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【レイナール夫人の回想】
1.レイナール夫人の初夜① *
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初めては、痛いものだと聞いていた。
覚悟もしていた。
誤算は、こんなに恥ずかしいことをするとは知らなかったことと。
相手が信じ難いくらいに優しくて、時間をかけてリシアを愛したことだった。
「ぁ…!」
思わず声を上げてしまって、慌てて唇を噛んだけれど、取り繕えただろうか。
仮面越しだから、表情はわからないだろうと思って気を抜いていた。
「痛い、ですか?」
動きを止めた彼に、労わるように問われ、申し訳なく思いながらもリシアは頷く。
彼は、自分を気遣ってくれていた。
痛くないようにと、たくさんそこに触れてくれて、たくさん気持ちよくしてくれた。
けれど、それでも痛いなんて。
「ごめんなさい…」
彼を見ていられなくて目を伏せれば、口づけをもらう。
高級男娼というものは、皆このように客に優しいのだろうか。
そんなことを考えながらも、リシアはその優しいキスに誘われるようにして、そろそろと瞼を開けてしまう。
「謝られる必要はありませんよ。 貴女のここ…小さいんですから」
仮面をつけたままの男の口元が微笑んでいるのだけはわかる。 男は、リシアと自身の結合部に触れた。
くすぐったいような感じがして、リシアは口を引き結ぶ。
「ん」
「でも…今、止めてしまうと、余計に痛いですよ…?」
余計に痛い、という言葉に、リシアはますます強張った。
「なら、早めに、済ませて…?」
ゆっくりするからじわじわと鈍い痛みが続くのであれば、一気に強い痛みだけで終わらせてもらった方がよいかもしれない、と思ったのだが。
「それは、嫌です」
目の前の男が、存外きっぱりとした口調でリシアの願いを切り捨てるものだから、愕然としてしまった。
「な」
優しい、と思ったのだが、ひどい男に捕まったのだろうか。
けれど、続く声と言葉は、ひたすらに甘かった。
「貴女の身体が、素晴らしく俺好みなのがいけない」
中途半端に繋がったままで、男の手がリシアに伸びてくる。
「あ、何を」
「顔を見せて…?」
男の手が、リシアの顔を隠す仮面に触れるものだから、リシアは身を捩って抗おうとする。
「だめ、いや、あっ…」
けれど、身を捩ると、繋がったところが痛んで、声を上げてしまった。
ずきずきする下肢に、ふるふると震えていると、男が甘く囁く。
「暴れると、痛いですよ…? 抵抗しないで…?」
思わず、それに従ってしまったのは、彼の声があまりに優しかったからだ。
そっと触れる手ですら優しい。
「ああ、では、俺が先に外せばよろしい?」
言って、彼ももどかしそうに自身の仮面を剥ぎ取る。
仮面の下から現れた顔に、リシアは目を見張った。
男は、信じ難いくらいの、美青年だった。
「ぁっ…」
男の顔を凝視しているうちに、リシアも仮面を奪われてしまう。
男は、菫青石の瞳を軽く見張って、リシアの顔を凝視し、堪えるように目を細めた。
「ああ、信じられない。 本当に何もかも、俺の好みだ」
そして、そのまま男はリシアに覆いかぶさってきて、唇を塞ぐ。
「んぅ…」
キスも、したのは初めてだったというのに。
この夜だけで、色々なキスを教えられてしまった。 甘い蜜を流し込まれ、いいように翻弄され、溺れそうになる。
唇が離れると、彼は切なげな表情で震える。
「ああ…信じられない。 こんなに、気持ちいいなんて」
「え…あ」
リシアは驚く。
口づけに翻弄され、訳がわからなくなっているうちに、彼はリシアの身体に完全に侵入していたらしい。
身体の奥、深いところまで、熱と硬さを感じる。
「わかる…? 俺が、貴女の中に、いるの」
少し、脚の間がひりひり、お腹の当たりがじくじくするが、それ以上に、熱く脈打つもので、お腹がいっぱいになっているような気がする。
自分以外のものが、自分の中にある。
