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第2章 冒険の旅路
#9『模倣の範囲』
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『模倣の範囲』
《デルカダール地方――東》
<アカリノ洞窟――入り口>
ケイパン「ここが…言ってた場所?」
無名「そやね」
ケイパン「アカ…リノ洞窟……めっちゃ暗いけど」
無名「なはは」
ザッザッザッ
無名「行こ?足元気をつけてな」
ガシッ
ケイパン「ありがと」
<アカリノ洞窟――中心部>
ケイパン「全然明かりとか無いんだな…無名のその魔法具あって助かったね」
無名「せやね~この洞窟は人の整備もされとらんから足場も悪いし明かりもない…そのおかげで」
ノシッノシッ
子スウェルドパンサー「クルル」
無名「魔獣も多いんよ」
ケイパン「あ…この魔獣って俺も倒したアイツの子供?」
無名「うん」
ケイパン「それなら俺に任せて!大人倒したんだから子供くらい」
無名「待ってケイくん!油断は危険やよ!」
ケイパン「大丈夫大丈夫!」
子スウェルドパンサー「クルル」
ケイパン「行くぜ―」
ドヒュンッ
ケイパン「!」
バシュッ
ケイパン「痛…ッ!?」
ズザザ
ケイパン「速い…」
無名「小柄で威力が低い分、素早いんよ!少し下がって!」
ケイパン「無名…」
チャキッ
無名「大丈夫!ウチにも魔法具があるからね」
ケイパン(小刀…)
子スウェルドパンサー「クラァァウ」
ドンッ
ヒュッ
子スウェルドパンサー「??」
キョロキョロ
ケイパン「消え―」
ザクッッッ
子スウェルドパンサー「キャウ……」
バタッ
無名「ふぅっ」
ケイパン「無名凄いな!?あの魔獣より早かったぞ」
無名「この魔法具のおかげやよ」
ケイパン「その小刀か…どんな力なの?」
無名「短刀ラクミ。持つと移動が素早くなるんよ」
ケイパン「へえ…便利」
無名「持ってみる?」
ケイパン「いいのか!」
無名「ん!」
スッ
ケイパン「おぉ……」
無名「あ、でも気をつけ―」
グィン
ドゴッッッ
ケイパン「………………いたい」
無名「制御…最初のうちは難しいんよね…ごめん」
ケイパン「でも凄いな無名!」
無名「え?」
ケイパン「色んな魔法具のことよく知っててさ!」
無名「まぁ…趣味の範疇やからね」
テレ
無名「あと…お姉ちゃんの影響も大きいかな」
ケイパン「そういえばギルド出てくる時も言ってたな。無名ってお姉さん居たんだね」
無名「そうそう」
ケイパン「どんなお姉さんなんだ?」
無名「まぁ…ウチと似とる!」
ニカッ
ケイパン「へぇ…!!」
無名「あとそうやケイくん」
ケイパン「?」
無名「大きな攻撃は禁止やよ」
ケイパン「え」
無名「天井が崩れたら生き埋めやよ~…?」
ヒュ~ドロドロドロ
ケイパン「う…っ」
無名「まぁ!戦いはウチに任せておけば大丈夫やよ!」
ケイパン「面目ない…」
ギャオオォォオオオオ
ケイパン「ッ!!」
無名「これは…近いね」
ケイパン「今のが…」
無名「用心して行こケイくん」
ケイパン「…!!」
無名「恐らく…かなりの強敵やよ」
<アカリノ洞窟――最深部>
ドラゴナイト「グルルル」
ノシッノシッ
ケイパン「ド、ドラゴンが二足歩行して……斧持ってる…!!」
無名(あの大きさ…今まで見たことない……)
ドラゴナイト「!」
無名「気づかれた…!!」
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ」
ドシンドシン
ケイパン「来た…!!」
無名「大丈夫!ケイくんウチの後ろおって!」
ダダッ
ケイパン「!」
無名「――!!」
チャキッ
カキンッ
ドラゴナイト「ギャァ…?」
ギロッ
無名「かったい鱗…!!」
ドラゴナイト「グゥアアアオオオオ」
ボォォォォン
ケイパン「無名!!」
スタッ
無名「大丈夫!無事やよ!」
ケイパン「良かった…!!」
無名(炎まで範囲が広い…これは骨が折れそ―)
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ」
ドシンドシン
ケイパン「!」
無名「しまった…!!」
無名(大声出したせいで威嚇されたと思ったんか…!!)
