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第1章
022.撮影現場
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「リオっ!どこ行ってたの!? 心配したんだよ!!」
エレナに指定された港に着いた途端、俺達の気配に気がつき真っ先に声を上げたのは江嶋さんだった。彼女は一目散にリオへ駆け寄り、隣の少女も腕を広げてそれを受け止める。
安心したような笑顔を浮かべる江嶋さんに対してリオは眠そうな表情を崩さず、ただ黙って彼女を抱きしめている。けれどその雰囲気は先程と比べて幾分か柔らかくなっているようにも思えた。良いなぁ……羨ましいなぁ……
「どこって……学校?」
「学校!?なんでそんなとこに!?」
「ご……ごめ……だからアイ……そろそろ……」
「いくらリオでも見つかったらパニックになるんだよ!?」
「~~~!~~~~!!」
―――――羨ましい。そう思っていたのも束の間だった。
抱きしめられている――――。
よくよく見るとそれは大きな間違いだった。
江嶋さんに抱きしめられていた次第にリオは苦悶の表情に変わっていて、赤い表情のまま江嶋さんの背中をタップしている。
抱きしめる……というより締められている。もはや気絶寸前だ。
しかし当の本人は気がついていないのか、単にあやされているだけかと思っているのか……まったく気づかない様子でどんどんと腕の力を強めていく。
あ、段々と青くなってきた。これヤバいんじゃ……?
「江嶋さん、そろそろ―――――」
「アイ、リオが苦しそうにしてるから離してあげなさい」
2人の再会に水を差すのもどうかと、恐る恐る江嶋さんを止めようと声を掛けようとしたその時、混沌となりかけた場を締めるような凛として落ち着いた声が彼女に投げかけられた。
エレナではない。一体誰が声をかけたのかと目を向けると、2人の女性の姿がこちらに向かって歩いている。アレはエレナと……誰だ?
「え?……あぁ! ごめん、リオ!!」
「む……ぅ……さすがアイ……。 効いた、ぜ……がくっ」
もはや「がくっ」でさえも棒読みで気絶するリオ。……いやこれフリだ。
一瞬本当にまずい状況かと冷や汗をかいたが問題ない様子。歩いてきた2人も同じ感想を抱いたようで、リオを一瞥するだけして俺に意識を向けてくる。
「エレナ……」
「誕生日ぶりね。あの日はアリガト。……それに今日はリオが迷惑掛けちゃったわね」
真っ直ぐ歩いてきたエレナは仕事モード……とでもいうのだろうか。
彼女は口調こそ普段とあまり変わらないものの、雰囲気や立ちふるまいは小学生みたいな見た目から隔絶されるほど悠然として大人びていた。
その先輩と見まごうほどのギャップに面食らった俺はついつい姿勢を正してしまう。事実、先輩なのだが。
「い、いや……驚いたけど俺の為だったらしい……ですし」
なんだか雰囲気に呑まれてしまって変な口調になってしまった。
いやそうだろう。今まで不審者兼、偽姉兼、先輩を自称する小学生が、突然包容力をも兼ね備えた大人びたオーラを携えて現れたら誰だってこうなる。
「なぁに?そのらしくない反応。人が多くて緊張するからっていつもどおりでいいのに」
俺の変な様子に困ったような呆れたような表情をするエレナ。
確かに人は多いが、そういうことじゃないんだけどな。
「いや……うん、そうだね」
「えぇ。キミは自然体が一番いいわ。……ところで今って学校の時間よね。大丈夫なの?テスト期間とかじゃない?」
軽く腕を組んで微笑むも一転、心配したような表情でスマホでカレンダーを確認する。
彼女の懸念ももっともだ。あれからリオを送り届けるにあたって担任に早退の旨を伝えてから学校を出てきた。大丈夫かそうでないといえば、あまり褒められたものではない。
