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第5話

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前回迄のあらすじ

榊川 咲真・・・学園一の美少年で財閥の子息。そう、私が初めて出会ったのは父の参加していたパーティーの会場内だった。
確かに見た目はハンサムで財閥のご子息様と言うイメージで誰に対しても爽やかな優しい男の子を演じていた・・・まるで男優の様に・・・
そんな彼がある日私のクラスへ尋ねて来たけれど、尋ねて来た相手は私だった・・・
恐らくパーティーの日、少し話をしたのが切っ掛けだったのだろうか・・・
私は公の場でもあり、清楚な感じを振る舞っていたのだ・・・
彼はそう言う私を見て一度告白して来た事があった。勿論断った・・・
そして教室へ訪れた時に咄嗟に私は、きっと・・・そう思い浩輔君に聞かせてはいけないと思い外へ彼を連れ出した。私の勘は正しかった。榊川君は私に告白染みたセリフを投げかけた。勿論私は彼とは付き合うつもりも気持ちも無い。断り教室へ帰ろうとすると無理矢理足止めをして、更に言い寄って来た。私は怖かった・・・腕を掴まれ強引に何かをされそうに思えて来て・・・
教室へ何とか冷静さを保ちつつ戻ると浩輔君は心配そうになって私に様子を伺って来た。
私は少し冷たい感じで彼にいつもの様に突っかかる様な言い回しをして見せた。
すると浩輔君は怒ってしまった。
心配して言っているのにもう知らない・・・と・・・
数日が経過しても浩輔君は一向に怒りが収まらない様子だった。
当たり前・・・だよね?・・・あれだけ彼の事を大好きだって2人きりの時に伝えているのに人様の前ではこの様な態度を取ってしまう・・・
そう考えながら浩輔君の事で頭がいっぱいだった私は、榊川君が再度教室に尋ねて来た時に今度はデートの約束を取り付けられた。彼がデートの誘いを私に告げて来た時に浩輔君の方を見ると浩輔君はしかとする形で目を反らした。
仕方が無いのでデートを一度受けて断ろうと思い、休日にデートへと足を運ぶ。
凄くエスコートが上手で手慣れた感じだった。
待ち合わせ時間よりおよそ15分前に着いていた私はまだ彼が来ていない事に色々と考えていたのだけれど、彼は、待ち合わせ場所へ来る直前に開店する土・日限定でしか買えないプレゼントを私にくれたのだ。
その後、映画に行く事になり一緒にどの映画を観るのか、お互い確認する姿勢、そして昼食は・・・私の家が経営している喫茶店を何故か榊川君はチョイス・・・何とか店員の人も空気を読んでくれたみたいで無事に店を出る事も出来た。
少し歩こうと言い近くを歩きながら色々な話をしていたのだが、車が暴走してこちらへ向かって来た為、私は轢かれそうになったが、榊川君が横から咄嗟に助けてくれ事無きを得た。
だが、私は気付いていた。これは彼が作ったシナリオ通りの展開なのだと言う事を・・・
私は知らない振りをしながらも彼が近くで休憩したいからと言う口車に乗り、一緒にしばらく歩いた先に見えて来たホテル街へ向かっているのが分かった。榊川君は休憩するだけだと言い一緒に入る事に・・・
シャワーを浴びなよと私を先にシャワー室へ勧めて来た。
仕方無く私はシャワーを浴びて着替えてベッドの方へ戻ると榊川君もシャワーを浴びると言いシャワー室へと入って行った。
考えてみれば私はその時に逃げていれば良かったと・・・
でも何故か怖くなってしまい体が動かなかった。
榊川君が戻って来ると今度は行為に及ぼうと誘って来た。
そうだ!変態を演じてみれば!?・・・そう思い私は変態染みたセリフを彼に告げる・・・
でも彼は見透かしていたのだ・・・私がその様な事をするはずが無いのだと・・・
どうする事も出来ないのか!?そう思いながらもさっきの事を・・・
車の事を告げる。
すると認めたみたいだったが私の体を・・・
助けて・・・浩輔君・・・私・・・もう・・・
するとそこに!!
来てくれた・・・浩輔君だ・・・
扉を思いきり壊して浩輔君は私を助ける為に榊川君に怒鳴り散らしながら殴った。榊川君は怯えながらも強迫染みたセリフを吐いたが更に浩輔君はそんな彼を私の分と自身の分だと言って再度榊川君を殴り飛ばした。
私は止める事が出来なかった・・・怖かった・・・榊川君に襲われてしまうと恐怖に手足が動かなかった・・・でも浩輔君が助けに来てくれた事に対してこの上無い嬉しさを噛みしめていた。
浩輔君は榊川君が武術を嗜んでいる事を知っていたのだろうか?
ううん!知っていなくても助け出してくれていたと私は確信出来るの・・・
格好良かった・・・浩輔君が・・・
その後ホテルの管理人さんに事情を説明し間もなく榊川君は捕まったのだった。
何が一番嬉しかったのかと言うと・・・榊川君の親の権力を使って退学させる様なセリフを吐いた事に対して、どうでも良い、自分は榊川君が許せないんだって言った事、そして私を「彼女」だと認めてくれた事だった・・・私は泣きそうになってしまう程嬉しくて・・・温かくて・・・
帰り道私は彼の頬にキスをした。
でもこんな事はお礼にも何もならない・・・本当に浩輔君の記憶が完全に戻った時にちゃんとしたお礼をしたいって・・・そう思いながら私は上手く浩輔君を自宅へ呼ぶ事に成功した。
いつもの事ながら私は「変態」を演じながら彼に迫る・・・
平日だったりここの所色々とあったせいなのか彼は眠ってしまう。
私が昔、この部屋で浩輔君に膝枕をして子守歌を歌った事を思い出していた。
すると彼も丁度その時の夢を見ていたみたいだった。
夜になり目が覚めると浩輔君は帰る直前私の事をこう呼んだ!!
「琴音ちゃん」・・・と!
きっと記憶の断片が表に現れていたのだろうか?
とても幸せな気持ちになり私は彼を車で送ってもらう様伝えると自分で帰るからと告げ帰って行った。
もう少しかな?・・・今はまだまだ不安定な様子だけれど、ほんの少しだけ彼らしさ・・・
中城 浩輔としての本当の自分を取り戻しつつあるのかもしれない・・・
私は「女優」・・・を演じる「女優」にならなければならない・・・
だってあの日約束したから・・・あの日、励ましてくれたから・・・あなたに・・・中城 浩輔君に・・・










