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第5章 誰が為の善意
#52 人は唯1人
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『人は唯1人』
《ステリア地方【東】》
“桜島神社”
ドドドドド
ババッ
モラータ「この2人…ッ」
伊織「前へ」
ッドン
ユミル「ふっ――!!」
ッドドォォォォォォン
ユミル「右!!」
伊織「……」
バシュッ
サントス「ぐっ…!!」
ガッ
ユミル「……飛ばすぜ」
グァッ
ユミル「――っらァ!!!」
ッドゴォォォォッ
伊織「討ちます」
ユミル「あぁ!」
トンッ
ギギギ
伊織『弓術・一閃』
ドスッッッ
サントス「――ッ!!」
ドクドク
サントス(痛い…血が出た)
ユミル「ナイスだイオ」
伊織「感謝します」
モラータ「…思ったよりも連携力が高いのね」
ユミル「そりゃそうだろ?同じギルドのメンバーなんだから」
伊織「ユミルはこう見えて冷静ですので」
ユミル「こう見えてってなんだよ……」
モラータ「サントス。私達も合わせないと駄目みたい」
サントス「でも…私遠距離専門だよ」
モラータ「知ってるわ…だから」
パチンッ
モラータ「貴方は私の後ろにいればいい」
モラータ《死の器具を扱う者》
ズズズ
クイッ
ユミル「イオ!!」
ドンッ
伊織「え―」
ズドドドドドドドド
ユミル「…ッ」
伊織「ユミル!!」
ユミル「いっ……つぅ……なんだこれ…!!」
モラータ「庇い合い…いい想い合いね」
クイッ
モラータ「サントス」
サントス「…うん」
カチャ
サントス《果てなく撃ち抜く者》
サントス「ばん」
ギュゥゥゥ
伊織「そんなに上手く―行かせるわけないでしょう!!」
バシュッ
ガキィィィン
モラータ「!」
サントス「う…弾かれた」
モラータ(銃弾を矢で弾き落とすなんて…)
タッタッタッ
伊織「ユミル!ユミル!しっかり!」
ユサユサ
ユミル「あぁ…なんとか大丈夫」
ザクッ
ユミル(急に上から降ってきたな…どんな魔力なんだ)
ボタボタ
伊織「血が…!!」
ユミル「ラッハハ!大丈夫だってこんくらい!」
サントス「モラータ…厄介なのはあの弓の子の方だよ」
モラータ「えぇそうみたいね…銃弾を矢で弾くのは驚いたわ」
伊織「よくも私の目の前でユミルを…!!」
ギギギ
伊織『弓術・六閃』
ッバシュン
モラータ「でもそれは逆も然りよ」
サントス「…うん」
カチャ
ガキキキキキキッ
伊織「!」
サントス「私と君はお互いを打ち消し合う存在だよ」
伊織「…ッ」
ユミル「よし…まだ動けそうだ」
ドンッ
ユミル《獣の威を借りる者》
ガシッ
サントス「ひっ…!!」
ユミル「ラッハハ…捕まえた」
スッ
ユミル『狼牙』ッ!!!
ッドゴォォォォッ
サントス「…ッ」
ボタボタ
モラータ「離れなさい」
パキパキパキ
ユミル「氷…!?」
ユミル『兎脚』
ババッ
スタッ
ユミル「くそっ…全然概要が把握できねぇなアイツの魔力!」
伊織「2人共ですわ」
ユミル「?」
伊織「彼女も持っている銃を撃ってきているだけ」
ユミル「イオと同じってパターンは無いのか?」
伊織「……どうでしょう」
モラータ「抑えるわ」
サントス「うん」
モラータ「……」
パチンッ
ガチッ
ユミル「ッ!?」
モラータ「ふっ」
ザクッ
ユミル「…ッ」
ボタボタ
伊織「…離れなさい!」
バシュッ
モラータ「……」
ヒュッ
スッ
モラータ「私の魔力は拷問器具の創成」
パキパキパキ
伊織「!!」
モラータ「理解が出来たかしら?」
ユミル(針…氷…剣……全部拷問で使えるから拷問器具扱いってことか)
ユミル「ラッハハ……壊れ魔力じゃねぇか…ッ!!」
モラータ「よく言われるわ」