今現在、度々スマホが振動しているのは友人が連絡してきているのだろう。あとで説明しないとな……リオを目撃してしまった以上、なんて言おう。
「あ~!もしかして早退しちゃったのかなぁ?」
「!?」
唐突に。
エレナの隣にいた女性が手を合わせて思いついたかのように声が上がった。その心の中を言い当てられるような言葉に心臓が一度大きく高鳴ったが、慌てる事なくゆっくりと頷いてみせる。
「相対……それは悪いことしちゃったわね。ごめんね?ウチのリーダーが」
「ううん、皆勤とか気にしてないから全然。それでえっと、この人は一体――――」
誰のせいでもないのにエレナが謝ってきた。強いていえばその責任は俺にある。冷静に考えたら一人で来ることもできたのなら帰ることもできただろう。
とりあえずその問題はこれで手打ちにするとして、先ほど声を上げた見知らぬ大人の女性について問いかけようとすると、女性は一歩前に出て一礼する。
「ごめんごめん。私、神鳥 恵那っていいます。こういうものです」
「はぁ……ありがとうございます」
お辞儀と同時に差し出されたのは名刺だった。
大人の作法も知らない中何度か頭を下げつつ受け取ると、そこには会社名と役職名が……会社名はよく読めないが、役職のところには『社長』と『ストロベリーリキッドマネージャー』の二つの文字が見えた。
あぁ、誰かと思えばマネージャーさんか。
そしてまさかの社長さん兼役。企業の事情はよくわからないけど、そういったこともあるのだろう。
「ん?神鳥って、たしか……」
一通り名刺を眺めると、とある疑問にたどり着いた。
神鳥って見覚えがある名前だ。確かリオの名字もがそれだったはず。マネージャーさんも同じだとすると、もしかして……
「そうっ、リオは私の姪っ子だよ!私はストロベリーリキッドを生み出した裏のボス!38歳独身で彼氏募集中でっす!」
「……はぁ」
元気よく放たれる自己紹介に圧倒され、微妙な返事をしてしまう俺。
言われてみると確かにリオと似ている部分も多々見受けられた。ウェーブがかるくかかった茶色い髪に同色の瞳。どことなく奔放そうな雰囲気も彼女の血筋だと言われて納得できる。
あと、募集中とか言われても返事のしようがない。
「ねぇねぇ、その制服ってすぐそこの高校だよね?」
「へ?あぁ、はい。そこの1年です」
「…………ふぅん、だからか」
「?」
きっと俺の胸ポケットに刺繍されている校章が目に入ったのだろう。神鳥さんは一人納得したようにどこか歩いていってしまう。
はて、『だからか』ってなんだろう……
「あっ……あのぅ……」
「はい?」
少し疑問に思いつつ渡された名刺をとりあえず財布にしまうと、ふとリオと話していた江嶋さんが声を掛けてきた。
彼女は少しオドオドとしながらも、その長い髪をポニーテールに結いて揺らしながらこちらを見上げている。
「私からも……お礼を言わせてください。リオを送ってくれてありがとうございます」
そうして深々とお辞儀をしてくる江嶋さん。
やっぱりこの人が一番しっかりしてる気がする。リーダーじゃないのが不思議なくらいに。
「それで……お弁当って何のことですか?」
「お弁当……? あっ…………」
ふと、頭を上げた江嶋さんが言葉を続けてくる。しかしその視線は俺に向けられず地に落としたまま。
そういえばお弁当のこと忘れてた。
移動の邪魔になるからとリオに一旦持ってもらっているが、なんて説明しよう……
「え~っと――――」
「それが学校に行った理由。近くで仕事だったから抜け出してお弁当渡しに行った。 あわよくば一緒に授業を受けるつもりだったけど……」
「リオっ!?」
もはやオブラートも何もなく、そのまま全てを白状してしまうリオ。
100%冗談だと思ってたけど、本当に授業受けるつもりだったの!?
