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#87 終戦編 限りあるもの

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『終戦編 限りのあるもの』
――建物カルデア
不仁『加速かそく
ドヒュンッ
ババッ
不仁「ッ!!」
ズザザ
不仁(クロノスさん!あの子やばい!)
クロノス(そうだね…今のに反応できるなんて)
スタッ
無名「曇り顔やね」
不仁「!」
無名「具合悪いん?」
不仁「ご心配どうも!!」
ダダッ
不仁(直前まで走り寄って―寸前で加速――!!)
無名「がっつきすぎやよ」
パチンッ
ググッ
不仁「!?」
ッドォォォォォォン
クロノス(不仁!!)
不仁「げほっ…」
パラパラ
無名「頑丈さんやね」
グッグッ
無名「もう分かるんちゃう?ウチの能力」
ジジッ
グンッ
不仁「!?」
ガシッ
無名「能力【磁気磁場じきじば】」

〇無名能力―【磁気磁場じきじば
=自信を中心とした範囲内の磁力を操作する

無名「ほら!ウチがその気になれば触れることも」
スッ
不仁「とったた…」
無名「離すことも出来る」
不仁「ずるっ!?」
無名「兄ちゃんはなんなん?」
不仁「俺は時間を操れる」
無名「チートやん!!!」
不仁「言われたくないよ!」
無名(まいったな…その気になったらウチ瞬殺やん)
ググッ
無名「本気で行くで!」
ドンッ
不仁「…ッ」
無名「ここはウチの部屋!ただの地面に見えても」
ベキベキッ
不仁「!?」
無名「下は鉄くずパンッパンや!」
無名『隆起りゅうき』!!!
不仁『停止ていし』!
ピタッ
無名「!」
ベキベキッ
ガシッ
無名「はぁっ!!」
ブォンッ
不仁「あぶな!?」
無名「んべーっ」
タッタッタッ
不仁「この…!!」
クロノス(彼女…戦い方が上手いね)
不仁(本当ですよ!近づけない!)
無名「考えごと当てたる」
不仁「!」
無名「どうやってウチに近づこうか考えとるやろ?」
不仁「い、いやぁ…別にィ…?」
フュ~
無名「嘘下手ッ!?」
スッ
無名「範囲内の操作って点では同じやけど…ウチが勝ってるんは」
パチンッ
無名「その広さや!!」
ゴゴゴゴ
無名「兄ちゃんはさっきの隆起で勘づいた!その範囲内に近づか無ければウチの時が操作されることもない!やけどな…」
ガシャッガシャッ
無名「ウチの操作はこの部屋全域!逃がしはせぇへん!!」
無名『瓦落多がらくた』ッ!!!
ッゴォォォォォ
不仁「まじか…ッ!!」
ドッゴォォォォォォォン
クロノス(不仁!無事か!?)
不仁(なんとか…でも)
ズォオオオオ
クロノス(囲われてしまったね…)
不仁(停止が間に合ってもその後逃げ出せない…減速はそもそも意味がないし加速は磁場操作でコントロールが効かなくなる)
クロノス(どう出ようか…)
不仁「とりあえずはラムネさん直伝で」
スッ
ズドドドドド
ッゴォォォォン
無名「!?」
シュゥゥゥ
不仁「…」
無名「へぇ…やっぱ一筋縄じゃ行かないやん」
不仁(近づければ勝ちに持っていける…!!)
不仁『加速かそく』ッ
ドンッ
無名「どんなに速度を上げてもウチには届かないで!」
パチンッ
ギュインッ
不仁「いっ―!?」
ドゴォォォォン
パラパラ
不仁「げほっげほっ…」
無名「諦めぇや兄ちゃん…相性で負けてる」
不仁「諦めたら……誰か助けてくれるかな」
無名「!」
不仁「全員が全員…戦う相手が決まってるんだ」
ググッ
不仁「俺は君を止めると誓った!!弱音は吐かない!!!」
クロノス(不仁…)
無名「なんや…格好いいやん…!!」
スッ
無名「せやけど相性不利なのは変わらん!ウチは油断もせぇへん」
ゴゴゴゴ
無名『瓦落多がらくた』!!!
ドゴゴゴゴゴゴッ
不仁「…ッ」
バババッ
スッ
不仁『減速げんそく
ゴゥウゥン
無名「!」
タタンッ
無名(ウチの瓦落多を鈍くさせてその上を―)
不仁「離れなくていいのか!?」
ガシッ
無名「しまっ―」
不仁『停止ていし』!!!
ビタァッ
不仁「はっ…はっ…」
ググッ
ベキベキッ
不仁「え…!?」