嬉しいとか、幸せだとか、気持ちいいだとかではなくて、それが、すごく妙な感じだった。
覚悟もしていた。
誤算は、こんなに恥ずかしいことをするとは知らなかったことと。
相手が信じ難いくらいに優しくて、時間をかけてリシアを愛したことだった。
「ぁ…!」
思わず声を上げてしまって、慌てて唇を噛んだけれど、取り繕えただろうか。
仮面越しだから、表情はわからないだろうと思って気を抜いていた。
「痛い、ですか?」
動きを止めた彼に、労わるように問われ、申し訳なく思いながらもリシアは頷く。
彼は、自分を気遣ってくれていた。
痛くないようにと、たくさんそこに触れてくれて、たくさん気持ちよくしてくれた。
けれど、それでも痛いなんて。
「ごめんなさい…」
彼を見ていられなくて目を伏せれば、口づけをもらう。
高級男娼というものは、皆このように客に優しいのだろうか。
そんなことを考えながらも、リシアはその優しいキスに誘われるようにして、そろそろと瞼を開けてしまう。
「謝られる必要はありませんよ。 貴女のここ…小さいんですから」
仮面をつけたままの男の口元が微笑んでいるのだけはわかる。 男は、リシアと自身の結合部に触れた。
くすぐったいような感じがして、リシアは口を引き結ぶ。
「ん」
「でも…今、止めてしまうと、余計に痛いですよ…?」
余計に痛い、という言葉に、リシアはますます強張った。
「なら、早めに、済ませて…?」
ゆっくりするからじわじわと鈍い痛みが続くのであれば、一気に強い痛みだけで終わらせてもらった方がよいかもしれない、と思ったのだが。
「それは、嫌です」
目の前の男が、存外きっぱりとした口調でリシアの願いを切り捨てるものだから、愕然としてしまった。
「な」
優しい、と思ったのだが、ひどい男に捕まったのだろうか。
けれど、続く声と言葉は、ひたすらに甘かった。
「貴女の身体が、素晴らしく俺好みなのがいけない」
中途半端に繋がったままで、男の手がリシアに伸びてくる。
「あ、何を」
「顔を見せて…?」
男の手が、リシアの顔を隠す仮面に触れるものだから、リシアは身を捩って抗おうとする。
「だめ、いや、あっ…」
けれど、身を捩ると、繋がったところが痛んで、声を上げてしまった。
ずきずきする下肢に、ふるふると震えていると、男が甘く囁く。
「暴れると、痛いですよ…? 抵抗しないで…?」
思わず、それに従ってしまったのは、彼の声があまりに優しかったからだ。
そっと触れる手ですら優しい。
「ああ、では、俺が先に外せばよろしい?」
言って、彼ももどかしそうに自身の仮面を剥ぎ取る。
仮面の下から現れた顔に、リシアは目を見張った。
男は、信じ難いくらいの、美青年だった。
「ぁっ…」
男の顔を凝視しているうちに、リシアも仮面を奪われてしまう。
男は、菫青石の瞳を軽く見張って、リシアの顔を凝視し、堪えるように目を細めた。
「ああ、信じられない。 本当に何もかも、俺の好みだ」
そして、そのまま男はリシアに覆いかぶさってきて、唇を塞ぐ。
「んぅ…」
キスも、したのは初めてだったというのに。
この夜だけで、色々なキスを教えられてしまった。 甘い蜜を流し込まれ、いいように翻弄され、溺れそうになる。
唇が離れると、彼は切なげな表情で震える。
「ああ…信じられない。 こんなに、気持ちいいなんて」
「え…あ」
リシアは驚く。
口づけに翻弄され、訳がわからなくなっているうちに、彼はリシアの身体に完全に侵入していたらしい。
身体の奥、深いところまで、熱と硬さを感じる。
「わかる…? 俺が、貴女の中に、いるの」
少し、脚の間がひりひり、お腹の当たりがじくじくするが、それ以上に、熱く脈打つもので、お腹がいっぱいになっているような気がする。
自分以外のものが、自分の中にある。
嬉しいとか、幸せだとか、気持ちいいだとかではなくて、それが、すごく妙な感じだった。
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