自白することに驚いて一瞬だけリオの方に顔を向けた江嶋さんは、すぐ顔を伏せて表情が見えなくなってしまった。
気のせいだろうか。今日江嶋さんと会ってから一度も目を合わせてもらってない気がする……
「お弁当……一緒に……」
俯きながら何かをボソボソと呟き続ける彼女。
こころなしか纏っている雰囲気も暗いものに変わってきている気がする。
「えっと、江嶋さん……大丈夫でしょうか?」
「…………前坂さん!!」
「わっ!?」
少し心配になった俺は様子を伺うよう慎重に距離を近づけていくも、不意にその頭が上がって彼女の顔が目の前に現れる。
さすがはアイドル……と言ったところだろう。そこには眉を釣り上げた意志の強い目があり、綺麗な瞳や長いまつげがすぐ近くに有ることに俺の心臓は高鳴ってしまう。
「慎也っ!!」
「…………って、エレナも!?」
そんな江嶋さんの顔が近づくのとほぼ同時だった。
いつの間にやら近くに寄っていたエレナも同様に距離を詰め、2人と俺との距離はもはや10センチほど。
その琥珀のような茶色の瞳と、サファイアのような碧い瞳に見つめられて少したじろいでしまう。
「えっ……と……二人とも、怖いよ?」
その眼が。
美しいのに怖いという、なんとも不思議な感覚を体験しながらなんとか声を出す。
その圧力に居辛くなってリオと神鳥さんに視線で助けを求めるも、こちらを見ることすらない。二人とも会話に夢中で気がついていないのか、気にしないようにしているのか……
「「ねぇっ!」」
「はっ、はいぃ!」
なんとも情けない声が出てしまった。
きっとよそ見せずこっちを見ろと言っているのだろう。目を合わせても地獄、逸しても地獄。
アイドル2人という美少女に囲まれるもその実、なんとも地獄のようなひとときを味わっていた。
「前坂さん……?」
「慎也……?」
なんだろう。ただ名前を呼ばれているだけなのに、何も悪いことしていないハズなのにどんどん追い詰められていってる気がする。
そのハズなのに罪の意識が自分の中で湧き上がって来たところでふと離れた位置から1つの声が上がった。
「――――へぇ……アイの恐怖症ってもう治ったんだ」
「……えっ?」
ふと、二人ではない別方向から声がかけられる。
それはいつからか会話を終えてこちらの様子を見ていた神鳥さんからだった。
無言の圧力の中切り裂くように出たその言葉は俺たち全員の注目を集め、彼女はなんてことのないように話を続ける。
「え? だってアイってそんな近距離に男が近づくの耐えられなかったでしょ? なのに自らそんなに近づいて…………あっ!もしかしてぇ……愛の力ってやつぅ?」
彼女のからかうような口調で自分が行っている現状を把握したであろう江島さんは顔を真っ赤に染め、またたく間に俺から距離を取ってしまった。
その際側に居たリオを盾にしたことで彼女の身体が大きく揺れ動く。
「あのっ!そのっ…………ごめんなさい。 近くに寄って迷惑でした、よね?」
そんなこちらの様子を伺いつつ、何度も視線を戻す事を繰り返す彼女はまるで小動物のような怯えようだった。
離れてしまった……残念……でも怯える姿も可愛い――――じゃなくて!彼女をこれ以上追い詰めてはならないと慌てて首を横にふる。
「そんなことないですよ! むしろ綺麗な顔が近くで見れて嬉しかったっていうか……」
「へっ……? あっ、えっと、ありがとうございます……」
なんとも初対面のようなぎこちない会話に揃って顔を伏せてしまった。
しかしそんな甘酸っぱい空気も束の間。
ここに居るもうひとりが黙ってはいなかった。そう、エレナは俺が顔を伏せたと見るやすぐさまその両頬を自身の手で挟み込んで無理矢理目を合わせさせる。
「エレナ……近いよ?」
「アイを倒したようだけど私はそうはいかないわよ。リオにお弁当作ってもらって一緒に授業受けるって、いつの間にそんな仲良くなってるのかしらねぇ?」
「し……知らない!むしろ俺が教えてほしいくらいだからっ!」
先ほどとは違い今度はエレナのみの追求だが、その碧い眼が俺の全てを見透かすように俺の黒い目を射抜いていく。
