PREDATOR

#38 天使と悪魔

――神界
ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ
ジョーカー「どこだ…ここ」
ﾎﾞﾌｩｩﾝ
ジョーカー「うわ！」
ｼｭｳｳｳｳ
ジョーカー「な、なんだこの…ぶよぶよしたやつ」
？「あれ？目が覚めてるじゃない」
ジョーカー「！？」
？「初めまして小さな天使さん！私はジェミニ！よろしくね」
――【双子の精霊】ジェミニ
ジョーカー「て、天使ぃ…？」
ジェミニ「まぁまぁ！ちょっとついてきて」
ｸﾞｲｸﾞｲ
ジョーカー「ちょ、ちょ！」
ジェミニ「おーい皆！天使ちゃんの目が覚めたよ！」
？「随分長く眠ってたわね。気分はどう？」
――【炎の精霊】イフリート
？「まだ優れないようでしたらそこに腰掛けてくれて構いませんよ」
――【破壊の神】シヴァ
ジョーカー「？？？」
ジェミニ「あははっ何がなんだか分からない顔してる！」
ｽﾄﾝｯ
ジョーカー「うわっ！」
ジェミニ「ここに座ってまっててね」
ジョーカー「え、あ…うん」
ジェミニ「彼は？」
シヴァ「まだ奥にいると思いますよ」
ジェミニ「もーー呼んでくる！」
イフリート「行ってらっしゃい」
ﾀｯﾀｯﾀｯ
ジョーカー「……」
シヴァ「……」
イフリート「…」
シヴァ「しりとりでもしますか…」
ジョーカー「えっ」
ジェミニ「ほらもー！皆いるから早く早く！」
？「いぃたた…あんまり引っ張らないでってば」
ジョーカー「また新しい人…人！？」
ジェミニ「わお…そのリアクション今出るんだ」
イフリート「肝っ玉が座ってるわね」
シヴァ「しりとり…」
イフリート「うるさいわよシヴァ」
？「既に聞かれた質問ならごめんね」
ｽﾀｯ
？「僕はクロノス。今の気分はどう？ジョーカー」
――【時の神】クロノス
ジョーカー「アタシの名前…!!」
クロノス「僕達は人が神や精霊と呼ぶもの。ここは僕達が作り出した普通は認識できない空間ね」
ジョーカー「はぁ…」
クロノス「まぁ理解は出来ないよね」
イフリート「難しく考える必要は無いわ。ここは不思議な場所で私達は不思議な人」
ジョーカー「…分かった！」
イフリート「素直でいい子」
シヴァ「流石イフリートさん…」
ジョーカー「でもじゃあ…なんでアタシこんなとこにいるんだ？」
クロノス「君が森の中で倒れてる所を僕が見つけたんだ」
ジェミニ「どうして森の中にいたの？」
ジョーカー「アタシもよくわかんない…というか思い出せない」
ジェミニ「でもでも！君は天使ちゃんでしょ？」
ジョーカー「それも分からねぇ…天使ってどういうこと…？」
クロノス「！！」
ジェミニ「えー隠さないでったら！」
ﾕﾗﾕﾗ
ジョーカー「ほ、ほんとに分かんねぇんだってばぁぁぁ」
シヴァ「ジェミニ！揺らさないでください！」
クロノス「…」
ｸﾞｰｰｰｰ
ジョーカー「あっ」
イフリート「お腹がすいてるのね」
ｽｯ
イフリート「こんな場所でも振る舞える食事は出せるわ」
ｶﾞｼｯ
ジョーカー「うわ！？あつ！！…くない？」
イフリート「不思議でしょう」
ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ
ジェミニ「面倒見の良さは相変わらずだなーイフさん！」
クロノス「ジェミニ…シヴァ」
ジェミニ「ん？」
シヴァ「はい」
クロノス「彼女を見つけた時から予感はあったけど…外れてない」
シヴァ「ですが…有り得るんですか？そういう能力の類も」
クロノス「多分能力もあるよ」
シヴァ「！」
クロノス「天使の力の能力を持っていて尚且つその記憶を忘れた状態でも僕らと同じようにこの場所で平静を保てるのは１つしかない」
ｽｯ
クロノス「身体の構造から違う。あの子は天使と人間のハーフだ」
ｰｰｰｰｰｰ
ｶﾞﾂｶﾞﾂ
ジョーカー「うまっうまっ」
イフリート「喜んでくれて何より」
ジョーカー「お姉さん料理上手いんだな！」
イフリート「ありがと」
ジョーカー「ん…？」
イフリート「どうかしたの？」
ジョーカー「いや…前にも誰かにこうやってご飯作ってもらった…気のせいか？」
イフリート「…」
イフリート(記憶の混濁…？)
ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ
クロノス「美味しそうに食べてるね」
ジョーカー「！」
イフリート「皆の分はないわよ」
ジェミニ「えぇ…」
シヴァ「大丈夫ですよ」
クロノス「ねぇジョーカー」
ジョーカー「？」
クロノス「些細な事でもいいんだ。何か少しでも自分について覚えてる事はないかな？」
ジョーカー「いや…だめだ何も思い出せねぇ…」
クロノス「…そっか」
ﾎﾟﾝｯ
ジョーカー「！」
クロノス「記憶が戻らない不安定な状態だと危険も多いからしばらくここに居ていいよ。僕達がいれば危険なことにはならないから」
ジョーカー「え！」
クロノス「早速悪いけどジェミニはここにいて」
ジェミニ「わかった！」
クロノス「イフリートとシヴァ。こっちに」
シヴァ「はい」
イフリート「…」
ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ
ジョーカー「…？」
ﾓｸﾞﾓｸﾞ
ジェミニ「ふふっ美味しい？」
ジョーカー「…ん！うめぇ！」
ｰｰｰｰｰｰ
イフリート「彼女をどうするの？」
クロノス「とりあえず外には出しちゃダメだ…いつ四神が動き出すか分からない」
シヴァ「さっき言ってた天使の能力については…」
クロノス「あそこまで激しい記憶喪失ならきっと何者かの能力による者だと思うんだ…まだこの状況にも慣れてないのに無理に思い出してもらうのは酷だよ」
イフリート「様子見ってところね」
クロノス「うん」
イフリート「もう１つの問題はどうするの？」
クロノス「異界…か」
ｸﾞｯ
クロノス「向こうは向こうで何とかするはず…って信じたいけど」
シヴァ「こちらには天使…向こうには悪魔」
イフリート「なんの因果かしらね」
クロノス「悪魔の少年は…四神を止めるためか別の目的か……」
ｰｰｰｰｰｰ
――異界
ﾊﾟﾝｯ
ルシファー「そこまで」
アンデッド「！」
サタン「！」
ルシファー「…２分」
サタン「もーー！！やる気あるのかこの子！！」
アンデッド「しょうがねぇだろ！やり方教えて貰ってねぇんだぞ！」
サタン「だーーってやってぶわってやるんだってば！！」
アンデッド「そんな擬音で分かったら苦労しねぇんだよ！！！」
ルシファー「ですが着実に上達していますよアンデッド様」
アンデッド「…お前ほんと優しいな」
サタン「でもどうすんのさ？闇を扱えないんじゃ戦えないよ」
ルシファー「２分も出来れば充分です」
サタン「え？」
ルシファー「特訓が終わったら私とも契約を結んで頂きますから」
アンデッド「！？」
サタン「ちょ、まってまって！そんなの無理でしょ！この子死ぬ！」
ルシファー「それを可能にしないと四神になど適いませんよ」
サタン「でも２人同時契約って…それもどっちも特級」
アンデッド「いいよ別に」
サタン「軽！」
アンデッド「どっちにしろそれをしないと俺は強くなれねぇんだ」
ﾊﾞｼｯ
アンデッド「迷ってる暇はねぇ！」
ルシファー「…流石です」
サタン「君はさーあ？」
アンデッド「ん？」
サタン「こう…外に残してきた子達のことは心配にならないの？」
アンデッド「アイツらか…」
ルシファー「…」
アンデッド「あぁ。心配してねぇよ」
ルシファー「！」
アンデッド「鬼組はまだ関わりは浅い方だけど全員強いしあの3人のタフさは俺が一番知ってるしな」
ﾆｶｯ
サタン「ほんとに良いリーダーさんだね」
アンデッド「げぇっ…お前デレるのか…」
サタン「なんだよーその反応」
ﾍﾞｼｯ
ルシファー「主様に逆らわない」
ｶﾞﾝｯ
サタン「いたあああああい！」
ルシファー「さて…ではアンデッド様」
アンデッド「ん？」
ルシファー「そろそろ次の訓練に」
アンデッド「あぁ！」
ルシファー「将来的に私とも契約を結んで頂き貴方は２０代目の魔王に相応しい方になってもらいます」
アンデッド「魔王…」
ルシファー「その為に身体と脳裏で憶えて頂きますよ」
ﾊﾟﾁﾝｯ
ｽﾞｫｫｫｵｵｵｵｵｵｵ
ルシファー「魔族たる根源のその在り処。悪魔報八式を」
アンデッド「上等…ッ！！」

悪魔と天使 ～完～