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184.複製
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私たちはジャイアントワームを倒した後も採取や討伐をしながら移動した。森の中は太陽の光が届かなくなるのが早いので、15時頃にはコテージを設置し終えていた。
コテージに落ち着いてからはテラスでお茶をしつつある相談を開始。議題は昨日Aランクになった私の複製スキルについて。何故相談が必要なのか、それは新たに得た技が"逆複製(縁者限定)"というものだったからだ。これは私のスキルを他の人に複製できる技。ただ注意書きにある通り縁者限定という条件付きで、その縁者が相手でも全てのスキルが複製できる訳では無い。縁者という字面からすると契約獣も種類によっては大丈夫だろうが、試してみたところ固有スキルやSランクは失敗した。それを踏まえるとAランク以下は出来そう、ということで誰にどのスキルを複製するかを相談するのだ。
レオン 「取り敢えずサニーとサックスの蹴りと踏みつけは互いに複製し
た方が良いな」
エヴァ 「だね。同じスレイプニル同士だし、そこは問題ないんじゃない?」
レオン 「サニーとサックス、スレートに属性魔法は難しいかもな」
エヴァ 「身体強化だったらイケるんじゃない?キラに複製してからするとか」
レオン 「それなら俺の鈍器はスレートになら出来るかもな。他には無いか?」
キラ 「隠密と危機察知はみんな持ってた方が良くない?」
スノウ 「スノウかみなりやってみたいの!」
サニー 「フミツケシイデス!」
サックス 「ケリ…!」
スレート 「ドンキ ナイフ」
色々話し合った結果、取り敢えずの候補が出揃った。
レオン 隠密、暗器
エヴァ 隠密、暗器、危機察知
スノウ 雷魔法
サニー 踏みつけ
サックス 蹴り
スレート 暗器、隠密、危機察知
・レオンとエヴァは念のため隠密と暗器
・スノウ、サニー、サックスは自分で気配を消せるという事で隠密はなし。
・サニーとサックスは進化後魔物の気配を感じ取れるようになったので危機察知は必要なし。
・スノウは希望通り雷魔法。
・スレートはナイフを使えるので鈍器ではなく暗器。
そして私は以前取っておいたニットスパイダーの分解と織りをゲット。ちなみに、危機察知は今日Cランクになりました。グッドタイミング。
決定後は早速実行。候補は全て上手くいったが、サニー、サックス、スレートに属性魔法は失敗。やはり素質が無いと複製出来ないようだ。魔物が複数の属性魔法を持っている事はまず無いそうなので、その辺りが要因だろう。幻獣フェニックスで、しかも亜種であるスノウは例外中の例外なのだ。
そして最後にレオンに料理スキルを複製しようと試みたが失敗。とっても強い彼だけれど、料理についてのセンスと才能は皆無らしい…。
取り敢えず今回はこれで終え、後は追々やってみる事になった。
■
夕食後はテラスで地図を見ながら明日の確認。辺りはもう暗いが、ランプがあるし魔除け香を焚いているので魔物も寄ってこないから安心だ。それにテラスでならさにサニーとサックスも一緒に話せる。
「現在地はここ、奴らが出るのはこの辺りだ。この分だと明日の昼前後には着くだろう」
「だね。群れは今移動する時期じゃないし、たぶんいるだろうね」
「ああ。ま、確認しながら移動だな」
討伐対象である群れは、ボスであるグランドベアー1体と3~5体のワイルドベアーから成っている。通常ワイルドベアーは単体で行動するが、上位種であるグランドベアーが現れると群れを作って動くようになる。棲家である森から出る事は稀だが、群れになると急速に繁殖活動を始めて一気に増える恐れがある。だから群れが目撃されると討伐依頼が出るのだ。