スッ
モラータ「でもね…オクトヴィアは私達の中でも指折り優秀な魔力よ」
ユミル「知らん誰だソイツ!」
チラッ
ユミル(イオは腕と足が凍りついたのか…弓を構えさせないために)
伊織「磐石…ですね」
ググッ
モラータ「それはそうよ…貴方厄介だもの」
スッ
モラータ「まだ魔力の発動すらしていないでしょう?」
伊織「!!」
モラータ「厄介物は早めに処分するのが定石。そうでしょサントス」
サントス「うん」
スッ
カカカカカッ
サントス「もう準備できた」
伊織「何を――」
カチャッ
サントス「射抜くよ」
ユミル「待て!!」
ガンッガンッ
モラータ「そんな乱暴に暴れてもその拘束具は簡単には外れないわ」
ユミル「動けないやつに手を出すのかよ!!」
モラータ「そんな道理が魔族に通じると本気で思っているの?」
サントス「意味の無い交渉」
伊織「……!!!!」
ーーー
伊織「はぁ……」
カザルミネ「どうした?」
ユミル「溜め息つくなんて珍しいな!」
伊織「珍しいとはなんですか!私だってお悩みくらいあります!」
カザルミネ「ふっ」
ストッ
カザルミネ「また魔力のことか?」
伊織「…まぁ」
ユミル「イオの魔力って…例のダブり魔力だろ?」
伊織「そうです」
ユミル「何か嫌な点でもあんのか?」
伊織「だって私と同じ魔力を持つ剣の人なんてもう伝説とまで謳われてるほどの実力者なんです!比べもします!劣りもします!!」
グスッ
伊織「うおーーーん」
ユミル「泣いちまった…」
カザルミネ「やれやれ…」
フキフキ
カザルミネ「無理に周りと比べて自分を卑下しなくても良いだろう。私達の仲間の伊織は貴方だけなんだから」
伊織「カザちゃん…!!」
ブワッ
伊織「うおおおおおおん」
ギュッ
カザルミネ「うぉっ」
ユミル「ラッハハ!!泣かした泣かした!カザが泣かした!」
カザルミネ「!?」
ーーー
伊織(私の魔力は……周りと比べればまだまだ見劣りしてしまうけれど)
伊織「ユミル…私は」
ググッ
ユミル「イオ!!私は今!!お前の魔力が見てぇなぁ!!!」
伊織「!」
サントス「意味の分からない語りかけ」
伊織《数多の弓を扱う者》
ボボボボボボボボッ
ッドドドドドドドドォォォォォォォン
サントス「……!?」
モラータ「今の……は」
伊織「……っは……っは」
ガクガク
モラータ(頭上に浮かぶ無数の弓……まさか)
伊織「限界が……近い…ですわ」
ググッ
ユミル「!」
伊織「私は…1人を討って後は貴方に託します」
スッ
サントス「!!」
伊織「貴方と私は…お互いを打ち消し合う存在でしたね」
ギギギギギ
伊織「試してみましょう…今どっちが優勢か」
サントス「ま、待って……数で押すなんて――」
伊織「……」
ニコッ
サントス「理不尽だぁ……!!」
伊織『弓術・七天五十閃』ッ!!!
ズドドドドドドドドドドドドド
シュゥゥゥゥ
サントス「キュゥ……」
ドサッ
伊織「はっ…はっ…!!」
ガクッ
伊織「後は……よろしく頼みますわユミル」
ユミル「あぁ…任せろ!」
ニカッ
モラータ(サントスがやられるのは正直想定外…だけど相打ちなら許容)
ザッザッザッ
モラータ「話は簡単になったわね。私が貴方を倒せばいいだけ」
ユミル「さっきから変わってないだろ」
モラータ「どうかしら」
スッ
ズトトトトト
ユミル「!!」
ババッ
ユミル『猿腕』
ドンッ
ユミル「ふ――ッ!!」
ッドゴォォォォォォォン
パラパラ
モラータ「近づくのは愚策よ」
ユミル「ラッハハ!!それはお前が決める事じゃねぇ!!」
パキパキパキ
ユミル(凍りついてきた…速戦即決がベスト――!!)
スッ
ズドドドドドドドド
ユミル「おおぉぉぉおおおおおおおお――ッ!!!!」
モラータ「…!!」
ユミル(押せる…!!)