そんなこと俺が知りたいくらいだ。
知らないうちに好かれてて知らないうちに学校に来てて……彼女の行動理由がわからなさすぎて戸惑ってるくらいなのに。
「姉である私に誓って言える?」
「は……はい……。姉に誓います……」
その迫力には姉ではないなどと茶々を入れる余裕すら無かった。
返事をした途端、もう1歩エレナは俺に近づいたようで、その顔の距離が5センチほどに。
頑張って顔を動かせば額くらいは当たるんじゃないかと思える距離でじっと見つめられる。
そんなすぐ近くで見たエレナの顔は小顔で、大きな瞳に小さな口。そのどれをとっても整っていて奇跡のバランスと言ってもいいほどだった。
そんな美しい顔が近くに有ることを自覚してしまったせいで、恥ずかしいような怖いような……そんなゴチャ混ぜな感情で埋め尽くされてしまう。
もうあの公園でのできことも全て話してしまおうかと思ったその時、一文字に紡がれていた小さな唇がゆっくりと動き出した。
「嘘はついてないようね……ならちょっとしゃがんでもらえるかしら?」
「? こう……?」
有無を言わさぬような彼女の指示に従って膝を折り曲げその場にしゃがみ込む。
なんだろうと思いつつ、見上げる形になったエレナへ顔を上げると、その小さな手が俺の頭にそっと置かれて左右にゆっくりと動き出す。
「これって…………」
それは、エレナは俺の頭を撫でていた。
少しぎこちない様子だが間違いない。触れられる手のひらから温かさと優しさが伝わってきて俺は黙ってそれを受け取る。
「ごめんね。リオって自由だから。だからこそキミがいいように扱われてないか心配になったのよ……」
さっきの雰囲気とはまるで違う、全てを受け入れてくれるような雰囲気にされるがままになってしまう。
ふと本当に彼女が俺の姉なんじゃないかと思い始めたその時、彼女の手が俺の後頭部を抱きしめるように触れてリオへと声を上げた。
「リオ!この子に変なことしてないでしょうね!?」
「まさかぁ。 私は親愛の念をもって慎也クンと接してるんだぜ?」
「……本当でしょうね?」
「ほんとほんと。この目が信じられないの?」
「…………ことリオに対してはわからないのが問題なのよね」
頭越しにリオと会話をしていたエレナが困ったように息を吐く。
エレナたちでも彼女の予測は難しいのか……
「お、俺は気にしてないし大丈夫だよ」
「そう? ならいいけど……」
そう心配そうに見つめてくるのに加え、頭を撫でる手が止まる様子すら見せないことに段々と恥ずかしくなってきた。
もうそろそろ限界だけど、エレナはあくまで心配からきてるわけで……うぅん……
「もういいかな?」
そんな悩みを棚の上に吹き飛ばしたのはまたもや神鳥さんだった。
彼女はすこし居辛そうにしながらも会話に入ってくれる。
「えぇ、ごめんなさい。どうしたの?」
「そろそろ時間だからね。わかってるかなって思って」
「…………なんだっけ?」
「はぁ……」
エレナが何のことか忘れていると見るや大きなため息をついてしまう神鳥さん。
そういえばここにした理由。 俺が学校を早退してまでリオを送ってきた理由――――
「もうそろそろ撮影本番ってこと! みんな、準備して!」
「……あっ!ごめん!すっかり忘れてたわっ!!」
どうやら気づけばすでに撮影の時間が差し迫っているようだった。
その言葉でやっとエレナも思い出したのだろう。弓が放たれたように飛び上がって突然慌ただしく動き出すエレナ。
彼女は慌てたように俺から離れ、奥に設置されているテントへとはいっていってしまう。
「それじゃあ前坂くん、またね」
「ではっ!」
それを追いかけるかのように江嶋さんとリオも走っていってしまった。
その場にポツンと残された俺は立ち上がり、彼女が消えていくまでその後ろ姿を追っていった。
3人が撮影のために消えてしまい、残されたのは俺一人。
さて、リオを届けるという役目を終えたし、帰って夕食の仕込みでも……
「あれ? どこ行くの?」
「へ?」
しかしそうは問屋がおろさない。
帰宅しようとしている俺を呼び止めた神鳥さんだった。彼女は不思議そうに首を傾げている。
