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ガダル編
大人気無かったよ私。反省
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唯一の懸念材料だった腐敗が状態異常に分類されて効かないことを知った私の行動は早かった。
全てが腐毒で構成されているコイツの攻撃で唯一危ないのはこの巨体を攻撃に使う【突進】だけ。【腐毒爪】も危なく無い訳では無いが、腐毒の効果が無ければ私の防御力でも防げるレベルなので、当たり所が悪い一撃死さえ防げば何とかなるのだ。
だから私は腐毒が効かないとわかった段階で腐毒竜の背中に飛び乗った。そうすれば爪は届かず【突進】も、背中に居るわたしを振り解く程暴れたり、壁に叩き付ける様な行動さえ気を付ければ良いのだ。
今までも攻撃は何とか避けれたしこの二つだけになれば楽勝。
私には大してプライドなんて物は無い!だが、この世界に来て私は一つの事にだけは密かに自信があった。
それは勿論食べる事だ。
そんな私をコイツは捕食対象として見ていた。私を喰らいその腹を満足感を満たそうとした。
それは許せる事では無い。
弱い者は喰われる。それは当たり前の摂理だ。
しかし、今やその立場は逆転した。
だからこそコイツには教えなければいけない。
どちらが喰われる者か。
そして、どちらが喰らう者なのかを。
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
「ふいー。喰いごたえあるな。って、お?」
▶ハクアのレベルが10に上がりました。1から10
HPが8050に上がりました。
MPが2400に上がりました。
気力が2390に上がりました。
物攻が1820に上がりました。
物防が1150に上がりました。
魔攻が1610に上がりました。
魔防が1470に上がりました。
敏捷が3100に上がりました。
知恵が1850に上がりました。
器用が2310に上がりました。
スキルポイントを100獲得しました。
【魔力装甲LV.5→LV.6】になりました。
【思考加速LV.7→LV.8】になりました。
【操糸LV.3→LV.4】になりました。
▶称号【竜殺し】を会得しました。
【竜殺し】の称号によりスキル【竜力LV.1新】を獲得しました。
【竜闘気LV.1新】を獲得しました。
▶称号【竜喰らい】を会得しました。
【竜喰らい】の称号により【ドラゴンキラーLV.1】を獲得しました。
▶称号【毒竜喰らい】を会得しました。
【毒竜喰らい】の称号によりスキル【竜毒】を獲得しました。
【黒炎LV.1】を獲得しました。
【鬼力LV.1】と【竜力LV.1】が統合され【竜鬼LV.1新】に変化しました。
【雷装鬼LV.9】と【竜闘気LV.1】が統合され【竜装鬼LV.3】に変化しました。
【猛毒調合】が【竜毒】に統合されました。
【鬼火LV.1】が【黒炎LV.1】に統合されました。
腐毒竜を喰っている最中、いきなり聞こえたアナウンスに食べるのを中断して新しく得た物を確認する。
【竜鬼】
効果:基本ステータスをレベル×5%上げる事が出来る。
【竜装鬼】
効果:使用時ステータスを3.5倍にする。また、竜と鬼の闘気を纏い与えるダメージを1.5倍に、受けるダメージを3割減らす。統合された【雷装鬼】の効果により秒間2のダメージを与える。レベルアップで魔力&気力効率、精密操作が向上する。
【竜毒】
効果:猛毒をも超える毒竜が生成する毒。
【黒炎】
効果:邪竜の使う呪いの炎。聖属性の浄化、もしくは術者以上の魔力で消し飛ばす事でしか消す事が出来ない。神族、天使等の聖属性の者へのダメージアップ。
おお!何か凄い!基本ステータスの更なる強化に、【雷装鬼】も新しくなってアップ量は変わらなくても与えるダメージは上がって、受けるダメージは減ってる。毒もどれだけのダメージか調べたいね!そして【黒炎】心をくすぐる物があるよね!しかし、【白雷】で魔族やモンスターを【黒炎】で神族や天使系ってやばいなどっちからも狙われそう。って、そんな訳無いかぁー。あっはっはっ。・・・うん。考えない考えない。
因みに【喰吸.魂】ではなにもGET出来なかったが、オークキング、腐毒竜と続き【過食】は、レベルが4まで上がった。
