22 / 39
恋は結局下心 (中)
しおりを挟む
ぽた、とオリヴィエ様の顎を伝って、シェイラの肌にオリヴィエ様の汗が落ちる。
汗ばんだシェイラの肌の上に落ちたオリヴィエ様の汗はきっと、シェイラの汗と混ざるのだろう。
そんなことを、ぼんやりと考えた。
それから、こんなにぐちゃぐちゃのどろどろになる行為が、気持ちのいいことで、愛を確認する行為だなんて、よくわからない。
「あー…、すっごい…気持ちいいよ、シェイラ」
ゆっくりと、オリヴィエ様は動く。
それを、まるで堪能するようだと、シェイラは思う。
気持ちがよさそうな表情でもあり、そうさせているのがシェイラだと思うと嬉しい。
けれど、オリヴィエ様には余裕があるように見えて、シェイラばかり余裕がなくなっているようで、それが不満ではある。
ついさっきまで、気持ちいいかどうかわからない、と思っていたのに、シェイラの身体が反応し始めた。
このまま、気持ちよくなってしまうのが、怖い。
一度、気持ちいいと認識してしまえば、それがずっと気持ちのいいことになってしまうのを、シェイラはよく知っている。
「ぁ、オリヴィエ様、だめ」
シェイラは、オリヴィエ様のお腹を押して突っぱねようとするけれど、身体に上手に力が入れられない。
なのに、オリヴィエ様を感じる場所は、オリヴィエ様を締め付けて気持ちよくなろうとしているのだから、どうしようもない。
それを、オリヴィエ様も感じたのだろう。
ぶるり、とオリヴィエ様が身震いした。
「あ…出そ…」
「ぇっ…だめっ…」
目を瞑り、恍惚とした表情で喘ぐようにオリヴィエ様が言った。
だから、シェイラも、声を上げたに過ぎない。
決して他意はなかったのだけれど、声を上げた拍子に、別の場所にも力がこもってしまったらしい。
つまりは、オリヴィエ様を受け容れている場所に。
「っ…そんな、締めたらっ…ぁ、つぅ」
オリヴィエ様が、ぐっと腰を押し出して、一度動きを止めた。
びく、びく、と動いている感じがするのは、腰を揺らされているのだろうか。
シェイラの中が、オリヴィエ様をぎゅうぎゅうと締め付けているのはわかるけれど、気持ちいいかどうかの結論が出なかったのは幸いだと思った。
オリヴィエ様の動きが止まったので、すぐにシェイラの中から出ていくのかと思えば、オリヴィエ様はそのままでそっとシェイラのお腹を撫でる。
「…だめだよ、シェイラ。 そんなに締めたら…。 それとも、口ではだめと言いながら、本当は中に欲しかった?」
シェイラは、者も言えずにただただ高速で首を左右にふるふるふるふると振った。
中に欲しかった? なんて、中に出した後で訊く台詞ではない、と思って次の瞬間には気づいてしまう。
あれは、質問ではなく、確認だ。
正確には、そんなに中に欲しかったんだね、と言っているのだろう。
とんでもない方だ。
シェイラは首を横に振ることと無言の抵抗で否定の意を示したのだが、オリヴィエ様の表情はますますうっとりとする。
「可愛いね、シェイラ。 いいこ。 すごく可愛い」
もうこいつ、「可愛い」と「いいこ」しか言葉を知らないんじゃないだろうか。
そんな疑念すら芽生えそうになったとき、オリヴィエ様はそっと手を伸ばして、シェイラの左手を手に取った。
「シェイラ、結婚しようね」
言われている意味がわからなくて、ぽかんとしてしまったし、反応が遅れた。
「へっ…?」
なんとか発した声は裏返ってしまう。
繰り返しになるが、意味がわからない。
上品な話でなくて恐縮ではあるが、挿入したままで持ちかけられる話でもないと思うのだ。
だが、オリヴィエ様は何も、ちっともおかしいと思わないのか、じっとシェイラの返答を待っている。
これは、シェイラが何か答えないといけないらしい。
「ま…、お待ちください、オリヴィエ様。 婚約したからといって結婚するとは限らないと仰っていませんでした?」
ちょっと囓ってぽいするつもりだったのでは? とは言わないが、それくらいの気持ちは込めさせていただいた。
けれど、オリヴィエ様はシェイラの込めた思いには気づかなかったのか見ないふりをしたのか、ただただ微笑む。
「よく覚えていたね。 その通りだ」
まるで、シェイラが覚えていないとでも思っていたような言い方だ。
シェイラの知能指数を低く見積もりすぎではないだろうか。
オリヴィエ様は続けて、笑顔でゲスいことを口にする。
それも、憚りながらではない。 さらりと流れるように口にした。
「でも、ああでも言わないと、男嫌いの君は、私に抱かれてはくれないでしょう?」
はい???