どこって決まっているだろうに……
「家に帰ろうと思いまして。リオを連れてきましたし部外者の俺がここにいたらマズイでしょう?」
「あぁ! いいのいいの!よかったら最後まで見てもらえないかな?」
「……いいんですか?」
その提案に思わず前のめりになってしまう。
撮影という気になる現場。いつもの場所でいつもと違う非日常があったら気になるのが人間だろう。
正直気にしないよう努めていたが、かなり気になっていた。その言葉は渡りに船である。
「もっちろぉん! きっと3人もそのほうがやる気もでるだろうからさ!あ、スタッフには私から言っておくね。ここにはウチの従業員しかいないから」
「それじゃあこっち」と、促している神鳥さん。
正直、彼女たちの日常は見れど、こう仕事している姿は見たことがなかった。
初めての撮影現場見学というのもあってか、俺は少しウキウキしながら彼女についていった――――
エレナに指定された港に着いた途端、俺達の気配に気がつき真っ先に声を上げたのは江嶋さんだった。彼女は一目散にリオへ駆け寄り、隣の少女も腕を広げてそれを受け止める。
安心したような笑顔を浮かべる江嶋さんに対してリオは眠そうな表情を崩さず、ただ黙って彼女を抱きしめている。けれどその雰囲気は先程と比べて幾分か柔らかくなっているようにも思えた。良いなぁ……羨ましいなぁ……
「どこって……学校?」
「学校!?なんでそんなとこに!?」
「ご……ごめ……だからアイ……そろそろ……」
「いくらリオでも見つかったらパニックになるんだよ!?」
「~~~!~~~~!!」
―――――羨ましい。そう思っていたのも束の間だった。
抱きしめられている――――。
よくよく見るとそれは大きな間違いだった。
江嶋さんに抱きしめられていた次第にリオは苦悶の表情に変わっていて、赤い表情のまま江嶋さんの背中をタップしている。
抱きしめる……というより締められている。もはや気絶寸前だ。
しかし当の本人は気がついていないのか、単にあやされているだけかと思っているのか……まったく気づかない様子でどんどんと腕の力を強めていく。
あ、段々と青くなってきた。これヤバいんじゃ……?
「江嶋さん、そろそろ―――――」
「アイ、リオが苦しそうにしてるから離してあげなさい」
2人の再会に水を差すのもどうかと、恐る恐る江嶋さんを止めようと声を掛けようとしたその時、混沌となりかけた場を締めるような凛として落ち着いた声が彼女に投げかけられた。
エレナではない。一体誰が声をかけたのかと目を向けると、2人の女性の姿がこちらに向かって歩いている。アレはエレナと……誰だ?
「え?……あぁ! ごめん、リオ!!」
「む……ぅ……さすがアイ……。 効いた、ぜ……がくっ」
もはや「がくっ」でさえも棒読みで気絶するリオ。……いやこれフリだ。
一瞬本当にまずい状況かと冷や汗をかいたが問題ない様子。歩いてきた2人も同じ感想を抱いたようで、リオを一瞥するだけして俺に意識を向けてくる。
「エレナ……」
「誕生日ぶりね。あの日はアリガト。……それに今日はリオが迷惑掛けちゃったわね」
真っ直ぐ歩いてきたエレナは仕事モード……とでもいうのだろうか。
彼女は口調こそ普段とあまり変わらないものの、雰囲気や立ちふるまいは小学生みたいな見た目から隔絶されるほど悠然として大人びていた。
その先輩と見まごうほどのギャップに面食らった俺はついつい姿勢を正してしまう。事実、先輩なのだが。
「い、いや……驚いたけど俺の為だったらしい……ですし」
なんだか雰囲気に呑まれてしまって変な口調になってしまった。
いやそうだろう。今まで不審者兼、偽姉兼、先輩を自称する小学生が、突然包容力をも兼ね備えた大人びたオーラを携えて現れたら誰だってこうなる。
「なぁに?そのらしくない反応。人が多くて緊張するからっていつもどおりでいいのに」
俺の変な様子に困ったような呆れたような表情をするエレナ。
確かに人は多いが、そういうことじゃないんだけどな。
「いや……うん、そうだね」
「えぇ。キミは自然体が一番いいわ。……ところで今って学校の時間よね。大丈夫なの?テスト期間とかじゃない?」
