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第29話 『イタッチの弱点』
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参上! 怪盗イタッチ
第29話
『イタッチの弱点』
大阪府和泉市にある湾堕振流(わんだふる)美術館。そこに三人の警官が集まっていた。
「ふふふ、今日こそ、イタッチを捕まえる。そのためにお前達に話がある」
先頭に立つフクロウの男性。彼はフクロウ警部。怪盗イタッチを追う警察官であり、運はないが狙撃、剣術、体術、全てに優れた警官だ。
フクロウ警部の言葉に猫の警官が首を傾げる。
「なんですか?」
彼の名前はネコ刑事。自作の機械アイテムを作り、フクロウ警部と共にイタッチ退路を目指す警官だ。
ネコ刑事の隣ではキツネの警官が目を輝かせる。
「なんすかなんすか!! もしかして仕事の前に美味しいお好み焼きを食べにいくんすか!!」
彼女は天月 コン巡査部長。新人であるが、根性のある警官だ。
フクロウ警部は首を横にする
「それは仕事が終わってからだ」
「なんすか……って、終わったら行ってくれるんすか!?」
彼ら三人はイタッチ対策特別課に所属する警察官。彼らが美術館に来たのは、他でもないこの美術館のお宝がイタッチに狙われているからだ。
フクロウ警部は咳払いをして話を戻す。
「今回狙われているのは、この美術館にあるワンダフルレモンだ。我々はそのお宝をイタッチから守り、イタッチを捕まえる」
フクロウ警部は帽子を深く被ると、
「だが、今回は大きな情報を手に入れた。そう、大きな情報だ」
「「大きな情報……」すか」
ネコ刑事とコン刑事は唾を飲み込む。
「それはイタッチの弱点だァァァァァ!!!」
フクロウ警部が宣言すると、ネコ刑事とコン刑事は目を丸くする。
「イタッチの弱点ですか!?」
「なんすかそれ!? あるんすか!?」
あわあわと慌てる二人に、フクロウ警部は腕を組んで伝える。
「ああ、ついに手に入れたんだ。イタッチの弱点、それは……」
「「それは……」」
「お酢だ!!」
ネコ刑事とコン刑事は同時に首を傾げる。角度もタイミングもバッチリだ。
「「お酢?」」
「そうだ。だから、今回はお酢作戦で行こうと思う」
フクロウ警部は自信満々に語るが、ネコ刑事が手を挙げる。
「あの~、警部、それどこからの情報なんですか?」
「昨日メールで来てた。宛先は情報屋Rだったかな」
「それ、信頼できる情報なんですか?」
「さぁ?」
「…………」
⭐︎⭐︎⭐︎
大阪府にあるとあるホテル。そこに怪盗の三人が集まっていた。
テーブルを囲み、イタチが書類を中央に置く。
「今回盗むお宝はワンダフルレモンだ」
このイタチこそが怪盗イタッチ。世界中からお宝を盗む大怪盗だ。
イタッチから見て右側の席に座っているウサギが腕を組み、息を吐く。
「んなこたぁ、分かってるよ」
彼はダッチ。イタッチの相棒であり、中華マフィア四神のボスである。
イタッチから見て左、ダッチの向かいに座る子猫がパソコンの画面を二人に見せる。
「イタッチさん、ダッチさん、どうやらフクロウ警部達はすでに美術館に到着しているようです」
彼女はアン。イタッチ達の仲間でパソコンの操作を得意とする女の子だ。
彼ら三人こそがイタッチ一味。怪盗イタッチを中心とした怪盗集団であり、フクロウ警部の追っている指名手配犯だ。
イタッチはやれやれと息を吐く。
「また来たか。フクロウめ……凝りたい奴だな」
イタッチはそう言いながらも、少し楽しそうだ。そんな様子にダッチは不服そうに舌打ちをする。
「あの警部はどうでも良いんだよ。んで、計画はどうなんだ?」
ダッチがイタッチに聞くと、
「ああ、下調べをした感じ、アンが調べてくれた情報と変わらない。だから、計画通りに行くぞ」
⭐︎⭐︎⭐︎
星空が浮かぶ中、警官達が美術館を囲む。正面玄関の警備を任されたのはコン刑事だ。コン刑事は未熟ながらも、ネコ刑事のアドバイスをもとにして警備員を配置。イタッチを迎え撃つ体制で待っていた。
「イタッチ、いつでも来ると良いっすよ。アタシが捕まえてやるっす」
すると、コン刑事が守る正面玄関。そこに二人の動物が現れた。
「堂々と潜入っすか。珍しいっすね」
現れたのはイタッチとダッチ。二人は向かいにあるビルの屋上から飛び降りて、颯爽と現れた。
「包囲するっす!!」
コン刑事は警備員達に指示を出す。警備員達は警棒を手にイタッチ達を囲んだ。囲まれたイタッチとダッチはお互いに武器を手にする。
ダッチは刀を持ち、イタッチは折り紙の剣を手にした。
「ッチ。数が多いな……」
警備員の数は50人。その数に包囲されたことでイタッチ達は逃げ場を失う。さらにその中にはコン刑事もいる。
そう簡単に抜け出すことはできない。
もしもここで時間をかければ、さらに多くの増援が来ることになる。
「そろそろ諦めるっすよ。お二人さん……」
コン刑事は腰に手を当ててニヤリと笑う。
警備員達がジリジリと距離を詰めてくる。
「ッチ。やるしかねぇか。イタッチ、準備はいいか?」
「…………」
「ふ、行くぜぇ!!!!」
二人は警備員の群れへと突撃した。相手はイタッチとダッチ。数が多いとはいえ、そう簡単に捕まえることはできない。
