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Яainy, Rainy

Repture*

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 この、穏やかで優しく、甘いひとに、例えば幻滅されてしまったら、どうしよう。


 一夜の、思い出でもいいから、触れてほしいし、抱いてほしいと、天音アマネの中の浅ましい女の部分が騒ぐ。
 けれど、僅かに残った理性というか何かが、素肌を晒して幻滅されたくないと思っている。


 今までの関係に戻れなくなるのも、怖い。
 だから、それを、そのまま告げた。
「あ、あの、わたし、凌士リョウジさんにお見せできるような身体は」


 きっと、凌士さんみたいに素敵なひとだったら、女性経験も豊富だろう。
 綺麗なひととも、可愛いひととも、美女とも、色々な、系統の違う美人と付き合ったことがあるはずだ。
 それだけでなく、天音に触れる指や、余裕から、凌士さんがこういうことの経験も豊富であろうことも、容易に察せる。
 比べられて、幻滅されたくない。


 それなら、今まで通り、好かれているという実感が持てるくらいの関係で、いいのではないだろうか。
 そう、及び腰になりそうなとき、だった。


 凌士さんが、天音の右手を掴んで、凌士さんの胸に触れさせた。
 天音は、伝わってくる鼓動に驚いて、凌士さんの顔を凝視してしまった。


 凌士さんは、困ったような、少しだけ照れたような、微苦笑を浮べている。
「…大丈夫。 俺だって、君に気に入ってもらえるか、緊張しているから、一緒だ」


 何だか、その表情と言葉が意外で、印象的で。


 緊張しているのも、不安なのも、気恥ずかしいのも、天音だけじゃないのだと思えたら、一気に気が楽になって。
 天音は、緊張を少しだけ解くことができたし、続けてほしいの意を込めて、凌士さんの唇にキスすることができた。
 ちゅっと口づけて、離れる。


 間近に凌士さんを見つめると、凌士さんは嬉しそうに微笑んでいた。
「…天音、可愛い」


 愛しげに天音を抱き寄せながら、瞼に、頬に、耳に、口づけてくれる。
 そうしていたかと思うと、凌士さんは天音のシャツのボタンを、一つ、二つと外していった。
 どんどんと、自分の心臓の音が、大きくなっていくのがわかる。


 このシャツの下には、何も身につけていないのだ。
 シャツの前を開けば、全てが露わになってしまう。
 シャツを、そっと、捲られたのがわかった。
  天音は、ぎゅっと目を瞑ってその瞬間を待つ。


「…きれいだよ」
 穏やかな声が聞こえた。


 お世辞かもしれない。
 天音は、どちらかと言えばスレンダーな方ではなく、かといって凹凸の激しい体型というわけでもない。


 見苦しくはないと思うのだが、自分では多少むっちりしていると思う。
 麗人は天音の身体のそのむっちり感を気に入っていたようだが、同じように凌士さんに気に入ってもらえるかどうかは、わからないのだ。
 そう、不安に思っていたから、お世辞であってもその言葉には気が抜けるくらいに安堵した。
 気が緩んで、目を開けると、凌士さんがパジャマを脱いだところで、引き締まった上半身が目に映って、天音は反射的に釘付けになる。


 パジャマを脱いで、首を緩く振るようにした後、天音を見た凌士さんと目が合ってしまって、天音は真っ赤になった。
 びっくりするくらいの、色香だった。


 というか、モデルもびっくりの、この上半身は何だ!


 それを見てしまったら、自分の身体を晒しているのが急に恥ずかしくなって、天音は腕で胸を隠すように抱きしめ、太腿を擦り合わせた。


 天音としては隠したつもりだったのだ。
 だから、天音の行動が逆に胸を強調し、誘うように腰を振ったような誤解をさせるものだとは、気づかなかった。


 凌士さんが、天音を見て、すっと目を細めたのも、とてつもない色香で天音は目眩がしそうになる。
 胸にちょうど手が当たっているから、心臓の動きがすごいことも、掌に伝わってきて、汗まで吹き出しそうだ。
 凌士さんの手が、また、そっと天音の手に触れた。


「…隠されたら、触れない」


 そんな風に、言われたら。 天音は凌士さんの促すままに、再度手を広げた。
 そのまま、天音の手がぱたりとベッドに落ちると、凌士さんは微笑む。
 天音の太腿のあたりに跨がるようにしながら、凌士さんは天音の胸の膨らみに触れた。


「んっ…」
 小さく、天音は震える。 凌士さんは、天音の二つの膨らみを下から持ち上げて優しく柔らかく捏ねるようにしながら、揉み込む。


 胸なんて、胸の先が気持ちいいだけだと、思っていたのに。
 肌に触れられるのも気持ちよくて、震えてしまう。
 でも、やっぱり、胸の先に、触れてほしい。
 愛撫を欲して、胸の先がツンと立ち上がってしまっているのだ。 触れてほしいと、ふるっと震えたようにも見えて、胸の先が疼いて仕方がなくて、天音は凌士さんを呼んだ。


「…凌士、さん」


 天音が呼ぶのを、待っていたのだろうか。
 凌士さんは微笑んで、そっと親指の腹で胸の先に触れた。


「ひぁっ…!」
 焦らされた、ためだろうか。
 予期した以上の快感が走って、天音はビクと震え、声を上げた。


 あ、変な声、上げちゃった。
 どう思っただろう、と心配になって、凌士さんを見ると、凌士さんは嬉しそうに微笑んでいた。
 その表情が、これまたすごく好みで、天音は苦しくなる。
 身体は熱いし、何だか汗ばんできた気もするし、恥ずかしいけど気持ちよくて、恥ずかしいけど幸せだ。

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