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ここで来ちゃうの龍の里編
爆散とは?
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「で、何が目的だ?」
うん。開口一番いきなり胸ぐら掴んで凄むのはやめて欲しい。そして私がいつもいつも何かを企んでるとか思わないで欲しい。
「OKOK。ステイステイ。少し落ち着けブラコンドラゴン」
「あ゛?」
「あっ、すいません」
「ハクアも、そうやってすぐ謝るくらいなら言わなきゃいいんすよ」
「それはそれでなんか違う」
「……なんっすか、そのよくわからないこだわり」
現在私は色々とあった展開を乗り越え(ほぼ私の発言)、会場前で皆と合流していた。
「それにしても、ハクアには驚かされてばかりなの」
「そうじゃなぁ。驚きすぎて疲れた」
「照れるぜ」
「照れるな! 確かにレリウスを水龍王様の正式な弟子に推薦してくれたのには感謝するが、何を企んでいる」
照れりこしたら怒られた。しかも疑われるとか解せぬ。
「別に含みなんてないんだよ?」
「そんな訳あるか!?」
「それは酷くない!?」
「ハクア」
「ミコトはわかってくれるよね?」
「素直に白状した方がよいぞ」
ド畜生。
「全く失礼な。そりゃ少しは下心あるけど、基本的には善意の塊だと言うのに───って、あ」
「やっぱり何かあったのか」
「ぎゃーー。話す話すから」
ふー、危なかったぜ。もう少しで超近距離ブレスをくらうところだった。
「つっても基本的にはさっき言った通り善意だよ?」
そう前置きすると私は素直に自分の考えを話し始めた。
まずやはりアカルフェルへの牽制だ。
今アカルフェルを支持しているのは、次期龍王としてほぼ確定しているという事実があるから、それが揺るげばアカルフェルを支持している一角くらいは崩せる。
そして二つ目は里の現状だ。
「里の現状っすか?」
「うん」
アトゥイから聞いた通り、この里では格差が生じている。それが純然たる実力ならば、外様である私も何も言わない。
だが、それが生まれや出自などというつまらないもので、それにより強くなる機会を奪われるなら話は別というだけの話だ。
それをあの場で龍王と龍神の双方が認める事で、これからは少しづつ変わっていくだろう。
ここからは龍王の手腕になるだろうから私の管轄ではない。
ちなみに料理人云々の話は完全についでである。
「それだけか?」
「それだけですよ?」
「顔を逸らすな」
いやいや、そんな事はないんだよ?
「いやまあ、ちょっとは人数増えたらおばあちゃんも手一杯になって、私達の事見る余裕がすこーし減らないかなとは思ったけど」
「お前は……そんな事を考えるのはお前だけだ」
そんな目で見るのはやめて欲しい。
「ハクア天才なの」
「まさかそんな方法があったとは盲点っす」
そんなトリスとは対照的にシーナとムニの二人は私に尊敬の眼差しを送る。
「三人だったみたいじゃな」
「……こいつらは」
「とはいえ、そう上手く行くのか? あの野郎水龍王じゃぞ?」
「馬鹿野郎。少しでも可能性があればその可能性にかけるんだよ!」
「ここまで後ろ向きな考えを前向きに語るのも珍しい」
照れるぜ。
「やっぱりハクアは色々考えてるね。それにあの子達も嬉しそう」
正直に白状した事でようやく首吊り状態から解放された私、そんな私の隣に立ったミコトが、トリス達と共に喜ぶレリウスや、アトゥイ達指導が決まった面々を見ながら呟く。
「そうでもないけどね」
ミコトも混ざれば良いのにと考えながらも口にしない。
これまでで随分打ち解けたとはいえ、レリウスにとってまだミコトは天上人と言っていい。
めでたい席で、自分が居ることで素直に喜べないだろうというミコトの気遣いだからだ。
「それにしても……ハクア大丈夫?」
「うん。今はもうなんともないよ」
「そっか、それにしてもなんで父上はあんな事を」
あんな事、それはおばあちゃんがアトゥイを正式な弟子として認めた後に、龍神が私にしたことだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「つまらんな」
それはこの一言から始まった。
「ああ? つまらんとは?」
「ハクアーー!!」
そのあんまりな言葉にまたも思わず素で返すと、隣のアトゥイが一瞬前の感動もなんのその、めちゃくちゃ慌てて私の口を塞ぐ。
とはいえ私ももう既に敬語で話すとか面倒なのでやる気はない。というか龍神はむしろそれすら楽しんでいる節がある。
いや、絶対楽しんでる。
「で、何がつまらないと?」
「お前はもっと利己的な奴だと思っていたぞ」
「おいおい、それならそこは見直したじゃねぇの?」
全くもって失礼な奴だ。神だからといって何を言ってもいい訳ではないのだよ。
「ああ、だが───それではつまらんだろう?」
