異世界ライフは前途洋々

くるくる

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83.4人の再出発

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「ちょっと待って」

 帰り道、行きとは違うルートを歩いていたエヴァントはそう言って足を止めた。ほどなくしてレオハーヴェンとエトラス、サニーが姿を現す。

 レオハーヴェンとエヴァントは顔を見合わせて笑い、パンッ!と手を合わせた。

「待ったか?」
「いや、今来たところ」

 その光景を不思議そうに見ていたペテルが聞く。

「あの…待ち合わせしてたんですか?」
「してないよ。帰りはここを通るだろうと思って待ってただけ」
「え…だって、行きとは違う道…」
「あ…僕たちも違う道…」
「「え」」

 エトラスが驚いて言うとペテルも驚き、一瞬互いを見る。

「長え付き合いだからな、何となく分かるんだよ」
「さ、帰ろう」

 呆けている3人を促し、キラの待つコテージへと帰った。











「お帰りなさい、レオン」
「ただいま……何もなかったか?」
「…ワイルドベアーが1体出たけど大丈夫だったよ」
「そうか」

 会話の合間にくちづけながら報告。

「お帰りなさい、エヴァ」
「ただいまキラ……」
「…一緒に帰ってくると思ってた。夕飯の準備できてるよ」
「ありがとう」

 当然エヴァともキスする。

 夫たちが周囲の魔物討伐に言っている間、私はコテージで夕食の支度をしてる時がある。2人は別々に行動しても大抵一緒に帰ってくるのだ。

「洗浄する?」
「そうだね、食べる前だしお願いしようかな」
「うん」

 私はすでに済ませた自分とエーリカ以外に洗浄と乾燥を掛けた。エトラス、ペテル、サーリの3人には視線を逸らされました…顔が赤かったので呆れたのではなく照れたんです。きっとそうです。





 夕食後。昨夜と同じく彼らはリビング、私たちはベッドルームに居た。まだ寝るには早い時間、互いに今日の報告をしている最中です。

「そうか。ま、曲がりなりにもここまで4人で来たんだ。何とかなるだろ」
「そうであってほしいよ。…でさ、どうやったらあの妹があんなに大人しい子になるの?」
「俺も聞きたいと思ってた。今朝までと別人じゃねえか」

 レオンとエヴァがそれぞれ話し終え、私に向き直る。

 彼らがそう言うのも無理はない。大人しくなったエーリカは本当に別人のようだ。もちろんタメ口なんてきかないし片付けを手伝ったりもして、それには兄のエトラスやペテル、サーリも目を丸くしていた。その仕草や言葉使いは淑やかで、やはり彼女がお嬢様だったことを示していた。

(あのね、きらおこったの)
「怒った?」

 スノウの言葉にレオンが聞き返す。私が話そうとするとエヴァに止められる。何で?

(すっごくおこってすっごくこわかったの。スノウもちびりそうになったの)

 ちびり…どこでそんな言葉を…

「威圧をふっかけたって事か?」
「そうかも…でも、スノウってどういう事?」
(いもーとぶるぶるしてないてもらしたの)
「「…」」

 2人とも目がテンになってるよ…。

(それからいいこになったの)
「…キラがそんなに怒ったなんて初めてじゃない?何かあった?」
「キラ、何か嫌な事でも言われたか?」

 彼らは一気に心配気な表情になって私の肩を抱く。

「あの…違わないけど違うの」
「「…?」」
「自分が威圧かけたなんてまだ実感ないけど、そんな事するつもりじゃなかったの。でも…レオンとエヴァの事バカにされたら急に頭に血が昇っちゃって…つい」
「キラ…オレたちの為に怒ってくれたの?」
「自分の事じゃ怒んねえくせに…キラ…嬉しいぜ」

 レオンが長い指で私の顎を持ち上げてキスするとエヴァも口づける。ちゅっ、ちゅっ、と何度も落とされる短いキスを受け止めていると、手が太ももやお尻を撫で始めて焦る。壁が薄い訳じゃないけど聞こえてしまう可能性の方が高い。

「…んっ…だめ…ちょっ…」
「何で」
「っふ、なん、で、って…」
(スノウねるの。おやすみなの)

 2人の手を止めようとしているとスノウが甘い雰囲気を察してロフトへ飛んでいく。夫たちは空気の読める賢いスノウに返事をしながらも手は休めない。

「ね…今日、は…あ…」
「…キラが可愛い声を上げなきゃ大丈夫だよ…」

 大丈夫な訳ない!

「そ、んン…っ」
「散々あいつらの前でキスしただろ…今更だ」

 キスとエッチじゃだいぶ違…まさかこのためにいつも通り、とか言ってた訳じゃないよね…?

「っや…はぅ…ん…」
「もう乳首勃ってるぜ…?」

 着ていたシャツをたくし上げられ、ブラもずらされて空気に晒された乳房を弄られる。唇を噛みしめて声を堪えるけれど乳首をキュッと摘ままれて喘いでしまった。

「んあッ、ぁふっ…つまんじゃだめぇ…」
「フフ…声出ちゃったね?気持ちイイのに我慢するキラも可愛い…♡」

 エヴァが耳元で囁いてふっと息を吹きかける。ぞくぞくと快感が駆け上がって泣きたくなる。

「ふあぁ…やめ…おねが…ぁひ…」
「仕方ねえなぁ…口でしてくれるなら弄るのを止めてやる…どうする?」
「ンん…する…するからぁ…」
「よし…」

 恥ずかしい声を聴かれないで済むならと即同意する。

 この時は口でしてもらうのが目的だったという事を私が知るのは次の日の夜のことです…。











 翌朝、レオンがコテージの前で布袋をエトラスに渡した。

「これを持っていけ、必要なものは入ってる。ケチャくらいまでなら足りるはずだ」
「…お世話になりました。本当に、ありがとうございました」
「「「ありがとうございました」」」

 エトラスが受け取って頭を下げると他の3人もそれに倣った。

「ああ」
「…あの、最後にレオハーヴェンさん達のパーティー名を教えてください」

 一度3人で視線を交わし、レオンが言う。

「レックス。それが俺たちのパーティー名だ」
「レックス…。レックスの皆さんのご恩は忘れません。ありがとうございました」

 もう一度深々と頭を下げ、彼らはケチャを目指して発って行った。




「随分雰囲気が落ち着いてたね」
「うん、私もそう思った」

 エヴァの言葉に私も同意する。少しでも話し合えたなら良い。

「さすがに少しは考えただろ。後はあいつら次第だ」
「そうだね。さ、オレたちも発とう」
「うん」

 準備を整え、私たちも山頂を後にした。

 そうそう、昨夜の私の恥ずかしい声は聞こえていなかったようです。ホッ。



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