【R18】紅薔薇の棘に口づけ

紅薔薇の棘

＜閑話＞侍女からの信書

偉大なるロザンナマリア様

ご機嫌麗しくあらせられることと、お慶び申し上げます。

さて、アンネローゼ姫ですが、フレンティア国王との相性はあまりいいとは申し上げられません。
毎日フレンティア国王にちくりと嫌味を言われ、胡散臭い笑みであしらわれています。
最近のアンネローゼ姫は、宰相のオズワルド様を遠くから眺めては楽しんでおられます。　いつか、オズワルド様に姉君になっていただくのが当面の夢だそうです。
因みに、私はその夢は永遠に叶わないと思っています。
なぜなら、オズワルド様は男性で


　ぐしゃり！


　エルディースの女帝と呼ばれている、ロザンナマリアは、フレンティアに嫁いだ娘・アンネローゼの側付きからの手紙を握りつぶした。
「…わかってやっているのかしら…。　わたくしは、アンネの面白おかしい話が聞きたいわけではないのよ…。　まったく、役立たずでどうしようもない…。　何をしにフレンティアへ行ったというのかしら」

　その日のロザンナマリアは荒れ模様で、夫のジョルジュですら、近づくタイミングを計りかねていたという…。