軽く腕を組んで微笑むも一転、心配したような表情でスマホでカレンダーを確認する。
彼女の懸念ももっともだ。あれからリオを送り届けるにあたって担任に早退の旨を伝えてから学校を出てきた。大丈夫かそうでないといえば、あまり褒められたものではない。
今現在、度々スマホが振動しているのは友人が連絡してきているのだろう。あとで説明しないとな……リオを目撃してしまった以上、なんて言おう。
「あ~!もしかして早退しちゃったのかなぁ?」
「!?」
唐突に。
エレナの隣にいた女性が手を合わせて思いついたかのように声が上がった。その心の中を言い当てられるような言葉に心臓が一度大きく高鳴ったが、慌てる事なくゆっくりと頷いてみせる。
「相対……それは悪いことしちゃったわね。ごめんね?ウチのリーダーが」
「ううん、皆勤とか気にしてないから全然。それでえっと、この人は一体――――」
誰のせいでもないのにエレナが謝ってきた。強いていえばその責任は俺にある。冷静に考えたら一人で来ることもできたのなら帰ることもできただろう。
とりあえずその問題はこれで手打ちにするとして、先ほど声を上げた見知らぬ大人の女性について問いかけようとすると、女性は一歩前に出て一礼する。
「ごめんごめん。私、神鳥 恵那っていいます。こういうものです」
「はぁ……ありがとうございます」
お辞儀と同時に差し出されたのは名刺だった。
大人の作法も知らない中何度か頭を下げつつ受け取ると、そこには会社名と役職名が……会社名はよく読めないが、役職のところには『社長』と『ストロベリーリキッドマネージャー』の二つの文字が見えた。
あぁ、誰かと思えばマネージャーさんか。
そしてまさかの社長さん兼役。企業の事情はよくわからないけど、そういったこともあるのだろう。
「ん?神鳥って、たしか……」
一通り名刺を眺めると、とある疑問にたどり着いた。
神鳥って見覚えがある名前だ。確かリオの名字もがそれだったはず。マネージャーさんも同じだとすると、もしかして……
「そうっ、リオは私の姪っ子だよ!私はストロベリーリキッドを生み出した裏のボス!38歳独身で彼氏募集中でっす!」
「……はぁ」
元気よく放たれる自己紹介に圧倒され、微妙な返事をしてしまう俺。
言われてみると確かにリオと似ている部分も多々見受けられた。ウェーブがかるくかかった茶色い髪に同色の瞳。どことなく奔放そうな雰囲気も彼女の血筋だと言われて納得できる。
あと、募集中とか言われても返事のしようがない。
「ねぇねぇ、その制服ってすぐそこの高校だよね?」
「へ?あぁ、はい。そこの1年です」
「…………ふぅん、だからか」
「?」
きっと俺の胸ポケットに刺繍されている校章が目に入ったのだろう。神鳥さんは一人納得したようにどこか歩いていってしまう。
はて、『だからか』ってなんだろう……
「あっ……あのぅ……」
「はい?」
少し疑問に思いつつ渡された名刺をとりあえず財布にしまうと、ふとリオと話していた江嶋さんが声を掛けてきた。
彼女は少しオドオドとしながらも、その長い髪をポニーテールに結いて揺らしながらこちらを見上げている。
「私からも……お礼を言わせてください。リオを送ってくれてありがとうございます」
そうして深々とお辞儀をしてくる江嶋さん。
やっぱりこの人が一番しっかりしてる気がする。リーダーじゃないのが不思議なくらいに。
「それで……お弁当って何のことですか?」
「お弁当……? あっ…………」
ふと、頭を上げた江嶋さんが言葉を続けてくる。しかしその視線は俺に向けられず地に落としたまま。
そういえばお弁当のこと忘れてた。
移動の邪魔になるからとリオに一旦持ってもらっているが、なんて説明しよう……
「え~っと――――」
「それが学校に行った理由。近くで仕事だったから抜け出してお弁当渡しに行った。 あわよくば一緒に授業を受けるつもりだったけど……」
「リオっ!?」
もはやオブラートも何もなく、そのまま全てを白状してしまうリオ。
100%冗談だと思ってたけど、本当に授業受けるつもりだったの!?