ズバァァン
ババッ
ケイパン「あっっぶな…」
スタッ
ケイパン(壁まで斬れてる…斬れ味やばすぎ)
ケイパン「あ、そうだ」
無名「?」
ケイパン「俺の魔力なら…!!」
ニカッ
ケイパン「俺の前で炎を吐いたこと!!後悔しろ!!!」
スゥゥゥゥ
無名「まさか…!!」
ケイパン「ファイヤーーーーー!!!!」
シィン…
ドラゴナイト「ギャァ?」
ケイパン「あれ、なんで…」
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ」
ズバァァン
ケイパン「なんで真似できないんだよ!?」
ババッ
ズザザ
ケイパン「くそっ…さっきからスウェルドパンサーの動きは真似出来てるのに…魔獣は真似出来ないってわけでもないし」
無名(ケイくんのコピー範囲外…?)
ドラゴナイト「ギャオギャオ」
ボォッ
メラメラ
ケイパン「…!!」
無名「斧に炎を…」
ドラゴナイト「ギャァオ…」
ニヤァッ
ケイパン「かちほこってやがるアイツ…!!」
ドラゴナイト「ギャァ!!」
ズバァァン
ボォォォォ
ケイパン「…っぶねまじで」
無名「一気に接近戦しづらく…」
ケイパン「!」
スッ
ケイパン「貸して無名」
無名「?」
ケイパン「《滴り落ち潤う者》」
ゴポポ
無名「おぉ!」
ケイパン「これなら|真似できる」
無名「水の短刀!格好いいやん!」
ドラゴナイト「グルルル…!!」
無名「力は負け…ウチが勝ってるんは速度と相性」
チャキッ
無名(コイツを倒すんが…今回の仕事)
ドンッ
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ」
ブォンッ
スカッ
ドラゴナイト「!」
無名「回り込んで――」
スッ
無名「思いきり斬り刻む!!!」
ズバババババババッ
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ!!!」
ドゴッッッ
無名「う…ッ」
ズザザ
ケイパン「無名!」
無名「来たらあかん…!!」
ケイパン「でも―」
無名「大丈夫…手応えはあるんやから」
ニカッ
ケイパン「え」
ボロッ
ドラゴナイト「!?」
ケイパン「斧が…!!」
無名「ウチが斬ったんは自分の身体やのうて…その斧や!」
ドラゴナイト「グルルル…!!」
メキッ
メキメキッ
無名「…?」
ケイパン「なんだ…腕が」
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ!!!!」
ボゴォォォォン
ッドゴォォォォォォォン
無名「!?」
ケイパン「なんて威力……!!」
ドシンドシン
ドラゴナイト「グルルル…」
無名(なんやこの力…群れのボスでもこんな力無いやろ……!!)
ドラゴナイト「グルルル」
ドシンドシン
グァッ
ドゴッッッ
無名「かは…ッ」
ガクッ
ケイパン「無名!!」
無名「あかん…大声出し……たら」
ググッ
ドラゴナイト「ギャァ…」
クルッ
ドシンドシン
ケイパン「!」
ケイパン(来た…どの道俺がやらなきゃ…無名はもう充分戦った)
ググッ
ケイパン「今ここで考えろ…俺が真似できる範囲を――!!」
ドラゴナイト「グルルル」
ケイパン(炎を吐くのは真似出来なかった…でもアイツが炎を斧につけた応用は俺も真似できる。違いは…なんだ)
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ!!!」
ボォォォォ
ケイパン「…ッ」
ババッ
コロン
ケイパン「!」
ーーー
無名「短刀ラクミ。持つと移動が素早くなるんよ」
ーーー
ケイパン「考えるのは―後だ」
グッ
無名「ケイくん…!!」
ケイパン(制御はしない身を任せる…俺がやるべきは真似…模倣)
ドンッ
ケイパン「速い――!!」
ヒュッ
ドラゴナイト「!?」
ケイパン(コイツの大振り…縦も横も範囲と威力が桁違い…俺なら2通りを併用できる…!!)
クルンッ
ケイパン「後はこの速度を――乗せろッ!!!」
ビュンッ
ドラゴナイト「アギャ―」
ケイパン『隼斬り』ッ!!!
