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53.それぞれの処遇
しおりを挟む酒場の裏にはいくつか建物があり、その中のひとつに捕まえてきた盗賊達が拘留されている。この辺り一帯が全てレドの土地だという事を初めて知った。どうりでこの辺だけ民家が少ないわけだ。話を聞きだすのは大抵コンゴさんの役目だそうで、連日取り調べ?が行われていた。シェストは保安局で今後どうするか決められる。
盗賊達が持っていた者は没収され、持ち主やその家族が分かれば返される事になっている。だが持ち主も家族も他界している場合が多い。その時はまあ・・・その時である。今回のデッカーは装飾品などに全く興味がなく、奪った物は金に換えていた。だがそれにしては持ち金が少なく、別の隠し場所があるとみて捜索が続いていた。
そして数日後。
デッカーと青髪の魔人の心臓部にあった黒い印の正体が判明し、オーナー部屋に幹部が集合した。
皆が揃い、早速レドが口を開く。
「ユニーク能力、闇。その能力を持っている魔人のみが扱える呪いのひとつだ。それもかなりの強さでなければコントロール出来ない。使ったのはおそらく盗賊の頭………バルナスだ」
ルーカスが説明を引き継ぐ。
「これはある一定以上の攻撃を受け、体力が限界に近づくと発動します。どうやら、生かしておいて情報を吐かせるのは無理のようです。腹心全員にこれがあると見るのが妥当でしょう」
「…物は考えようだ。生かしておく、という選択肢が無くなっただけだ。いいかお前ら、対峙する時が来たら迷わずヤレ。言わなくても分かってるとは思うが、一瞬の迷いが命取りになる。それを忘れるな」
レドの言葉に皆しっかりと頷いた。
その後拘留していた盗賊達の取り調べは終わったが、全員下っ端でやはり有益な情報は持っていなかった。それぞれの処遇は速やかに決まって処理された。
シェストの処遇はシャハールの支局だけで決める事が出来ない。被害者と発見者が支局長と副長の為揃って王都へ赴く事は困難、という訳で王都本局から数人が支局へ来る事になった。わたしたちも話を聞かれるだろうとオーキッドさんがすまなそうに言っていた。
◇
「…サンドラはどうなったかな」
リビングのテーブルに作ったおつまみを置き、ソファーに座りながら呟く。
「気になるか?」
レドがわたしのグラスにワインを注いでくれる。
「うん…やっぱりちょっとね」
「今のところ、まだミクサの家に留まっている様ですよ。でも近いうちに追い出されるでしょうね。まだ正式な夫婦ではありませんし、あの街の支局はなくなる可能性が高いですから」
「そっか…」
「…シェストは本気でサンドラと結婚するつもりだったようだ。王都で色々と準備を進めていたと情報があった」
「…サンドラも、もしかしてシェストが好きなのかも」
「あの女が?」
わたしの言葉にレドが眉を寄せる。ルーカスも不思議そうな顔をした。
「うん、多分そうだと思う」
縛られたシェストを見た時。駆け寄った時。傍に座っていた時。そして、わたしが怒鳴った時。サンドラの眼の中には彼がいた。レドに言い寄っていた時とは違うその眼を間近で見て、わたしはそう感じた。心配などしないが、ここまで関わってしまったのだ。どうせなら立ち直った姿も見てみたい気もした。
「あのサンドラが、ですか…。でも、今は他人の結婚より私たちの事のほうが大事ですよ?」
「そうだな」
「…え?」
いきなり話が変わってきょとん、としてしまう。
「俺たちの婚姻の儀式の事だ」
「儀式…?」
ここには細かい戸籍などはなく、街や村ごとに大まかな人数を把握しているだけだ。宗教的なものも存在しないので教会などもない。結婚する時は専用の魔石に互いの魔力を込め、その魔石で好みの装飾品を創って身につける。そして一般的には親しい人達を呼んでの食事会が行われる。これが金持ちになる程派手になるのだ。
わたしが知っているのはこのくらい。でもこれを儀式というだろうか?首を傾げていると2人が説明してくれる。