「べあーかみなりでやっていい?」
「ああ、良いぜ。森だから火は危ねえし風も効きにくいからな」
「やったぁなの!はやくかみなりつかってみたいの!」
スノウがスレートの上で飛び跳ねる。
「サニーハフミツケツカイマス」
「ボクハケリシテミマス」
「ミニ」
ワイルドベアーは全員やったことがあるので、それぞれ自分で攻撃方法を考えているようだ。
「キラは後方待機だよね?」
「そうだな、数にもよるが。キラ、良いな?」
「うん」
私は素直に頷いた。今日のジャイアントワームのような相手だったら良いのだが、流石に攻撃力が高くて動きも早いワイルドベアーだと万が一という事もある。心配かけたくないしね。
その後注意事項などを確認してからお風呂に入り、明日の為に早めに就寝となった。
■
翌日は夜明けと共に発って目的地へ。新しいスキルの効果を試しつつ魔物を仕留め、慣らしながら進んだ。もちろん地図と照らし合わせて辺りの確認もしている。
そして11時を過ぎた頃、目的地近辺に到着した。
「…新しい傷跡だな」
「これはボスのだね。…4mくらいかな?」
「ああ、サイズはまずまずか」
グランドベアーは大きくなると5mを越える場合もある。4m前後は普通サイズだ。
「スノウ、感じるか?」
(まだなの)
「もう少し進む?」
「ああ」
居るであろう方向に静かに進む。するとスノウが小さく鳴いた。
(いたの。あっちに1と4)
「ワイルドベアーは4体か。なら予定通りキラは待機だよ?」
「うん、分かった」
「きちんと隠れてろよ?」
「うん」
「よし、俺とエヴァでグランドをやる。スノウたちはワイルドを1体ずつやれ。やりなれた相手だからって気を抜くなよ?」
(はいなの)
((ワカリマシタ))
(オケ)
レオンの指示に皆が頷き、慎重に近付くと私たちにも気配が分かった。目で促され、私はこの辺の大木の影に隠れる事に。
「みんな、気を付けてね」
小声で送り出す。みんなも頷いて返してくれた。
「…行くぜ」
私はみんなの後ろ姿を見送った。
コテージに落ち着いてからはテラスでお茶をしつつある相談を開始。議題は昨日Aランクになった私の複製スキルについて。何故相談が必要なのか、それは新たに得た技が"逆複製(縁者限定)"というものだったからだ。これは私のスキルを他の人に複製できる技。ただ注意書きにある通り縁者限定という条件付きで、その縁者が相手でも全てのスキルが複製できる訳では無い。縁者という字面からすると契約獣も種類によっては大丈夫だろうが、試してみたところ固有スキルやSランクは失敗した。それを踏まえるとAランク以下は出来そう、ということで誰にどのスキルを複製するかを相談するのだ。
レオン 「取り敢えずサニーとサックスの蹴りと踏みつけは互いに複製し
た方が良いな」
エヴァ 「だね。同じスレイプニル同士だし、そこは問題ないんじゃない?」
レオン 「サニーとサックス、スレートに属性魔法は難しいかもな」
エヴァ 「身体強化だったらイケるんじゃない?キラに複製してからするとか」
レオン 「それなら俺の鈍器はスレートになら出来るかもな。他には無いか?」
キラ 「隠密と危機察知はみんな持ってた方が良くない?」
スノウ 「スノウかみなりやってみたいの!」
サニー 「フミツケシイデス!」
サックス 「ケリ…!」
スレート 「ドンキ ナイフ」
色々話し合った結果、取り敢えずの候補が出揃った。
レオン 隠密、暗器
エヴァ 隠密、暗器、危機察知
スノウ 雷魔法
サニー 踏みつけ
サックス 蹴り
スレート 暗器、隠密、危機察知
・レオンとエヴァは念のため隠密と暗器
・スノウ、サニー、サックスは自分で気配を消せるという事で隠密はなし。
・サニーとサックスは進化後魔物の気配を感じ取れるようになったので危機察知は必要なし。
