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第2章 サンドリヨンが王子様に捕まってから
サンドリヨンと王子様の攻防。
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「ひとりで! ひとりで入れますぅぅぅぅ!!」
アシュリーは渾身の悲鳴を上げた。
男の身でありながら、女としての生を与えられ、歩んできたアシュリーはなぜか、今、オキデンシアの王太子殿下であるクレイディオの婚約者という立場に立っている。
どうしてこうなったのだかは、全くわからない。
城に軟禁…ではなかった、逗留することとなったアシュリーに与えられた部屋は、クレイディオの部屋の隣だった。
アシュリーにつける人間の選定を行っているから、その間アシュリーの世話は私がする、と滅茶苦茶な理論を振りかざしたクレイディオは、バスルームにお湯を溜め、アシュリーにネグリジェを渡すだけでは飽き足らず、バスルームにまで乱入してきたのだ。
非常識にもほどがある!
それとも、一度部屋を出ていったクレイディオに油断して、呑気にバスタブに身を沈めた自分がいけなかったのだろうか?
いや、そんなこと、あるはずがない。
というか、あってたまるか!
「遠慮しなくていいよ。 私たちはいずれ結ばれるのだから、何も恥ずかしがることはないだろう?」
喜々として近づいてくる声を聞きながら、アシュリーはバスタブの中で震えた。
後から思えば、バスローブを羽織ってバスルームから逃げ出しておけばよかったのだが、そのときのアシュリーにはバスタブの中で拒絶の声を上げるのが精一杯だったのだ。
「いやです! 私の身体は、クレイディオとは違って、貧弱ですからっ…!」
バスタブの隅に寄って湯の中に縮こまっていたアシュリーの耳元で、甘い声が揺れる。
「では、貧弱かどうか確かめてあげるから、見せてごらん?」
【では】の使い方もおかしければ、吐息が触れるほどの距離で囁かれるのもおかしい。
ここでもしくじったと思うのだが、アシュリーはなぜかここでお湯からざぱりと立ち上がってしまったのだ。
急に近距離で聞こえた声に驚き、条件反射で、としか言いようがないのだが、本当にどうしてここで立ち上がってしまったのだろう。
立ち上がったところでグイと腕を引かれ、後ろから抱きすくめられてしまった。
クレイディオは、衣服を身につけたままだったらしく、上等な生地が肌に触れるのがわかって、アシュリーは青ざめる。
「あの、衣装がっ…」
「私の衣装を気にしてくれるなんて、優しいし可愛いね、アシュリー。 でも、もっと別のことを気にした方がいいよ」
くすくすと、右の目尻の近くで空気が揺れる。
ほとんど、頬を擦りつけられているような状態でもある。
ばかりか、クレイディオの手が、アシュリーの素肌を滑り始めて、アシュリーはぞわわと震えた。
貧弱かどうか確かめるにしても、わざわざ触れなくてもいいではないか。
この王子サマは距離感もおかしい! と思っていると、目の端にさらさらとした黒いものが映る。
それは、クレイディオの頭部で、肩越しに身体を覗き込まれているらしいことに、アシュリーは気づいた。
心なしか、クレイディオの呼吸は荒く、はぁはぁしているような気がしないでもない。
妙だ、と思った次の瞬間、それは起きた。
「っ!!!? どこに触って…」
ビク! と身体が跳ねると共に、アシュリーの喉の奥からは叱責に近い声が出た。
偶然に触れたとは思えなかった。
今だって、クレイディオの指はアシュリーの真っ平らな胸についた淡い色の部分を執拗に弄っている。
「可愛い胸…。 花弁のようだね」
心なしではなく、クレイディオの呼吸は荒くなっていた。
間違いなくはぁはぁしているのがわかる。
「素晴らしい手触りだ…。 もう少し、ふくよかになってもいいとは思うけれど…。 ああ、きっと、君のような身体を、マシュマロボディと呼ぶんだろうね」
何を。 何を言っているのだろう、この王子サマは。
呆れて物が言えなくなる、というのは、無の境地に達することを言うのかもしれない、とアシュリーはそのとき思った。
だが、無の境地も、長くは続かなかった。
クレイディオの手が、胸の位置からするすると腹へと移動し、更にはその下に進もうとしたからだ。
「!!!?? どこに、触ろうとっ…!!!」
自分でもよく止められたと思うが、アシュリーは、はしっとクレイディオの不躾な手を掴むことに成功した。
けれど、クレイディオの指は、アシュリーのほとんど生えていないと言っても過言ではない、産毛のような下生えのあたりを撫でるように動いている。
「綺麗な色…可愛いね。 生まれたてみたいだ」
はぁはぁに恍惚が加わって、うっとりと溜息交じりのクレイディオは、相変わらず後ろからアシュリーの身体の前面を覗き込んでいる。
そして、【綺麗な色】で【可愛】くて【生まれたて】の赤子のようだと言われているのは、どうやらアシュリーの股間のものらしい。
決してアシュリーの深読みのしすぎではないはずだ。
名誉毀損で訴えてもいいような気がする。
「もしかして、精通もまだだったりするのかな? 自分の慰め方も知らない?」
クレイディオの発した言葉の意味は、アシュリーにはわからない。
だが、アシュリーは、下へ、下へ、と進もうとするクレイディオの行儀の悪い手を止めるのに必死で訊き返す余裕もなかった。 あったとしても、訊き返す気は起きなかったかもしれない。
世の中、知らない方がいいことも確かにある。
アシュリーの耳に、クレイディオの荒い吐息はもう、聞こえない。
代わりに、深く甘い笑みの滲む、甘い声がアシュリーの耳元で揺れるのだった。
「あぁ、そう。 教え甲斐がありそうだ。 嬉しいよ」
アシュリーは渾身の悲鳴を上げた。
男の身でありながら、女としての生を与えられ、歩んできたアシュリーはなぜか、今、オキデンシアの王太子殿下であるクレイディオの婚約者という立場に立っている。
どうしてこうなったのだかは、全くわからない。
城に軟禁…ではなかった、逗留することとなったアシュリーに与えられた部屋は、クレイディオの部屋の隣だった。
アシュリーにつける人間の選定を行っているから、その間アシュリーの世話は私がする、と滅茶苦茶な理論を振りかざしたクレイディオは、バスルームにお湯を溜め、アシュリーにネグリジェを渡すだけでは飽き足らず、バスルームにまで乱入してきたのだ。
非常識にもほどがある!