ズバ――ッ
ドラゴナイト「ガァァァァ……!!」
ドシィィィン
無名「倒……した」
ケイパン「っは…っは…!!」
無名(ケイくんの魔力のデメリットなんや…戦いの中で新しいコピーを手に入れた場合は応用幅が無限に広がってまうから。つまりは魔力を活用したケイくんの戦いは―常にアドリブの渦中!)
ケイパン「なんとか…動けた」
タッタッタッ
ケイパン「無名大丈夫…?」
無名「なはは…先輩なのに格好悪いとこ見せてもうたね…」
ケイパン「そんなことない!!俺の事助けてくれたんだ…」
ポンッ
無名「強かったやんね!ケイくん!!」
ケイパン「あぁ!!」
ヨロッ
ドラゴナイト「グルルル…」
ケイパン「嘘だろ…」
無名「タフすぎる…攻撃力もタフさも明らかにおかしい…!!」
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ!!!!」
ボゴォォォォン
ボォォォォ
ケイパン「アイツまさか…!!」
無名「天井を火炎放射で崩す気なんか!?」
グッ
無名「そんなことさせん…!!」
ケイパン「無名!無茶だ!!」
――――
?①「…廃棄品か」
タタンッ
――――
ドラゴナイト「!?」
?①『顎』
メキメキメキメキッ
ッボゴォォォォォォォォォォォン
ケイパン「な――ッ!?」
無名「なんや…今人影が…!!」
?①「…」
ドラゴナイト「――」
ケイパン「粉々…!!」
無名「何者や…あの人」
?①「お前…あぁ男の方な」
ケイパン「!」
?①「上から見ていたが中々戦い方が面白いな。いいデータも受け取った」
ケイパン「データ…ってか上から見てたんなら早く助けてくれてもいいんじゃない!?」
?①「なぜ?」
ケイパン「なぜって…」
?①「お前達を助けて私に何のメリットがあるんだろうな?むしろ被害を被ったのは私側だ」
ケイパン「え…?」
?①「せっかく作った玩具が粉々になったんだからな」
無名「粉々にしたんは自分やろ…」
ケイパン「作った…!?」
無名「!」
ケイパン「ソイツを…お前が…?」
?①「実験も兼ねてここに置いてたんだけどな…無事失敗」
ザッザッザッ
?①「さて…暴走する所有物からお前達を救った私は味方か?」
ケイパン「目的次第だけど…悪戯にそんなもの作って無名を危険に晒したんなら……お前は敵だ…ッ!!」
ギリッ
無名「ケイくん…」
?①「…敵か」
クスッ
パキッ
?①「なら殺し合っても文句は無いな」
ケイパン「……!!」
ベティ「私はベティ。魂に刻んでおくといい」
32歳#女
:魔獣族を使い何らかの実験を行っている。
体格に反して力が物凄く片手で大木を浮かし
足蹴で地面に軽いヒビを起こせる。
ベティ「地獄を見せてやろう、ガキンチョ」
ケイパン「…!!」
ゾクッ
ツーツーツーツー
ベティ「!」
ピピッ
ベティ「…分かった」
ケイパン「…?」
ベティ「殺してやる時間も無くなったみたいだ、至極残念」
無名「!」
ベティ「はは…また会えれば殺し会おうか」
ドロォッ
グチャッ
無名「!?」
ケイパン「泥になって…消えた……これがアイツの魔力…!?」
無名「何にせよ帰ってくれて良かった…あのままじゃウチら確実に死んどった……」
ケイパン「…ッ!!」
無名「とりあえず戻ろうケイくん。仕事の報酬も受け取らなっ!」
ニコッ
ケイパン「…うん」
初めて身を通して感じた殺意
肌がざわつく異様な感覚
間違いなく死んでいた未来を回避したことに
俺はただ安堵するだけで精一杯だった
《個性を取り入れる者》模倣リスト
☆応用 ◎制御 〇微制御 ✕未制御
【魔力】
楽夢音《滴り落ち潤う者》
:水を生み出す―〇
【動き】
<漸鬼>
:戦闘の基本―◎
<スウェルドパンサー>
:短距離の突進―〇(New)
<ドラゴナイト>
:武器の振り方《十字》―〇(New)
【特殊】
<壱佳>
:相手を臆させる威圧―✕
<ドラゴナイト>
:武器への属性付着―〇(New)
#9『模倣の範囲』“~完~”