どんだけ食ってんだ私。それにしてもやっぱりドラゴンって凄いんだな。倒したボーナスが凄いし。こいつ以外のドラゴンだったら多分確実に私の方が殺されてただろうな。運が良かった・・・いや、腐毒竜としてはこんなの相手にして運が悪かったんだろうな。
そんな事を考えながら私に喰われて倒された腐毒竜を見るが、当たり前事だがピクリとも動かなくなっていた。そんな腐毒竜に【解体】を使い腐毒竜の肉やら牙やら骨やらを手に入れる。
まあ、意趣返しの意味合いが強かったが終わってみれば少し可哀想な事をした。いくらイラッとしたからって大人気無かったよ私。反省。
結果から言えば私の楽勝だった。背中に飛び乗った私を振り払おうとするが、もともとフィジカルは死んで腐毒に侵されている身体の段階でほとんど無いと言っていい。
だから最初に考えていた通り、背中に乗った時点でほぼ為す術無く私に喰われる事になった。
まず最初は翼だ。バサバサと面倒だったのもあるが、この世界の翼はこんな身体が腐った状態でも普通に飛べてしまう。元々がこんな巨体をこの程度の翼で飛ぶのはどう考えても無理なのだ。航空力学や物理法則を超えた物で飛んでいても何ら不思議では無い、そんな訳で飛ばれては面倒と一番最初に翼の機能を奪うことにしたのだった。
食べてみると翼の根元はコリコリで鳥の軟骨を彷彿とさせた。しかしそんな中にも熟成された旨味があり、腐毒に関しても【喰吸、魂】のおかげでほのかな苦味と酸味、そして何よりも肉の旨味を引き立てる様な濃厚なデミグラスソースの様な味になり、また食欲を誘う。
私に根元から喰われた翼は早々に機能を失って地面へと落ちる。その光景に怒りを覚えたかの様に激しく暴れ始めた腐毒竜の背から降りると、暴れ終わるのを待って次は身体を支える後ろ足に狙いを定める。
背中に居た時に試してみたが【雷装鬼】を使えば私の攻撃力でも容易に貫けた。その為、私は腐毒竜の暴れた際に巻き起こった土煙に紛れ、後ろ足の付け根に手刀を差し込み関節を外す。
関節なんて物は筋さえ切れば割と簡単に外せるので、さながら気分は解体ショーだ。
悲鳴の様な大きな咆哮を上げながら倒れた腐毒竜の身体を、腐蝕と毒耐性を付与した糸で拘束する。背に飛び乗っても私の服が溶けなかった事で、私の出した糸にも私の様に耐性がある事は確認済みだ。
まあ、多少は溶け始めてるけどね。
勿論こんな物で完全に拘束出来る訳も無いが、数十秒も拘束出来れば時間など釣りが来るほど十分だ。
仰向けに転がった腐毒竜のもう片方の後ろ足の関節を素早く外した私は、次に前足の関節を外す作業に移る。勿論必死に暴れ、爪やブレスなどで攻撃しようとするがやはり私にはなんの効果もない。
前足の関節までも外された腐毒竜は既に立ち上がる事さえ出来ない。出来る事と言えば身体を転がす事と首を動かす事、更には今尚元気に暴れている尻尾を動かす事くらいだった。しかしそれでも念には念を入れて私は首の関節も外すと、腐毒竜はピクリとも身体を動かせなくなった。
流石にドラゴンと言えど小さめの体躯と、身体が腐った状態という特殊な条件で無ければ私ではここまで簡単に倒す事は出来なかっただろうな。本当に運が良かったよ。まあ、腐毒竜にとっては最悪の相手だったんだろうけど。
ここまで来れば後はもうただの食事なので、ヌルまで呼んで二人で美味しく戴く事にした。総じて言えば熟成肉の様な柔らかな肉とデミグラスソース風の腐毒がとても美味く深い味わいがあった。これは是非ともちゃんとしたドラゴンの肉も喰ってみたいと思わせる程の味だった。
さて、そんな食事の結果としてヌルはロットスライムと、ドラゴンスライムという進化を手に入れ。ポインズスライムの分裂もかなり増えた。ロットスライムの数も多いし腐毒はかなり強力な物だったのだろう。
因みにロットスライムには【腐蝕効果】が付いていた。これは攻撃の全てに状態異常の腐蝕が付く強力なスキルだ。そしてドラゴンスライムには【プチブレス】と【飛行】そして【ドラゴンオーラ】が付いていた。何匹か見ていたが【プチブレス】はそれぞれに得意な属性の物が吐けるようだ。【ドラゴンオーラ】は竜の気を纏い戦闘が出来る物らしい。
ちょっとかっこいいから羨ましいぞ。
ロットスライムの見た目はスライムを紫色にしたポイズンスライムが溶けた感じで、ドラゴンスライムはスライムにドラゴンの様な小さい翼と尻尾が生えていた。
やべー、某ドラゴンのクエストとかに出て来そう。き、規制されないよね?