ゴゴゴゴ
不仁「なんで―止め」
ッゴォォォォォォォォォォォン
不仁「…かはっ」
クロノス(不仁!?)
ドサッ
シュゥゥゥ
無名「…惜しかったな兄ちゃん」
不仁「…ッ」
ググッ
ドサッ
無名「…」
ポンッ
無名「かんにんな…ウチは負けるわけには行かないんよ」
ガシッ
無名「!」
不仁「俺……だって…ッ」
ググッ
不仁「こんな所で…負けられない…!!」
無名「……わかった」
スッ
グイッ
不仁「!?」
無名「本気でぶつかってきていいで。兄ちゃん優しいから実力2割も出しとらんちゃう?」
不仁「……」
クロノス(不仁…君が望むなら僕は準備できてるよ)
不仁「本気だと…勝負にもならなくなるよ」
無名「なっはは!優しすぎやろ!」
グッグッ
無名「ウチを倒しにきたんやろ?迷いなんか必要ない。それに―」
無名「ウチだって全力でぶつかる!!簡単には負けんよ!!」
不仁「そうか…本当に俺の相手が君で良かった…ッ!!」
スッ
パァァァァァァァ
不仁「神力―解放」
無名「目に見えて気迫が変わった…これが本気か!!」
不仁「…楽しそうだね」
無名「例え一方的な負け試合でもな…兄ちゃんと戦える!」
不仁「っはは…なんだそれ」
パチンッ
無名「――!?」
ガクンッ
無名「な、なんや……力が入らん…!!」
不仁「60年後」
無名「!?」
不仁「この部屋はあの時から60年後の世界。自分の姿を見る?」
スッ
無名「……!!!」
不仁「骨も軋むし脳の処理速度も落ちる。人は老いには勝てない」
無名「っは…っは…!!」
不仁「時間を戻すよ」
パチンッ
無名「戻っ……た…?」
不仁「言ったでしょ。勝負にもならないって」
無名「っはは…どうして元に戻したん…?」
不仁「…」
無名「あのままやってたら兄ちゃん勝ちやったのに」
不仁「心にも思わない程の敵なら…或いはそうしてたかもね」
無名「え?」
不仁「どうしても俺の中で君は悪人に出来なかった。クロノスさんの力は確かに強力だけどどうしようもできない程一方的だ…だからあんまり使いたくなかった」
無名「なーんや…ウチだから躊躇ったってこと?好きなん?」
不仁「ち、違う!そういう意味じゃない!!ただ本気で戦いを楽しんでるようだったから―」
無名「なっはは!!分かっとるよ…ありがとね」
スッ
無名「本当はもっとやりたいことあったんやけどなぁ…兄ちゃんが
優しすぎて披露できひんかった!」
不仁「う…ごめん」
無名「ええって!すぐ謝んのも優しい証拠やなぁ」
ググッ
パキパキッ
不仁「!?」
無名「お…もう時間かぁ」
不仁「な、なん…腕壊れて」
無名「死のな…時間やねん」
不仁「死…!?」
無名「ウチと雨宮はな…能力を使い切るか敗北が確定した瞬間に体が腐って崩れ落ちる…最後には自爆でお終い」
不仁「なんだ…それ」
ザッザッザッ
無名「寄るな!!」
不仁「ッ!!」
無名「爆発に…巻き込んでしまうかもしらんよ」
不仁「なんでそんな…!!」
無名「四神様の策略なんちゃうかな…ウチも雨宮も強化材料や」
不仁「強化材料…!?」
無名「黒髪…ウチらが死んだら能力は全部
不仁「!?」
無名「覚えとき兄ちゃん…ウチも雨宮も死んで彼女に能力が渡ってアイツが喋り出したら…それは兄ちゃん達の敗北の合図や」
バキバキッ
無名「神格者の殺人鬼なんて…知らん方がええ」
不仁「…!!」
無名「ほんまに…ウチの相手が兄ちゃんでよかった」
ガシッ
不仁「!」
無名『アサイン』
ポワァッ
不仁「なん―」
カチッカチッカチッ
無名「もう時間や…ありがとな。楽しかった!!」
ニカッ
カチッ―
ッドゴォォォォォォォォォォォォン
パラパラ
ガラッ
不仁「げほっ…げほっ…!!」
スッ
不仁「自爆……くそっ…!!」
クロノス(磁力で自分と不仁の距離を極限まで引き剥がした…)
ギリッ
不仁「…神格者の殺人鬼」
クロノス(……)
不仁「まだ解放状態は残ってる…黒髪を止めに行こう!!!」



不仁VS無名
――勝者 不仁

終戦編 限りあるもの ~完~
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