♪キーンコーンカーンコーン



「よしっ!!浩輔!寄り道して行くぞ!!」

「そうだね・・・真木谷、本当帰る時の気合いの入れ方凄いな・・・」

「そりゃ、学校が終わったんだぞ!?皆気合い入るっての!」

「いや・・・普通逆だろ?」



いつもの会話・・・今日も俺は真木谷と寄り道を・・・って流れですがやはり来ました!!来ましたよ~!?あのお方が!!如何にも「ひれ伏せぇぇl!!!」と何処かのお役人の様なオーラをまとったあのお方が!!そう!!櫻木財閥ご令嬢、櫻木 琴音様とは彼女の事・・・



「ちょっと中城!いい加減真面目に家路に向かう日は訪れないのかしら?」

「いや・・・それは無い・・・かな?・・・あはは・・・あは・・・はぁ・・・」



今日もパンチが効いた突っかかり方をして来るなぁ・・・



「あんたね!私の家ばかりに来ておいてあんたの家には招待しないって言うの!?」

「えぇぇぇ!?・・・何その無理矢理な展開!?」



来たいの?・・・俺の家に?・・・どうして?・・・いつもあんな大きな豪邸に半ば強制的に呼び寄せられていたのに俺の様なごく平凡かそれ以下の人物の生活している小屋の様な、あなたからすれば小屋の様な俺の家に?・・・これまたご奇特な人もいたもんだ・・・



「えっと・・・俺の家、小さいし狭いし・・・虫もいるし・・・とても人様を上がらせる様な家では無いですが?・・・」

「五月蠅いわねっ!!いいからあんたの家に招待しなさい!その汚い散らかったエロ本とかある部屋を私が綺麗にしてやるって言ってるのよっ!!」



ちょっと待て?・・・いや、確かに小さいし狭いし小屋の様な家ではありますとも!そう・・・どこぞの財閥のご令嬢が上がれる様な家では無い事は確かですよ?でも、汚いとか、散らかったと言うのはまぁ、許そう!・・・けれどエロ本って何だ!!見たのか!?俺がエロ本隠し持っているの見たのか!?・・・って隠してあるけどさ・・・だって年頃の男の子だもん!!



「週末お邪魔するから!!そのつもりでいなさいよ!?」

「えっ!?いや・・・週末お邪魔するって言われても・・・」

「何なの?私がわざわざあんたの家にお邪魔するって言ってるのに断るって言うの!?」

「い・・・いえ・・・一応両親に相談を・・・」

「ふんっ!!最初からそう言えば良いのよ!!・・・まぁ、私があんたの部屋を掃除してあげるって言ったら親御さんもたいそうお喜びになられるでしょうけど?」



いやいやいや・・・そんな横暴で一方通行な女の子が家に来たら両親たまったもんじゃありませんよ~!?って最近俺の心理描写変なツッコミばかりじゃない?



「ま・・・まぁ、言っておくよ・・・」



上手く流した後、真木谷を待たせてしまったので急いで遊びに行った・・・



「おい、浩輔・・・最近の櫻木って何かイキイキしてないか?」

「そうかな?・・・相変わらずな気がするけど?」

「いいや!あれはイキイキと言うか恋している乙女の目をしていたぞ?」

「はぁ?・・・ぷっ!!ぷぷぷぷぷっ!!あははははははは・・・あんなツンケンしながら乙女の目って・・・嘘でしょ!?・・・まさか櫻木さんが!?」



いや、真木谷の言っていた事は間違い無かった。俺もそんな所が鈍感と言ういわれは無い。
ちゃんと彼女の様子はずっと見ている・・・そう、目は凄く嬉しそうだった。
そして俺の家に来たがったのは恐らく・・・
俺が彼女の様子を察知した事を周囲に漏らすのは櫻木さんが恐れている事を促してしまうかもしれないからあえて気付かない振りを演じる様にしている。
あれ?「演じる」?何で俺、こんな表現を?





