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第1章 偽りの騎士
第13話 ウロボロスとカルマの 2
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2人が向かったのは、ほんのりと硫黄の香りのする温かな湯気の立つ場所。大浴場であった。
「脱ぐのじゃ、ウロボロス」
「な、何を言っているのですか、カルマ!」
ここはウロボロスがどうしても欲しいと駄々をこねて、皆で作った娯楽施設のひとつである。
ロアと会う直前、ユウは間違えて女風呂に転移魔法で入ってしまった。その時、ウロボロスは感動したのだ。こんなにも素敵な施設があるのかと。これまでシャワーで体の汚れを洗い流すだけだったのだが、まさか、その湯に浸かるという発想があるのかと。
それからここが一番重要なのだが、あの時のユウは裸体の女性たちに囲まれて大変に赤面していた。そう、あれを見てウロボロスは、極めて合法的に裸で迫ることのできる空間でもあると間違って理解したのだ。まぁ、少なくとも法律には間違いなく抵触するのだが、自宅の風呂場なら何が起ころうと問題ないだろう。
「一番風呂は我が君と共に入るのです!」
ところで怪しい会話をした2人だったが、どちらも変な気を起こしたのでもなければ、良からぬ妄想を働かせたのでもない。カルマは時間を惜しんで急かすために、ウロボロスは最初に入るのはユウであるべきと主張しているだけである。ともに思い人はユウただ1人。残念かもしれないが間違いは起こらない。言い合いだけはこうして起こるが。
それはそうと、カルマは時短のためにここへ連れて来た。そこにユウを出されては話が進まなくなってしまう。ならば、ここはそのユウを理由にして誘うしかないと決めた。
「まぁ、待つのじゃ、ウロボロス。ここは先日ようやく完成したばかり。試運転せずに御身をお招きして、もしものことがあればどうするのじゃ?」
「もしものこと……」
あー、これは失敗したとカルマは頭を抱えた。見誤ったのだ。考えてもみて欲しい。ここは何のために作られたのだろうか。先ほども述べたように、ウロボロスにとって一番重要な理由は合法的に裸で迫れることだ。
その考えを持った上で、もしものことが起こるシーンを想像して欲しい。きっとピンク色の情事が想起されるのではないだろうか。少なくともウロボロスはそうだった。まだ湯に浸かってもいないのに、上せたようにポーっとした顔をしてしまう。
「おーい、ウロボロスやー……あぁ、駄目じゃ。完全に妄想の世界に浸っておる」
目の前で手を振ってもウロボロスはピクリとも反応しない。目は開いているはずなのに、その目に映っているのはきっとバラ色の幸せ空間なのだろう。汗を流しながら話をすることで1分1秒でも時短を図ろうというのに、なんて悠長な。そう考えると流石のカルマも腹が立ってきたが、手を上げたところでウロボロスの防御を抜いてダメージを入れるなんて無理である。ならば魔法とも考えたが、攻撃魔法なんて使ったら警報が鳴ってユウを起こしてしまいかねない。にっちもさっちもいかない状況である。
「あぁ、もう、じれったいのう」
ならば残された手段はひとつ。この環境を有効活用する以外にない。そう決断したカルマは、まずウロボロスと自分の服をはぎ取って棚に放り込んだ。そしてタオルすら持たずに浴場へと消えていき、戻って来てみれば、その両手には湯がなみなみと入った桶が抱えられていた。それをそのまま顔面にぶちまけてやる。
「な、な、何事ですかっ!? 敵襲ですかっ!?」
「お目覚めかのう、ウロボロス?」
「あぁ、カルマでしたか。驚かせないでください」
我慢、我慢である。心頭滅却し、これまで受けた恩を思い、ここはガツンと言うのではなく、早く本題へ移るべきである。そう自分自身に繰り返し言い聞かせてカルマはひとつ深呼吸すると、むんずと腕を掴んで浴場へと引っ張る。
「遊んでいる暇はないのじゃ。ここは完成したばかり。ワシらが総出で作った以上不具合はまず無いはずじゃが、それを確認するのもワシらの役目じゃろう?」