伊織「あぁ――ッ!!」
ユミル「!?」
ピタッ
ユミル「イオ…?」
伊織「…つぅ……!!」
ドクドク
ユミル「なんで……」
モラータ「……私に気を取られすぎよ」
ユミル「お前…ッ!!!」
ガッ
ユミル「イオは動けねぇんだってさっき――!!」
モラータ「それに魔族が従う道理は無いと教えたはずよ」
ユミル「この……ッ」
ドクンッ
モラータ「また私に気を取られていると…仲間が死ぬわよ!!」
ギュゥンッ
ユミル「!!」
ダダッ
ユミル(駄目だ…守れユミル!!イオは動けねぇんだ…私が守れ!!)
スッ
ガバッ
ユミル「良かった…間に合っ」
グサッ
ユミル「ッ!!!」
ユミル(間に合ったからどうすんだ…この量捌けんのかよ私……ッ)
ググッ
ユミル『鰐皮』ッ!!!
ガチンッ
ドドドドドドドドドドド
伊織「ユミル…やめてください……貴方が…っ」
ユミル「構わ……ねぇ…っ」
ボタボタ
ユミル「同じギルドメンバーだから守るんだよ…私が!!!」
伊織「ユミル……!!!」
ドクドク
ユミル「…っは…っは」
ジンジン
ユミル(身体が……痛ぇ…皮膚も剥がれてきてる)
ユミル「ラッハハ…いっっってぇ…!!」
ドクドク
ボヤッ
モラータ「!?」
ユミル「っはーー……っはーー……っはははは…!!!!」
ググッ
伊織「ユミル…貴方…!!」
ーーー
伊織「えぇ。私はこのギルド唯一の人族ですから」
ーーー
サントス「なに…身体に浮き出たあの紋様……」
モラータ「戦闘に特化した種族は……そのタフさから鬼族。規格外の力を持つ龍族…それと人族の派生種族…全員が生まれつき戦いにおける基本の動きを理解している戦闘におけるスペシャリスト」
ユミル「……ラッハハ」
モラータ「狂人族…!!」
ユミル「身体全身が痛ぇけど…変だな」
ニカッ
ユミル「今は戦えることだけ考えてる…それだけが嬉しいんだ…!!」
ッドン
ユミル「全力で避けろ!!顔面吹き飛ばす!!!」
モラータ「!!」
ユミル『狼爪』ッ!!!!!
ズッダァァァァァァァァァン
ボロッ
モラータ「そんな無闇に近づけば貴方の方だってただじゃ済まないわ!」
ユミル「それがどうしたァ!?」
ガッ
ブォンッ
モラータ「…………!!!」
ユミル「お前言ってたな!!」
ダダッ
ユミル「従ってやる道理はねぇ!!!」
モラータ「この戦闘狂が…!!」
スッ
ババッ
モラータ「呑まれて消えてしまえ!!」
モラータ『鉄の処女』!!!
ゴォォォォォ
バクンッッ
伊織「ユミル!!!」
モラータ「ふっ…はは……中で串刺しになって死になさい!!!」
ビキッ
ビキビキ
モラータ「は……?」
バキバキバキバキッ
ッドゴォォォォォォォン
ユミル「ラッハハハハハハ!!!!」
モラータ(有り得ない…串刺しになりつつ内側から破壊したの……!?)
ユミル「いーこと教えてやるよモラータ!!」
ガッ
ユミル「痛みは最高のスパイスなんだ」
ニカッ
ユミル『龍顎』ッ!!!!!
