異世界ライフは前途洋々

くるくる

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37.ステータス開示

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 翌朝、唇に柔らかなものがふれた気がして目が覚めた。

 「…ん…」
 「…おはよう、キラ」

  暖かい腕の中からスモーキーベージュの優しい瞳を見上げる。

 「…おはようございます…エヴァさん」

  彼は嬉しそうに瞳を細め、キスの雨を降らす。額に、瞼に、頬に、そして唇に。私は気持ち良さに小さく震えながら、ふと思いついた事をお願いしてみた。

 「…ぁ…エヴァさん…エヴァさんの魔力…感じてみたいです…」
 「キラ…朝からオレを誘惑する気?」
 「えっ…」

  魔力の相性が気になっただけなんだけど、そういえば身体の相性にも関係してるんだっけ…しまった。

 「ご、ごめんなさい。そんなつもりじゃなくて…ただ…」
 「フフ、謝らなくて良いよ。あんまり可愛いこと言うから揶揄いたくなっただけ」
 「…もう…」
 「ほら、その顔。キラは困った表情まで可愛い」

  うぅ…朝から極甘です。こんなに可愛い可愛いと言われ続けたら、テングになってしまいそうでコワイ。

 「オレもちゃんとキラの魔力を感じたい。だから君も送って?…ここから」

  エヴァさんはそう言って私の頬を手で包み、親指でそっと唇をなぞる。そして返事を聞く前に口づけた。

 「…んっ」

  魔力が流れ込んでくるのを感じ、私も吐息に魔力を乗せて送り出す。私を満たすのは、強いながらも優しく、全てを包み込んでくれるような彼の人柄。凄く安心出来るのに胸が高鳴る不思議な感覚。

  …気持ち良い。

 「…キラ…ん…ッふ…」
 「っんぅ…エヴァ…さ…」

  舌を絡めとられ、懸命に応えるうちに膨らんでしまった色欲を抑え込んで何とか唇を離す。

 「んはぁ…」
 「っは…」

  私たちは暫くそのまま抱き合っていた。











「おかえり」
「…ただいま、レオンさん」

  笑顔で迎えてくれたレオンさんは、私を抱きしめて小さくキスした。そして新たに主寝室となった部屋へ向かう。

  彼がしてくれたのだろう、中はすぐにでも使えるよう購入した家具が配置されていた。真ん中に色の濃い木目調のキングサイズベッドとサイドテーブル。右側に同じ風合いのドレッサー、クローゼット、姿見。左側は大きなラグマットの上にローテーブルとソファー。統一感があって落ち着く大人な雰囲気。

 「適当に置いてみたが、どうだ?」
 「とても素敵です」
 「良いね。いつも飲む時は店だったけど、ここで3人で飲みたいね」
 「だろう?」

  うん、ここでまったりしたい。ああ、楽しみ。




  リビングへ移動し、パーティーの話をする。パーティーを組んでいてもソロの依頼を受けられない訳じゃない。もしソロで依頼を受ける場合は必ず事前に相談や報告をする。パーティーで受ける依頼は必ず3人で相談して決める。他いくつかの約束事を決め、互いにステータスを開示してみることになった。私が解析でステータス画面を出す。



【ステータス】

【名前】レオハーヴェン
【年齢】28才
【職業】冒険者

【レベル】54
【体力】389
【魔力】426
【攻撃力】216
【防御力】185
【素早さ】190

【スキル】剣術(S)・体術(A)・鈍器(B)・土魔法(C)・身体強化(B)・大工(D)・鍛治(S)

【固有スキル】第六感(A)

【称号】剣豪・神々に認められし者



【名前】エヴァント
【年齢】29才
【職業】冒険者・酒場経営者

【レベル】43
【体力】270
【魔力】876
【攻撃力】155
【防御力】152
【素早さ】143

【スキル】水魔法(A)・雷魔法(C)・闇魔法(B)・狩人(B)・探索(C)・料理(A)・交渉(D)
     生活魔法(C)・魔力加工(S)