「そ、そうですね。しかし……あぁ、御身よりも一足早く利用する私をどうかお許しください」
そんなやり取りを経てようやく浴場へと足を踏み入れる。中はウロボロスの要望通り、全面ヒノキ板で覆われた、湯とはまた違う温もりを感じられる作りになっていた。洗い場は6つ。これはユウとオラクル・ナイツ5人が一度に使えるように配慮された数である。しかし浴槽は6人で済まない程に大きい。100人が自由に手足を伸ばして浸かれるほどである。そして一番の目玉は何といっても泉質だ。手を入れると、とろりとする感触のあるアルカリ性の湯で、肌がツルツルになること間違いなしの本物の温泉である。
当り前だがここはオラクル・ラビリンスの中にあり、宙に浮いている。空に温泉などありはしない。それでもこうして温泉を引けているのは、カルマがこの辺り一帯を調査するついでに温泉を探し出し、転移魔法を使って強引に運び出しているためである。
「あぁ……私たちの能力が遺憾なく発揮された素晴らしい施設ですね」
そう、この浴場の建築にはアザレアやフェンリス、それにムラクモも大いに貢献している。アザレアはここの設計とゴーレムによる労働力の提供。フェンリスは持ち前の観察眼により浴場でよくある滑りを無くしている。ほら、自宅の風呂場でもあるだろう。つるりと滑ってしまいそうになることが。あれがここでは一切起こらない。そしてムラクモはその指示を守った板を作るという完璧な仕事をこなしてくれた。
「感動しているところを悪いのじゃが、早く性能実験をせねばなるまい?」
「そうですね。早速、シャワーから試してみましょうか」
これまたムラクモの匠な技で作られた風呂椅子にウロボロスは腰を下ろし、髪を後ろで縛ると、シャワーを頭から気持ちよさそうに浴びる。降りかかる湯の量や圧は適度で、ウロボロスの注文通りである。なにせ、これはユウの身に降りかかるもの。量が足りず凍えさせてしまったり、圧が強過ぎて肌に傷を付けたりしてはならないと、入念なチェックをしている。
「どれ、ウロボロス。髪を洗ってやるのじゃ」
「そうですか? では、折角ですのでお願いします」
余りに気持ちよさそうに頬を緩めていたので、一瞬、カルマは目的を見失いかけたが気持ちを入れ直す。
「脱ぐのじゃ、ウロボロス」
「な、何を言っているのですか、カルマ!」
ここはウロボロスがどうしても欲しいと駄々をこねて、皆で作った娯楽施設のひとつである。
ロアと会う直前、ユウは間違えて女風呂に転移魔法で入ってしまった。その時、ウロボロスは感動したのだ。こんなにも素敵な施設があるのかと。これまでシャワーで体の汚れを洗い流すだけだったのだが、まさか、その湯に浸かるという発想があるのかと。
それからここが一番重要なのだが、あの時のユウは裸体の女性たちに囲まれて大変に赤面していた。そう、あれを見てウロボロスは、極めて合法的に裸で迫ることのできる空間でもあると間違って理解したのだ。まぁ、少なくとも法律には間違いなく抵触するのだが、自宅の風呂場なら何が起ころうと問題ないだろう。
「一番風呂は我が君と共に入るのです!」
ところで怪しい会話をした2人だったが、どちらも変な気を起こしたのでもなければ、良からぬ妄想を働かせたのでもない。カルマは時間を惜しんで急かすために、ウロボロスは最初に入るのはユウであるべきと主張しているだけである。ともに思い人はユウただ1人。残念かもしれないが間違いは起こらない。言い合いだけはこうして起こるが。
それはそうと、カルマは時短のためにここへ連れて来た。そこにユウを出されては話が進まなくなってしまう。ならば、ここはそのユウを理由にして誘うしかないと決めた。
「まぁ、待つのじゃ、ウロボロス。ここは先日ようやく完成したばかり。試運転せずに御身をお招きして、もしものことがあればどうするのじゃ?」
「もしものこと……」
あー、これは失敗したとカルマは頭を抱えた。見誤ったのだ。考えてもみて欲しい。ここは何のために作られたのだろうか。先ほども述べたように、ウロボロスにとって一番重要な理由は合法的に裸で迫れることだ。