自白することに驚いて一瞬だけリオの方に顔を向けた江嶋さんは、すぐ顔を伏せて表情が見えなくなってしまった。
気のせいだろうか。今日江嶋さんと会ってから一度も目を合わせてもらってない気がする……
「お弁当……一緒に……」
俯きながら何かをボソボソと呟き続ける彼女。
こころなしか纏っている雰囲気も暗いものに変わってきている気がする。
「えっと、江嶋さん……大丈夫でしょうか?」
「…………前坂さん!!」
「わっ!?」
少し心配になった俺は様子を伺うよう慎重に距離を近づけていくも、不意にその頭が上がって彼女の顔が目の前に現れる。
さすがはアイドル……と言ったところだろう。そこには眉を釣り上げた意志の強い目があり、綺麗な瞳や長いまつげがすぐ近くに有ることに俺の心臓は高鳴ってしまう。
「慎也っ!!」
「…………って、エレナも!?」
そんな江嶋さんの顔が近づくのとほぼ同時だった。
いつの間にやら近くに寄っていたエレナも同様に距離を詰め、2人と俺との距離はもはや10センチほど。
その琥珀のような茶色の瞳と、サファイアのような碧い瞳に見つめられて少したじろいでしまう。
「えっ……と……二人とも、怖いよ?」
その眼が。
美しいのに怖いという、なんとも不思議な感覚を体験しながらなんとか声を出す。
その圧力に居辛くなってリオと神鳥さんに視線で助けを求めるも、こちらを見ることすらない。二人とも会話に夢中で気がついていないのか、気にしないようにしているのか……
「「ねぇっ!」」
「はっ、はいぃ!」
なんとも情けない声が出てしまった。
きっとよそ見せずこっちを見ろと言っているのだろう。目を合わせても地獄、逸しても地獄。
アイドル2人という美少女に囲まれるもその実、なんとも地獄のようなひとときを味わっていた。
「前坂さん……?」
「慎也……?」
なんだろう。ただ名前を呼ばれているだけなのに、何も悪いことしていないハズなのにどんどん追い詰められていってる気がする。
そのハズなのに罪の意識が自分の中で湧き上がって来たところでふと離れた位置から1つの声が上がった。
「――――へぇ……アイの恐怖症ってもう治ったんだ」
「……えっ?」
ふと、二人ではない別方向から声がかけられる。
それはいつからか会話を終えてこちらの様子を見ていた神鳥さんからだった。
無言の圧力の中切り裂くように出たその言葉は俺たち全員の注目を集め、彼女はなんてことのないように話を続ける。
「え? だってアイってそんな近距離に男が近づくの耐えられなかったでしょ? なのに自らそんなに近づいて…………あっ!もしかしてぇ……愛の力ってやつぅ?」
彼女のからかうような口調で自分が行っている現状を把握したであろう江島さんは顔を真っ赤に染め、またたく間に俺から距離を取ってしまった。
その際側に居たリオを盾にしたことで彼女の身体が大きく揺れ動く。
「あのっ!そのっ…………ごめんなさい。 近くに寄って迷惑でした、よね?」
そんなこちらの様子を伺いつつ、何度も視線を戻す事を繰り返す彼女はまるで小動物のような怯えようだった。
離れてしまった……残念……でも怯える姿も可愛い――――じゃなくて!彼女をこれ以上追い詰めてはならないと慌てて首を横にふる。
「そんなことないですよ! むしろ綺麗な顔が近くで見れて嬉しかったっていうか……」
「へっ……? あっ、えっと、ありがとうございます……」
なんとも初対面のようなぎこちない会話に揃って顔を伏せてしまった。
しかしそんな甘酸っぱい空気も束の間。
ここに居るもうひとりが黙ってはいなかった。そう、エレナは俺が顔を伏せたと見るやすぐさまその両頬を自身の手で挟み込んで無理矢理目を合わせさせる。
「エレナ……近いよ?」
「アイを倒したようだけど私はそうはいかないわよ。リオにお弁当作ってもらって一緒に授業受けるって、いつの間にそんな仲良くなってるのかしらねぇ?」
「し……知らない!むしろ俺が教えてほしいくらいだからっ!」
先ほどとは違い今度はエレナのみの追求だが、その碧い眼が俺の全てを見透かすように俺の黒い目を射抜いていく。
そんなこと俺が知りたいくらいだ。
知らないうちに好かれてて知らないうちに学校に来てて……彼女の行動理由がわからなさすぎて戸惑ってるくらいなのに。
「姉である私に誓って言える?」
「は……はい……。姉に誓います……」
その迫力には姉ではないなどと茶々を入れる余裕すら無かった。
返事をした途端、もう1歩エレナは俺に近づいたようで、その顔の距離が5センチほどに。
頑張って顔を動かせば額くらいは当たるんじゃないかと思える距離でじっと見つめられる。
