PREDATOR

ANDEAD

文字の大きさ
上 下
53 / 135

#53 厄災決戦編 時渡り

しおりを挟む
『厄災決戦編 時渡り』
――頂上
四神「仕留めた?」
美嘉「あぁ」
四神「咲良はどうした?大きな怪我でもしたか?」
美嘉「カッハハ!冗談言うなよアイツが怪我なんかするか」
スタッ
美嘉「消したんだよ鬼組全員な」
ケイパン「消し…た…?」
キノコ「それって…どういうこと…!!」
美嘉「そのまんまの意味だよ」
四神「くっく…はっはっはっ!!!」
ポイズン「!」
四神「そうか使ったのか咲良!奴らはお前にそこまで思わせる程の実力があったのか!!はっはっはっは!!!」
黒龍「咲良は四神の邪魔になると言っていたぞ」
四神「ん?あぁその通りでもあるだろうな」
ザッザッザッ
四神「仲間がどうなったか聞きたいかお前達」
アンデッド「…!!」
四神「咲良の能力は掌でふれたものを消す。ただその範囲は物だけにあらず…条件を満たせば他にも適応される」
スッ
四神「それが人のだ」
紅玉「ほう?記憶も消すことが出来るのか?」
キノコ(紅玉…ッ!!)
ググッ
アンデッド「じゃあ…鬼組は存在ごと…!!」
藍菜「…消された」
アンデッド「ふざけんじゃねぇぞ…!!」
ゴゴゴゴゴゴ
四神「下がれお前達」
黒龍「!」
アンデッド『悪魔法あくまほう蹂躙じゅうりん』ッ!!!!!
四神『雷撃らいげき
ッドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ッドゴォォォォォォォォォン
パラパラ
ガシッ
アンデッド「くそっ…離せ!!」
四神「そう暴れるな」
ガンガンッ
ポイズン「アンディ!!」
ダダッ
ケイパン「行くぞキノ―」
キノコ「紅玉…」
四神「迷いは弱さになるぞ!!」
アンデッド「やめ…皆逃げろ!!!」
四神『火災かさい
ッドゴォォォォォォォォォン
ポイズン「っがぁ…!!」
ケイパン「かはっ…」
キノコ「うぅあぁ…!!」
ドサッ
アンデッド「皆!!!」
四神「美嘉」
美嘉「?」
四神「押さえておけ」
ブォンッ
ガンッ
アンデッド「がっ…足どけろお前…!!」
美嘉「嫌なこった」
四神「そこで見ていろ…仲間が死にゆく様を」
ゴゴゴゴゴゴ
アンデッド「やめろ!!!」
藍菜「…!!」
散式さんしき桜花雪月おうかせつげつ』ッ!!!
ッドォォォォォォォォォォォォォオォォ
バラララララララララッ
黒龍「!」
紅玉「この能力は…舞桜か!?」
美嘉「姿が見えねぇと思ったら…めんどくせぇことになったな」
舞桜「はっ…はっ…!!」
舞桜(良かった…間に合った…!!)
ポイズン「お…まえ…」
舞桜「ポイズンさん!他の皆さんも…無事ですか…!!」
四神「何をしている?舞桜」
舞桜「!」
四神「今…敵を庇ったか?」
舞桜「…!!」
ガクガク
舞桜「い、いえ…違います」
ザッザッザッ
舞桜「貴方から…敵から大切な方達を守ったのです!!!」
紅玉「!!」
藍菜「舞桜…」
四神「ほう」
舞桜「イフリートさん!シヴァさん!」
四神「!?」
ババッ
イフリート『火拳ひけん
ッドゴォォォォォォォォォン
シヴァ『衝撃インパクト
ッドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ケイパン「な、なんだ!?」
キノコ「あの人たち一体…」
ガシッ
舞桜「皆さん!一度こちらに!」
ドンッ
黒龍「一体何がどうなっているのだ…!!」
紅玉「舞桜!舞桜!!返事をせんか!!!」
美嘉「裏切りモンの事は後でいーだろ」
紅玉「!」
美嘉「おい新入り!相手は相当強ぇぞ無茶すんなよ!」
藍菜(舞桜…君は…)
美嘉「おい!!新入り!聞いてんのか!!」
藍菜「!あ、あぁ…聞いてるよごめん」
四神「貴様らの出る幕か…?」
イフリート「壊れそうな世界を放っておくとでも?」
シヴァ「むしろ来るのが遅いくらいです」
四神「あぁそうさ…貴様らは遅すぎる!!!」
イフリート「…」
四神「四風守護神が消えた段階でもう貴様らの出る幕は過ぎた!」
イフリート「いいえ。神や精霊の名を持つ私達だからこそ出来る役があるわ」