翌日学校にて・・・



「櫻木さん?休みの日なんだけど、大丈夫だったよ!」

「そう・・・何か言われなかった?」

「えっ!?・・・特には・・・」

「そう?・・・それなら良いんだけど・・・」

「でも、何か凄く嬉しそうな感じだったな・・・どうしてだろう?」

「そう♪・・・まぁいいわ!何れ分かる事だろうし・・・」

「ん?・・・」



何だろう?両親の事知ってるのかな?
そのまま休みの日まで何事も無く経過していった。



休日・・・両親は旅行へ出掛けた。何故か櫻木さんが来る事を伝えた後、嬉しそうにしながら「じゃぁ、私たちは久しぶりに旅行に出掛けますか・・・後は、若い2人に任せて邪魔者は・・・」って言っていたが・・・何?



♪ピンポーン



「は~い!」

「お待たせ致しまして申し訳御座いませんでした。」



あれぇぇ!?・・・何だろう?凄い荷物が!?トラックが!?見えるのだが?・・・



「あの・・・色々とツッコミ所が満載なのですが?・・・先ず1つ目から宜しいでしょうか?」

「はい♡どうぞ?」

「1つ目・・・これは本来お詫びするべき事なのですが・・・俺、ここの場所教えて無かったよね?」

「あぁ♪それでしたら問題御座いませんわ♡」

「まぁ・・・既に俺の自宅に来ているもんね?・・・とりあえず何故知っているのか聞くのは省略!!・・・続いて2つ目・・・この大量の荷物とトラックは何かな?」

「よくぞ聞いて下さいました♪こちらの荷物は私が大切にしている衣装や身の回りの道具等、生活必需品ですわ♪」

「えっと・・・その生活必需品と言う一式トラックに積んで来たからトラックがあるんだよね?」

「はい♡その通りです!流石は浩輔様ですわ♪」

「えっと・・・3つ目に移らせてもらいます・・・君の両隣にいらっしゃる如何にもと言った方々は?・・・まさか・・・」

「はい♪SPの方々です!とてもお優しい紳士なお方たちですわ!」

「は・・・はぁ・・・じゃぁ怖いんだけど・・・最後の質問ね?・・・どうしてその大量の荷物とSPの方がいらっしゃるのでしょう?」

「も♡ち♡ろ♡ん~♡これからこちらの家で私が住まわせて頂くからに相違ありませんわ♡」

「ですよね~・・・・ってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」



何だ何だ!?このダラダラとして前振りは!?・・・今日の朝起きた時憎悪がしたんだけど・・・この事を予知していたって訳か!?・・・嘘だろ!?こんな大量の荷物を家に!?・・・いやっ!困る事はそこでは無いだろっ!!櫻木さんが?・・・櫻木さんが家に住むって事だよね!?・・・これはまずい!!色々とまずい!!ただでさえ最近俺は櫻木さんに意識が傾き掛けているって言うのに一つ屋根の下になんて年若き男女が、それも高校生の男女が!?・・・流石にこれは断るべきだろう!!横暴とかそう言う類では・・・



「あぁ♪ご心配には及びませんわ♪ちゃんとご両親の方には連絡済みですので♡」

「えっと・・・連絡済み?・・・どう言う事でしょう?どうして櫻木さんが俺の両親と連絡が取れているのでしょうか?」

「えぇ♡それも浩輔様の記憶がお戻りになられたらはっきりとお分かりになられるかと存じますわ♪」



満面の笑みでその様に答える櫻木さん・・・まぁ、両親が帰って来たらもう少し落ち着きを取り戻せそうだから・・・そう言えばあの2人何処へ行ったのだろう?



「え・・・と・・・ですね?浩輔様?・・・実は浩輔様のご両親なのですが・・・海外へお出掛けになられたのですが・・・」

「そうかぁ!てっきり2~3日すれば帰って来るだろうってこの週末を耐え抜いたらいいやって考えていたんだ!あははははは♪」

「うふふふふ♪」

「あはははははははははは♪」

「うふふふふ♡」

「あははははははは・・・・ってどうしてなんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!両親共に海外で子供が日本に残るって何のギャグ漫画か小説なんだよ!!!!」

「ご安心下さいませ!当櫻木財閥が所有する大型リゾート施設へ当面の間生活をして頂く様お伝えしております故・・・」

「えっと・・・あれだ!・・・うん!あれだよ!!あれ!!」

「あれ?・・・とはどのあれで御座いましょう?」

「両親共働きで結構生活も大変だと言う状況で・・・海外に当面生活するとなると・・・色々と問題点が・・・」

「あぁ♪その点はご安心下さいませ♡行く行くは浩輔様は私と結婚を致します。するとご両親は安泰ですので♡」

「行く行くは浩輔様は私と結婚を致します。するとご両親は安泰ですので♡・・・・・・・・・・お引き取り下さい・・・」



♪バタンッ



「あの・・・どうしてでしょうか?・・・私が突然押しかけてしまったから浩輔様はお怒りなのでしょうか?・・・・でしたら私、ずっとこの扉の前でお待ち申し上げております・・・これも放置プレイの一環なのですね!私、ゾクゾクして参りました♡」



♪バタンッ!



