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番外編2 ツンデレな彼女が気になって仕方ない
11.謝罪
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俺が話したい事があるから真理と5人で会いたいと言うと、園田、中野さん、萌の3人は怪訝な様子だった。無理もない。園田は特に真理に不信感を募らせていた。
人に聞かれたくないので、俺は喫茶店で個室を取った。
「佐藤さん、意地悪をしてごめんなさい! 今更で本当に申し訳ないんだけど……」
真理は萌達が席に着くなり土下座の勢いで謝罪した。萌はすごく戸惑っている。その彼女の代わりに園田が口を開いた。無口な陰キャだと思ってたけど、萌と付き合うようになってかなり変わったみたいだ。お姫様を守る騎士みたいな感じかな? なら俺も俺の姫を守ろう。
「意地悪はまあ、百歩譲って何とか許せるとしてもだよ。それも許す、許さないは萌次第だけどね。でもさ、チューハイに睡眠薬を入れたのは萌が許したとしても俺は許せないよ。それって犯罪だよ。それに謝罪なんて今更だし」
「それなんだけどさ。実は真理は何も入れてなかったんだ。俺の早とちりだった」
「「「え?!」」」
3人の驚きがハモった。
「でもそんな事を疑わせるような言動や行動を真理がしていたのは確かだ。本当に済まない」
「すみません! 本当にごめんなさい」
真理は泣きそうになって謝罪した。そんな彼女の顔を見て、こんな真面目な場面だけど、グッときてしまった。
「いいよ、顔上げてよ。ほんとに薬盛られてたら、健康被害があったかもしれないから、許せないかも。でもそうじゃなかったんだから、許すとか許さないとか、もうどうでもいいよ」
「それは結果論でしょ?」
「確かにそうかもしれない。でもそうならなかった。今、私は悠と付き合えてリコとも仲良くできて幸せだから、悪い事はもう思い出したくない。だけど……新田さんは悠と実家が隣同士で幼馴染なんだから、仲直りしてほしいな。ね、悠、いいでしょ?」
「うーん、まぁ……萌がそう言うなら……」
真理と園田はその場で握手してご近所さんの幼馴染として仲直りする事になった。でもその後も昔みたいな幼馴染の仲には戻らなかった。大学でも滅多に話さないし、家が隣同士でも偶然にでも会わなければ一緒に大学に来る事もない。もっとも、昔は真理が園田に構って欲しくて付きまとっていた感じだから、彼女持ちの園田にそんな事する訳にいかないし、俺が真理にそんな事をして欲しくない。
謝罪の時に俺が真理を庇った事で、俺と真理の関係が進展すると思っていたが、それは早とちりだったみたいだ。俺は真理の好意を感じられたけど、彼女が素直になったのはチューハイ事件の真相を話した時だけで中々頑固に俺への気持ちを認めてくれなかった。なんなら今でも俺が萌を好きだと思ってるぐらいだ。あの謝罪の機会もどうやら萌のためにセッティングしたと思ってるみたいだ。
あんなに俺の好意を見せてるのにどうして信じてくれないのか本当に不思議だ。鈍い上に素直じゃない。だから園田と幼馴染から恋人になれなかったんだろうな。ま、だから俺にチャンスがあるんだけど。真理があくまで俺の気持ちを信じないなら、俺は俺のやり方で彼女を素直にするだけだ。
真理は実家暮らしで通学時間が長いので、俺と会える時間が少ない。1人暮らししてくれないかなぁ。そしたらお互いの部屋に泊り放題であんな事も、こんな事も……ムフフ……いや、俺はむっつりスケベじゃないよ!
いけない、いけない。真理に1人暮らししないのか聞こうと思ったら、ニヤニヤが止まらなくなった!
「ねえ、真理ちゃん。実家出て1人暮らししないの?」
「仕送りもらえないから無理だよ」
「じゃあ、就職してからはどう?」
「どうして? 実家にいる方がお金貯められるよ」
「それだけじゃないでしょ? 園田がいるから? 俺が真理ちゃんの近くに住めないのに園田が隣に住んでるってなんだか妬けるよ」
「えっ?! 何言ってるの? 悠はただの幼馴染だよ。それに隣に住んでるって言ってもお互い実家だし」
真理の顔が一気に赤くなった。ここまで言ってやっと俺が焼きもちを焼いたって分かったみたいだ。
「でもさ、真理ちゃんは俺を苗字で呼ぶのに園田は下の名前で呼ぶんだよね……」
「そっ、それは、だって……ゆ、園田君は子供の頃から知ってるから」
「俺の事、もっと知ってほしい。それで孝之って呼んでほしい。真理ちゃんの事が好きだから、恋人になりたい」
俺は真理の顎の下に手を伸ばした。手を払われるのは承知の上だ。って言うか、平手打ちが飛んでくるかもって思ってた。でも予想外に真理は顔を真っ赤にして下を向いたままで微動だにしない。
俺は彼女の顎をくいっと持ち上げて顔を近づけ、唇をふわりと一瞬重ねた。そして抱きしめたまま、彼女の耳元で囁いた。
「真理ちゃん、大好き。付き合って」
「ふえっ?!」
真理は変な叫び声を出して俺を突き飛ばして走って行ってしまった。平手打ちが飛んでこなかっただけ、俺達の仲は進展した……のかな?
