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【後日談】

シャルデル伯爵夫人の懊悩② *

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 迎えた朝。 リシアは気だるさのままにぼんやりとしていた。
 身体が重いのは気だるさのためだけではなく、ディアヴェルの腕に拘束されているからか。 ディアヴェルは、リシアの背後からリシアを抱きしめたままで、眠っているらしい。
 眠っているのにリシアを離さないなんて、本当にこのひとは、リシアを愛してくれている。

 あのあと結局、何度か気持ちよくなって…その後の記憶がない。 ということは寝落ちしてしまったのだろうか。
 そんなことを考えていると、脚の間に違和感を覚えて、リシアの目は一気に覚める。
「っ…!?」


 もしや、と思った。
 そういえば昨夜、ディアヴェルはそんなことを言っていたかもしれない。
 一度、貴女の中に埋め込んで、貴女に包まれたままで朝を迎えてみたかったんだ、とかなんとか。
 冗談だと思っていたのだが、これは、本当に、昨夜あのまま寝たらしい。
 そこまでは、まだ、いい。

 けれど、どうしてこんなに大きくなっているの…!?
 落ち着かなくて、ディアヴェルに抱きしめられている不自由さの中でも、自分の中に居座るそれをなんとか抜こうと奮闘する。
 だが、それが刺激となったのか、リシアの中にいる彼が更に首をもたげた。


「っ…」
 びく、とリシアが反応すれば、背後から掠れて色っぽい声が聞こえる。
「…リシア…気持ち、い…」
 リシアは真っ赤になる。
 これは、ディアヴェルを起こした方が早い、とリシアはぺちぺちと絡みつく腕を叩いた。


「お、起きて、起きて貴方っ」
「ん…?」
 まだ寝惚けているらしいディアヴェルは、更にきつくリシアを抱きこむ。
 ぐり、と奥に彼の先端が押し付けられるようにされて、リシアはのけ反った。
「わ、わたし、こんな、のっ…ぁ、あ」
 リシアのなかが、きゅうう、とディアヴェルを締めつけたのだろう。


「っ」
 息を呑んで、ディアヴェルの身体が、びくっとした。
 その後、しばしの間があったので、リシアはそっとディアヴェルを呼んだ。
「ディアヴェル、起きた…? …その、おはよう?」


 リシアが肩越しに振り返ろうとするより早く、視界にディアヴェルの白金の髪が映る。
 ディアヴェルは項垂れるようにして、リシアの肩口に顔を埋めたようだった。
 そのせいか、ディアヴェルの声がぼそぼそと聞こえる。


「…おはよう。 …ごめん、リシア。 これは、その…ちょっとした、生理現象で」
「…?」
 何が、生理現象なのだろう。
 リシアが疑問符を浮かべていると、ディアヴェルはリシアの肩口に顔を埋めたままで続けた。
「…朝勃ち、っていうんだ。 目が覚めるとこうなってることが…、男なら、ある。 ここ数年はなかったんだけど」
 もごもごと言う様子に、照れているのだろうか、考える。


 ディアヴェルは何か吹っ切れたように顔を上げたかと思えば、これみよがしにはふぅと悩ましげな吐息を洩らした。
「リシアの中がよすぎて、起きなきゃ、っていう気分になったんだなきっと」
 うん、うん、と頷いているディアヴェルに、何か嫌な予感がする。
「ま、まって、ぁ」
 その嫌な予感は当たっていたようで、ディアヴェルはリシアを後ろから抱きしめたままでぐっと腰を押し付けてきた。


 ぐりぐりっとなかに強い刺激が与えられて、リシアは思わず手で口を塞ぐ。
「朝からリシアをよくできるよ? 俺も気持ちいいし」
「ん、ぅ」
 ゆったりと腰を遣い始めるディアヴェルに、リシアはふるふると首を振るが、どうやらディアヴェルはそれを見なかったことにするつもりのようだ。


「リシアの中も、きゅうきゅうしてる。 いいよね?」
 愛され過ぎて困る、なんて、誰にも相談できない悩みだ、と思うリシアであった。

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