モラータ「かは――――ッ!!」
ッドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォン
スタッ
ユミル「っはぁ…っはぁ…」
グラッ
ガシッ
伊織「ユミル!」
ユミル「イオ……お前…怪我は」
伊織「貴方に比べたらどうってことないですわ…!!」
ユミル「ラッハハ…狂った私は怖かったろ」
ニカッ
伊織「そんなことありません…」
モラータ「ピ…ピピピ……!!!」
ジタバタ
伊織「……?」
ユミル「なんだこのスライム…お前いつの間に来たんだよ」
サントス「それが……モラータの本当の姿なの」
ユミル「は?」
サントス「最初に…君達を欺こうとした変身は元々のモラータの体質」
ユミル「こんなスライムに私達は手こずってたのか……」
伊織「中々…ショックですわ」
ユミル「それでお前は…まだ私達とやるのか……?」
サントス「……無理だよ、勝てっこない」
伊織「…懸命な判断ですわ」
ザッザッザッ
サントス(ごめんなさい…サブナック様……私達諦めちゃった)
勝者――【流鏑馬】伊織
【守護獣】ユミル
#52『人は唯1人』“~完~”
《ステリア地方【東】》
“桜島神社”
ドドドドド
ババッ
モラータ「この2人…ッ」
伊織「前へ」
ッドン
ユミル「ふっ――!!」
ッドドォォォォォォン
ユミル「右!!」
伊織「……」
バシュッ
サントス「ぐっ…!!」
ガッ
ユミル「……飛ばすぜ」
グァッ
ユミル「――っらァ!!!」
ッドゴォォォォッ
伊織「討ちます」
ユミル「あぁ!」
トンッ
ギギギ
伊織『弓術・一閃』
ドスッッッ
サントス「――ッ!!」
ドクドク
サントス(痛い…血が出た)
ユミル「ナイスだイオ」
伊織「感謝します」
モラータ「…思ったよりも連携力が高いのね」
ユミル「そりゃそうだろ?同じギルドのメンバーなんだから」
伊織「ユミルはこう見えて冷静ですので」
ユミル「こう見えてってなんだよ……」
モラータ「サントス。私達も合わせないと駄目みたい」
サントス「でも…私遠距離専門だよ」
モラータ「知ってるわ…だから」
パチンッ
モラータ「貴方は私の後ろにいればいい」
モラータ《死の器具を扱う者》
ズズズ
クイッ
ユミル「イオ!!」
ドンッ
伊織「え―」
ズドドドドドドドド
ユミル「…ッ」
伊織「ユミル!!」
ユミル「いっ……つぅ……なんだこれ…!!」
モラータ「庇い合い…いい想い合いね」
クイッ
モラータ「サントス」
サントス「…うん」
カチャ
サントス《果てなく撃ち抜く者》
サントス「ばん」
ギュゥゥゥ
伊織「そんなに上手く―行かせるわけないでしょう!!」
バシュッ
ガキィィィン
モラータ「!」
サントス「う…弾かれた」
モラータ(銃弾を矢で弾き落とすなんて…)
タッタッタッ
伊織「ユミル!ユミル!しっかり!」
ユサユサ
ユミル「あぁ…なんとか大丈夫」
ザクッ
ユミル(急に上から降ってきたな…どんな魔力なんだ)
ボタボタ
伊織「血が…!!」
ユミル「ラッハハ!大丈夫だってこんくらい!」
サントス「モラータ…厄介なのはあの弓の子の方だよ」
モラータ「えぇそうみたいね…銃弾を矢で弾くのは驚いたわ」
伊織「よくも私の目の前でユミルを…!!」
ギギギ
伊織『弓術・六閃』
ッバシュン
モラータ「でもそれは逆も然りよ」
サントス「…うん」
カチャ
ガキキキキキキッ
伊織「!」
サントス「私と君はお互いを打ち消し合う存在だよ」
伊織「…ッ」
ユミル「よし…まだ動けそうだ」
ドンッ
ユミル《獣の威を借りる者》
ガシッ
サントス「ひっ…!!」
ユミル「ラッハハ…捕まえた」
スッ
ユミル『狼牙』ッ!!!
ッドゴォォォォッ
サントス「…ッ」
ボタボタ
モラータ「離れなさい」
パキパキパキ
ユミル「氷…!?」
ユミル『兎脚』
ババッ
スタッ
ユミル「くそっ…全然概要が把握できねぇなアイツの魔力!」
伊織「2人共ですわ」
ユミル「?」
伊織「彼女も持っている銃を撃ってきているだけ」
ユミル「イオと同じってパターンは無いのか?」
伊織「……どうでしょう」
モラータ「抑えるわ」
サントス「うん」
モラータ「……」
パチンッ
ガチッ
ユミル「ッ!?」
