咎の伝記

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第6章 鬼の血と神の暴力

#73 白い翼と黒い咆哮

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『白い翼と黒い咆哮』



《ステリア地方【北】》

“大和都の里”

<百草広場>
源一「ようし…全員集まったな」
ジョーカー「あぁ!」
ケイパン「遂に来た…」
ポン「少しだけ緊張するね…」
タナカ「意外と皆見てくれるんだね」
源一「全員コンディションは充分か?それじゃあ始めるぞ」
パンッ
源一「師弟組合!!!開幕だァッ!!!!」
ウオオォォォォォッッッ
芹「やれやれ…盛り上がってるのう」
紗近「がぁっはっは!!ぶちかましてやれジョーカー!!」
カルラ「頑張ってくださいませケイパン様」
淋鬼「自由に戦っちゃえっす~」
睡蓮「落ち着くのよーポン」
桔梗「……」
睡蓮「見に来たなら応援すればいいのに」
桔梗「…俺は見守るだけで」
睡蓮「はいはい」
タマ「皆さん頑張ってくださーーい!!」
芹「さて、それじゃあ4人共。くじを引いてみてくれ」
ジョーカー「おっ」
ケイパン「それじゃあ引くか…せーのっ!」
グイッ
芹「ふむ。2人ずつ色が違うじゃろう?同じ色を引いた者同士が組手として戦う事になる相手じゃよ」
ジョーカー「アタシ赤だ」
ケイパン「俺も!」
タナカ「それじゃあ僕は」
ポン「うん、私だね」
芹「まずは白色のペアから始めようかのう。ポンとタナカじゃな」
ポン&タナカ「!」
源一「タナカぁ!!ぶちかましたって構わねぇい!!」
睡蓮「頑張りなさい~」
――――
源一「それじゃあ互いに位置についたな」
ポン「はい」
タナカ「…お願いします」
源一「ようし…始めっ!!!」
タナカ「…行くよポン」
ポン「よろしくね」

タナカ『豪羽』

ガチンッ
スッ
タナカ「……ふぅ」
ポン「!」
ッドン
タナカ「せやぁぁぁっ!!」
ビュッ
ポン「――ッ」
ババッ
スタッ
ポン「その羽…斬れ味もちゃんとあるんだね」
タナカ「一応ね。それ用に硬くしたから」
――――
紗近「ほう…翼の一部を武具として扱うのか!」
芹「面白い戦術じゃのう。よもやこれを源一が教えるとは思えぬが」
紗近「そりゃそうだろうよ」
源一「お前ら…俺に何か恨みがあんだろい」
ケイパン「タナカが自主的に戦ってる…凄ぇ!!」
淋鬼「動きがまだまだっすよ。全然っすね、及第点っすわ」
カルラ「淋鬼様…」
ジョーカー「それでも及第点はあげるんだな」
源一「どうだい芹。中々のお手前もんだろ」
芹「そうね」
クスッ
芹「私の想像通りで扱いやすいと思うわ」
源一「!」
――――
タナカ(防戦一方…何か企みが?)
ポン「ジョーカーちゃんは近接で仕掛けてくる。ケイパンくんとタナカは魔力柄近接か遠距離か分からないけど私は対策しておいたの」
スッ
ポン「睡蓮さんの元、近接も遠距離もどっちも立てられるように」
バッ
タナカ(掌底――!?)
ギュイッ
タナカ「くっ…!!」
ババッ
タナカ「危なかった…ギリギリでかわせた」
ポン「タナカはあまり戦闘経験がないもんね。だから動きに迷いやズレがあるのは当然。仕方ないよね」
タナカ「?」
ポン「睡蓮さんはケイパンくんを1番警戒してたけど私はタナカとは1番戦いたくなかった」
タナカ「…どうして?」
ポン「動きに自由がありすぎるからね!」
ッドン
ガシッ
タナカ「!」
――――
源一「タナカの元までジャンプしてきたのか!?」
睡蓮「翼関連の魔力ってポンに聞いたからね。私はあの子に魔力無しでの戦いの基礎を教え込んだ。あの子は体内の闇に関する魔力を持ってる」
――――
ポン「少しだけ痛いよ。受け身取ってね」
スッ

ポン『掌握帝』

ドムッッッ
タナカ「――……!!!」
ズザザ
パラパラ
ポン「…」
ポン(しっかり受け身取られた…流石にね)
タナカ「……なるほど」
――――
芹「使い所を把握して無駄の無い動きになっておるな」
紗近「足裏に込めて跳躍…そして掌に込めて吹き飛ばしか」
睡蓮「どう?中々のもんでしょ」
源一「ぬぬ…だがタナカだって一筋縄じゃあ行かないだろい!」
――――
タナカ「凄いね睡蓮さん…僕が見てきたポンとまるで戦い方が違う。これじゃあ確かに色んな人達相手に様々な対策も打てるよね」
ポン「師匠の事褒められて…少し嬉しいな」
タナカ「それでも僕も強くなったからね」
パチンッ
ブワッ
ポン「!」
ポン(羽が…散らばって)
バサッ
ポン「上―じゃない…?」
ビュッ
タナカ「上にあげたのは僕の羽の一部だよ。これも修行の一貫でね」