【称号】商売上手・神々に認められし者



【名前】キラ
【年齢】20才
【職業】冒険者

【レベル】35
【体力】173
【魔力】6150
【攻撃力】68
【防御力】80
【素早さ】130

【スキル】剣術(S)・火魔法(E)・水魔法(E)・風魔法(F)・土魔法(F)・回復魔法(E)・解析(S)
     薬師(S)・浄化(S)・危機察知(E)・生活魔法(F)

【固有スキル】複製(E)5/5

【称号】転移人・神々に愛でられし者



 「「「…」」」

  暫し3人で互いのステータスを見つめる。

  …レオンさんは装備なしでこのステータスなんだ…凄い。スキルのラインナップも戦闘系が多いよね、ナニコノ鈍器って。それに固有スキルと剣豪の称号…まさに冒険者向き。エヴァさんは魔力が飛び抜けてて攻撃魔法が多い。でも狩人は弓とか得意そうだし、料理や生活魔法もある。それに交渉って商売向けだよね。バランス取れてるなぁ。鍛治と魔力加工は神様に頂いたスキル。数ある候補の中から2人が自分で選んだのものだ。

 「…魔力が見た事ねえ数字になってるな。固有スキルの複製も聞いたことねえ」
 「うん…凄いね…高魔力っていう表現じゃ足りないくらいだよ。それに、便利な固有スキルってこれの事か。もしかしてSランク以外のスキルは複製したやつ?」

  レオンさんとエヴァさんは互いのステータスをおおよそ知っていたようで、主に私のを見ていた。転移人だと打ち明けた時とこれまでの戦闘で知られている部分もあるが、複製についてなど細かい事は話していなかった。

 「はい、生活魔法だけは知らない間に手に入りましたけど」
 「そっか。それにしても、火魔法Eであの威力か…流石の高魔力だね」
 「ああ、普通Eでキングトロールは相手に出来ねえ。それに浄化まで持ってたんだな」
 「あ、浄化は称号の効果です」

  『称号』の言葉に2人があっ、という表情になる。

 「称号の確認、忘れてたな」
 「うん、全然頭に無かったよ」

  称号は教会でお布施という名の手数料を支払えば確認出来る。得た称号が教会の記録にあれば効果も教えてもらえるのだとか。

 「でもキラは?キラも確認してきて無かったよね?」
 「そういやそうだな、解析でもそこまでは分からねえはずだし」
 「前に話したこの世界の資料で分かったんです」

  転移人の話をした時、神弟子さまから頂いた剣や防具、スキルと異世界の資料があったから街に辿り着けたと説明した。

 「そうだった、資料があるって言ってたね。ねえ、オレたちの称号も調べてくれない?」
 「はい、ちょっと待って下さいね」

  “神々に認められし者”の称号についてヘルプする。効果は幸運値上昇とレベル、ランクアップ補助だった。補助の方は私の転移人の効果と同じだったのでより詳しく調べてみると、レベル、ランク共に経験値50%上乗せされる事が分かった。

  早速説明をするが、2人は目をパチクリさせている。

 「…資料って本じゃないんだ?」
 「あ…え~と…資料は頭の中にあって、そこから調べる感じで…すみません、これじゃ分からないですよね」
 「いや、なんとなく分かる。記憶術スキルを持ってた奴が似た事を言ってた」
 「あ、なるほどね。そういうことか」
 「だが…さすが神と名の付く称号だな、幸運値と経験値の上昇なんて中々無い」
 「そうだね。経験値もだけど、幸運値アップはかなり珍しい。それもこれも…」
 「「キラのおかげだ」」
 「え…」

  いや、認められたのはレオンさんとエヴァさんだし…称号は神様がくださったものだし。

  そう言おうとした口を両隣りに座っていた2人に代わる代わる塞がれる。

 「キラ…」
 「…んっ…」
 「…キラ」
 「…んぁ…」

  突然訪れた官能と何度も繰り返される口づけに思考力を奪われ、結局言うのは諦めて身を任せた。

  後から教わったのだが、私のステータスは魔力が桁違いで素早さが高く、他は標準の女冒険者の数値とのこと。エヴァさんは他の冒険者より魔力がとても高く、他は少し高いくらいだがスキル数が多い。レオンさんは、魔力だけ標準より若干高いくらいで、他は全てさすがSランクという数値らしい。スキルに至ってはまさに戦闘向きというしかない。

  やっとステータスの標準値が分かりました。

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