47 / 53
番外編2 ツンデレな彼女が気になって仕方ない
9.失敗デートのデジャヴ
しおりを挟む
失敗に終わった週末の映画館デートの翌週から、俺は大学で真理に話しかけようとしていたが、ことごとく無視されてしまった。でもめげずに声をかけて何十回。これ以上やったらストーカーの域に達するかという頃――いや、もうストーカーだろと外野の声がするけど、無視、無視――彼女の変化に気付いた。それも俺じゃなかったら、気付かないだろう、ほんの僅かな変化。
前は俺が声をかけても、正に氷のごとく、全くもって無反応だった。いや、すぐに俺の反対方向に行っちゃうから無反応じゃないか。
でも、その日は何だか違った。いつもなら俺が声をかけたら、さっさとどこかへ行っちゃうのに、その場でくるりとそっぽを向いた。よく見れば、彼女の頬がほんのりと赤くなっている。
俺はすかさず真理に話しかけた。
「真理ちゃん、本当にごめんなさい。許して? かわいくて大好きでついチュウしちゃったんだ……」
「……軽いのよ」
真理は真っ赤になりながら、口を尖らせてそう言った。俺はツンデレな彼女がかわいくてニンマリした。
「俺の愛は重いよ」
「な、何言ってるのよ?!」
顔が赤いまま、真理は走って行ってしまった。
それからすこーしずつ、本当にミリメートルずつって言っていいくらい少しずつ再接近してあの失敗デートから3ヶ月後、ようやく再デートの約束を取り付けた。で、もう1度あのシネコンに行こうって提案したら、すごく嫌な顔をされた。
「え?! また映画?! まさかまたあんな事、するつもりないでしょうね?!」
「まさか! あの失態を一から挽回するために初デートをやり直したいだけだよ」
「だからって同じ場所にしなくても……」
「今度は違う映画だからさぁ。ねえ、お願い!」
本当は同じ場所で同じ映画を見て初デートを再現してあの失敗をやり直そうって思ったんだけど、残念ながら同じ映画はもう上映していなかった。
今度も30分前にシネコン前に着いて真理を待つ。前回と同じく、もうチケットは買ってある。真理も前のデートと同じように10分前に来た。
俺がチケット売り場に行かないでまっすぐ上映会場に入ろうとしたので、真理は怪訝な顔をした。
「チケット、もう買ってあるんだ」
「え?! 何の映画?」
「いいから、いいから。来て!」
ほんとは手を繋いで上映会場に入ろうと思ったけど、前の失態があるから、真理の少し前を歩いて『シアター2』に入ろうとした。
「え?! これ見るの?!」
真理の目は、シアター2の前に掲示されている上映映画のポスター『ガンバレ! 正義の編隊じゃーズ』に釘付けになっていた。心なしか怒ってる? 『性技の変態じゃーズ』に脳内変換して怒ってるの?!
俺は後で気付いたんだが、ポスターの端っこにR18+のマークが付いていた。そんな事とは露知らず(ほんとだよ!)、その時上映している1番くだらなくて笑えそうなB級映画を検索して適当に決めた映画だった。
「あ、あのさ、面白い、かも、しれないから、チケットももう買ってあるし、入ってみようよ」
俺がおずおずとお願いすると、真理は頷いてくれた。
映画の内容は……あまりにもくだらな過ぎた。ヒーローにこれほどかというくらいラッキースケベが何度も起きる。仕舞いにはラッキースケベ技で敵を倒しちゃうのだ。
上映中、俺は笑いが止まらなくなって必死に口を押えてた。ちらりと隣の真理を見たら、彼女の肩も震えてる。笑いを我慢してる証拠だ!