「入って!!」



バタンッ!



「あら?もう放置プレイ終了ですか?・・・どのくらい放置されるのかワクワクしておりましたのに・・・」

「あの・・・さ?・・・そのSPの人たちだけは・・・」

「あら!!そうですわね・・・分かりました!浩輔様のお気持ち、痛い程分かります・・・すみませんが、浩輔様がお辛いご様子ですのでお戻り下さい・・・当面こちらの家で厄介になるつもりですが、浩輔様がいらっしゃいますので私は大丈夫です!両親にはその旨お伝え頂けますでしょうか?私からも電話を致しておきます。」

SP1「かしこまりました!!では、どうか、ご武運を!」

SP2「先日のお話なら安心して我々は引き上げる事が出来ます。どうかご武運を!」



いや・・・何をどう、ご武運を願っているんだろうか?この人たちは?・・・一体何をするつもりだったのだろうか?



「さて、浩輔様♡邪魔者はもうこの家の中にはおりません!どうかご安心しておくつろぎ下さいませ♡」

「あの・・・どうしてこんな事に!?」

「浩輔君?・・・ごめんなさい。まだ記憶が鮮明では無いのに混乱を招く様な事をしてしまって・・・」

「ん?・・・・櫻木・・・さん?」

「この間私を助けてくれたよね?・・・あの時の記憶が一部抜けてしまっていると言っていたけれど・・・」

「うん・・・あの時、気が付いたら榊川が倒れていて櫻木さんが涙を流しながら俺に・・・」

「と言う事は、榊川君を殴った時、その直前に何を言ったかも覚えていない・・・?」

「うん・・・全く記憶が無くて・・・ただ、櫻木さんが扉の向こうで悲鳴を上げたから俺は居ても立ってもいられなくなってその後は・・・」

「そうか・・・少し、私たちの過去について触れてみようかと思うんだけれど・・・」

「・・・・・うん!聞くよ。俺の身に何かあるかもしれないから躊躇しているんだね?・・・でも俺も最近ずっと過去について・・・記憶が抜けている部分が無性に気になっていたんだ!だから・・・」

「・・・・分かった・・・でも、万が一の為に家のお医者様にコンタクトが取れる様にしているからその時は呼ぶわね!」

「うん!・・・頼むよ・・・」



俺は覚悟を決め櫻木さんと俺との間に何があったのか、過去について話をしてもらう事にした。色々とモヤモヤが晴れずずっと気掛かりだった事が少しでも解消出来るなら・・・俺は・・・



「今から君が失ってしまった記憶の断片である2カ所の内の1ヶ所・・・時系列で話を進めた方が良いだろうから先ずは君と私が出会った頃の話だけするわね?・・・でも、その前に!一気に話を進めるのは酷だからほんの触りの部分だけ・・・そう、これから進めて行く話の序章の部分・・・それから、最初に悪いけれど、この光をじっと見つめて?」



そう櫻木さんは言うとペンライトを点灯させ俺にその様に伝えて来た。俺は言う通りに櫻木さんが点けたペンライトの光をじっと見つめながら櫻木さんの話を聴こうとした・・・



「♪~~~」



あの歌だ・・・そのまま話を聴こうとしているとあの歌が聴こえて来た・・・



「今のあなたの記憶の抜けてしまった部分と言うのは全て私にまつわる所だけ・・・これは私があなたと同じクラスになってから私があなたの事を観察しながら様子を探らせてもらった結果・・・安心して?私はあなたにとって否になる存在じゃないの・・・安心して・・・安心する・・・僕は安心する・・・安心する・・・僕は安心する・・・」

「・・・・・安心・・・僕は・・・安心する・・・僕は安心する・・・」



櫻木さんがその様に優しく何度も繰り返しながら唱えているのを聴いていると何だか本当に安心して来た・・・



「あなたが私と初めて出会った日・・・5歳の時だった・・・この近くにある公園・・・今は無くなってしまったけれど、公園で私が1人で砂場で遊んでいる所へいじめっ子の男の子3人で私の前へ来て私の事をいじめていたの・・・「ここは、俺たちの砂場だから出て行け」・・・そう言いながら私の腕を掴んで砂場から追い出したの・・・それを見たあなたが私の所へ来ていじめっ子3人に怒鳴ったの!「ここは、皆の砂場だからお前たちが出て行け!先に使っていたのはこの子だぞ!!」・・・あなたはその様に怒鳴った・・・すると、3人の内のリーダー格の子があなたを殴った。あなたは顔に血が付いてしまったけれど、怒鳴り散らしながらその子を殴り返した。残りの2人は怖くなったのか逃げて行ったの。そして何度もお互い殴ってようやく動きが止まった頃にはお互いに傷だらけになっていた・・・相手の子は謝りながら泣いて帰って行った・・・「大丈夫?怪我無い?」そう言って自分の事なんてお構いなし、あなたは私に優しく声を掛けてくれた・・・傷の手当をしないといけないから私は直ぐに持っていた電話を使って自宅へ連れて行く様に伝えて私の家に呼んだ・・・そして治療をしてもらったの。その時に色々とお話をして、私の膝枕に寝てもらって歌を歌ったの・・・後日、あの日の喧嘩の時に相手から頭をきつく叩かれていたみたいであなたの記憶が断片的に失う形になってしまった・・・でも、その後の記憶もがあなたには無い・・・私が分からない部分でもあるの・・・」