「一般的な魔石の装飾品も創る。披露のパーティーもすぐには無理だがいずれはやらなきゃならない。だが、魔人同士の婚姻の場合は古くから伝わる大事な儀式がある。それは2つの月が満月になる夜、月明かりの下で行う」
「2つの月が満月になる夜は年に一度しかありません。それが明日の夜です」
明日の夜・・・明日・・・
「…ええっ!?あ、明日!?」
ぽかーんと間抜けな顔を晒すわたしの肩を2人が左右から抱く。
「…嫌とは言わせないぞ?縛ってでも連れて行く」
レドが低く囁いて耳を食む。
「逃がしませんよ…?あなたはレドと私のものです」
ルーカスが耳の中に舌を挿しこんで深くねぶる。
「「…ソニア…」」
2人の声が脳に響いて言い知れぬ感覚が全身を駆け巡り、ぞくぞくと肌が粟立つ。堪えきれずにあえかな声を漏らしてしまう。
「っあ…んふぅ…」
「答えてください…ソニア」
「肯定以外は認めない」
うさ耳としっぽまで出てしまうとレドはうさ耳を、ルーカスはしっぽを撫でまわす。空いている手で胸と太ももを弄られ、わたしの蜜壺が淫らに反応して濡れる。4本のいやらしい手に囲まれて思考を奪われているのに返事を求められる。
「っはぅ…イヤなわけ、ない。…うれしい…レド…ルーカス…あいしてる…」
急だろうが何だろうが、嬉しいに決まってる。とにかく一番伝えたい事だけ、何とか言葉にした。
途端、
「「―――ッ!!」」
息をのんだ2人に唇を奪われる。深くて濃厚な口づけを交互に繰り返され、息が苦しくなる。絡まる舌に必死に答えるが、うさ耳としっぽを同時にギュッ、と握られてたまらず背を反らせて達してしまった。
「ンんっ、ン、ふあ、ッぁん…ん、んぐ!…ああぁぁ!」
達しても愛撫は止まらず、着ていたネグリジェも脱がされた。左右から足を広げられ、わたしだけがソファーの上で全裸で大股を開く。
「あ、あ、あ、や…まって、ベッドに…ぃひいぃん!」
いつものように抗議は遮られ、2人の指が一緒に秘所へ捻じ込まれた。狭い膣は4本の指でギチギチなのに、それぞれがバラバラに掻き回して蜜壺を滅茶苦茶にしてしまう。
ぐちょっ!ぐちょっ!じゅぼっ!じゅぼっ!
卑猥な音を立てて流れる愛液でソファーを汚し、お尻を強く揉まれ、うさ耳を甘噛みされ、もう眼がチカチカする。激しい責めに身を捩って悶えながらも必死に2人の腕を掴む。このままじゃきっと潮を吹いちゃう、ここでは・・・となけなしの理性で考えるが責めが緩むはずもない。口から零れるのは喘ぎ声だけ。
「あ”あ”ぁ!ッひぃ!んはッ、あ、あッ、うあ”ン!」
「「…ソニア、愛してる」」
長い耳に聞こえたレドとルーカスの昂った声に、ぞわぞわぞわッ!と総毛立って頭が真っ白になる。どちらかの指が敏感なトコを抉り、陰核まで潰されて全身をガクガクと痙攣させながら絶頂を迎えた。
「ん”ぁ!あ”ひッ!やっ…!でちゃ…ぅひああぁぁ!!」
プシャアァァ!!
「あはあぁ!い”やぁぁ…でちゃ…ったぁ…っは…ン…」
過呼吸気味になりながら自分のした失態を見て泣きたくなる。テーブルもソファーも床も、飲みかけのグラスも食べかけのおつまみも、わたしの派手な潮吹きで汚れてしまった。ベッドやバスルームならまだしも、ここはわたしたち以外の人も飲み食いするのに・・・
「ッう…」
うさ耳をしゅん、と垂れ下げ、足も広げられたまま涙ぐむわたしを見て2人が慌てて足を閉じ、顔を覗き込む。
「すまない、つい調子に乗った」
「私も…すみません」
滲んだ視界で睨み、眼で抗議する。その顔はふくれっ面で、さぞかし可愛くないだろうと思いながら。
「お前はあまり自分から愛してると言わない。だから…最高の答えが返ってきて昂った。…すまん」
「あなたの返事が嬉しくて…すみません」
ちゅっ、と左右の頬に小さくキスする。
・・・嬉しくて昂った、なんて言われたら機嫌を直さないわけにいかない。わたしだって凄く嬉しいんだから。でも、もう少しだけ拗ねた振りをしていよう。今後の為にもね。
泣く子も黙るグラベットのボス、レドモンドとNo.2のルーカスが1人の女に陳謝するという2人の沽券に関わるシーンがあったことは・・・わたしたちだけの秘密です。
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