もう、シェイラの頭には疑問符しか浮かばない。
頭の中は疑問符でいっぱいだ。
オリヴィエ様が何を言いたいのかわからないし、ついでに言えばやっぱり、挿入されたままでする話だとは思えない。
「あの、この状態でする話ですか?」
シェイラが、意を決してそう問えば、オリヴィエ様は今気づいたような顔をする。
「失礼。 君の中が、あまりに気持ちよくて」
オリヴィエ様は、上機嫌でシェイラの瞼にキスをすると、腰を引く。
そういう誉め言葉もいらないのですが、と言ってやろうかと思ったが、シェイラは唇を引き結んで言葉を飲み込んだ。
オリヴィエ様が出ていく感覚に、声が漏れそうになったからだ。
生理のことを、花が落ちるというのだが、花が落ちたときのように、どろりと何かがつたっていく感覚に、ぞわりとする。
オリヴィエ様は、ぐいとシェイラの脚の付け根を引き寄せるようにしてお尻をわずか上げさせた。
そして、シェイラの脚の間を見て目を細め、そのまま視線をシェイラに流した。
「すっごい濃い。 中で出してしまったし、王族の子を孕んでいるかもしれないから、私と結婚してもらうしかないでしょう?」
汗ばんだシェイラの肌の上に落ちたオリヴィエ様の汗はきっと、シェイラの汗と混ざるのだろう。
そんなことを、ぼんやりと考えた。
それから、こんなにぐちゃぐちゃのどろどろになる行為が、気持ちのいいことで、愛を確認する行為だなんて、よくわからない。
「あー…、すっごい…気持ちいいよ、シェイラ」
ゆっくりと、オリヴィエ様は動く。
それを、まるで堪能するようだと、シェイラは思う。
気持ちがよさそうな表情でもあり、そうさせているのがシェイラだと思うと嬉しい。
けれど、オリヴィエ様には余裕があるように見えて、シェイラばかり余裕がなくなっているようで、それが不満ではある。
ついさっきまで、気持ちいいかどうかわからない、と思っていたのに、シェイラの身体が反応し始めた。
このまま、気持ちよくなってしまうのが、怖い。
一度、気持ちいいと認識してしまえば、それがずっと気持ちのいいことになってしまうのを、シェイラはよく知っている。
「ぁ、オリヴィエ様、だめ」
シェイラは、オリヴィエ様のお腹を押して突っぱねようとするけれど、身体に上手に力が入れられない。
なのに、オリヴィエ様を感じる場所は、オリヴィエ様を締め付けて気持ちよくなろうとしているのだから、どうしようもない。
それを、オリヴィエ様も感じたのだろう。
ぶるり、とオリヴィエ様が身震いした。
「あ…出そ…」
「ぇっ…だめっ…」
目を瞑り、恍惚とした表情で喘ぐようにオリヴィエ様が言った。
だから、シェイラも、声を上げたに過ぎない。
決して他意はなかったのだけれど、声を上げた拍子に、別の場所にも力がこもってしまったらしい。
つまりは、オリヴィエ様を受け容れている場所に。
「っ…そんな、締めたらっ…ぁ、つぅ」
オリヴィエ様が、ぐっと腰を押し出して、一度動きを止めた。
びく、びく、と動いている感じがするのは、腰を揺らされているのだろうか。
シェイラの中が、オリヴィエ様をぎゅうぎゅうと締め付けているのはわかるけれど、気持ちいいかどうかの結論が出なかったのは幸いだと思った。
オリヴィエ様の動きが止まったので、すぐにシェイラの中から出ていくのかと思えば、オリヴィエ様はそのままでそっとシェイラのお腹を撫でる。
「…だめだよ、シェイラ。 そんなに締めたら…。 それとも、口ではだめと言いながら、本当は中に欲しかった?」
シェイラは、者も言えずにただただ高速で首を左右にふるふるふるふると振った。
中に欲しかった? なんて、中に出した後で訊く台詞ではない、と思って次の瞬間には気づいてしまう。
あれは、質問ではなく、確認だ。
正確には、そんなに中に欲しかったんだね、と言っているのだろう。
とんでもない方だ。
シェイラは首を横に振ることと無言の抵抗で否定の意を示したのだが、オリヴィエ様の表情はますますうっとりとする。
「可愛いね、シェイラ。 いいこ。 すごく可愛い」
もうこいつ、「可愛い」と「いいこ」しか言葉を知らないんじゃないだろうか。
そんな疑念すら芽生えそうになったとき、オリヴィエ様はそっと手を伸ばして、シェイラの左手を手に取った。
「シェイラ、結婚しようね」
言われている意味がわからなくて、ぽかんとしてしまったし、反応が遅れた。
「へっ…?」
なんとか発した声は裏返ってしまう。
繰り返しになるが、意味がわからない。
上品な話でなくて恐縮ではあるが、挿入したままで持ちかけられる話でもないと思うのだ。
だが、オリヴィエ様は何も、ちっともおかしいと思わないのか、じっとシェイラの返答を待っている。
これは、シェイラが何か答えないといけないらしい。
「ま…、お待ちください、オリヴィエ様。 婚約したからといって結婚するとは限らないと仰っていませんでした?」