「ん・・・んぐぅぅぅ・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

「ごめんね・・・私がいるから・・・私がそばにいるから・・・だから大丈夫・・・大丈夫・・・」

「ん・・・・ぐ・・・・・zzz・・・zzz」



眠ったか・・・やっぱりまだ早かったみたい・・・催眠術も使ってあまり症状を出さないようにリラックスさせていたけれど・・・もう少しこの話は後にしよう・・・



夜になった・・・



「♪~~~」

「・・・・・・・ん・・・俺・・・一体?・・・」

「お目覚めですか?ご主人様♡とても可愛らしい寝顔で私、欲情しちゃいましたぁ♪ふんっ!!ふんっ!!」

「い・・・いや・・・思い切り鼻息立てて怖いって!!」

「そうでしょうか?・・・まぁ、これからいくらでも2人きりのお時間があるのですから私も慌てる必要はありませんわね!!ふんっ!!ふんっ!!」

「いやいやいや!!完全に変なスイッチ入っちゃってるよ?・・・それより、お腹が・・・」

「あら・・・私とした事が失礼致しました!!初日ですから夕食のご用意が出来ないだろうと思って予め家でご用意させて頂きました夕飯をお持ち致しましたのでどうぞリビングへ♡」



そう言えば俺、櫻木さんに大事な話を聴いていた様な・・・でもお腹が空いたし折角用意してくれたから先に食べようかな!!



「あのさ・・・ごめん・・・俺、櫻木さんの話を聴いている内に眠っちゃっていたみたいで・・・」

「いいえ!まだ少し疲れが癒えていない様でしたので続きは浩輔様が完全に回復なされてからに致しましょう?それより、初夜ですので・・・そのぅ~♡・・・ふんふん♡・・・・ふんっ♡」

「いや、初夜って・・・俺たち結婚したと言う訳でも無いし・・・それにまだ櫻木さんの事を完全に思い出せていないから・・・」

「そんな事はお気になさらず・・・年頃の殿方は女子と一つ屋根の下で住まうものならもうそれはそれは・・・♡」

「ハート目になってるよ?櫻木さん?落ち着いて!興奮し過ぎだから!!」

「浩輔様は変態女子が大好きなのですわよね?私がまさにその変態女子です!!ですからどうぞ♡め♡し♡あ♡が♡れ♪」

「いや・・・変態女子なんて好きじゃないから!!」

「ですが、浩輔様のお部屋の中心にある正方形の床板を外し、その中のDVDケースのラベルが貼ってある方から5番目に入っている一番お気に入りのDVDの内容がまさにその変態女子のエッチなDVDですわよね!?ふんっ♡♡♡」

「待て?・・・何それ?」

「えっ!?・・・」

「俺の部屋の真ん中の床ってそんな構造になっていたの?」

「・・・・・・・・浩輔様?・・・・」



どうして?・・・自身の部屋の構造を覚えていないの?・・・まさか記憶喪失がここにも影響していたって言うの!?・・・急いで浩輔君と私は部屋へ行って確認する事にした・・・



「確かに・・・真ん中の板が外れたよ!!俺こんな部分知らなかったな・・・」



って言うかどうして櫻木さんがこんな所まで知っているんだ!?



「あった!!DVDケースが・・・って5番目?・・・うっ!!誰だよこんなの入れたの・・・?」

「あの・・・念の為に確認致しますが、浩輔様は変態女子はお嫌いでしょうか?・・・変態女子はお嫌いでしょうか?」

「あれ?俺フリーズしてる?・・・今、2度同じセリフが聴こえた気がするんだけど・・・?」

「あの・・・例のアレです!アレ!!大切な事なので2度言いました・・・と言うやつです!!」

「あぁ・・・良かった・・・俺、正常だったみたい・・・でも本当に俺には覚えが無いんだよな・・・これって誰かが置いたとか?」

「いいえ!これは・・・ごめんなさい!私がそっと隠したのです!!浩輔様が変態ドスケベ女子が大好きになる様仕向けました・・・」

「そうか・・・良かった、俺がおかしくなったのかとばかり・・・って俺そんなの好きにならないから!!」

「そうですか?・・・漏れなく色々と特典が付いて来るのですが・・・あっ!私が漏れて来てしまっている様です・・・失礼致しました♡」



漏れて来たって何が!?・・・何を漏らしちゃってるの!?