ここでのやるべき事を全て終えた私は、次にここに来て腐毒竜を見て思い付いた事を試してみる事にした。
「うし!やるか!」
気合を入れた私は【竜毒】を大量に生成すると、その毒を水魔法を使って操り、先程まで戦っていた腐毒竜の姿を模して形を整える。
「よし。このままで・・・ヌル!」
指示を聞いたヌルが私の作った毒竜に飛び込む。そして徐々に自分の身体を毒竜に混ぜていった。
実を言うとオークキングを倒した後、実験の為ポイズンスライムに毒を餌として与えた時、餌の上に移動して吸い上げる様に吸い込んでいたのを見て、捕食が同化させて身体に取り込む物だとわかった。ただその時はそれくらいしか思わなかったが、次の階層で腐毒竜を見た時に思ってしまったのだ!あれ?私が同じ様に毒で作れば同化して動かせんじゃね?と!
そんな訳で私はヌルに頼み込んでこんな実験をしているのだ!幸いな事にポイズンスライムは毒が無効なのでヌルも安全だしね。まあ、実践では使えないだろうけどね。こんなに維持に魔力使ってコントロールも面倒、オマケに作るのに5分近く掛かったから使えませんわー。出来たとしても事前準備して一発ぶちかますくらいだね。まあ、それでもやってみたかったんだけどね。
ヌルが私の作った毒竜と同化するのを待ちながら思考に耽っていると、不意に魔力の負荷がスっと軽くなるのを感じた。
”出来た”
ヌルのそんな声が頭に響いたのでゆっくりと毒竜を形作る魔力を抑えていく。途中何度か崩れそうになったが最終的にはヌル一人で毒竜を動かせる様になり、今は生やした翼で空を飛んでみせている。
実験は成功だ!なんの意味も無いけどやったぜ!よし!あれは|毒竜(ヒドラ)モードと名付けよう。
実践では使い道の全く無いその光景を見ながら、一人満足してウンウン頷き、技の命名までしているとまたもや頭の中にアナウンスが語りかけて来る。
▶個体名ヌルが特殊条件を満たしました。
ポイズンスライム、ドラゴンスライムが|毒竜(ヒドラ)スライムに融合進化を果たしました。
なんと!?ジョグレス進化だと!?そんなのもあるのかこの世界。
見るとドラゴンスライムが居なくなり、ポイズンスライムもその数をかなり減らしていた。そして今まで居なかった|毒竜(ヒドラ)スライムと言う個体が十匹ほど増えていた。
毒竜スライム:キメラ型魔法生物
説明:竜の因子を持ち毒竜の毒を放つ。固有スキル【ヒドラ】は竜毒を身に纏い物魔ダメージを軽減させ、触れるだけでも弱い魔物を溶かす程強力。
あっ、これさっきの腐毒竜と同じだ。少し違うのは腐敗効果が無いくらいか。1:4位の割合で融合するみたいだけど、それ位でこんなに強力な個体になるなら釣りが来るよね。それにしてもただの思い付きのネタ行為がこんな事になるとは・・・。
試しにヌルにスキル【ヒドラ】を使って貰った所、先程私が作った物と同じ様な物がヌルを中心に一瞬で出来上がった。そしてこの【ヒドラ】は【ドラゴンオーラ】を毒膜でより強化した物らしい。勿論その状態で空を飛ぶ事もブレスを吐く事も出来ていた。まあ、まだレベルが低いから継続時間も短いし、クールタイムもちゃんとあるからそこまでバランスブレイカーなスキルでは無いけどね。
これ、普通にドラゴン仲間にした様なもんだよね?まあ、仲間が強いのは良いけどさー。何で私の仲間は皆すぐに優秀になるのやら。
一瞬でどんどん強くなっていくヌルを見ながら首を傾げ、そう思わずには居られない私だった。
全てが腐毒で構成されているコイツの攻撃で唯一危ないのはこの巨体を攻撃に使う【突進】だけ。【腐毒爪】も危なく無い訳では無いが、腐毒の効果が無ければ私の防御力でも防げるレベルなので、当たり所が悪い一撃死さえ防げば何とかなるのだ。
だから私は腐毒が効かないとわかった段階で腐毒竜の背中に飛び乗った。そうすれば爪は届かず【突進】も、背中に居るわたしを振り解く程暴れたり、壁に叩き付ける様な行動さえ気を付ければ良いのだ。