《デルカダール地方――東》
<アカリノ洞窟――入り口>
ケイパン「ここが…言ってた場所?」
無名「そやね」
ケイパン「アカ…リノ洞窟……めっちゃ暗いけど」
無名「なはは」
ザッザッザッ
無名「行こ?足元気をつけてな」
ガシッ
ケイパン「ありがと」
<アカリノ洞窟――中心部>
ケイパン「全然明かりとか無いんだな…無名のその魔法具あって助かったね」
無名「せやね~この洞窟は人の整備もされとらんから足場も悪いし明かりもない…そのおかげで」
ノシッノシッ
子スウェルドパンサー「クルル」
無名「魔獣も多いんよ」
ケイパン「あ…この魔獣って俺も倒したアイツの子供?」
無名「うん」
ケイパン「それなら俺に任せて!大人倒したんだから子供くらい」
無名「待ってケイくん!油断は危険やよ!」
ケイパン「大丈夫大丈夫!」
子スウェルドパンサー「クルル」
ケイパン「行くぜ―」
ドヒュンッ
ケイパン「!」
バシュッ
ケイパン「痛…ッ!?」
ズザザ
ケイパン「速い…」
無名「小柄で威力が低い分、素早いんよ!少し下がって!」
ケイパン「無名…」
チャキッ
無名「大丈夫!ウチにも魔法具があるからね」
ケイパン(小刀…)
子スウェルドパンサー「クラァァウ」
ドンッ
ヒュッ
子スウェルドパンサー「??」
キョロキョロ
ケイパン「消え―」
ザクッッッ
子スウェルドパンサー「キャウ……」
バタッ
無名「ふぅっ」
ケイパン「無名凄いな!?あの魔獣より早かったぞ」
無名「この魔法具のおかげやよ」
ケイパン「その小刀か…どんな力なの?」
無名「短刀ラクミ。持つと移動が素早くなるんよ」
ケイパン「へえ…便利」
無名「持ってみる?」
ケイパン「いいのか!」
無名「ん!」
スッ
ケイパン「おぉ……」
無名「あ、でも気をつけ―」
グィン
ドゴッッッ
ケイパン「………………いたい」
無名「制御…最初のうちは難しいんよね…ごめん」
ケイパン「でも凄いな無名!」
無名「え?」
ケイパン「色んな魔法具のことよく知っててさ!」
無名「まぁ…趣味の範疇やからね」
テレ
無名「あと…お姉ちゃんの影響も大きいかな」
ケイパン「そういえばギルド出てくる時も言ってたな。無名ってお姉さん居たんだね」
無名「そうそう」
ケイパン「どんなお姉さんなんだ?」
無名「まぁ…ウチと似とる!」
ニカッ
ケイパン「へぇ…!!」
無名「あとそうやケイくん」
ケイパン「?」
無名「大きな攻撃は禁止やよ」
ケイパン「え」
無名「天井が崩れたら生き埋めやよ~…?」
ヒュ~ドロドロドロ
ケイパン「う…っ」
無名「まぁ!戦いはウチに任せておけば大丈夫やよ!」
ケイパン「面目ない…」
ギャオオォォオオオオ
ケイパン「ッ!!」
無名「これは…近いね」
ケイパン「今のが…」
無名「用心して行こケイくん」
ケイパン「…!!」
無名「恐らく…かなりの強敵やよ」
<アカリノ洞窟――最深部>
ドラゴナイト「グルルル」
ノシッノシッ
ケイパン「ド、ドラゴンが二足歩行して……斧持ってる…!!」
無名(あの大きさ…今まで見たことない……)
ドラゴナイト「!」
無名「気づかれた…!!」
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ」
ドシンドシン
ケイパン「来た…!!」
無名「大丈夫!ケイくんウチの後ろおって!」
ダダッ
ケイパン「!」
無名「――!!」
チャキッ
カキンッ
ドラゴナイト「ギャァ…?」
ギロッ
無名「かったい鱗…!!」
ドラゴナイト「グゥアアアオオオオ」
ボォォォォン
ケイパン「無名!!」
スタッ
無名「大丈夫!無事やよ!」
ケイパン「良かった…!!」
無名(炎まで範囲が広い…これは骨が折れそ―)
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ」
ドシンドシン
ケイパン「!」
無名「しまった…!!」
無名(大声出したせいで威嚇されたと思ったんか…!!)