モラータ「ふっ」
ザクッ
ユミル「…ッ」
ボタボタ
伊織「…離れなさい!」
バシュッ
モラータ「……」
ヒュッ
スッ
モラータ「私の魔力は拷問器具の創成」
パキパキパキ
伊織「!!」
モラータ「理解が出来たかしら?」
ユミル(針…氷…剣……全部拷問で使えるから拷問器具扱いってことか)
ユミル「ラッハハ……壊れ魔力じゃねぇか…ッ!!」
モラータ「よく言われるわ」
スッ
モラータ「でもね…オクトヴィアは私達の中でも指折り優秀な魔力よ」
ユミル「知らん誰だソイツ!」
チラッ
ユミル(イオは腕と足が凍りついたのか…弓を構えさせないために)
伊織「磐石…ですね」
ググッ
モラータ「それはそうよ…貴方厄介だもの」
スッ
モラータ「まだ魔力の発動すらしていないでしょう?」
伊織「!!」
モラータ「厄介物は早めに処分するのが定石。そうでしょサントス」
サントス「うん」
スッ
カカカカカッ
サントス「もう準備できた」
伊織「何を――」
カチャッ
サントス「射抜くよ」
ユミル「待て!!」
ガンッガンッ
モラータ「そんな乱暴に暴れてもその拘束具は簡単には外れないわ」
ユミル「動けないやつに手を出すのかよ!!」
モラータ「そんな道理が魔族に通じると本気で思っているの?」
サントス「意味の無い交渉」
伊織「……!!!!」
ーーー
伊織「はぁ……」
カザルミネ「どうした?」
ユミル「溜め息つくなんて珍しいな!」
伊織「珍しいとはなんですか!私だってお悩みくらいあります!」
カザルミネ「ふっ」
ストッ
カザルミネ「また魔力のことか?」
伊織「…まぁ」
ユミル「イオの魔力って…例のダブり魔力だろ?」
伊織「そうです」
ユミル「何か嫌な点でもあんのか?」
伊織「だって私と同じ魔力を持つ剣の人なんてもう伝説とまで謳われてるほどの実力者なんです!比べもします!劣りもします!!」
グスッ
伊織「うおーーーん」
ユミル「泣いちまった…」
カザルミネ「やれやれ…」
フキフキ
カザルミネ「無理に周りと比べて自分を卑下しなくても良いだろう。私達の仲間の伊織は貴方だけなんだから」
伊織「カザちゃん…!!」
ブワッ
伊織「うおおおおおおん」
ギュッ
カザルミネ「うぉっ」
ユミル「ラッハハ!!泣かした泣かした!カザが泣かした!」
カザルミネ「!?」
ーーー
伊織(私の魔力は……周りと比べればまだまだ見劣りしてしまうけれど)
伊織「ユミル…私は」
ググッ
ユミル「イオ!!私は今!!お前の魔力が見てぇなぁ!!!」
伊織「!」
サントス「意味の分からない語りかけ」
伊織《数多の弓を扱う者》
ボボボボボボボボッ
ッドドドドドドドドォォォォォォォン
サントス「……!?」
モラータ「今の……は」
伊織「……っは……っは」
ガクガク
モラータ(頭上に浮かぶ無数の弓……まさか)
伊織「限界が……近い…ですわ」
ググッ
ユミル「!」
伊織「私は…1人を討って後は貴方に託します」
スッ
サントス「!!」
伊織「貴方と私は…お互いを打ち消し合う存在でしたね」
ギギギギギ
伊織「試してみましょう…今どっちが優勢か」
サントス「ま、待って……数で押すなんて――」
伊織「……」
ニコッ
サントス「理不尽だぁ……!!」
伊織『弓術・七天五十閃』ッ!!!
ズドドドドドドドドドドドドド
シュゥゥゥゥ
サントス「キュゥ……」
ドサッ
伊織「はっ…はっ…!!」
ガクッ
伊織「後は……よろしく頼みますわユミル」
ユミル「あぁ…任せろ!」
ニカッ
モラータ(サントスがやられるのは正直想定外…だけど相打ちなら許容)
ザッザッザッ
モラータ「話は簡単になったわね。私が貴方を倒せばいいだけ」
ユミル「さっきから変わってないだろ」
モラータ「どうかしら」
スッ
ズトトトトト
ユミル「!!」
ババッ
ユミル『猿腕』
ドンッ
ユミル「ふ――ッ!!」
ッドゴォォォォォォォン
パラパラ
モラータ「近づくのは愚策よ」
ユミル「ラッハハ!!それはお前が決める事じゃねぇ!!」
パキパキパキ
ユミル(凍りついてきた…速戦即決がベスト――!!)
スッ
ズドドドドドドドド
ユミル「おおぉぉぉおおおおおおおお――ッ!!!!」
モラータ「…!!」
ユミル(押せる…!!)