「でも、どうして俺の部屋の床の構造知っていたんだろう?」

「勿論ご両親にお聞き致しましたので♪」

「本当、櫻木さんは凄いよね!?いつの間にそんな事を・・・」



私が考えていた以上に何か違和感が生じてしまっている・・・
自身の部屋の構造、それよりも自分がどう言う嗜好でどう言う事をしていたのか全く覚えていない?・・・私は下手に事実を述べるとまた彼が大変な事になってしまうだろうと思い自ら話を捻じ曲げる事にした。
ひょっとして・・・私が思っていた事以外の場所や状況下で彼に何かがあったのだろうか?
先に記憶の事より事実確認が優先かもしれない・・・



「さて、今日は色々とお疲れでしょうから、私が抱き枕になって差し上げます♡さぁ、どうぞ?私をお好きにお抱き下さいませぇ~♡ふんっ♡ふんっ♡」

「じゃぁ、櫻木さんは悪いけど俺のベッドで寝て?俺は下に布団敷いたからそこで寝るよ・・・俺の家狭いし部屋が少ないからね!」

「そんなぁ・・・折角2人きりで同じ部屋で眠れるって言う絶好のチャンスだと言うのに・・・」

「あっ!そうか!!両親いないんだった・・・じゃぁ、櫻木さんはどっちか好きな方の部屋使ってよ!俺は櫻木さんが選んだ方と別の部屋で寝るから!」

「いいえ!!同じ部屋で大丈夫です!抱き枕とかして頂かなくて結構ですから!!どうか、浩輔様と同じお部屋で眠らせて下さいませ・・・私・・・怖いんです・・・夜は1人で眠るのが・・・だから・・・だから・・・うぅっ・・・」

「そんな・・・1人で寝るのが怖いの?・・・涙まで浮かべて・・・分かったよ。じゃぁこのまま櫻木さんがベッドで俺が布団で寝るから・・・良いよね?」

「え!?・・・えぇ!ありがとう御座います。それで構いません・・・ですが私が布団の方で眠らせて頂きます。浩輔様はこれまで通りベッドをお使い下さいませ!!」

「いや、女の子・・・って言うよりお嬢様に布団で寝ろとか流石に言えないよ!だからこれは俺からのお願いって事で・・・」

「ふふ♪・・・やはり浩輔様はお優しいのですね・・・私が惚れるのも無理はありません!」

「ぷっ♪それは普通自分で言うセリフじゃないかと?・・・」

「ふふふ♪やっと表情が柔らかくなられましたね・・・ではそろそろ眠らせて頂きますね?浩輔様、これからよろしくお願い致します♡」

「うん!宜しくね!」

「いつでも準備は整っておりますので!い・つ・で・も!!ふんっ♡ふんふんっ♡」

「いや、何の準備か分からないけど・・・折角の超絶美少女なのにその下品な鼻息は止めた方が・・・」

「まぁ♡浩輔様が私の事をお褒めに・・・名誉過ぎて私、溢れ出てしまいそうですわ♪」

「いや・・・色々と溢れ出るのはいけない気がするから・・・それより早く寝よう!!うん!じゃぁ、おやすみなさい・・・zzz・・・zzz」

「もう・・・折角幸せなひと時を過ごそうと思っておりましたのに・・・眠られましたか?・・・眠られましたか?浩輔様?ねぇ?・・・ねぇってばぁ?」

「zzz・・・zzz」



「ふふっ♪・・・浩輔君・・・ごめんね?色々と疲れさせてしまって・・・少し焦り過ぎちゃったかな・・・やっぱり、もう少しゆっくり進んで行く方が良かったかも・・・♪~~~」



(演技・・・か・・・変態チックになる櫻木さんは演技をしているみたいだ・・・またあの歌だ・・・本当にこの歌を聴いていると落ち着いて心地良いな・・・)



勿論俺は寝ていなかった。寝た振りをしていた。
すると櫻木さんは素の状態なのかな?いつもとは違った様な口調だったり、色々と俺の事を気遣ってくれているようなセリフを口にしていた・・・



午前6時・・・
♪ピピピピピ・・・ピピピピピ・・・朝だ!!麻田!!!麻田さんが起床時間をお知らせします!!!ピピピピピ・・・ピピピピピ・・・



ポチっ・・・



そろそろ目覚まし時計変えようかな?・・・
ところで・・・麻田さんって誰?
そう思うと同時にいつもとは感覚の違った状態で俺は起き上がる・・・



「そうだった、昨日から櫻木さんが・・・」



ベッドでは無く床に敷いた布団から起き上がった俺はベッドの方を見る・・・
すると櫻木さんがいなかった?