タナカ『羽霧』

ドドッ
ポン「……ッ!?」
ズザザ
ポン(まさか懐に入られるなんて)
――――
睡蓮「……へぇ」
源一「どうだ?俺の教えた目眩しをしっかり出来てるんだ。偉いってもんだろい!!そのままやっちまえタナカ!!」
睡蓮「でも接近戦ならポンのが得意よ」
源一「得意不得意を転がすのが男さ」
――――
ババッ
タナカ「ここからは僕の得意を押し付ける」
タッチ

タナカ『付与』

ポン「しまっ―」
フワッ
タナカ「君に翼を与えたのは僕だ。自由権はこちらが貰うよ!」
ギュイイイイッ
ポン「くっ…!!」
――――
源一「タッハッハ!!もうタナカの掌の上ってもんだろい!!」
ジョーカー「おー…凄ぇ!タナカが自由にポンを操ってるぜ!」
紗近「このまま押し切れるか…!?」
ケイパン「すごいタナカ!!」
淋鬼「え、このままじゃ勝っちゃうじゃないすか」
カルラ「まぁまぁ…」
芹「……いや、何か隠しておるな睡蓮」
睡蓮「そうね」
源一「どうにか出来んのかい?あの状況を―」
睡蓮「出来なきゃ黙って見てるわけないでしょ?」
クスッ
――――
ポン「凄い…ね……っ…タナカ」
ギュイイイイッ
ググ
タナカ「!」
ポン(まだもう少し……もう少し離れないと)
タナカ(抵抗してこない…何か策が?)
ポン「…今!」
スゥッ
コォォォォ…ッ
タナカ「え」
ポン「真正面から受けても大丈夫。威力は抑えてあるから――!!」
ビカッ

ポン『黒砲』ッ!!!

ッドォォォォォォォォォォォォォン
ビリビリッ
――――
紗近「ぬぉぉ……っ!?」
芹「なんと…!!」
源一「………………は?」
芹「ふふっ…合格」
ケイパン「今ポン…口からビーム出した……」
淋鬼「闇を込める場所であんなことも出来るんすね」
カルラ「…流石でございますね」
ジョーカー「かっけー…」
源一「………………」
芹「ほれ、とっとと合図せんか」
グイッ
源一「あと…あっ、おう」
ザッザッザッ
ガバッ
ポン「!!」
源一「師弟組合!!ポンとタナカの勝負はポンの勝利だ!!!」
ポン「…良かった」
タナカ「けほっけほっ……煙い」
ポン「タナカ!」
タッタッタッ
ポン「ごめんね…大丈夫だった?」
タナカ「うん、やっぱりポンには敵わないや」
ポン「そんなことないよ。タナカだってびっくりするくらい強かった」
ジョーカー「どっちも強かったぜー!」
ケイパン「ポンもタナカも出来ること進化しすぎだろ!?」
カルラ「お見事でしたお2人とも」
淋鬼「キッヒヒ。惜しかったすねぇ。あーあ。惜しかったっすねぇ」
ニヤニヤ
ポンポン
タナカ「蹴り飛ばすぞ」
睡蓮「ポン」
ポン「睡蓮さん!」
睡蓮「…」
クスッ
ギュッ
ポン「!」
睡蓮「よく頑張ったじゃない。充分に活かせたわね」
ポン「……はいっ!」
源一「タナカ…惜しかったってもんだ」
ナデナデ
タナカ「ごめんなさい源一さん。勝ちたかったんですけど」
源一「いいってこと!いいってこと!あんだけ善戦してくれただけでも俺は感無量ってもんだろい!!最高の弟子ってやつだお前は!」
タマ「お2人とも凄かったです!!ね!桔梗さん!!」
桔梗「…………」
ポロッ
睡蓮「え、あんた泣いてんの?」
桔梗「…気の所為です」
プイッ
睡蓮「泣いてるでしょって。こっち向きなさいよ」
紗近「さぁて!!それじゃあ次だ!」
芹「ジョーカーとケイパンじゃな。双方とも存分に頑張るんじゃよ」
源一「また熱い戦いを見せてくれ!」
ポン「頑張ってね2人とも」
タナカ「楽しみにしておくよ」
淋鬼「ケイパンさん。勝たないと大変っすよ」
紗近「ジョーカー。気張ってこい!!」
バシィッ
カルラ「見守っております。ケイパン様」
ナデナデ
ケイパン&ジョーカー「おう!!!」

#73『白い翼と黒い咆哮』“~完~”
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