今までも攻撃は何とか避けれたしこの二つだけになれば楽勝。
私には大してプライドなんて物は無い!だが、この世界に来て私は一つの事にだけは密かに自信があった。
それは勿論食べる事だ。
そんな私をコイツは捕食対象として見ていた。私を喰らいその腹を満足感を満たそうとした。
それは許せる事では無い。
弱い者は喰われる。それは当たり前の摂理だ。
しかし、今やその立場は逆転した。
だからこそコイツには教えなければいけない。
どちらが喰われる者か。
そして、どちらが喰らう者なのかを。
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「ふいー。喰いごたえあるな。って、お?」
▶ハクアのレベルが10に上がりました。1から10
HPが8050に上がりました。
MPが2400に上がりました。
気力が2390に上がりました。
物攻が1820に上がりました。
物防が1150に上がりました。
魔攻が1610に上がりました。
魔防が1470に上がりました。
敏捷が3100に上がりました。
知恵が1850に上がりました。
器用が2310に上がりました。
スキルポイントを100獲得しました。
【魔力装甲LV.5→LV.6】になりました。
【思考加速LV.7→LV.8】になりました。
【操糸LV.3→LV.4】になりました。
▶称号【竜殺し】を会得しました。
【竜殺し】の称号によりスキル【竜力LV.1新】を獲得しました。
【竜闘気LV.1新】を獲得しました。
▶称号【竜喰らい】を会得しました。
【竜喰らい】の称号により【ドラゴンキラーLV.1】を獲得しました。
▶称号【毒竜喰らい】を会得しました。
【毒竜喰らい】の称号によりスキル【竜毒】を獲得しました。
【黒炎LV.1】を獲得しました。
【鬼力LV.1】と【竜力LV.1】が統合され【竜鬼LV.1新】に変化しました。
【雷装鬼LV.9】と【竜闘気LV.1】が統合され【竜装鬼LV.3】に変化しました。
【猛毒調合】が【竜毒】に統合されました。
【鬼火LV.1】が【黒炎LV.1】に統合されました。
腐毒竜を喰っている最中、いきなり聞こえたアナウンスに食べるのを中断して新しく得た物を確認する。
【竜鬼】
効果:基本ステータスをレベル×5%上げる事が出来る。
【竜装鬼】
効果:使用時ステータスを3.5倍にする。また、竜と鬼の闘気を纏い与えるダメージを1.5倍に、受けるダメージを3割減らす。統合された【雷装鬼】の効果により秒間2のダメージを与える。レベルアップで魔力&気力効率、精密操作が向上する。
【竜毒】
効果:猛毒をも超える毒竜が生成する毒。
【黒炎】
効果:邪竜の使う呪いの炎。聖属性の浄化、もしくは術者以上の魔力で消し飛ばす事でしか消す事が出来ない。神族、天使等の聖属性の者へのダメージアップ。
おお!何か凄い!基本ステータスの更なる強化に、【雷装鬼】も新しくなってアップ量は変わらなくても与えるダメージは上がって、受けるダメージは減ってる。毒もどれだけのダメージか調べたいね!そして【黒炎】心をくすぐる物があるよね!しかし、【白雷】で魔族やモンスターを【黒炎】で神族や天使系ってやばいなどっちからも狙われそう。って、そんな訳無いかぁー。あっはっはっ。・・・うん。考えない考えない。
因みに【喰吸.魂】ではなにもGET出来なかったが、オークキング、腐毒竜と続き【過食】は、レベルが4まで上がった。
どんだけ食ってんだ私。それにしてもやっぱりドラゴンって凄いんだな。倒したボーナスが凄いし。こいつ以外のドラゴンだったら多分確実に私の方が殺されてただろうな。運が良かった・・・いや、腐毒竜としてはこんなの相手にして運が悪かったんだろうな。
そんな事を考えながら私に喰われて倒された腐毒竜を見るが、当たり前事だがピクリとも動かなくなっていた。そんな腐毒竜に【解体】を使い腐毒竜の肉やら牙やら骨やらを手に入れる。