「あれ?櫻木さんがいない?・・・帰っちゃったのかな?・・・でも荷物はあるし・・・」



とりあえず朝食の準備をしようと食卓の方へ向かった俺だったが・・・



「あっ!おはようございます。浩輔様♡」

「櫻木さん?・・・どうして?・・・」



キッチンで朝食の準備をしていたと思われる櫻木さんの姿が俺の目の前にあった・・・



「まだお時間がありましたので朝食の準備が終えたら起こしに伺おうかと思っておりましたのに・・・」

「いや・・・ごめん、俺が支度するつもりだったのに・・・」

「そんな・・・居候の分際で私が何もしない訳には参りません。こちらでお世話になる時は私が家事全般させて頂きますわ!」



うん・・・凄いよ!!完璧妻だ!!真っ先に告白して嫁いで来て欲しいくらいだ!
でも俺は1つどうしてもツッコミを入れずにはいられない事があった・・・それは・・・



「それってまさか・・・」

「えっ!?・・・は・・・はい♡・・・年頃の男女2人が同じ家に住まう訳ですから雌としては雄を悦ばせなければなりませんわ♡」



どうしよう?・・・悦ばせなければの方の「悦ぶ」と言えば今の裸エプロンをしている櫻木さんからすればまた変態スイッチ入っちゃってる!?・・・どうする浩輔!?ここをどうやって切り抜ける!?・・・ここは、櫻木さんの美味しそうな手料理の話題で話を反らすか!?いや待てよ!?そっちへ選択すると漏れなくその先の展開が丸わかりだ!!
よし!トイレだ!?・・・ちょっと頭を冷やす意味合いでもトイレで落ち着きを保ちつつ時間が経てば話も変わるだろう・・・
って待て待て待て!!トイレに俺が行ったらこの展開から想定される事と言えば・・・



(浩輔様♡こちらでお世話になるのですから浩輔様の身の周りのお世話も勿論奴隷としての勤めで御座います。ですのでご一緒に入らせて頂きます♡)



なんて事になりそうだからなぁ・・・



「あら?浩輔様?どうかなさいましたか?茫然と立たれたまま固まられたりなさって・・・え!?・・・立って・・・固い?・・・それってまさか!?・・・♡」

「い・・・いやいやいや!!どうしてそっち方面に上手く流そうとするんだ!?違うよ・・・それより良い匂いがして来たね・・・流石櫻木さん!本当何でも出来ちゃうんだね・・・凄いよ!!」

「そんな・・・私は当然の事をしたまでですわ?」



素面で櫻木さんを褒めていた・・・
本当にこの子は凄いんだなって思う!
演技もそうだろうけど、何よりお嬢様でありながらも家事も料理も得意みたいで、それを普通にこなしている。きっと育ちが良いだけじゃなくて親御さんが凄い方なんだろうなと・・・
そう言えばこの前、母親は・・・そんな事を言われていた様な・・・いや、俺の想い違いなのか?・・・でも櫻木さんのご両親ってまだ見掛けた事が無かった様な・・・でもそんな気もしない様な・・・



「さぁ、出来ましたわ♪召し上がれ?」

「うわぁぁ!!朝から豪華な食事だね!!俺こんな豪華な食事朝から食べた事ないよ!!」



何だか朝から食べるには勿体無いと言うか・・・
櫻木さんは少しお洒落な感じで朝は重くも無くかと言ってこれから動き出すからある程度の栄養面も考慮しているのだろうか・・・サラダや少ししっかりとした朝食を用意してくれた。毎朝こうだと俺も頑張れる気がする!!そう思いながら早速食べてみる事に。



「美味いっ!!!美味しいよこのドレッシングお手製?」

「わぁ♡ありがとうございます。はい♪少し拘りのドレッシングなんです♪お気に召して頂けて何よりですわ♡」



続いてスープ!?



「凄いよ櫻木さん!レストランとかに出て来る様な味がするよ!!」

「そちらは少し調味料が入手しにくいのですが後はそれ程難しいものでは御座いません♡」

「櫻木さんって本当に凄いんだね・・・そんな完璧なのにどうして俺なの?」



いや、本当はどうして「変態」なの?と聞いてみたかったのだが怖くて聞けないそんな事・・・
でも、どうして俺なんかに?・・・これは本心でもある!



「完璧では御座いません・・・私は、本当は落ちこぼれなんです。きっと・・・浩輔様に・・・と言う事はやはり浩輔様の記憶が戻られた時に全てが明確になられるかと思われます・・・」

「ごめん・・・俺そう言うつもりで聞いたんじゃ・・・」



櫻木さんは少し申し訳無さそうな表情で、俺の気のせいかもしれないけど少し悲しそうな感じで俺の質問に答えようとしている様にも伺えた・・・



「うん!どれも美味しいよ♪こんな美味しいもの食べて想われて・・・俺って最高に幸せなのかも!?」



少し場の空気を和ませようと俺は半分無理矢理に櫻木さんにこの様に言う・・・すると・・・



「そうですか♡私も作った甲斐がありました♪これからは毎日お作り致しますので何か召し上がりたいものや逆にお嫌いなものがあれば仰って下さいませ♡」



凄く嬉しそうにその様に言うと、櫻木さんの座っていた方の窓際から差し込んだ太陽の光が彼女の後ろからオーラの様に照らしていた。そして櫻木さんが笑顔でニッコリとほほ笑んだ。その姿を見た俺は自身が本当に幸せ者なんだと確信していた。
可愛い、綺麗、そう言う類じゃない・・・確かに櫻木さんは綺麗で美少女である。誰もが憧れる学園一の美少女である。けど俺の今の感情はそれだけに留まらなかった。
これは演技の表情では無い事を確信出来る程の心の底から俺に褒められて喜んでいてくれる、本当に俺の事を想ってくれているんだと全てがこの笑顔に鮮明に出ているんだと俺は確信した。