人に聞かれたくないので、俺は喫茶店で個室を取った。
「佐藤さん、意地悪をしてごめんなさい! 今更で本当に申し訳ないんだけど……」
真理は萌達が席に着くなり土下座の勢いで謝罪した。萌はすごく戸惑っている。その彼女の代わりに園田が口を開いた。無口な陰キャだと思ってたけど、萌と付き合うようになってかなり変わったみたいだ。お姫様を守る騎士みたいな感じかな? なら俺も俺の姫を守ろう。
「意地悪はまあ、百歩譲って何とか許せるとしてもだよ。それも許す、許さないは萌次第だけどね。でもさ、チューハイに睡眠薬を入れたのは萌が許したとしても俺は許せないよ。それって犯罪だよ。それに謝罪なんて今更だし」
「それなんだけどさ。実は真理は何も入れてなかったんだ。俺の早とちりだった」
「「「え?!」」」
3人の驚きがハモった。
「でもそんな事を疑わせるような言動や行動を真理がしていたのは確かだ。本当に済まない」
「すみません! 本当にごめんなさい」
真理は泣きそうになって謝罪した。そんな彼女の顔を見て、こんな真面目な場面だけど、グッときてしまった。
「いいよ、顔上げてよ。ほんとに薬盛られてたら、健康被害があったかもしれないから、許せないかも。でもそうじゃなかったんだから、許すとか許さないとか、もうどうでもいいよ」
「それは結果論でしょ?」
「確かにそうかもしれない。でもそうならなかった。今、私は悠と付き合えてリコとも仲良くできて幸せだから、悪い事はもう思い出したくない。だけど……新田さんは悠と実家が隣同士で幼馴染なんだから、仲直りしてほしいな。ね、悠、いいでしょ?」
「うーん、まぁ……萌がそう言うなら……」
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謝罪の時に俺が真理を庇った事で、俺と真理の関係が進展すると思っていたが、それは早とちりだったみたいだ。俺は真理の好意を感じられたけど、彼女が素直になったのはチューハイ事件の真相を話した時だけで中々頑固に俺への気持ちを認めてくれなかった。なんなら今でも俺が萌を好きだと思ってるぐらいだ。あの謝罪の機会もどうやら萌のためにセッティングしたと思ってるみたいだ。
あんなに俺の好意を見せてるのにどうして信じてくれないのか本当に不思議だ。鈍い上に素直じゃない。だから園田と幼馴染から恋人になれなかったんだろうな。ま、だから俺にチャンスがあるんだけど。真理があくまで俺の気持ちを信じないなら、俺は俺のやり方で彼女を素直にするだけだ。
真理は実家暮らしで通学時間が長いので、俺と会える時間が少ない。1人暮らししてくれないかなぁ。そしたらお互いの部屋に泊り放題であんな事も、こんな事も……ムフフ……いや、俺はむっつりスケベじゃないよ!
いけない、いけない。真理に1人暮らししないのか聞こうと思ったら、ニヤニヤが止まらなくなった!
「ねえ、真理ちゃん。実家出て1人暮らししないの?」
「仕送りもらえないから無理だよ」
「じゃあ、就職してからはどう?」
「どうして? 実家にいる方がお金貯められるよ」
「それだけじゃないでしょ? 園田がいるから? 俺が真理ちゃんの近くに住めないのに園田が隣に住んでるってなんだか妬けるよ」
「えっ?! 何言ってるの? 悠はただの幼馴染だよ。それに隣に住んでるって言ってもお互い実家だし」
真理の顔が一気に赤くなった。ここまで言ってやっと俺が焼きもちを焼いたって分かったみたいだ。
「でもさ、真理ちゃんは俺を苗字で呼ぶのに園田は下の名前で呼ぶんだよね……」
「そっ、それは、だって……ゆ、園田君は子供の頃から知ってるから」
「俺の事、もっと知ってほしい。それで孝之って呼んでほしい。真理ちゃんの事が好きだから、恋人になりたい」
俺は真理の顎の下に手を伸ばした。手を払われるのは承知の上だ。って言うか、平手打ちが飛んでくるかもって思ってた。でも予想外に真理は顔を真っ赤にして下を向いたままで微動だにしない。
俺は彼女の顎をくいっと持ち上げて顔を近づけ、唇をふわりと一瞬重ねた。そして抱きしめたまま、彼女の耳元で囁いた。
「真理ちゃん、大好き。付き合って」
「ふえっ?!」
真理は変な叫び声を出して俺を突き飛ばして走って行ってしまった。平手打ちが飛んでこなかっただけ、俺達の仲は進展した……のかな?
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