「───ッ!? 疾ッ!」
会話の途中、いきなり私の目の前へと現れた龍神へ、反射的に迎撃を加える。
「その程度では届かんな」
だが、その一撃はいとも簡単に防がれ、ぎゃくに頭を鷲掴みにされる。
そして───
「褒美だ。受け取れ」
「うっ、がァァァァあ!!」
龍神に掴まれた頭から何か得体のしれない力が注ぎ込まれる。
その力は頭から徐々に体に浸透していき、内側から骨を砕き、肉を千切り、皮を引き裂いて暴れ出ようとする。
今はもう掴まれていない体は、高熱にうかされるように熱を持ち、身体中がその力に反応するように痛みを生み出し、私は蹲り必死にその力に抗い声を上げることしか出来ない。
頭を過ぎるのは何故? の一言。
しかしいくら考えてもその答えは出ない。
知っているのは目の前で私を静かに見下ろすこの男だけなのだ。
それはまるで実験動物に向けるような視線。
「ああああぁぁあぁ!!」
その視線が気に食わなくて、痛みを訴える体を無視して立ち上がり、龍神を殴る。
その瞬間。
▶個体ハクアが龍神の力に適応しました。
その言葉だけはなんとか頭に入ったが、それ以降の言葉を理解出来るほど頭が働かない。
「よく耐えた」
小さく笑いながらそう言った龍神をもう一発殴りたい。そう思いながら私は気を失った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
後でちゃんと何が変わったか調べないとなぁ。と思いつつ感想を述べるとすれば。
「出来れば本気で一発入れたかった」
「そんなの言うのハクアくらいだよ」
「いや、まじで辛かったんですよ」
いやほんとにマジで。
「本当に龍神様にも困ったものね」
「ええ全くです」
「そうだねー」
「「おわっ!?」」
ミコトと二人で話していたはずなのに、知らぬ間に同じ列に並んで話に加わる、おばあちゃんとテアとソウ。
相変わらずの神出鬼没具合に思わず驚きの声をミコトと上げる。
「ああ、おばあちゃんも知らなかったんだ」
「ハクアも普通に話し始めるとか復帰早いね」
いやもう慣れたし。
「ええ、流石に知っていれば止めたわ」
「そうですね。下手すれば爆散していましたからね」
うん。ちょっと待とうか?
「爆散とは?」
「そりゃー、内側からこう……ボンッと」
「そんなにあぶない事させられてたんかい!?」
あの野郎。神だかなんだか知らないが今度絶対に殴ってやる。
「でも流石白亜さんです。まさか龍神の力にも対応するとは思いませんでした」
「ええ本当に。鍛え甲斐があるわ」
わぁー。いい笑顔。
死の予感しかしなかった私であった。
うん。開口一番いきなり胸ぐら掴んで凄むのはやめて欲しい。そして私がいつもいつも何かを企んでるとか思わないで欲しい。
「OKOK。ステイステイ。少し落ち着けブラコンドラゴン」
「あ゛?」
「あっ、すいません」
「ハクアも、そうやってすぐ謝るくらいなら言わなきゃいいんすよ」
「それはそれでなんか違う」
「……なんっすか、そのよくわからないこだわり」
現在私は色々とあった展開を乗り越え(ほぼ私の発言)、会場前で皆と合流していた。
「それにしても、ハクアには驚かされてばかりなの」
「そうじゃなぁ。驚きすぎて疲れた」
「照れるぜ」
「照れるな! 確かにレリウスを水龍王様の正式な弟子に推薦してくれたのには感謝するが、何を企んでいる」
照れりこしたら怒られた。しかも疑われるとか解せぬ。
「別に含みなんてないんだよ?」
「そんな訳あるか!?」
「それは酷くない!?」
「ハクア」
「ミコトはわかってくれるよね?」
「素直に白状した方がよいぞ」
ド畜生。
「全く失礼な。そりゃ少しは下心あるけど、基本的には善意の塊だと言うのに───って、あ」
「やっぱり何かあったのか」
「ぎゃーー。話す話すから」
ふー、危なかったぜ。もう少しで超近距離ブレスをくらうところだった。
「つっても基本的にはさっき言った通り善意だよ?」
そう前置きすると私は素直に自分の考えを話し始めた。
まずやはりアカルフェルへの牽制だ。
今アカルフェルを支持しているのは、次期龍王としてほぼ確定しているという事実があるから、それが揺るげばアカルフェルを支持している一角くらいは崩せる。
そして二つ目は里の現状だ。
「里の現状っすか?」
「うん」
アトゥイから聞いた通り、この里では格差が生じている。それが純然たる実力ならば、外様である私も何も言わない。
だが、それが生まれや出自などというつまらないもので、それにより強くなる機会を奪われるなら話は別というだけの話だ。
それをあの場で龍王と龍神の双方が認める事で、これからは少しづつ変わっていくだろう。
ここからは龍王の手腕になるだろうから私の管轄ではない。
ちなみに料理人云々の話は完全についでである。
「それだけか?」
「それだけですよ?」
「顔を逸らすな」
いやいや、そんな事はないんだよ?
「いやまあ、ちょっとは人数増えたらおばあちゃんも手一杯になって、私達の事見る余裕がすこーし減らないかなとは思ったけど」
「お前は……そんな事を考えるのはお前だけだ」
そんな目で見るのはやめて欲しい。
「ハクア天才なの」
「まさかそんな方法があったとは盲点っす」
そんなトリスとは対照的にシーナとムニの二人は私に尊敬の眼差しを送る。
「三人だったみたいじゃな」
「……こいつらは」
「とはいえ、そう上手く行くのか? あの野郎水龍王じゃぞ?」
「馬鹿野郎。少しでも可能性があればその可能性にかけるんだよ!」
「ここまで後ろ向きな考えを前向きに語るのも珍しい」
照れるぜ。
「やっぱりハクアは色々考えてるね。それにあの子達も嬉しそう」
正直に白状した事でようやく首吊り状態から解放された私、そんな私の隣に立ったミコトが、トリス達と共に喜ぶレリウスや、アトゥイ達指導が決まった面々を見ながら呟く。
「そうでもないけどね」
ミコトも混ざれば良いのにと考えながらも口にしない。
これまでで随分打ち解けたとはいえ、レリウスにとってまだミコトは天上人と言っていい。
めでたい席で、自分が居ることで素直に喜べないだろうというミコトの気遣いだからだ。
「それにしても……ハクア大丈夫?」
「うん。今はもうなんともないよ」
「そっか、それにしてもなんで父上はあんな事を」
あんな事、それはおばあちゃんがアトゥイを正式な弟子として認めた後に、龍神が私にしたことだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「つまらんな」
それはこの一言から始まった。
「ああ? つまらんとは?」
「ハクアーー!!」
そのあんまりな言葉にまたも思わず素で返すと、隣のアトゥイが一瞬前の感動もなんのその、めちゃくちゃ慌てて私の口を塞ぐ。
とはいえ私ももう既に敬語で話すとか面倒なのでやる気はない。というか龍神はむしろそれすら楽しんでいる節がある。
いや、絶対楽しんでる。
「で、何がつまらないと?」
「お前はもっと利己的な奴だと思っていたぞ」
「おいおい、それならそこは見直したじゃねぇの?」
全くもって失礼な奴だ。神だからといって何を言ってもいい訳ではないのだよ。
「ああ、だが───それではつまらんだろう?」
「───ッ!? 疾ッ!」
会話の途中、いきなり私の目の前へと現れた龍神へ、反射的に迎撃を加える。
「その程度では届かんな」
だが、その一撃はいとも簡単に防がれ、ぎゃくに頭を鷲掴みにされる。
そして───
「褒美だ。受け取れ」
「うっ、がァァァァあ!!」
龍神に掴まれた頭から何か得体のしれない力が注ぎ込まれる。
その力は頭から徐々に体に浸透していき、内側から骨を砕き、肉を千切り、皮を引き裂いて暴れ出ようとする。
今はもう掴まれていない体は、高熱にうかされるように熱を持ち、身体中がその力に反応するように痛みを生み出し、私は蹲り必死にその力に抗い声を上げることしか出来ない。
頭を過ぎるのは何故? の一言。
しかしいくら考えてもその答えは出ない。
知っているのは目の前で私を静かに見下ろすこの男だけなのだ。
それはまるで実験動物に向けるような視線。
「ああああぁぁあぁ!!」
その視線が気に食わなくて、痛みを訴える体を無視して立ち上がり、龍神を殴る。
その瞬間。
▶個体ハクアが龍神の力に適応しました。
その言葉だけはなんとか頭に入ったが、それ以降の言葉を理解出来るほど頭が働かない。
「よく耐えた」
小さく笑いながらそう言った龍神をもう一発殴りたい。そう思いながら私は気を失った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
後でちゃんと何が変わったか調べないとなぁ。と思いつつ感想を述べるとすれば。
「出来れば本気で一発入れたかった」
「そんなの言うのハクアくらいだよ」
「いや、まじで辛かったんですよ」
いやほんとにマジで。
「本当に龍神様にも困ったものね」
「ええ全くです」
「そうだねー」
「「おわっ!?」」
ミコトと二人で話していたはずなのに、知らぬ間に同じ列に並んで話に加わる、おばあちゃんとテアとソウ。
相変わらずの神出鬼没具合に思わず驚きの声をミコトと上げる。
「ああ、おばあちゃんも知らなかったんだ」
「ハクアも普通に話し始めるとか復帰早いね」
いやもう慣れたし。
「ええ、流石に知っていれば止めたわ」
「そうですね。下手すれば爆散していましたからね」
うん。ちょっと待とうか?
「爆散とは?」
「そりゃー、内側からこう……ボンッと」
「そんなにあぶない事させられてたんかい!?」
あの野郎。神だかなんだか知らないが今度絶対に殴ってやる。
「でも流石白亜さんです。まさか龍神の力にも対応するとは思いませんでした」
「ええ本当に。鍛え甲斐があるわ」
わぁー。いい笑顔。
死の予感しかしなかった私であった。
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