「綺麗・・・だ・・・」

「えっ!?・・・あっ!?あぁ・・・そろそろ太陽が昇る時間ですものね・・・朝日が出て来る時の輝きは本当に素敵ですわ♪私も・・・きゃっ!!」



俺は無意識の内に櫻木さんを抱き締めてしまっていた・・・
手放したく無い・・・こんな素敵で最高の子を・・・



「浩輔・・・様?・・・如何なさいましたか?」

「えっ!?・・・あっ!!ごっ!!ごめん!!本当に・・・俺、無意識だった・・・どうしてだろう?」

「うふふ♪・・・大丈夫です!それは恐らく・・・恐らく、浩輔様の心の底の感情だと思われます・・・こう今の浩輔様に申し上げるのは自惚れているのだろうと思われてしまっても仕方がありませんが・・・」

「いや・・・太陽の光が櫻木さんを覆っていた時に櫻木さんの顔を見ていたら・・・ごめん!俺、気を付けるから!!だから・・・」

「さて・・・朝食の方も綺麗に召し上がられましたので後片付けをしますね!」

「あっ!俺やるから!作ってくれるのが櫻木さんなら後片付けは俺がやるから!!」

「浩輔様・・・・・はい・・・では、宜しくお願い致します。」



そう言って俺は恥ずかしい思いと気まずさを少しでも無くす為に率先して後片付けをする事にした。勿論今言った作るのが櫻木さんなら片付けるのは俺だと言うセリフは本心である!



「浩輔様、ありがとうございました。おかげ様でゆっくりと時間が取れましたわ♪それで・・・予想より早く起床してしまいましたのでまだ学校へ行くまでにお時間が空いておりますが・・・」

「こっちの方こそあんなに豪華な食事をありがとう!!・・・そうだね、時間がまだ結構あるね・・・俺の家から学校までだと歩いて30分で着くし。」

「その・・・♡」



何だ?その・・・「♡」←これは!?



「折角こうしてお時間があるのですから・・・2人だけの朝・・・と言えば♡」

「うん!まったりリビングでくつろいでから学校へ行くのも乙なものだね・・・あはは・・・あは・・・」

「んもう~♡朝って殿方は性欲で満ちているはず!!そんな浩輔様の性欲を私が鎮めて差し上げようかと・・・♡」



いや、世の全ての殿方が朝、性欲で満ちているならこの世は性欲で溢れかえってとんでも無い事になっているだろう・・・
それに、俺がその性欲集団に入れられている事が腑に落ちないのだけど?・・・



「殿方は朝起きるとあらゆる所がお元気になられますわよね?・・・浩輔様も朝その様な状態でしたものですから・・・♡」



あの・・・話の節々に「♡」マーク入れて来るのは狙っているのか?・・・狙っているんですね!?むしろあなたの目が「♡」マーク完全にスイッチ入っちゃってる状態ですもの・・・



「おっ!!今日の占い俺結構良い感じじゃない!?」



このまま櫻木さんのペースに流されると何か怖い事が起こる気がしたので俺は咄嗟にテレビを点けて今日の占いを見てみる事にした・・・話を反らす為なんだけど・・・



「あら?浩輔様は占いはほとんど見られないと思っておりましたが・・・」



あれ?バレてる?・・・



「い・・・いやぁ・・・俺だってたまには見るよ?・・・」

「じぃぃぃぃ~!!!!!」

「なっ!?・・何!?・・・急に顔を近づけて・・・近い!!近いよ?・・・櫻木・・・さん?・・・」

「浩輔様、嘘を付くと目を細める癖があるのですが・・・」

「嘘でしょっ!?・・・俺そんな事・・・」

「します!!じゃぁ、試しに・・・浩輔様?私に欲情された事はありますか?」

「なっ!!無いよ!!そんな事・・・」

「ほらぁ♡あるんじゃないですか!?・・・また目を細められましたわ?」

「いや、無いから!!無い無い!!絶対に無いよ!!本当無い!!」

「そんなに何度も否定しなくても宜しいのではないでしょうか?私とて一応乙女なのですよ?・・・そんなに意中の殿方に否定されてしまっては・・・うっ・・・」

「いやっ!!そう言うつもりじゃないよ・・・ごめん・・・本当は・・・あるよ・・・勿論こんなに綺麗で可愛い子が側にいたら男なら誰だって・・・」

「♪~・・・今の言葉に嘘はありませんでしたね♡安心致しましたわ♪」

「当たり前・・・だよ・・・でもあんまりからかわないで欲しい・・・かな・・・」

「申し訳御座いません・・・浩輔様とこの様にご一緒出来る様になれて私、浮かれておりました・・・以後慎みます。」

「い・・・いや・・・そこ迄深く考えなくても良いけど・・・さ・・・」



こうして俺の家の環境が一気に変わってしまった・・・
両親が海外へ生活する事になる代わりに新たに櫻木さんが俺の家に同居しにやって来た!!
これから俺の私生活も櫻木さんが関わって来る事は目に見えているけど、一体どう言う感じになってしまうのだろう?・・・
少し不安もあるけど、本当は嬉しいと言う自分の感情も否定出来ないでいる。
あんなに料理が美味しくて家事も出来て、俺の事を想ってくれている子だから・・・
ただ・・・変態チックな方向だけは勘弁して欲しいけど・・・














第5話 押しかけ超絶美少女は料理・家事完璧超人だった・・・でも?・・・ Finish
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