ズバァァン
ババッ
ケイパン「あっっぶな…」
スタッ
ケイパン(壁まで斬れてる…斬れ味やばすぎ)
ケイパン「あ、そうだ」
無名「?」
ケイパン「俺の魔力なら…!!」
ニカッ
ケイパン「俺の前で炎を吐いたこと!!後悔しろ!!!」
スゥゥゥゥ
無名「まさか…!!」
ケイパン「ファイヤーーーーー!!!!」
シィン…
ドラゴナイト「ギャァ?」
ケイパン「あれ、なんで…」
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ」
ズバァァン
ケイパン「なんで真似できないんだよ!?」
ババッ
ズザザ
ケイパン「くそっ…さっきからスウェルドパンサーの動きは真似出来てるのに…魔獣は真似出来ないってわけでもないし」
無名(ケイくんのコピー範囲外…?)
ドラゴナイト「ギャオギャオ」
ボォッ
メラメラ
ケイパン「…!!」
無名「斧に炎を…」
ドラゴナイト「ギャァオ…」
ニヤァッ
ケイパン「かちほこってやがるアイツ…!!」
ドラゴナイト「ギャァ!!」
ズバァァン
ボォォォォ
ケイパン「…っぶねまじで」
無名「一気に接近戦しづらく…」
ケイパン「!」
スッ
ケイパン「貸して無名」
無名「?」
ケイパン「《滴り落ち潤う者》」
ゴポポ
無名「おぉ!」
ケイパン「これなら|真似できる」
無名「水の短刀!格好いいやん!」
ドラゴナイト「グルルル…!!」
無名「力は負け…ウチが勝ってるんは速度と相性」
チャキッ
無名(コイツを倒すんが…今回の仕事)
ドンッ
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ」
ブォンッ
スカッ
ドラゴナイト「!」
無名「回り込んで――」
スッ
無名「思いきり斬り刻む!!!」
ズバババババババッ
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ!!!」
ドゴッッッ
無名「う…ッ」
ズザザ
ケイパン「無名!」
無名「来たらあかん…!!」
ケイパン「でも―」
無名「大丈夫…手応えはあるんやから」
ニカッ
ケイパン「え」
ボロッ
ドラゴナイト「!?」
ケイパン「斧が…!!」
無名「ウチが斬ったんは自分の身体やのうて…その斧や!」
ドラゴナイト「グルルル…!!」
メキッ
メキメキッ
無名「…?」
ケイパン「なんだ…腕が」
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ!!!!」
ボゴォォォォン
ッドゴォォォォォォォン
無名「!?」
ケイパン「なんて威力……!!」
ドシンドシン
ドラゴナイト「グルルル…」
無名(なんやこの力…群れのボスでもこんな力無いやろ……!!)
ドラゴナイト「グルルル」
ドシンドシン
グァッ
ドゴッッッ
無名「かは…ッ」
ガクッ
ケイパン「無名!!」
無名「あかん…大声出し……たら」
ググッ
ドラゴナイト「ギャァ…」
クルッ
ドシンドシン
ケイパン「!」
ケイパン(来た…どの道俺がやらなきゃ…無名はもう充分戦った)
ググッ
ケイパン「今ここで考えろ…俺が真似できる範囲を――!!」
ドラゴナイト「グルルル」
ケイパン(炎を吐くのは真似出来なかった…でもアイツが炎を斧につけた応用は俺も真似できる。違いは…なんだ)
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ!!!」
ボォォォォ
ケイパン「…ッ」
ババッ
コロン
ケイパン「!」
ーーー
無名「短刀ラクミ。持つと移動が素早くなるんよ」
ーーー
ケイパン「考えるのは―後だ」
グッ
無名「ケイくん…!!」
ケイパン(制御はしない身を任せる…俺がやるべきは真似…模倣)
ドンッ
ケイパン「速い――!!」
ヒュッ
ドラゴナイト「!?」
ケイパン(コイツの大振り…縦も横も範囲と威力が桁違い…俺なら2通りを併用できる…!!)
クルンッ
ケイパン「後はこの速度を――乗せろッ!!!」
ビュンッ
ドラゴナイト「アギャ―」
ケイパン『隼斬り』ッ!!!
