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第2章 前世を思い出す前
8.とうとう両想い
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ウルフはとうとう決意した。アニカが見合いして婚約する前に告白する!
修道院の脇に停まった車のドアがバタンと閉まった音が聞こえた。
(アニカだ!)
ウルフはいつも外に出迎えなんてしないけど、モニカの邪魔は避けたかった。
伯爵家の車の所まで行くと、アニカと母ゾニアが車から降りて孤児院の建物へ行こうとしていた。
「アニカ、ちょっといいか?2人で話したいことがあるんだ」
了承を得て、修道院の建物の後ろのほうへ行く。ゾニアが胡乱な顔でウルフを見ているから、ウルフは一言断っておいた。
「見合いの話が来てるんだって?」
「来てないよ」
「ことわ・・・えっ?」
「見合いなんてしないよ」
「なんで?」
「なんでって、そりゃ・・・」
アニカは顔を赤くして下を向いた。
(ああっ!かわいい、反則だ!)
「見合いはずっとしないでほしい」
「なんで?」
「俺は・・・アニカのことが、す、好きなんだ!付き合ってく、くらさいっ!」
ウルフは肝心なところで噛んでしまった。
「モニカは?」
「俺にとっては修道院の他の子供と同じだよ。アニカのことが好きだって言ってるのにベタベタするのは止めてって言った」
「どうして?あんなにかわいいじゃない?」
「ア、アニカのほうがかわいいっ!明るい炎みたいな赤い髪も、エメラルドみたいに綺麗な緑色の目も、そばかすがちっちゃい鼻の上に散らばってるのも、背がちっちゃくて守りたくなっちゃうところも、全部好きだっ!」
「や、やめてっ!そんなに言われるとくすぐったい!でもウルフ?そばかすがちっちゃい鼻の上に散らばってるって何気にディスってない?」
「あ!ごめん、違うよ!とにかくアニカの全部が好きって言いたかっただけだから。信じて!」
「何言ってるの、急に!」
アニカは耳まで真っ赤になってしまった。
「アニカ、付き合ってくれないか?」
「うん・・・」
「本当に?!うれしいよ!俺は孤児だから、結婚したいって言ったら君の両親に反対されるかもしれない。だから、学校を卒業したらアニカの家の商会か、そうじゃなくても首都の商会に就職して絶対に出世してアニカを迎えに行くよ。俺を信じて待ってほしい」
「え?結婚?」
「もちろん!俺はアニカとずっと一緒にいたいから。それとも嫌?」
「そ、そんなわけない・・・」
「アニカ!ありがとう!愛してる!」
ウルフはぱーっと顔を輝かして、真っ赤になって俯いているアニカをぎゅっと抱きしめた。そしてアニカの顎を持ち上げて唇をそっとアニカの唇に重ねた。
(ウルフの唇?!や、柔らかくて温かい!あぁー)
アニカは腰砕けになってへなへなと座り込んでしまった。
「アニカ?!ごめん、大丈夫?」
ウルフはあわててアニカを支えた。
修道院の脇に停まった車のドアがバタンと閉まった音が聞こえた。
(アニカだ!)
ウルフはいつも外に出迎えなんてしないけど、モニカの邪魔は避けたかった。
伯爵家の車の所まで行くと、アニカと母ゾニアが車から降りて孤児院の建物へ行こうとしていた。
「アニカ、ちょっといいか?2人で話したいことがあるんだ」
了承を得て、修道院の建物の後ろのほうへ行く。ゾニアが胡乱な顔でウルフを見ているから、ウルフは一言断っておいた。
「見合いの話が来てるんだって?」
「来てないよ」
「ことわ・・・えっ?」
「見合いなんてしないよ」
「なんで?」
「なんでって、そりゃ・・・」
アニカは顔を赤くして下を向いた。
(ああっ!かわいい、反則だ!)
「見合いはずっとしないでほしい」
「なんで?」
「俺は・・・アニカのことが、す、好きなんだ!付き合ってく、くらさいっ!」
ウルフは肝心なところで噛んでしまった。
「モニカは?」
「俺にとっては修道院の他の子供と同じだよ。アニカのことが好きだって言ってるのにベタベタするのは止めてって言った」
「どうして?あんなにかわいいじゃない?」
「ア、アニカのほうがかわいいっ!明るい炎みたいな赤い髪も、エメラルドみたいに綺麗な緑色の目も、そばかすがちっちゃい鼻の上に散らばってるのも、背がちっちゃくて守りたくなっちゃうところも、全部好きだっ!」
「や、やめてっ!そんなに言われるとくすぐったい!でもウルフ?そばかすがちっちゃい鼻の上に散らばってるって何気にディスってない?」
「あ!ごめん、違うよ!とにかくアニカの全部が好きって言いたかっただけだから。信じて!」
「何言ってるの、急に!」
アニカは耳まで真っ赤になってしまった。
「アニカ、付き合ってくれないか?」
「うん・・・」
「本当に?!うれしいよ!俺は孤児だから、結婚したいって言ったら君の両親に反対されるかもしれない。だから、学校を卒業したらアニカの家の商会か、そうじゃなくても首都の商会に就職して絶対に出世してアニカを迎えに行くよ。俺を信じて待ってほしい」
「え?結婚?」
「もちろん!俺はアニカとずっと一緒にいたいから。それとも嫌?」
「そ、そんなわけない・・・」
「アニカ!ありがとう!愛してる!」
ウルフはぱーっと顔を輝かして、真っ赤になって俯いているアニカをぎゅっと抱きしめた。そしてアニカの顎を持ち上げて唇をそっとアニカの唇に重ねた。
(ウルフの唇?!や、柔らかくて温かい!あぁー)
アニカは腰砕けになってへなへなと座り込んでしまった。
「アニカ?!ごめん、大丈夫?」
ウルフはあわててアニカを支えた。
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