まあ、意趣返しの意味合いが強かったが終わってみれば少し可哀想な事をした。いくらイラッとしたからって大人気無かったよ私。反省。
結果から言えば私の楽勝だった。背中に飛び乗った私を振り払おうとするが、もともとフィジカルは死んで腐毒に侵されている身体の段階でほとんど無いと言っていい。
だから最初に考えていた通り、背中に乗った時点でほぼ為す術無く私に喰われる事になった。
まず最初は翼だ。バサバサと面倒だったのもあるが、この世界の翼はこんな身体が腐った状態でも普通に飛べてしまう。元々がこんな巨体をこの程度の翼で飛ぶのはどう考えても無理なのだ。航空力学や物理法則を超えた物で飛んでいても何ら不思議では無い、そんな訳で飛ばれては面倒と一番最初に翼の機能を奪うことにしたのだった。
食べてみると翼の根元はコリコリで鳥の軟骨を彷彿とさせた。しかしそんな中にも熟成された旨味があり、腐毒に関しても【喰吸、魂】のおかげでほのかな苦味と酸味、そして何よりも肉の旨味を引き立てる様な濃厚なデミグラスソースの様な味になり、また食欲を誘う。
私に根元から喰われた翼は早々に機能を失って地面へと落ちる。その光景に怒りを覚えたかの様に激しく暴れ始めた腐毒竜の背から降りると、暴れ終わるのを待って次は身体を支える後ろ足に狙いを定める。
背中に居た時に試してみたが【雷装鬼】を使えば私の攻撃力でも容易に貫けた。その為、私は腐毒竜の暴れた際に巻き起こった土煙に紛れ、後ろ足の付け根に手刀を差し込み関節を外す。
関節なんて物は筋さえ切れば割と簡単に外せるので、さながら気分は解体ショーだ。
悲鳴の様な大きな咆哮を上げながら倒れた腐毒竜の身体を、腐蝕と毒耐性を付与した糸で拘束する。背に飛び乗っても私の服が溶けなかった事で、私の出した糸にも私の様に耐性がある事は確認済みだ。
まあ、多少は溶け始めてるけどね。
勿論こんな物で完全に拘束出来る訳も無いが、数十秒も拘束出来れば時間など釣りが来るほど十分だ。
仰向けに転がった腐毒竜のもう片方の後ろ足の関節を素早く外した私は、次に前足の関節を外す作業に移る。勿論必死に暴れ、爪やブレスなどで攻撃しようとするがやはり私にはなんの効果もない。
前足の関節までも外された腐毒竜は既に立ち上がる事さえ出来ない。出来る事と言えば身体を転がす事と首を動かす事、更には今尚元気に暴れている尻尾を動かす事くらいだった。しかしそれでも念には念を入れて私は首の関節も外すと、腐毒竜はピクリとも身体を動かせなくなった。
流石にドラゴンと言えど小さめの体躯と、身体が腐った状態という特殊な条件で無ければ私ではここまで簡単に倒す事は出来なかっただろうな。本当に運が良かったよ。まあ、腐毒竜にとっては最悪の相手だったんだろうけど。
ここまで来れば後はもうただの食事なので、ヌルまで呼んで二人で美味しく戴く事にした。総じて言えば熟成肉の様な柔らかな肉とデミグラスソース風の腐毒がとても美味く深い味わいがあった。これは是非ともちゃんとしたドラゴンの肉も喰ってみたいと思わせる程の味だった。
さて、そんな食事の結果としてヌルはロットスライムと、ドラゴンスライムという進化を手に入れ。ポインズスライムの分裂もかなり増えた。ロットスライムの数も多いし腐毒はかなり強力な物だったのだろう。
因みにロットスライムには【腐蝕効果】が付いていた。これは攻撃の全てに状態異常の腐蝕が付く強力なスキルだ。そしてドラゴンスライムには【プチブレス】と【飛行】そして【ドラゴンオーラ】が付いていた。何匹か見ていたが【プチブレス】はそれぞれに得意な属性の物が吐けるようだ。【ドラゴンオーラ】は竜の気を纏い戦闘が出来る物らしい。
ちょっとかっこいいから羨ましいぞ。
ロットスライムの見た目はスライムを紫色にしたポイズンスライムが溶けた感じで、ドラゴンスライムはスライムにドラゴンの様な小さい翼と尻尾が生えていた。
やべー、某ドラゴンのクエストとかに出て来そう。き、規制されないよね?