そんなすぐ近くで見たエレナの顔は小顔で、大きな瞳に小さな口。そのどれをとっても整っていて奇跡のバランスと言ってもいいほどだった。
そんな美しい顔が近くに有ることを自覚してしまったせいで、恥ずかしいような怖いような……そんなゴチャ混ぜな感情で埋め尽くされてしまう。
もうあの公園でのできことも全て話してしまおうかと思ったその時、一文字に紡がれていた小さな唇がゆっくりと動き出した。
「嘘はついてないようね……ならちょっとしゃがんでもらえるかしら?」
「? こう……?」
有無を言わさぬような彼女の指示に従って膝を折り曲げその場にしゃがみ込む。
なんだろうと思いつつ、見上げる形になったエレナへ顔を上げると、その小さな手が俺の頭にそっと置かれて左右にゆっくりと動き出す。
「これって…………」
それは、エレナは俺の頭を撫でていた。
少しぎこちない様子だが間違いない。触れられる手のひらから温かさと優しさが伝わってきて俺は黙ってそれを受け取る。
「ごめんね。リオって自由だから。だからこそキミがいいように扱われてないか心配になったのよ……」
さっきの雰囲気とはまるで違う、全てを受け入れてくれるような雰囲気にされるがままになってしまう。
ふと本当に彼女が俺の姉なんじゃないかと思い始めたその時、彼女の手が俺の後頭部を抱きしめるように触れてリオへと声を上げた。
「リオ!この子に変なことしてないでしょうね!?」
「まさかぁ。 私は親愛の念をもって慎也クンと接してるんだぜ?」
「……本当でしょうね?」
「ほんとほんと。この目が信じられないの?」
「…………ことリオに対してはわからないのが問題なのよね」
頭越しにリオと会話をしていたエレナが困ったように息を吐く。
エレナたちでも彼女の予測は難しいのか……
「お、俺は気にしてないし大丈夫だよ」
「そう? ならいいけど……」
そう心配そうに見つめてくるのに加え、頭を撫でる手が止まる様子すら見せないことに段々と恥ずかしくなってきた。
もうそろそろ限界だけど、エレナはあくまで心配からきてるわけで……うぅん……
「もういいかな?」
そんな悩みを棚の上に吹き飛ばしたのはまたもや神鳥さんだった。
彼女はすこし居辛そうにしながらも会話に入ってくれる。
「えぇ、ごめんなさい。どうしたの?」
「そろそろ時間だからね。わかってるかなって思って」
「…………なんだっけ?」
「はぁ……」
エレナが何のことか忘れていると見るや大きなため息をついてしまう神鳥さん。
そういえばここにした理由。 俺が学校を早退してまでリオを送ってきた理由――――
「もうそろそろ撮影本番ってこと! みんな、準備して!」
「……あっ!ごめん!すっかり忘れてたわっ!!」
どうやら気づけばすでに撮影の時間が差し迫っているようだった。
その言葉でやっとエレナも思い出したのだろう。弓が放たれたように飛び上がって突然慌ただしく動き出すエレナ。
彼女は慌てたように俺から離れ、奥に設置されているテントへとはいっていってしまう。
「それじゃあ前坂くん、またね」
「ではっ!」
それを追いかけるかのように江嶋さんとリオも走っていってしまった。
その場にポツンと残された俺は立ち上がり、彼女が消えていくまでその後ろ姿を追っていった。
3人が撮影のために消えてしまい、残されたのは俺一人。
さて、リオを届けるという役目を終えたし、帰って夕食の仕込みでも……
「あれ? どこ行くの?」
「へ?」
しかしそうは問屋がおろさない。
帰宅しようとしている俺を呼び止めた神鳥さんだった。彼女は不思議そうに首を傾げている。
どこって決まっているだろうに……
「家に帰ろうと思いまして。リオを連れてきましたし部外者の俺がここにいたらマズイでしょう?」
「あぁ! いいのいいの!よかったら最後まで見てもらえないかな?」
「……いいんですか?」
その提案に思わず前のめりになってしまう。
撮影という気になる現場。いつもの場所でいつもと違う非日常があったら気になるのが人間だろう。
正直気にしないよう努めていたが、かなり気になっていた。その言葉は渡りに船である。
「もっちろぉん! きっと3人もそのほうがやる気もでるだろうからさ!あ、スタッフには私から言っておくね。ここにはウチの従業員しかいないから」
「それじゃあこっち」と、促している神鳥さん。
正直、彼女たちの日常は見れど、こう仕事している姿は見たことがなかった。
初めての撮影現場見学というのもあってか、俺は少しウキウキしながら彼女についていった――――
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