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少年ディーン
俺のスキル
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そのあとはルイナさんのお説教タイムだが、ルイナさんはすぐに話題を変えた。
「んで、一日でだいぶ筋肉ついたな」
え、うお!確かに三頭筋と胸の張りが凄い
「なんと言っても真っ暗でも本が読めるってことだ。」
ん、なんだ?やっぱり説教なのか?
ルイナさんの説教は長い時はほんとに長いからなぁ~
はぁ~とりあえずぼーっとしてれば終わるか
「なんだ、わかんねーの?」
何が分からないのか俺には分からなかった。何を言っているんだ。
「それ、スキルなんじゃねーの?」
「え!本を読むのがスキル!?」
スキルという言葉に喜びと驚きがまじり、なんとも言えない胸の高ぶりがあった。
ハンターの道もそう遠くは無いかもしれない
そんな気持ちとは裏腹に、ルイナさんは感の鈍い俺にため息をついていた。
「おまえ、夜でも何ら不自由なく活動できるだろ、目がいいから」
確かに暗くて何も言えないという経験はない
「そりゃぁきっと、目に関するスキルを持ってるってことになる。」
━━━━━━━━━━━━━━━
気づけば空は夕焼けのように真っ赤だった。
俺は荷造りをしていた。
秋晴れの清々しい朝だった。
『そのスキル磨いてみないか』
ルイナの言葉を何度も何度も頭の中で繰り返していた。
自分もとうとうスキルが使えるようになるんだ。“次元獣(キラー)”と抗う術を手に入れることができるんだ。そう思うといても立ってもいられない。
「ほれー飯だ飯~早く来ないと食っちまうぞ」
ルイナの作る料理は絶品だ。
足早にルイナの元へ向かった。
食卓にはザ・朝食といった献立が並んでいた。トーストした食パンの上に、ホロホロのスクランブルエッグが早く食べてほしそうに湯気を上げている。その隣では、カラフルに盛り付けたサラダ。日の光を浴びて水滴がキラキラと輝いている。
「いただきます!」
昨日は、一日中本に夢中で飯をろくに食べていなかったため、一口食べた途端食欲が爆発した。
一気にがっついてむせこんでいるとルイナが静かに口を開いた。
「おまえを自分の子のように育ててきたよ」
俺の手は一瞬で止まった。
こんな雰囲気のルイナは初めてだった。
「少しばかり思い出話に付き合ってくれ」
冷めては行けないなと、スクランブルエッグだけは平らげた。
「仕事中に瀕死のガキンチョを見つけてね、その子はまだ五つにもなってないくらいに小さいガキだった。」
この話はなんども聞かされている。
しかし、今日はいつもと違う
「その子からは力の欠片も感じられなかった。本当に息絶える直前だった。」
この話のガキンチョは、俺のことだ。
命絶える直前にルイナさんに救われた。
「そんなガキが、言葉を覚え、文字を覚え、時には反抗したり、ギャーギャー泣いたり」
目を細めどこか懐かしむようにテーブルの一点を見つめながらレイナは静かに話していた。
「夜遅くに帰ってきたら、かってに本は読んでるわ、汗でカーペットダメにするわ」
俺の方を見てニコッと笑い
俺に見えないようにすぐに顔を逸らした。
涙を浮かべていたのを俺は見逃していなかった。
「俺も、本当のお母さんだと思って毎日楽しく過ごしてたよ」
ごちそうさま
ルイナさんは涙を見られたくないんだ。
俺は部屋に戻った。
「んで、一日でだいぶ筋肉ついたな」
え、うお!確かに三頭筋と胸の張りが凄い
「なんと言っても真っ暗でも本が読めるってことだ。」
ん、なんだ?やっぱり説教なのか?
ルイナさんの説教は長い時はほんとに長いからなぁ~
はぁ~とりあえずぼーっとしてれば終わるか
「なんだ、わかんねーの?」
何が分からないのか俺には分からなかった。何を言っているんだ。
「それ、スキルなんじゃねーの?」
「え!本を読むのがスキル!?」
スキルという言葉に喜びと驚きがまじり、なんとも言えない胸の高ぶりがあった。
ハンターの道もそう遠くは無いかもしれない
そんな気持ちとは裏腹に、ルイナさんは感の鈍い俺にため息をついていた。
「おまえ、夜でも何ら不自由なく活動できるだろ、目がいいから」
確かに暗くて何も言えないという経験はない
「そりゃぁきっと、目に関するスキルを持ってるってことになる。」
━━━━━━━━━━━━━━━
気づけば空は夕焼けのように真っ赤だった。
俺は荷造りをしていた。
秋晴れの清々しい朝だった。
『そのスキル磨いてみないか』
ルイナの言葉を何度も何度も頭の中で繰り返していた。
自分もとうとうスキルが使えるようになるんだ。“次元獣(キラー)”と抗う術を手に入れることができるんだ。そう思うといても立ってもいられない。
「ほれー飯だ飯~早く来ないと食っちまうぞ」
ルイナの作る料理は絶品だ。
足早にルイナの元へ向かった。
食卓にはザ・朝食といった献立が並んでいた。トーストした食パンの上に、ホロホロのスクランブルエッグが早く食べてほしそうに湯気を上げている。その隣では、カラフルに盛り付けたサラダ。日の光を浴びて水滴がキラキラと輝いている。
「いただきます!」
昨日は、一日中本に夢中で飯をろくに食べていなかったため、一口食べた途端食欲が爆発した。
一気にがっついてむせこんでいるとルイナが静かに口を開いた。
「おまえを自分の子のように育ててきたよ」
俺の手は一瞬で止まった。
こんな雰囲気のルイナは初めてだった。
「少しばかり思い出話に付き合ってくれ」
冷めては行けないなと、スクランブルエッグだけは平らげた。
「仕事中に瀕死のガキンチョを見つけてね、その子はまだ五つにもなってないくらいに小さいガキだった。」
この話はなんども聞かされている。
しかし、今日はいつもと違う
「その子からは力の欠片も感じられなかった。本当に息絶える直前だった。」
この話のガキンチョは、俺のことだ。
命絶える直前にルイナさんに救われた。
「そんなガキが、言葉を覚え、文字を覚え、時には反抗したり、ギャーギャー泣いたり」
目を細めどこか懐かしむようにテーブルの一点を見つめながらレイナは静かに話していた。
「夜遅くに帰ってきたら、かってに本は読んでるわ、汗でカーペットダメにするわ」
俺の方を見てニコッと笑い
俺に見えないようにすぐに顔を逸らした。
涙を浮かべていたのを俺は見逃していなかった。
「俺も、本当のお母さんだと思って毎日楽しく過ごしてたよ」
ごちそうさま
ルイナさんは涙を見られたくないんだ。
俺は部屋に戻った。
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