それとも、一度部屋を出ていったクレイディオに油断して、呑気にバスタブに身を沈めた自分がいけなかったのだろうか?
いや、そんなこと、あるはずがない。
というか、あってたまるか!
「遠慮しなくていいよ。 私たちはいずれ結ばれるのだから、何も恥ずかしがることはないだろう?」
喜々として近づいてくる声を聞きながら、アシュリーはバスタブの中で震えた。
後から思えば、バスローブを羽織ってバスルームから逃げ出しておけばよかったのだが、そのときのアシュリーにはバスタブの中で拒絶の声を上げるのが精一杯だったのだ。
「いやです! 私の身体は、クレイディオとは違って、貧弱ですからっ…!」
バスタブの隅に寄って湯の中に縮こまっていたアシュリーの耳元で、甘い声が揺れる。
「では、貧弱かどうか確かめてあげるから、見せてごらん?」
【では】の使い方もおかしければ、吐息が触れるほどの距離で囁かれるのもおかしい。
ここでもしくじったと思うのだが、アシュリーはなぜかここでお湯からざぱりと立ち上がってしまったのだ。
急に近距離で聞こえた声に驚き、条件反射で、としか言いようがないのだが、本当にどうしてここで立ち上がってしまったのだろう。
立ち上がったところでグイと腕を引かれ、後ろから抱きすくめられてしまった。
クレイディオは、衣服を身につけたままだったらしく、上等な生地が肌に触れるのがわかって、アシュリーは青ざめる。
「あの、衣装がっ…」
「私の衣装を気にしてくれるなんて、優しいし可愛いね、アシュリー。 でも、もっと別のことを気にした方がいいよ」
くすくすと、右の目尻の近くで空気が揺れる。
ほとんど、頬を擦りつけられているような状態でもある。
ばかりか、クレイディオの手が、アシュリーの素肌を滑り始めて、アシュリーはぞわわと震えた。
貧弱かどうか確かめるにしても、わざわざ触れなくてもいいではないか。
この王子サマは距離感もおかしい! と思っていると、目の端にさらさらとした黒いものが映る。
それは、クレイディオの頭部で、肩越しに身体を覗き込まれているらしいことに、アシュリーは気づいた。
心なしか、クレイディオの呼吸は荒く、はぁはぁしているような気がしないでもない。
妙だ、と思った次の瞬間、それは起きた。
「っ!!!? どこに触って…」
ビク! と身体が跳ねると共に、アシュリーの喉の奥からは叱責に近い声が出た。
偶然に触れたとは思えなかった。
今だって、クレイディオの指はアシュリーの真っ平らな胸についた淡い色の部分を執拗に弄っている。
「可愛い胸…。 花弁のようだね」
心なしではなく、クレイディオの呼吸は荒くなっていた。
間違いなくはぁはぁしているのがわかる。
「素晴らしい手触りだ…。 もう少し、ふくよかになってもいいとは思うけれど…。 ああ、きっと、君のような身体を、マシュマロボディと呼ぶんだろうね」
何を。 何を言っているのだろう、この王子サマは。
呆れて物が言えなくなる、というのは、無の境地に達することを言うのかもしれない、とアシュリーはそのとき思った。
だが、無の境地も、長くは続かなかった。
クレイディオの手が、胸の位置からするすると腹へと移動し、更にはその下に進もうとしたからだ。
「!!!?? どこに、触ろうとっ…!!!」
自分でもよく止められたと思うが、アシュリーは、はしっとクレイディオの不躾な手を掴むことに成功した。
けれど、クレイディオの指は、アシュリーのほとんど生えていないと言っても過言ではない、産毛のような下生えのあたりを撫でるように動いている。
「綺麗な色…可愛いね。 生まれたてみたいだ」
はぁはぁに恍惚が加わって、うっとりと溜息交じりのクレイディオは、相変わらず後ろからアシュリーの身体の前面を覗き込んでいる。
そして、【綺麗な色】で【可愛】くて【生まれたて】の赤子のようだと言われているのは、どうやらアシュリーの股間のものらしい。
決してアシュリーの深読みのしすぎではないはずだ。
名誉毀損で訴えてもいいような気がする。
「もしかして、精通もまだだったりするのかな? 自分の慰め方も知らない?」
クレイディオの発した言葉の意味は、アシュリーにはわからない。
だが、アシュリーは、下へ、下へ、と進もうとするクレイディオの行儀の悪い手を止めるのに必死で訊き返す余裕もなかった。 あったとしても、訊き返す気は起きなかったかもしれない。
世の中、知らない方がいいことも確かにある。
アシュリーの耳に、クレイディオの荒い吐息はもう、聞こえない。
代わりに、深く甘い笑みの滲む、甘い声がアシュリーの耳元で揺れるのだった。
「あぁ、そう。 教え甲斐がありそうだ。 嬉しいよ」
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