ここでのやるべき事を全て終えた私は、次にここに来て腐毒竜を見て思い付いた事を試してみる事にした。
「うし!やるか!」
気合を入れた私は【竜毒】を大量に生成すると、その毒を水魔法を使って操り、先程まで戦っていた腐毒竜の姿を模して形を整える。
「よし。このままで・・・ヌル!」
指示を聞いたヌルが私の作った毒竜に飛び込む。そして徐々に自分の身体を毒竜に混ぜていった。
実を言うとオークキングを倒した後、実験の為ポイズンスライムに毒を餌として与えた時、餌の上に移動して吸い上げる様に吸い込んでいたのを見て、捕食が同化させて身体に取り込む物だとわかった。ただその時はそれくらいしか思わなかったが、次の階層で腐毒竜を見た時に思ってしまったのだ!あれ?私が同じ様に毒で作れば同化して動かせんじゃね?と!
そんな訳で私はヌルに頼み込んでこんな実験をしているのだ!幸いな事にポイズンスライムは毒が無効なのでヌルも安全だしね。まあ、実践では使えないだろうけどね。こんなに維持に魔力使ってコントロールも面倒、オマケに作るのに5分近く掛かったから使えませんわー。出来たとしても事前準備して一発ぶちかますくらいだね。まあ、それでもやってみたかったんだけどね。
ヌルが私の作った毒竜と同化するのを待ちながら思考に耽っていると、不意に魔力の負荷がスっと軽くなるのを感じた。
”出来た”
ヌルのそんな声が頭に響いたのでゆっくりと毒竜を形作る魔力を抑えていく。途中何度か崩れそうになったが最終的にはヌル一人で毒竜を動かせる様になり、今は生やした翼で空を飛んでみせている。
実験は成功だ!なんの意味も無いけどやったぜ!よし!あれは|毒竜(ヒドラ)モードと名付けよう。
実践では使い道の全く無いその光景を見ながら、一人満足してウンウン頷き、技の命名までしているとまたもや頭の中にアナウンスが語りかけて来る。
▶個体名ヌルが特殊条件を満たしました。
ポイズンスライム、ドラゴンスライムが|毒竜(ヒドラ)スライムに融合進化を果たしました。
なんと!?ジョグレス進化だと!?そんなのもあるのかこの世界。
見るとドラゴンスライムが居なくなり、ポイズンスライムもその数をかなり減らしていた。そして今まで居なかった|毒竜(ヒドラ)スライムと言う個体が十匹ほど増えていた。
毒竜スライム:キメラ型魔法生物
説明:竜の因子を持ち毒竜の毒を放つ。固有スキル【ヒドラ】は竜毒を身に纏い物魔ダメージを軽減させ、触れるだけでも弱い魔物を溶かす程強力。
あっ、これさっきの腐毒竜と同じだ。少し違うのは腐敗効果が無いくらいか。1:4位の割合で融合するみたいだけど、それ位でこんなに強力な個体になるなら釣りが来るよね。それにしてもただの思い付きのネタ行為がこんな事になるとは・・・。
試しにヌルにスキル【ヒドラ】を使って貰った所、先程私が作った物と同じ様な物がヌルを中心に一瞬で出来上がった。そしてこの【ヒドラ】は【ドラゴンオーラ】を毒膜でより強化した物らしい。勿論その状態で空を飛ぶ事もブレスを吐く事も出来ていた。まあ、まだレベルが低いから継続時間も短いし、クールタイムもちゃんとあるからそこまでバランスブレイカーなスキルでは無いけどね。
これ、普通にドラゴン仲間にした様なもんだよね?まあ、仲間が強いのは良いけどさー。何で私の仲間は皆すぐに優秀になるのやら。
一瞬でどんどん強くなっていくヌルを見ながら首を傾げ、そう思わずには居られない私だった。
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20XX年。特にこれといった長所もない主人公『朝比奈陽翔』は二人の幼なじみと充実した毎日をおくっていた。しかしある日、朝起きてみるとそこは異世界だった!?異世界アリストタパスでは陽翔はグランと名付けられ、生活をおくっていた。陽翔として住んでいた日本より生活水準が低く、人々は充実した生活をおくっていたが元の日本の暮らしを知っている陽翔は耐えられなかった。「生活水準が低いなら前世の知識で発展させよう!」グランは異世界にはなかったものをチートともいえる能力をつかい世に送り出していく。そんなこの物語はまあまあ地頭のいい少年グランの異世界建国?冒険譚である。小説家になろう様、カクヨム様、ノベマ様、ツギクル様でも掲載させていただいております。そちらもよろしくお願いします。
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