・スノウは希望通り雷魔法。
・スレートはナイフを使えるので鈍器ではなく暗器。
そして私は以前取っておいたニットスパイダーの分解と織りをゲット。ちなみに、危機察知は今日Cランクになりました。グッドタイミング。
決定後は早速実行。候補は全て上手くいったが、サニー、サックス、スレートに属性魔法は失敗。やはり素質が無いと複製出来ないようだ。魔物が複数の属性魔法を持っている事はまず無いそうなので、その辺りが要因だろう。幻獣フェニックスで、しかも亜種であるスノウは例外中の例外なのだ。
そして最後にレオンに料理スキルを複製しようと試みたが失敗。とっても強い彼だけれど、料理についてのセンスと才能は皆無らしい…。
取り敢えず今回はこれで終え、後は追々やってみる事になった。
■
夕食後はテラスで地図を見ながら明日の確認。辺りはもう暗いが、ランプがあるし魔除け香を焚いているので魔物も寄ってこないから安心だ。それにテラスでならさにサニーとサックスも一緒に話せる。
「現在地はここ、奴らが出るのはこの辺りだ。この分だと明日の昼前後には着くだろう」
「だね。群れは今移動する時期じゃないし、たぶんいるだろうね」
「ああ。ま、確認しながら移動だな」
討伐対象である群れは、ボスであるグランドベアー1体と3~5体のワイルドベアーから成っている。通常ワイルドベアーは単体で行動するが、上位種であるグランドベアーが現れると群れを作って動くようになる。棲家である森から出る事は稀だが、群れになると急速に繁殖活動を始めて一気に増える恐れがある。だから群れが目撃されると討伐依頼が出るのだ。
「べあーかみなりでやっていい?」
「ああ、良いぜ。森だから火は危ねえし風も効きにくいからな」
「やったぁなの!はやくかみなりつかってみたいの!」
スノウがスレートの上で飛び跳ねる。
「サニーハフミツケツカイマス」
「ボクハケリシテミマス」
「ミニ」
ワイルドベアーは全員やったことがあるので、それぞれ自分で攻撃方法を考えているようだ。
「キラは後方待機だよね?」
「そうだな、数にもよるが。キラ、良いな?」
「うん」
私は素直に頷いた。今日のジャイアントワームのような相手だったら良いのだが、流石に攻撃力が高くて動きも早いワイルドベアーだと万が一という事もある。心配かけたくないしね。
その後注意事項などを確認してからお風呂に入り、明日の為に早めに就寝となった。
■
翌日は夜明けと共に発って目的地へ。新しいスキルの効果を試しつつ魔物を仕留め、慣らしながら進んだ。もちろん地図と照らし合わせて辺りの確認もしている。
そして11時を過ぎた頃、目的地近辺に到着した。
「…新しい傷跡だな」
「これはボスのだね。…4mくらいかな?」
「ああ、サイズはまずまずか」
グランドベアーは大きくなると5mを越える場合もある。4m前後は普通サイズだ。
「スノウ、感じるか?」
(まだなの)
「もう少し進む?」
「ああ」
居るであろう方向に静かに進む。するとスノウが小さく鳴いた。
(いたの。あっちに1と4)
「ワイルドベアーは4体か。なら予定通りキラは待機だよ?」
「うん、分かった」
「きちんと隠れてろよ?」
「うん」
「よし、俺とエヴァでグランドをやる。スノウたちはワイルドを1体ずつやれ。やりなれた相手だからって気を抜くなよ?」
(はいなの)
((ワカリマシタ))
(オケ)
レオンの指示に皆が頷き、慎重に近付くと私たちにも気配が分かった。目で促され、私はこの辺の大木の影に隠れる事に。
「みんな、気を付けてね」
小声で送り出す。みんなも頷いて返してくれた。
「…行くぜ」
私はみんなの後ろ姿を見送った。
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