シヴァ「クロノスさんは教えてくれませんでしたが僕らはもう彼のしようとしてる事に気づいています…だからここに来た」
イフリート&シヴァ「この戦いに終着点を」
ーーーーーー
――森の奥
ポイズン「舞桜お前…」
舞桜「…」
キノコ「この人がポイズンが王都で戦った人?」
ケイパン「どうして俺達をこんな所に」
舞桜「それは…」
クロノス「僕から話すよ」
ケイパン「!?」
キノコ「だ、誰!?てかなに!?その姿…!!」
ポイズン「人…ではねぇのか」
クロノス「僕はクロノス。君達人が神と呼ぶ存在で時間を司っているんだ」
ケイパン「神…時間…だめだ頭が追いつかねぇ」
ポイズン「なんでもいい。舞桜には感謝してるが俺達はこんな所にいる時間はねぇ!すぐにアンディを助けに―」
クロノス「少し僕の話を聞いて欲しいんだ」
ポイズン「そんな時間ねぇんだって!」
クロノス「彼なら大丈夫だ僕の仲間達がいる。それに」
舞桜「私も戻ります」
ポイズン「舞桜…」
舞桜「大丈夫です!絶対に守ってみせます!」
キノコ「どうしてそこまで」
舞桜「私のお仲間達が間違ってるって…気づいたからです」
ケイパン「!」
舞桜「それと私にも別の生きる道があると教えてくれた方への微微な恩返しです」
ドンッ
ケイパン「ポイズンが王都で戦った人って本当にいい人なんだな」
ポイズン「…あぁ」
クロノス「それじゃあ話すよ」
キノコ「うん」
クロノス「正直に言うと今の状況はかなり厳しい…神格者達と当たった鬼組と名乗る子達は追い詰めはするも咲良によって全員が抹消された。四神に限っても君達4人でギリギリ追い詰められるか否かの場面に神格者達は集合した」
ケイパン「…!!」
キノコ「舞桜さんとはどこで?」
クロノス「ここに来る最中だ。もちろん僕達は彼女がまだ四神の手先だと思って始末するために接近した。でも彼女の方から僕達に対して攻撃は仕掛けて来なかったからね」
ポイズン「…」
クロノス「ただ彼女や僕達が戦力に加わったとしても分が悪いことに変わりはない…だから別のやり方でこの戦いを終わらせる」
ポイズン「別のやり方?」
クロノス「僕の能力であの場にいる全員を送る。君達も含めてだ」
ケイパン「!?」
キノコ「未来って…」
クロノス「このままこの時代で戦いを広げても待ってるのは僕達の全滅。そして四神の野望の完遂。この地獄を回避できるには薄い可能性に賭けるしかない!」
キノコ「薄い可能性ってなに?」
クロノス「未来でより大きな戦力を確保することだ…君達も分かると思うけどそれほど鬼組という存在の消失が大きい」
ケイパン「そりゃそうだ…皆めちゃくちゃ強ぇのによ…!!」
クロノス「四神のくだらない野望も咲良とやらの馬鹿げた能力も…時を超えて1度やり過ごす!頼む!僕の作戦に協力してくれ」
ポイズン「仮に未来へ行ったとして…だ」
クロノス「!」
ポイズン「その先ですぐアイツらが野望を叶えちまうことは」
クロノス「それは大丈夫。僕の時渡りは少なくても100年の時間を通り過ぎる。世界の環境が変わるにも充分過ぎる時間だ」
ポイズン「わかった」
キノコ「うん…もうそれしか手がないんだ!協力するよ!」
クロノス「…」
ケイパン「どうしたんだ?まだ何かあるのか?」
クロノス「僕の時渡りは1人に対して行えない。必ず複数人のまとまりが必要になるんだ」
キノコ「うん…それで?」
クロノス「アンデッドくんは…奴らと共に時渡りさせる」
全員「!?」
ガッ
ポイズン「ちょっと待てふざけんな!!なんで俺達とじゃねぇ!」
クロノス「四神は彼に対して何か別の目的があるはずだ」
ポイズン「そんなこと了承できるか…!!」
キノコ「そうだよ!それにそう思う理由は!?」
クロノス「殺すつもりの攻撃範囲からアンデッドくんを避けた」
ケイパン「!」
クロノス「奴には殺さずに生かしておく目的がある」
ポイズン「…鬼組が消されてんだぞ」
クロノス「…」
ポイズン「咲良ってのは記憶も消せんだぞ…!!」
ケイパン「アンディは俺達の大切な仲間なんだ」
クロノス「うん…分かっているよ」
キノコ「アンデッドさんを私達と時渡りさせない理由は?」
クロノス「彼の奪還に君達の全滅というリスクが乗るからだ」