伊織「あぁ――ッ!!」
ユミル「!?」
ピタッ
ユミル「イオ…?」
伊織「…つぅ……!!」
ドクドク
ユミル「なんで……」
モラータ「……私に気を取られすぎよ」
ユミル「お前…ッ!!!」
ガッ
ユミル「イオは動けねぇんだってさっき――!!」
モラータ「それに魔族が従う道理は無いと教えたはずよ」
ユミル「この……ッ」
ドクンッ
モラータ「また私に気を取られていると…仲間が死ぬわよ!!」
ギュゥンッ
ユミル「!!」
ダダッ
ユミル(駄目だ…守れユミル!!イオは動けねぇんだ…私が守れ!!)
スッ
ガバッ
ユミル「良かった…間に合っ」
グサッ
ユミル「ッ!!!」
ユミル(間に合ったからどうすんだ…この量捌けんのかよ私……ッ)
ググッ
ユミル『鰐皮』ッ!!!
ガチンッ
ドドドドドドドドドドド
伊織「ユミル…やめてください……貴方が…っ」
ユミル「構わ……ねぇ…っ」
ボタボタ
ユミル「同じギルドメンバーだから守るんだよ…私が!!!」
伊織「ユミル……!!!」
ドクドク
ユミル「…っは…っは」
ジンジン
ユミル(身体が……痛ぇ…皮膚も剥がれてきてる)
ユミル「ラッハハ…いっっってぇ…!!」
ドクドク
ボヤッ
モラータ「!?」
ユミル「っはーー……っはーー……っはははは…!!!!」
ググッ
伊織「ユミル…貴方…!!」
ーーー
伊織「えぇ。私はこのギルド唯一の人族ですから」
ーーー
サントス「なに…身体に浮き出たあの紋様……」
モラータ「戦闘に特化した種族は……そのタフさから鬼族。規格外の力を持つ龍族…それと人族の派生種族…全員が生まれつき戦いにおける基本の動きを理解している戦闘におけるスペシャリスト」
ユミル「……ラッハハ」
モラータ「狂人族…!!」
ユミル「身体全身が痛ぇけど…変だな」
ニカッ
ユミル「今は戦えることだけ考えてる…それだけが嬉しいんだ…!!」
ッドン
ユミル「全力で避けろ!!顔面吹き飛ばす!!!」
モラータ「!!」
ユミル『狼爪』ッ!!!!!
ズッダァァァァァァァァァン
ボロッ
モラータ「そんな無闇に近づけば貴方の方だってただじゃ済まないわ!」
ユミル「それがどうしたァ!?」
ガッ
ブォンッ
モラータ「…………!!!」
ユミル「お前言ってたな!!」
ダダッ
ユミル「従ってやる道理はねぇ!!!」
モラータ「この戦闘狂が…!!」
スッ
ババッ
モラータ「呑まれて消えてしまえ!!」
モラータ『鉄の処女』!!!
ゴォォォォォ
バクンッッ
伊織「ユミル!!!」
モラータ「ふっ…はは……中で串刺しになって死になさい!!!」
ビキッ
ビキビキ
モラータ「は……?」
バキバキバキバキッ
ッドゴォォォォォォォン
ユミル「ラッハハハハハハ!!!!」
モラータ(有り得ない…串刺しになりつつ内側から破壊したの……!?)
ユミル「いーこと教えてやるよモラータ!!」
ガッ
ユミル「痛みは最高のスパイスなんだ」
ニカッ
ユミル『龍顎』ッ!!!!!
モラータ「かは――――ッ!!」
ッドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォン
スタッ
ユミル「っはぁ…っはぁ…」
グラッ
ガシッ
伊織「ユミル!」
ユミル「イオ……お前…怪我は」
伊織「貴方に比べたらどうってことないですわ…!!」
ユミル「ラッハハ…狂った私は怖かったろ」
ニカッ
伊織「そんなことありません…」
モラータ「ピ…ピピピ……!!!」
ジタバタ
伊織「……?」
ユミル「なんだこのスライム…お前いつの間に来たんだよ」
サントス「それが……モラータの本当の姿なの」
ユミル「は?」
サントス「最初に…君達を欺こうとした変身は元々のモラータの体質」
ユミル「こんなスライムに私達は手こずってたのか……」
伊織「中々…ショックですわ」
ユミル「それでお前は…まだ私達とやるのか……?」
サントス「……無理だよ、勝てっこない」
伊織「…懸命な判断ですわ」
ザッザッザッ
サントス(ごめんなさい…サブナック様……私達諦めちゃった)
勝者――【流鏑馬】伊織
【守護獣】ユミル
#52『人は唯1人』“~完~”
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