ちょっと囓ってぽいするつもりだったのでは? とは言わないが、それくらいの気持ちは込めさせていただいた。
けれど、オリヴィエ様はシェイラの込めた思いには気づかなかったのか見ないふりをしたのか、ただただ微笑む。
「よく覚えていたね。 その通りだ」
まるで、シェイラが覚えていないとでも思っていたような言い方だ。
シェイラの知能指数を低く見積もりすぎではないだろうか。
オリヴィエ様は続けて、笑顔でゲスいことを口にする。
それも、憚りながらではない。 さらりと流れるように口にした。
「でも、ああでも言わないと、男嫌いの君は、私に抱かれてはくれないでしょう?」
はい???
もう、シェイラの頭には疑問符しか浮かばない。
頭の中は疑問符でいっぱいだ。
オリヴィエ様が何を言いたいのかわからないし、ついでに言えばやっぱり、挿入されたままでする話だとは思えない。
「あの、この状態でする話ですか?」
シェイラが、意を決してそう問えば、オリヴィエ様は今気づいたような顔をする。
「失礼。 君の中が、あまりに気持ちよくて」
オリヴィエ様は、上機嫌でシェイラの瞼にキスをすると、腰を引く。
そういう誉め言葉もいらないのですが、と言ってやろうかと思ったが、シェイラは唇を引き結んで言葉を飲み込んだ。
オリヴィエ様が出ていく感覚に、声が漏れそうになったからだ。
生理のことを、花が落ちるというのだが、花が落ちたときのように、どろりと何かがつたっていく感覚に、ぞわりとする。
オリヴィエ様は、ぐいとシェイラの脚の付け根を引き寄せるようにしてお尻をわずか上げさせた。
そして、シェイラの脚の間を見て目を細め、そのまま視線をシェイラに流した。
「すっごい濃い。 中で出してしまったし、王族の子を孕んでいるかもしれないから、私と結婚してもらうしかないでしょう?」
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)
三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。
各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。
第?章は前知識不要。
基本的にエロエロ。
本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。
一旦中断!詳細は近況を!
【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。
aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。
生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。
優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。
男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。
自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。
【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。
たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。
女の子がひたすら気持ちよくさせられる短編集
春
恋愛
様々な設定で女の子がえっちな目に遭うお話。詳しくはタグご覧下さい。モロ語あり一話完結型。注意書きがない限り各話につながりはありませんのでどこからでも読めます。pixivにも同じものを掲載しております。
年上彼氏に気持ちよくなってほしいって 伝えたら実は絶倫で連続イキで泣いてもやめてもらえない話
ぴんく
恋愛
いつもえっちの時はイきすぎてバテちゃうのが密かな悩み。年上彼氏に思い切って、気持ちよくなって欲しいと伝えたら、実は絶倫で
泣いてもやめてくれなくて、連続イキ、潮吹き、クリ責め、が止まらなかったお話です。
愛菜まな
初めての相手は悠貴くん。付き合って一年の間にたくさん気持ちいい事を教わり、敏感な身体になってしまった。いつもイきすぎてバテちゃうのが悩み。
悠貴ゆうき
愛菜の事がだいすきで、どろどろに甘やかしたいと思う反面、愛菜の恥ずかしい事とか、イきすぎて泣いちゃう姿を見たいと思っている。
【R18】騎士たちの監視対象になりました
ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。
*R18は告知無しです。
*複数プレイ有り。
*逆ハー
*倫理感緩めです。
*作者の都合の良いように作っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる