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第1章 偽りの騎士
第5話 怪現象だ 5
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あの偵察兵は本隊へ繋がっているに違いない。そして有効距離という概念があるのなら、もうこれしかないだろう。
「どうせなら盛大にいこうじゃないか。奴らは偵察兵を出した。よく言えば慎重な、悪く言えば臆病な指揮官が控えているのは確定だ。遊んでくれたお礼に、その度肝を抜いてやろう。カルマ、久し振りにあれを頼めるか?」
大体にして、そもそもの発想が間違っていたのだ。敵がどんな狡猾な手段を取ってきているのか知らないが、そっちがその気なら、こっちも常識では考えられない方法で応えればいいだけの話。向こうが釣り出してくれたのならこちらも釣り出す。それだけだ。
振ったカルマはキョトンとした顔をしたのも束の間、小悪魔のような微笑みを浮かべて頷いてくれた。伝わったか、俺の意図が。
「なるほどのう。ところで魔王様、ひとつ確認したいのじゃが、盛大にと仰られた。それは言葉通りに解釈しても良いかのう?」
「あぁ、是非お願いする」
「うむ、畏まったのじゃ」
カルマはケルベロスの上に立つと、闇色の魔法陣を目の前へ展開する。魔法陣が回転するにつれて文字配列が宙へ流れていき、周囲を走り回っているファントム・シーカーたちの体へ入り込んでいく。
「スレイヴ・オーダー発動。消し飛べ、ファントム・シーカー」
それは、自身の眷属に絶対的な強制命令を与える魔法だ。本来の用途以外でも動かせるように洗脳できるものだが、今回は、周囲に散らばるファントム・シーカーたちを跡形も無く消し去るために使っている。これで呼び戻すために必要な魔力を節約するどころか、眷属が死亡したことでその生成に使った魔力の80%が返還される。時短にもなり、一石二鳥ならぬ一石三鳥である。
「ふふふ、よもや、こんなにも早くこのスキルを使う日が来るとは」
カルマは頬を緩めて、とても嬉しそうに微笑みながら右手の平を上に向けた。すると、先ほどよりももっと小さい魔法陣が現れ、一本の鍵がずるりと手の上に落ちる。その瞬間、鈍い光を放つ古びた錠前がひとつ、そして禍々しい扉が現れた。
扉の大きさは全長20メートルもあり、その表面は腐った肉の皮を剥いで無造作に貼り付けたようないびつなものだった。隙間からは呻き声と、ビチャビチャと何かが、きっと肉の塊が叩き付けられるような音が漏れ出ている。
本能的に察してしまう。あれを解き放ってはならないと。そんな俺の生存本能を逆なでするように、カルマは錠前を手に取ると、ためらいなく鍵を差し込んでガチャリと回してしまった。
「解錠、ゲート・オブ・エデン」
ガチャン、そんな甲高い音が鳴り響いた瞬間、勝手に、勢い良く地獄の扉が開け放たれる。そして這い出てくる、この世ならざるもの。鬼、ゾンビ、霊魂、暗黒騎士などなど、それらによる百鬼夜行が始まった。
あれらは全てカルマの眷属だ。その数は無数と言う他にない。数えたいなら好きにしてくれ、人生を投げ打つ覚悟があるのなら。
「スレイヴ・オーダー。ファントム・シーカー以外は出ること許さぬ」
指定された個体は門へ吸い込まれ、ファントム・シーカーだけが残る。それでも以前の調査など比べ物にならないほどの大群である。しかし、それでは満足しないと言うようにカルマはまた魔法をかける。
「スレイヴ・オーダー。ファントム・シーカーよ、分裂しながら、そして周囲の魔法やスキルを解除しながら臆病者を探し出すのじゃ」
ファントム・シーカーは命令に従い1秒毎に分裂を繰り返し、また魔法やスキル解除の呪いをまき散らしながら這って行く。身の毛がよだつような光景だ。ワサワサ、カサカサと、大量の黒色体が地面を塗り潰していく。ゴキブリの大群を見せられている気分である。ドミニオンズでもそうだったが、この光景は生理的にダメらしい。でも効果は絶大だから、ここでも目を覆ってやり過ごすしかない。
「……ふふ、あぁ、ワシはこんなにも強くなったのう」
当の本人は自分の魔力量に酔いしれて大変にご満足らしい。一瞬、やっぱりやめようと言おうとしたが思い直しておく。何度も言うが効果は絶大なんだ。広大な砂漠に落とした一粒の砂金すら見つけてしまえるくらいの精度である。だから俺が我慢すれば、結果的に俺はハッピー、カルマもハッピーで、誰も損しない。素敵じゃないか。だからさ、ちょっとばかしの我慢だ、我慢。
「我が君、如何されましたか? 顔色が優れないようですが」
「い、いや、何とも?」
平然とした顔をしたウロボロスに心配され、顔を覗き込まれる。まさか平気なのか、あれが。あのおぞましい光景を見て何ともないと。あぁ、何ということだ。女性はゴキブリ一匹を見付けただけで「キャー」と可愛らしい悲鳴を上げると信じていたのに。それはアニメやゲームの世界の話だったのか。
いや、待てよ。ウロボロスがそうなだけかもしれない。フェンリスは気味悪がっているかもしれないぞ。
「凄いですね、魔王様!」
ところがどっこい、俺の視線に気付いたフェンリスは満面の笑みを浮かべて素敵な感想を言ってくれた。
嘘だろ。ウロボロスとフェンリスは全く違うタイプの女の子のはず。それなのに2人とも全然恐くないのか。これはもう、男女という偏見で物事を考えるのはやめた方がいいのかもしれない。人には得手、不得手がある。そういう話で済むのだろう。うぅ、つまりはさ、俺がチキンってことじゃないか。
「と、とにかくだ。これで敵さんは驚くだろう」
そうだ、敵は俺の味方かもしれないぞ。訳のわからない言い分かもしれないが、つまり、敵はあくまでも敵だが、この光景を見ておぞましいと思ってくれるかもしれない。こんな惨状だ。誰か1人くらいは驚きおののいてくれるんじゃなかろうか。そんな期待を込めて偵察兵の様子を観察していると、やっとあの大移動に気付いたらしい。大きな悲鳴を上げて、腰を抜かして後ずさりながらも必死の形相で逃げようともがき出してくれた。
そうそう、これ、これだよ。この反応が欲しかった。まぁ、本当に欲しいのは情報なんだけど、お陰様でちょっとだけ自信が回復した気がする。
「どうせなら盛大にいこうじゃないか。奴らは偵察兵を出した。よく言えば慎重な、悪く言えば臆病な指揮官が控えているのは確定だ。遊んでくれたお礼に、その度肝を抜いてやろう。カルマ、久し振りにあれを頼めるか?」
大体にして、そもそもの発想が間違っていたのだ。敵がどんな狡猾な手段を取ってきているのか知らないが、そっちがその気なら、こっちも常識では考えられない方法で応えればいいだけの話。向こうが釣り出してくれたのならこちらも釣り出す。それだけだ。
振ったカルマはキョトンとした顔をしたのも束の間、小悪魔のような微笑みを浮かべて頷いてくれた。伝わったか、俺の意図が。
「なるほどのう。ところで魔王様、ひとつ確認したいのじゃが、盛大にと仰られた。それは言葉通りに解釈しても良いかのう?」
「あぁ、是非お願いする」
「うむ、畏まったのじゃ」
カルマはケルベロスの上に立つと、闇色の魔法陣を目の前へ展開する。魔法陣が回転するにつれて文字配列が宙へ流れていき、周囲を走り回っているファントム・シーカーたちの体へ入り込んでいく。
「スレイヴ・オーダー発動。消し飛べ、ファントム・シーカー」
それは、自身の眷属に絶対的な強制命令を与える魔法だ。本来の用途以外でも動かせるように洗脳できるものだが、今回は、周囲に散らばるファントム・シーカーたちを跡形も無く消し去るために使っている。これで呼び戻すために必要な魔力を節約するどころか、眷属が死亡したことでその生成に使った魔力の80%が返還される。時短にもなり、一石二鳥ならぬ一石三鳥である。
「ふふふ、よもや、こんなにも早くこのスキルを使う日が来るとは」
カルマは頬を緩めて、とても嬉しそうに微笑みながら右手の平を上に向けた。すると、先ほどよりももっと小さい魔法陣が現れ、一本の鍵がずるりと手の上に落ちる。その瞬間、鈍い光を放つ古びた錠前がひとつ、そして禍々しい扉が現れた。