ポイズン「俺達の…全滅?」
クロノス「今僕の仲間と舞桜ちゃんが奴らの相手をしてる。それでさえも奴らの包囲網からアンデッドくんを助け出すことは至難の技なのはわかって欲しい。四神という圧倒的な力と神格者の包囲から助け出すことの難儀さを」
ポイズン「…!!」
キノコ「で、でも!皆でやれば―」
ケイパン「違うよキノコ」
キノコ「ケイパン…」
ケイパン「さっきクロノスが言ってたろ…俺達は全員未来へ行く必要があるんだ」
ポイズン「僅かなリスクすら…乗っかれねぇのか俺達は」
クロノス「僅かじゃないんだ」
ポイズン「…!!」
クロノス「四神にとってもアンデッドくんは利用価値のある存在だと言うことが分かったんだ…こっちはそれを逆手に取る」
ポイズン「利用するだけされて…鬼組の皆みてぇに消されちまうんじゃねぇのかよ…」
クロノス「…その可能性も捨てきれない」
ポイズン「だったら無しだ!」
ケイパン「待てよポイズン!!」
ガシッ
キノコ「ケイパン…?」
ポイズン「お前…さっきからなんも言わねぇで」
ガッ
ポイズン「お前はアイツがどうなってもいいのかよ!!」
ケイパン「いいわけねぇだろ!!」
キノコ「やめてよ2人とも!」
ケイパン「仲間だよ!アンディは大切な仲間だそれは同じだ!でも同じくらい俺達が四神を倒さなきゃならないのも分かる!!助けたいよ!救い出したいよ!でも俺達がここで死ぬのが1番の愚策だってお前も分かるはずだろ!!!」
ポイズン「…ッ!!」
ケイパン「俺達だって…いやアンディより俺達の方が危ないんだ」
ググッ
クロノス「彼の言う通り…存在を消される可能性で言えば君達の方が遥かに高い」
キノコ「ねぇ…クロノスさん」
クロノス「?」
キノコ「未来にアンデッドさんが行ったとして…殺されない確証はあるの?」
クロノス「断言はできない」
キノコ「…!!」
クロノス「ただ最善は尽くすつもりだ。君達の仲間思いの気持ちも汲むし何よりも四神を倒すには彼の力が必要不可欠だから」
ポイズン「…じゃあその最善策を教えてくれ」
クロノス「!」
ポイズン「ありがとなキノコ。悪かったケイパン。確かに少しだけ冷静じゃなかった」
キノコ「ポイズン…」
ケイパン「…」
クロノス「時渡りで未来へ送るのは君達変革者と四神達神格者。後もう1人いる」
ケイパン「もう1人?」
クロノス「名前はジョーカー。天使の力を持つ子だ。この子が未来でアンデッドくんを救う鍵になる」
キノコ「天使…」
クロノス「僕達が出会った頃には記憶が混濁してた」
全員「!」
クロノス「恐らく咲良の仕業だろう」
ケイパン「てことは…もう接触してるってことか?」
クロノス「接触したの方が正しいかもね」
ポイズン「それは敵対して接触したんじゃねぇのか」
クロノス「仮にそうだとして自分を倒す可能性のある悪魔の力さえ利用しようとする策略家だ。敵対してきた天使の力をも自分のものにできると考えるなら手元に置く」
キノコ「それじゃあ…」
クロノス「アンデッドくんとジョーカー。悪魔と天使の2人を奴の手元に置かせる。ここが1番重要だ」
ポイズン「どうやって2人は四神の所から抜け出すんだ?」
クロノス「数100年の時間を超えた後の世界は当然のように色々な事が変わってる。四神も野望を果たすためにかなりの準備期間が必要になる。その間に僕達は戦力を手に入れる」
ケイパン「未来で俺達が救うのか!」
クロノス「うん」
キノコ「未来でこそ…失敗は出来ないんだね」
クロノス「これが僕達に出来る最善策だよ」
ポイズン「…」
ケイパン「俺はいいぜ」
クロノス「!」
ケイパン「このままここにいても何も始まらねぇ!!」
キノコ「うん…私も!絶対に未来で2人を助けるんだ!!」
ポイズン「…あぁ」
ザッザッザッ
ポイズン「先に行って待ってるぞ。アンディ」
クロノス「ありがとう皆…それじゃあ行くよ」
スッ
パァァァァァァァ
ケイパン「!」
キノコ「変な感覚…」
ポイズン「クロノスありがとな」
クロノス「…こちらこそ」
クロノス『時渡ときわたり』
パッ
シィン
クロノス「…未来で待っててくれ」

厄災決戦編 時渡り ~完~
しおりを挟む

処理中です...