次々と警備員達がやられるが、ダッチ達にも疲れが見え始めた。
「そろそろフィニッシュっす」
第29話
『イタッチの弱点』
大阪府和泉市にある湾堕振流(わんだふる)美術館。そこに三人の警官が集まっていた。
「ふふふ、今日こそ、イタッチを捕まえる。そのためにお前達に話がある」
先頭に立つフクロウの男性。彼はフクロウ警部。怪盗イタッチを追う警察官であり、運はないが狙撃、剣術、体術、全てに優れた警官だ。
フクロウ警部の言葉に猫の警官が首を傾げる。
「なんですか?」
彼の名前はネコ刑事。自作の機械アイテムを作り、フクロウ警部と共にイタッチ退路を目指す警官だ。
ネコ刑事の隣ではキツネの警官が目を輝かせる。
「なんすかなんすか!! もしかして仕事の前に美味しいお好み焼きを食べにいくんすか!!」
彼女は天月 コン巡査部長。新人であるが、根性のある警官だ。
フクロウ警部は首を横にする
「それは仕事が終わってからだ」
「なんすか……って、終わったら行ってくれるんすか!?」
彼ら三人はイタッチ対策特別課に所属する警察官。彼らが美術館に来たのは、他でもないこの美術館のお宝がイタッチに狙われているからだ。
フクロウ警部は咳払いをして話を戻す。
「今回狙われているのは、この美術館にあるワンダフルレモンだ。我々はそのお宝をイタッチから守り、イタッチを捕まえる」
フクロウ警部は帽子を深く被ると、
「だが、今回は大きな情報を手に入れた。そう、大きな情報だ」
「「大きな情報……」すか」
ネコ刑事とコン刑事は唾を飲み込む。
「それはイタッチの弱点だァァァァァ!!!」
フクロウ警部が宣言すると、ネコ刑事とコン刑事は目を丸くする。
「イタッチの弱点ですか!?」
「なんすかそれ!? あるんすか!?」
あわあわと慌てる二人に、フクロウ警部は腕を組んで伝える。
「ああ、ついに手に入れたんだ。イタッチの弱点、それは……」
「「それは……」」
「お酢だ!!」
ネコ刑事とコン刑事は同時に首を傾げる。角度もタイミングもバッチリだ。
「「お酢?」」
「そうだ。だから、今回はお酢作戦で行こうと思う」
フクロウ警部は自信満々に語るが、ネコ刑事が手を挙げる。
「あの~、警部、それどこからの情報なんですか?」
「昨日メールで来てた。宛先は情報屋Rだったかな」
「それ、信頼できる情報なんですか?」
「さぁ?」
「…………」
⭐︎⭐︎⭐︎
大阪府にあるとあるホテル。そこに怪盗の三人が集まっていた。
テーブルを囲み、イタチが書類を中央に置く。
「今回盗むお宝はワンダフルレモンだ」
このイタチこそが怪盗イタッチ。世界中からお宝を盗む大怪盗だ。
イタッチから見て右側の席に座っているウサギが腕を組み、息を吐く。
「んなこたぁ、分かってるよ」
彼はダッチ。イタッチの相棒であり、中華マフィア四神のボスである。
イタッチから見て左、ダッチの向かいに座る子猫がパソコンの画面を二人に見せる。
「イタッチさん、ダッチさん、どうやらフクロウ警部達はすでに美術館に到着しているようです」
彼女はアン。イタッチ達の仲間でパソコンの操作を得意とする女の子だ。
彼ら三人こそがイタッチ一味。怪盗イタッチを中心とした怪盗集団であり、フクロウ警部の追っている指名手配犯だ。
イタッチはやれやれと息を吐く。
「また来たか。フクロウめ……凝りたい奴だな」
イタッチはそう言いながらも、少し楽しそうだ。そんな様子にダッチは不服そうに舌打ちをする。
「あの警部はどうでも良いんだよ。んで、計画はどうなんだ?」
ダッチがイタッチに聞くと、
「ああ、下調べをした感じ、アンが調べてくれた情報と変わらない。だから、計画通りに行くぞ」
⭐︎⭐︎⭐︎
星空が浮かぶ中、警官達が美術館を囲む。正面玄関の警備を任されたのはコン刑事だ。コン刑事は未熟ながらも、ネコ刑事のアドバイスをもとにして警備員を配置。イタッチを迎え撃つ体制で待っていた。
「イタッチ、いつでも来ると良いっすよ。アタシが捕まえてやるっす」
すると、コン刑事が守る正面玄関。そこに二人の動物が現れた。
「堂々と潜入っすか。珍しいっすね」
現れたのはイタッチとダッチ。二人は向かいにあるビルの屋上から飛び降りて、颯爽と現れた。
「包囲するっす!!」
コン刑事は警備員達に指示を出す。警備員達は警棒を手にイタッチ達を囲んだ。囲まれたイタッチとダッチはお互いに武器を手にする。
ダッチは刀を持ち、イタッチは折り紙の剣を手にした。
「ッチ。数が多いな……」
警備員の数は50人。その数に包囲されたことでイタッチ達は逃げ場を失う。さらにその中にはコン刑事もいる。
そう簡単に抜け出すことはできない。
もしもここで時間をかければ、さらに多くの増援が来ることになる。
「そろそろ諦めるっすよ。お二人さん……」
コン刑事は腰に手を当ててニヤリと笑う。
警備員達がジリジリと距離を詰めてくる。
「ッチ。やるしかねぇか。イタッチ、準備はいいか?」
「…………」
「ふ、行くぜぇ!!!!」
二人は警備員の群れへと突撃した。相手はイタッチとダッチ。数が多いとはいえ、そう簡単に捕まえることはできない。
次々と警備員達がやられるが、ダッチ達にも疲れが見え始めた。
「そろそろフィニッシュっす」
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