扉の大きさは全長20メートルもあり、その表面は腐った肉の皮を剥いで無造作に貼り付けたようないびつなものだった。隙間からは呻き声と、ビチャビチャと何かが、きっと肉の塊が叩き付けられるような音が漏れ出ている。
本能的に察してしまう。あれを解き放ってはならないと。そんな俺の生存本能を逆なでするように、カルマは錠前を手に取ると、ためらいなく鍵を差し込んでガチャリと回してしまった。
「解錠、ゲート・オブ・エデン」
ガチャン、そんな甲高い音が鳴り響いた瞬間、勝手に、勢い良く地獄の扉が開け放たれる。そして這い出てくる、この世ならざるもの。鬼、ゾンビ、霊魂、暗黒騎士などなど、それらによる百鬼夜行が始まった。
あれらは全てカルマの眷属だ。その数は無数と言う他にない。数えたいなら好きにしてくれ、人生を投げ打つ覚悟があるのなら。
「スレイヴ・オーダー。ファントム・シーカー以外は出ること許さぬ」
指定された個体は門へ吸い込まれ、ファントム・シーカーだけが残る。それでも以前の調査など比べ物にならないほどの大群である。しかし、それでは満足しないと言うようにカルマはまた魔法をかける。
「スレイヴ・オーダー。ファントム・シーカーよ、分裂しながら、そして周囲の魔法やスキルを解除しながら臆病者を探し出すのじゃ」
ファントム・シーカーは命令に従い1秒毎に分裂を繰り返し、また魔法やスキル解除の呪いをまき散らしながら這って行く。身の毛がよだつような光景だ。ワサワサ、カサカサと、大量の黒色体が地面を塗り潰していく。ゴキブリの大群を見せられている気分である。ドミニオンズでもそうだったが、この光景は生理的にダメらしい。でも効果は絶大だから、ここでも目を覆ってやり過ごすしかない。
「……ふふ、あぁ、ワシはこんなにも強くなったのう」
当の本人は自分の魔力量に酔いしれて大変にご満足らしい。一瞬、やっぱりやめようと言おうとしたが思い直しておく。何度も言うが効果は絶大なんだ。広大な砂漠に落とした一粒の砂金すら見つけてしまえるくらいの精度である。だから俺が我慢すれば、結果的に俺はハッピー、カルマもハッピーで、誰も損しない。素敵じゃないか。だからさ、ちょっとばかしの我慢だ、我慢。
「我が君、如何されましたか? 顔色が優れないようですが」
「い、いや、何とも?」
平然とした顔をしたウロボロスに心配され、顔を覗き込まれる。まさか平気なのか、あれが。あのおぞましい光景を見て何ともないと。あぁ、何ということだ。女性はゴキブリ一匹を見付けただけで「キャー」と可愛らしい悲鳴を上げると信じていたのに。それはアニメやゲームの世界の話だったのか。
いや、待てよ。ウロボロスがそうなだけかもしれない。フェンリスは気味悪がっているかもしれないぞ。
「凄いですね、魔王様!」
ところがどっこい、俺の視線に気付いたフェンリスは満面の笑みを浮かべて素敵な感想を言ってくれた。
嘘だろ。ウロボロスとフェンリスは全く違うタイプの女の子のはず。それなのに2人とも全然恐くないのか。これはもう、男女という偏見で物事を考えるのはやめた方がいいのかもしれない。人には得手、不得手がある。そういう話で済むのだろう。うぅ、つまりはさ、俺がチキンってことじゃないか。
「と、とにかくだ。これで敵さんは驚くだろう」
そうだ、敵は俺の味方かもしれないぞ。訳のわからない言い分かもしれないが、つまり、敵はあくまでも敵だが、この光景を見ておぞましいと思ってくれるかもしれない。こんな惨状だ。誰か1人くらいは驚きおののいてくれるんじゃなかろうか。そんな期待を込めて偵察兵の様子を観察していると、やっとあの大移動に気付いたらしい。大きな悲鳴を上げて、腰を抜かして後ずさりながらも必死の形相で逃げようともがき出してくれた。
そうそう、これ、これだよ。この反応が欲しかった。まぁ、本当に欲しいのは情報なんだけど、お陰様でちょっとだけ自信が回復した気がする。
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