ズバ――ッ
ドラゴナイト「ガァァァァ……!!」
ドシィィィン
無名「倒……した」
ケイパン「っは…っは…!!」
無名(ケイくんの魔力のデメリットなんや…戦いの中で新しいコピーを手に入れた場合は応用幅が無限に広がってまうから。つまりは魔力を活用したケイくんの戦いは―常にアドリブの渦中!)
ケイパン「なんとか…動けた」
タッタッタッ
ケイパン「無名大丈夫…?」
無名「なはは…先輩なのに格好悪いとこ見せてもうたね…」
ケイパン「そんなことない!!俺の事助けてくれたんだ…」
ポンッ
無名「強かったやんね!ケイくん!!」
ケイパン「あぁ!!」
ヨロッ
ドラゴナイト「グルルル…」
ケイパン「嘘だろ…」
無名「タフすぎる…攻撃力もタフさも明らかにおかしい…!!」
ドラゴナイト「ギャオオォォオオオオ!!!!」
ボゴォォォォン
ボォォォォ
ケイパン「アイツまさか…!!」
無名「天井を火炎放射で崩す気なんか!?」
グッ
無名「そんなことさせん…!!」
ケイパン「無名!無茶だ!!」
――――
?①「…廃棄品か」
タタンッ
――――
ドラゴナイト「!?」
?①『顎』
メキメキメキメキッ
ッボゴォォォォォォォォォォォン
ケイパン「な――ッ!?」
無名「なんや…今人影が…!!」
?①「…」
ドラゴナイト「――」
ケイパン「粉々…!!」
無名「何者や…あの人」
?①「お前…あぁ男の方な」
ケイパン「!」
?①「上から見ていたが中々戦い方が面白いな。いいデータも受け取った」
ケイパン「データ…ってか上から見てたんなら早く助けてくれてもいいんじゃない!?」
?①「なぜ?」
ケイパン「なぜって…」
?①「お前達を助けて私に何のメリットがあるんだろうな?むしろ被害を被ったのは私側だ」
ケイパン「え…?」
?①「せっかく作った玩具が粉々になったんだからな」
無名「粉々にしたんは自分やろ…」
ケイパン「作った…!?」
無名「!」
ケイパン「ソイツを…お前が…?」
?①「実験も兼ねてここに置いてたんだけどな…無事失敗」
ザッザッザッ
?①「さて…暴走する所有物からお前達を救った私は味方か?」
ケイパン「目的次第だけど…悪戯にそんなもの作って無名を危険に晒したんなら……お前は敵だ…ッ!!」
ギリッ
無名「ケイくん…」
?①「…敵か」
クスッ
パキッ
?①「なら殺し合っても文句は無いな」
ケイパン「……!!」
ベティ「私はベティ。魂に刻んでおくといい」
32歳#女
:魔獣族を使い何らかの実験を行っている。
体格に反して力が物凄く片手で大木を浮かし
足蹴で地面に軽いヒビを起こせる。
ベティ「地獄を見せてやろう、ガキンチョ」
ケイパン「…!!」
ゾクッ
ツーツーツーツー
ベティ「!」
ピピッ
ベティ「…分かった」
ケイパン「…?」
ベティ「殺してやる時間も無くなったみたいだ、至極残念」
無名「!」
ベティ「はは…また会えれば殺し会おうか」
ドロォッ
グチャッ
無名「!?」
ケイパン「泥になって…消えた……これがアイツの魔力…!?」
無名「何にせよ帰ってくれて良かった…あのままじゃウチら確実に死んどった……」
ケイパン「…ッ!!」
無名「とりあえず戻ろうケイくん。仕事の報酬も受け取らなっ!」
ニコッ
ケイパン「…うん」
初めて身を通して感じた殺意
肌がざわつく異様な感覚
間違いなく死んでいた未来を回避したことに
俺はただ安堵するだけで精一杯だった
《個性を取り入れる者》模倣リスト
☆応用 ◎制御 〇微制御 ✕未制御
【魔力】
楽夢音《滴り落ち潤う者》
:水を生み出す―〇
【動き】
<漸鬼>
:戦闘の基本―◎
<スウェルドパンサー>
:短距離の突進―〇(New)
<ドラゴナイト>
:武器の振り方《十字》―〇(New)
【特殊】
<壱佳>
:相手を臆させる威圧―✕
<ドラゴナイト>
:武器への属性付着―〇(New)
#9『模倣の範囲』“~完~”
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