エンドロールが始まってすぐに真理は何も言わずに出て行ってしまった。あれ?! おかしいなぁ……機嫌損ねたのか? なんか失敗デートのデジャヴが……
慌てて追いかけたら、シネコンの入口で真理に追いつけた。だけどバッチーンと特大平手を喰らってしまった。
「い、痛い! 真理ちゃん……酷いよ……あああ、耳がキーンってする! 鼓膜敗れたかも?!」
「アホ! 何度も同じ手使うな!」
真理は蹲った俺をおいてさっさと帰ってしまった。周りの人達の目が痛かった……
------
性技の変態じゃーズにはもちろん、元ネタはないというか、しいて言うと……大人なコミックにそんな感じのちょっと変態な漫画があったなと……題名は全く違いますが。いや、買ってないですよ? ムーンライトノベルズの小説読んでたら、その漫画の広告が出てきて、ついクリックしてちょ、ちょっと試読しちゃっただけで……(しどろもどろ……汗)
前は俺が声をかけても、正に氷のごとく、全くもって無反応だった。いや、すぐに俺の反対方向に行っちゃうから無反応じゃないか。
でも、その日は何だか違った。いつもなら俺が声をかけたら、さっさとどこかへ行っちゃうのに、その場でくるりとそっぽを向いた。よく見れば、彼女の頬がほんのりと赤くなっている。
俺はすかさず真理に話しかけた。
「真理ちゃん、本当にごめんなさい。許して? かわいくて大好きでついチュウしちゃったんだ……」
「……軽いのよ」
真理は真っ赤になりながら、口を尖らせてそう言った。俺はツンデレな彼女がかわいくてニンマリした。
「俺の愛は重いよ」
「な、何言ってるのよ?!」
顔が赤いまま、真理は走って行ってしまった。
それからすこーしずつ、本当にミリメートルずつって言っていいくらい少しずつ再接近してあの失敗デートから3ヶ月後、ようやく再デートの約束を取り付けた。で、もう1度あのシネコンに行こうって提案したら、すごく嫌な顔をされた。
「え?! また映画?! まさかまたあんな事、するつもりないでしょうね?!」
「まさか! あの失態を一から挽回するために初デートをやり直したいだけだよ」
「だからって同じ場所にしなくても……」
「今度は違う映画だからさぁ。ねえ、お願い!」
本当は同じ場所で同じ映画を見て初デートを再現してあの失敗をやり直そうって思ったんだけど、残念ながら同じ映画はもう上映していなかった。
今度も30分前にシネコン前に着いて真理を待つ。前回と同じく、もうチケットは買ってある。真理も前のデートと同じように10分前に来た。
俺がチケット売り場に行かないでまっすぐ上映会場に入ろうとしたので、真理は怪訝な顔をした。
「チケット、もう買ってあるんだ」
「え?! 何の映画?」
「いいから、いいから。来て!」
ほんとは手を繋いで上映会場に入ろうと思ったけど、前の失態があるから、真理の少し前を歩いて『シアター2』に入ろうとした。
「え?! これ見るの?!」
真理の目は、シアター2の前に掲示されている上映映画のポスター『ガンバレ! 正義の編隊じゃーズ』に釘付けになっていた。心なしか怒ってる? 『性技の変態じゃーズ』に脳内変換して怒ってるの?!
俺は後で気付いたんだが、ポスターの端っこにR18+のマークが付いていた。そんな事とは露知らず(ほんとだよ!)、その時上映している1番くだらなくて笑えそうなB級映画を検索して適当に決めた映画だった。
「あ、あのさ、面白い、かも、しれないから、チケットももう買ってあるし、入ってみようよ」
俺がおずおずとお願いすると、真理は頷いてくれた。
映画の内容は……あまりにもくだらな過ぎた。ヒーローにこれほどかというくらいラッキースケベが何度も起きる。仕舞いにはラッキースケベ技で敵を倒しちゃうのだ。
上映中、俺は笑いが止まらなくなって必死に口を押えてた。ちらりと隣の真理を見たら、彼女の肩も震えてる。笑いを我慢してる証拠だ!
エンドロールが始まってすぐに真理は何も言わずに出て行ってしまった。あれ?! おかしいなぁ……機嫌損ねたのか? なんか失敗デートのデジャヴが……
慌てて追いかけたら、シネコンの入口で真理に追いつけた。だけどバッチーンと特大平手を喰らってしまった。
「い、痛い! 真理ちゃん……酷いよ……あああ、耳がキーンってする! 鼓膜敗れたかも?!」
「アホ! 何度も同じ手使うな!」
真理は蹲った俺をおいてさっさと帰ってしまった。周りの人達の目が痛かった……
------
性技の変態じゃーズにはもちろん、元ネタはないというか、しいて言うと……大人なコミックにそんな感じのちょっと変態な漫画があったなと……題名は全く違いますが。いや、買ってないですよ? ムーンライトノベルズの小説読んでたら、その漫画の広告が出てきて、ついクリックしてちょ、ちょっと試読しちゃっただけで……(しどろもどろ……汗)
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編
タニマリ
恋愛
野獣のような男と付き合い始めてから早5年。そんな彼からプロポーズをされ同棲生活を始めた。
私の仕事が忙しくて結婚式と入籍は保留になっていたのだが……
予定にはなかった大問題が起こってしまった。
本作品はシリーズの第二弾の作品ですが、この作品だけでもお読み頂けます。
15分あれば読めると思います。
この作品の続編あります♪
『ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編』
【完結】夫もメイドも嘘ばかり
横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。
サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。
そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。
夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる