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ここで来ちゃうの龍の里編
ものすごいメスガキ感
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「くっ、わかった。ならば報酬を選ばせてやる」
「ほほう」
「提示するのは三つだ」
「一つ目は吾からアーカーシャのスキルだ」
「二つ目は俺様から、戦って嬢ちゃんに必要だと思ったスキルをやる」
「そして三つ目は俺から、この俺の保有するアーカーシャ以外の全ての魔導の知識だ。この中から一つ選ばせてやる」
ふむ。ダメ元で突いてみたらなかなかのものが出てきたな。
「アーカーシャはサンクリット語で虚空、空間、天空って意味だったか? って、ことは空間系に関する魔法体系って事か」
「ええ、そうです。加えていえばアーカーシャの知識は特異な立ち位置にあるので神々の中でもインド神話帯か、仏教帯の神しか扱えません」
「おお、レア中のレアやん!」
「二つ目のハクちゃんに必要なスキルも捨て難い所だよね。どんなものかは分からないけど、実際に戦った相手からなら、不得手の強化か得意を伸ばすか。どっちにしろ下手なものより役に立つだろうね」
うむ。確かにその通りだ。散々嫌がらせまがいの戦い方をしたから大いに情報はあるだろう。
「三つ目の魔導の知識は言うことはないほどの報酬ですね。千の魔法を持つと言われるアジ・ダハーカの知識は多岐に渡り、その価値は何をするにしても、替え難いものでしょう」
「特にハクちゃんは研究とか大好きだからね。そっちに流用出来る知識もあるだろうし、頭の中を具現化するにはちょうどいいだろうね」
うーん。戦闘はともかくとして、作ってみたいけど技術的に難しいのとか、魔術の知識が足らない、分からない部分結構あるんだよなぁ。もしかしそれが埋まるかも?
「で、ハクちゃんはどれ選ぶの?」
「ああ、それはもう考えてないから平気」
「そうなの?」
「うん」
まあ、考えるまでもないからねぇ。
「でもいいなぁハクアは」
「ん、何がなんミコト?」
「えっ、だって魔導の知識もそうだけど、アーカーシャって空間系の魔法なんでしょ? 空間系の魔法は使える人が少ないから羨ましいなって」
「そうなん?」
「ええ、ハクアさんも使う空間魔法のボックスも使える人間。もとい全ての種族で見てもは少ないですよ」
そうだったのか!? 結構普通に使ってても、あんまり人になんにも言われなかったから意識してなかった。
「んー? じゃー、ミコトは選べるならアーカーシャを選ぶ感じ?」
「あはは。そうだね。もし私が選べるならそれを選ぶかな。空間魔法は便利だし強力だから」
「なるほどなるほど。じゃあミコトはアーカーシャで決まりね」
「「「えっ?」」」
「えっ?」
何故かテア以外の皆が首を傾げながら私を見る。
えっと……そんな変な事言ってないよね?
「あの……ハクア? 私はアーカーシャで決まりってどういう事?」
「いや、どうも何もミコトはアーカーシャを教えて貰えば良いじゃんって事だが?」
話が噛み合わず二人して首を傾げる。
「おいおい嬢ちゃんちょっと待てよ」
「なんでいセカンド」
「なんでい。じゃねえよ。俺様達の報酬は嬢ちゃん以外にやるつもりはねぇぜ。そもそもその嬢ちゃんにはもう既に報酬は渡しただろ?」
「いや、足らんが?」
「……足らんとはどういう意味だ」
私の言葉にザッハークが殺気のこもった視線と共に問い掛ける。
「そのままの意味だ。あれじゃ報酬が足らん」
「巫山戯るな」
身体が竦みあがる程のプレッシャーを叩き付け怒りを顕にするザッハーク。
「ふざけてんのはそっちだろ。正当な評価に正当な報酬を───これが試練である限りそれが当たり前であるはずだ」
「そ、そうだよ。だからその分の報酬は貰ったし」
「いやいや、だからミコトはどっちの味方なん?」
「だってハクアがめちゃくちゃ言うからつい……」
味方が相手を庇うんですけど……。
「足んないよ。まず最初に貰った丹薬、あれは貴重な物ではあっても外でも手に入れられる参加賞に近いものだろう」
「まあ、そうなるな」
私の言葉にファストが同意する。
「そして次の報酬が成果に対する物のはずだ」
これにも全員が頷き話を続ける。
「ここで質問なんだが、この試練。相手として出て来るのはお前らだけじゃないだろ?」
「えっ、そうなの?」
「ああ、そうだぜ。何人か別の奴が居る」
「そうだよね。全員が全員、アジ・ダハーカみたいなすっげー強いヤツとやりあったらクリア出来る奴、少ないもんね」
「まあ、確かに俺様達が毎回出て来たらクリア出来る奴なんざ大していないからな」
「ああ、出た所で吾を倒す者も今までいない始末」
「うちの末っ子を引っ張りだせるとも思ってなかったしな」
「やっぱそうだよねー。お前ら難易度おかしいもん」
私の言葉を聞いたザッハークもアジ・ダハーカも満更でもなさそうに聞いている。
「……じゃあやっぱおかしいよね?」
しかし私のこの言葉を聞いた瞬間、空気がビシリと固まった。
「戦った事で丹薬。そしてセカンドを引っ張り出した事で龍神の力を活性化。じゃあ、ザッハークを引っ張り出した報酬がミコトあってもおかしくないよね?」
「い、いやいやいや、おかしいだろ!」
「そうかな? じゃあ今まで挑んだ奴に丹薬以外の報酬は渡したりしてないのかな?」
「いや、それは……」
そう。そんなはずがないよね。
ここまでの苦労が丹薬一個で済むのなら命をかける必要がない。資格の有無をかけてるのだとしてもこの難易度はおかしい。なら当然、他にも報酬はあったはずだ。
「神の力。それは十分な報酬のはずだ」
「いいや、今自分で言ったよな。ファストを倒せた奴は今まで居なかったって、ならセカンドを引っ張り出したその偉業はそれくらいで釣り合ってるよな」
「くっ……」
「それに私達はセカンドも降す事に成功してる。ほら、どう考えても報酬が釣り合ってないだろ? それともアジ・ダハーカという龍はその程度のヤツなのかな?」
「……不服だが、認めよう」
ザッハークの言葉にファストとセカンドが驚く。しかし何かを言う訳ではないようだ。
「小娘。ならばお前は何を選ぶつもりだ」
「えっ、全部かっぱらうが?」
「「「ぶふっ!?」」」
「おいおいおい。今の理屈ならどう考えても二個までだろうが!? なんで報酬三つ持ってくつもりなんだよ!?」
「えっ、ほらだって私、そっちの手違いで殺されてるし。慰謝料代わりに受け取ってやるよ」
「……横暴」
うん。なんでミコトが引いてるのかな?
「だが!」
「だが……なに? 謝ったよね? 悪かったって認めたよね? 認めただけで殺された側が納得するとでも? それとも偉大な偉大な魔龍様になると、それだけで許されちゃうのかぁ?」
「おおぅ。姿も相まってものすごいメスガキ感」
「脅してる相手が神レベルで、脅してる内容がバカにしてるレベルでもありませんけどね」
ちょっといま大事な所だから黙ってようか保護者共?
「んー? どうなのかなぁ? 口先だけの言葉だったらちょーガッカリなんだが?」
「このガキ……」
「おっと、偉大な魔龍様が口喧嘩に負けたから暴力に訴えちゃう? 今力も何もないただの小娘をちからで黙らせようとしちゃう?」
「やめておけ末っ子」
一触即発の空気に待ったを掛けたのは、やはり私が予想した通りセカンドだった。
ちっ、もう少しだったのに。
「何故だ!?」
「ここでやめれば傷が浅いからだ」
「どういう事だセカンド?」
「一言で言えば相手が悪い。俺様達に逆らう奴など今まで居なかったからな、口喧嘩等した事もない俺様達が敵う訳もない。それにこのまま好きにさせればもっと搾り取られるぞ」
チラリと視線を向けるセカンドにニコリと笑う。
まあ、確かにその通りだ。
私は何も無駄に挑発をしていた訳ではない。
私の見立てではファストは融通が利かず想定外の事態に弱く、ザッハークは挑発すれば乗ってくると思った。
だからこそ挑発してもっと報酬を釣り上げるつもりだったが、やはりセカンドに止められてしまった。
「同じ負けるなら意味のある負けにしろ。それが最善だ」
やっぱここまでか。
意外に思うかも知れないが、粗野な印象があるセカンドだが、この三人の中でも一番厄介なのがこいつ。
戦闘以外では一番厄介な相手だという見立ては、間違いではなかったようだ。
価値のある負け方、意味のある負け方が出来る強者など厄介以外の何物でもない。
ニコニコと笑いながら内心で舌打ちし、報酬の引き上げプランを破り捨てる私だった。
「ほほう」
「提示するのは三つだ」
「一つ目は吾からアーカーシャのスキルだ」
「二つ目は俺様から、戦って嬢ちゃんに必要だと思ったスキルをやる」
「そして三つ目は俺から、この俺の保有するアーカーシャ以外の全ての魔導の知識だ。この中から一つ選ばせてやる」
ふむ。ダメ元で突いてみたらなかなかのものが出てきたな。
「アーカーシャはサンクリット語で虚空、空間、天空って意味だったか? って、ことは空間系に関する魔法体系って事か」
「ええ、そうです。加えていえばアーカーシャの知識は特異な立ち位置にあるので神々の中でもインド神話帯か、仏教帯の神しか扱えません」
「おお、レア中のレアやん!」
「二つ目のハクちゃんに必要なスキルも捨て難い所だよね。どんなものかは分からないけど、実際に戦った相手からなら、不得手の強化か得意を伸ばすか。どっちにしろ下手なものより役に立つだろうね」
うむ。確かにその通りだ。散々嫌がらせまがいの戦い方をしたから大いに情報はあるだろう。
「三つ目の魔導の知識は言うことはないほどの報酬ですね。千の魔法を持つと言われるアジ・ダハーカの知識は多岐に渡り、その価値は何をするにしても、替え難いものでしょう」
「特にハクちゃんは研究とか大好きだからね。そっちに流用出来る知識もあるだろうし、頭の中を具現化するにはちょうどいいだろうね」
うーん。戦闘はともかくとして、作ってみたいけど技術的に難しいのとか、魔術の知識が足らない、分からない部分結構あるんだよなぁ。もしかしそれが埋まるかも?
「で、ハクちゃんはどれ選ぶの?」
「ああ、それはもう考えてないから平気」
「そうなの?」
「うん」
まあ、考えるまでもないからねぇ。
「でもいいなぁハクアは」
「ん、何がなんミコト?」
「えっ、だって魔導の知識もそうだけど、アーカーシャって空間系の魔法なんでしょ? 空間系の魔法は使える人が少ないから羨ましいなって」
「そうなん?」
「ええ、ハクアさんも使う空間魔法のボックスも使える人間。もとい全ての種族で見てもは少ないですよ」
そうだったのか!? 結構普通に使ってても、あんまり人になんにも言われなかったから意識してなかった。
「んー? じゃー、ミコトは選べるならアーカーシャを選ぶ感じ?」
「あはは。そうだね。もし私が選べるならそれを選ぶかな。空間魔法は便利だし強力だから」
「なるほどなるほど。じゃあミコトはアーカーシャで決まりね」
「「「えっ?」」」
「えっ?」
何故かテア以外の皆が首を傾げながら私を見る。
えっと……そんな変な事言ってないよね?
「あの……ハクア? 私はアーカーシャで決まりってどういう事?」
「いや、どうも何もミコトはアーカーシャを教えて貰えば良いじゃんって事だが?」
話が噛み合わず二人して首を傾げる。
「おいおい嬢ちゃんちょっと待てよ」
「なんでいセカンド」
「なんでい。じゃねえよ。俺様達の報酬は嬢ちゃん以外にやるつもりはねぇぜ。そもそもその嬢ちゃんにはもう既に報酬は渡しただろ?」
「いや、足らんが?」
「……足らんとはどういう意味だ」
私の言葉にザッハークが殺気のこもった視線と共に問い掛ける。
「そのままの意味だ。あれじゃ報酬が足らん」
「巫山戯るな」
身体が竦みあがる程のプレッシャーを叩き付け怒りを顕にするザッハーク。
「ふざけてんのはそっちだろ。正当な評価に正当な報酬を───これが試練である限りそれが当たり前であるはずだ」
「そ、そうだよ。だからその分の報酬は貰ったし」
「いやいや、だからミコトはどっちの味方なん?」
「だってハクアがめちゃくちゃ言うからつい……」
味方が相手を庇うんですけど……。
「足んないよ。まず最初に貰った丹薬、あれは貴重な物ではあっても外でも手に入れられる参加賞に近いものだろう」
「まあ、そうなるな」
私の言葉にファストが同意する。
「そして次の報酬が成果に対する物のはずだ」
これにも全員が頷き話を続ける。
「ここで質問なんだが、この試練。相手として出て来るのはお前らだけじゃないだろ?」
「えっ、そうなの?」
「ああ、そうだぜ。何人か別の奴が居る」
「そうだよね。全員が全員、アジ・ダハーカみたいなすっげー強いヤツとやりあったらクリア出来る奴、少ないもんね」
「まあ、確かに俺様達が毎回出て来たらクリア出来る奴なんざ大していないからな」
「ああ、出た所で吾を倒す者も今までいない始末」
「うちの末っ子を引っ張りだせるとも思ってなかったしな」
「やっぱそうだよねー。お前ら難易度おかしいもん」
私の言葉を聞いたザッハークもアジ・ダハーカも満更でもなさそうに聞いている。
「……じゃあやっぱおかしいよね?」
しかし私のこの言葉を聞いた瞬間、空気がビシリと固まった。
「戦った事で丹薬。そしてセカンドを引っ張り出した事で龍神の力を活性化。じゃあ、ザッハークを引っ張り出した報酬がミコトあってもおかしくないよね?」
「い、いやいやいや、おかしいだろ!」
「そうかな? じゃあ今まで挑んだ奴に丹薬以外の報酬は渡したりしてないのかな?」
「いや、それは……」
そう。そんなはずがないよね。
ここまでの苦労が丹薬一個で済むのなら命をかける必要がない。資格の有無をかけてるのだとしてもこの難易度はおかしい。なら当然、他にも報酬はあったはずだ。
「神の力。それは十分な報酬のはずだ」
「いいや、今自分で言ったよな。ファストを倒せた奴は今まで居なかったって、ならセカンドを引っ張り出したその偉業はそれくらいで釣り合ってるよな」
「くっ……」
「それに私達はセカンドも降す事に成功してる。ほら、どう考えても報酬が釣り合ってないだろ? それともアジ・ダハーカという龍はその程度のヤツなのかな?」
「……不服だが、認めよう」
ザッハークの言葉にファストとセカンドが驚く。しかし何かを言う訳ではないようだ。
「小娘。ならばお前は何を選ぶつもりだ」
「えっ、全部かっぱらうが?」
「「「ぶふっ!?」」」
「おいおいおい。今の理屈ならどう考えても二個までだろうが!? なんで報酬三つ持ってくつもりなんだよ!?」
「えっ、ほらだって私、そっちの手違いで殺されてるし。慰謝料代わりに受け取ってやるよ」
「……横暴」
うん。なんでミコトが引いてるのかな?
「だが!」
「だが……なに? 謝ったよね? 悪かったって認めたよね? 認めただけで殺された側が納得するとでも? それとも偉大な偉大な魔龍様になると、それだけで許されちゃうのかぁ?」
「おおぅ。姿も相まってものすごいメスガキ感」
「脅してる相手が神レベルで、脅してる内容がバカにしてるレベルでもありませんけどね」
ちょっといま大事な所だから黙ってようか保護者共?
「んー? どうなのかなぁ? 口先だけの言葉だったらちょーガッカリなんだが?」
「このガキ……」
「おっと、偉大な魔龍様が口喧嘩に負けたから暴力に訴えちゃう? 今力も何もないただの小娘をちからで黙らせようとしちゃう?」
「やめておけ末っ子」
一触即発の空気に待ったを掛けたのは、やはり私が予想した通りセカンドだった。
ちっ、もう少しだったのに。
「何故だ!?」
「ここでやめれば傷が浅いからだ」
「どういう事だセカンド?」
「一言で言えば相手が悪い。俺様達に逆らう奴など今まで居なかったからな、口喧嘩等した事もない俺様達が敵う訳もない。それにこのまま好きにさせればもっと搾り取られるぞ」
チラリと視線を向けるセカンドにニコリと笑う。
まあ、確かにその通りだ。
私は何も無駄に挑発をしていた訳ではない。
私の見立てではファストは融通が利かず想定外の事態に弱く、ザッハークは挑発すれば乗ってくると思った。
だからこそ挑発してもっと報酬を釣り上げるつもりだったが、やはりセカンドに止められてしまった。
「同じ負けるなら意味のある負けにしろ。それが最善だ」
やっぱここまでか。
意外に思うかも知れないが、粗野な印象があるセカンドだが、この三人の中でも一番厄介なのがこいつ。
戦闘以外では一番厄介な相手だという見立ては、間違いではなかったようだ。
価値のある負け方、意味のある負け方が出来る強者など厄介以外の何物でもない。
ニコニコと笑いながら内心で舌打ちし、報酬の引き上げプランを破り捨てる私だった。
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