「周りからはそう見えたのかもね」
二人で笑い合うが、ダッチはそっぽを向いた。
「ッチ。なんだよそりゃ……」
冷たくダッチは言うが、いつもなら否定しそうなダッチが、観光客に違うと言わなかったことが、アンは嬉しかった。
「あ、私アイスクリーム買ってきますね! ここのアイスが美味しいらしいんです!」
アンは旅立つ前に調べていた情報のことを思い出し、二人にそう告げると売店の方へと駆けて行った。
そんなアンにダッチとユキメは同時に呼びかける。
「走ると危ないよ。アンちゃん」
「気をつけろよ。足場悪いぞ」
二人の声を聞き、アンは大きく手を振りながら、売店に向かった。
アンがいなくなり、ダッチとユキメは滝を眺め直す。二人で並んで滝を眺める中、ユキメの手がダッチの手を包む。
「家族だってさ……。ねぇ、ダッチ、私、小さい頃から家族を持つのが夢だったの。……ダッチ、あなたとなら……」
ユキメはそこまで言いかけて、手を離して言葉を止めた。
「いえ、なんでもない……」
ユキメは滝に背を向けて、アンの向かった売店へと向かう。
「アンちゃん、私も一つ買うよ~!」
⭐︎⭐︎⭐︎
旅行を終え帰宅した三人は、それぞれの家に帰った。アンは居候しているイタッチのアジトに戻ると、イタチがご飯を用意して待ってくれていた。
「お帰り、アン」
「ただいまです! イタチさん!」
台所からカレーの匂いが漂う。アンは手洗いうがいを済ませると、イタチの手伝いをする。
アンが手伝ってくれたおかげで、予定よりも早く支度を済ませることができ、すぐにご飯を食べることになった。
「「頂きます」」
二人はちゃぶ台を囲んで、カレーを頬張る。よく作るカレーではあるが、慣れた味だからこそ美味く感じる。
カレーを食べながら、イタチをアンに今日の出来事を尋ねた。
「アン、旅行はどうだったんだ?」
「楽しかったです!」
「そうか、なら良かったよ!」
アンの話を聞き、イタチはニコリと笑う。そんなイタチの顔を見て、アンもニコリと笑い返した。
「私、ユキメさんなら許せます。ダッチさんも楽しそうですし」
「なんの話だ?」
「なんでもないです!」
咄嗟に出てしまった言葉だったため、アンはそのことを隠す。イタチも無理に聞き出すことはせず、そのまま今日の思い出を語りながら食事を進めた。
カレーを食べ終えた二人は、食器を片付けて、寝る準備を始めていた。
イタチは中央の部屋に布団を敷きアンは奥にある和室に布団を敷いた。
「イタチさん、おやすみなさい!」
「ああ、おやすみ」
扉を閉めて、それぞれ布団に潜る。しかし、アンは布団の中にノートパソコンを持ち込んで、あることを調べていた。
「ユキメさんは本当に良い人です……でも、気になる情報があるんですよね……」
しかし、アンはサーバーの奥に入り込もうとするが、そこから先がセキュリティにより守られている。
「またですか……なんでユキメさんの情報を調べようとすると…………」
アンはダッチがユキメと接触してから、ユキメについて調べていた。しかし、なかなかユキメの情報に辿り着くことができなかった。
公式な情報では出身や経歴も見つけられるが、書き換えられた形跡がある。
ネットでの情報収集に限界を感じたアンは直接ユキメに接触したが、そこでも何も得られず。またこうしてパソコンで調べていた。
だが、どんなに探ろうとも──
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