その考えを持った上で、もしものことが起こるシーンを想像して欲しい。きっとピンク色の情事が想起されるのではないだろうか。少なくともウロボロスはそうだった。まだ湯に浸かってもいないのに、上せたようにポーっとした顔をしてしまう。
「おーい、ウロボロスやー……あぁ、駄目じゃ。完全に妄想の世界に浸っておる」
目の前で手を振ってもウロボロスはピクリとも反応しない。目は開いているはずなのに、その目に映っているのはきっとバラ色の幸せ空間なのだろう。汗を流しながら話をすることで1分1秒でも時短を図ろうというのに、なんて悠長な。そう考えると流石のカルマも腹が立ってきたが、手を上げたところでウロボロスの防御を抜いてダメージを入れるなんて無理である。ならば魔法とも考えたが、攻撃魔法なんて使ったら警報が鳴ってユウを起こしてしまいかねない。にっちもさっちもいかない状況である。
「あぁ、もう、じれったいのう」
ならば残された手段はひとつ。この環境を有効活用する以外にない。そう決断したカルマは、まずウロボロスと自分の服をはぎ取って棚に放り込んだ。そしてタオルすら持たずに浴場へと消えていき、戻って来てみれば、その両手には湯がなみなみと入った桶が抱えられていた。それをそのまま顔面にぶちまけてやる。
「な、な、何事ですかっ!? 敵襲ですかっ!?」
「お目覚めかのう、ウロボロス?」
「あぁ、カルマでしたか。驚かせないでください」
我慢、我慢である。心頭滅却し、これまで受けた恩を思い、ここはガツンと言うのではなく、早く本題へ移るべきである。そう自分自身に繰り返し言い聞かせてカルマはひとつ深呼吸すると、むんずと腕を掴んで浴場へと引っ張る。
「遊んでいる暇はないのじゃ。ここは完成したばかり。ワシらが総出で作った以上不具合はまず無いはずじゃが、それを確認するのもワシらの役目じゃろう?」
「そ、そうですね。しかし……あぁ、御身よりも一足早く利用する私をどうかお許しください」
そんなやり取りを経てようやく浴場へと足を踏み入れる。中はウロボロスの要望通り、全面ヒノキ板で覆われた、湯とはまた違う温もりを感じられる作りになっていた。洗い場は6つ。これはユウとオラクル・ナイツ5人が一度に使えるように配慮された数である。しかし浴槽は6人で済まない程に大きい。100人が自由に手足を伸ばして浸かれるほどである。そして一番の目玉は何といっても泉質だ。手を入れると、とろりとする感触のあるアルカリ性の湯で、肌がツルツルになること間違いなしの本物の温泉である。
当り前だがここはオラクル・ラビリンスの中にあり、宙に浮いている。空に温泉などありはしない。それでもこうして温泉を引けているのは、カルマがこの辺り一帯を調査するついでに温泉を探し出し、転移魔法を使って強引に運び出しているためである。
「あぁ……私たちの能力が遺憾なく発揮された素晴らしい施設ですね」
そう、この浴場の建築にはアザレアやフェンリス、それにムラクモも大いに貢献している。アザレアはここの設計とゴーレムによる労働力の提供。フェンリスは持ち前の観察眼により浴場でよくある滑りを無くしている。ほら、自宅の風呂場でもあるだろう。つるりと滑ってしまいそうになることが。あれがここでは一切起こらない。そしてムラクモはその指示を守った板を作るという完璧な仕事をこなしてくれた。
「感動しているところを悪いのじゃが、早く性能実験をせねばなるまい?」
「そうですね。早速、シャワーから試してみましょうか」
これまたムラクモの匠な技で作られた風呂椅子にウロボロスは腰を下ろし、髪を後ろで縛ると、シャワーを頭から気持ちよさそうに浴びる。降りかかる湯の量や圧は適度で、ウロボロスの注文通りである。なにせ、これはユウの身に降りかかるもの。量が足りず凍えさせてしまったり、圧が強過ぎて肌に傷を付けたりしてはならないと、入念なチェックをしている。
「どれ、ウロボロス。髪を洗ってやるのじゃ」
「そうですか? では、折角ですのでお願いします」
余りに気持ちよさそうに頬を緩めていたので、一瞬、カルマは目的を見失いかけたが気持ちを入れ直す。
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