天狗と骨董屋

吉良鳥一

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縄張り争い(上)

第十三話

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 真尋と天狗の間に入って来た利音は多数の天狗が向かってくる中、手を合わせるポーズを取る。

百鬼絶破ひゃっきぜっぱ 」

 手を合わせた所から手の平を前に向けると白い結界のような大きな障壁が現れ、烏天狗達を纏めて押し返すように祓って行った。

「……すご」

 一気にここにいる烏天狗を祓ってしまった利音は真尋の方を向くと大きな溜め息を吐いた。

「ほんとさ~……君さ~……
もっと考えてから行動しなさいよ」

 この戦いに関わりたくなかった利音は真尋を説教する。

「そんなこと言ったって秋人さんが……
そうだ秋人さん、ねぇ秋人さん返事してよ」

 真尋の呼び掛けにも反応しない。
 どうしようと右往左往する真尋の肩に緋葉がそっと手を置いた。
 そして秋人の身体に触れると触れた所から淡い光が放つ。
 光が収まると緋葉は手を引っ込める。

「私の妖力を彼に移しました。
少しは回復に役立つかと」

 秋人の回復力を高める為に緋葉は妖力を彼に流し込んだ。
 とは言え、あとは秋人次第ではあるが。

 秋人に妖力を与えた緋葉は力を使い果たしその場に手を着いて、息を荒くする。

「緋葉………」

 そんな彼らの様子を朱兼達や大天狗、風楽も目撃していた。
 一瞬にして二十人程もいた烏天狗を祓ってしまった利音を風楽は、あれは生かして置いてはマズいと、朱兼から利音へ照準を変える。

 朱兼がそれを察し、風楽を止めようとするも朱兼のその巨体の隙間からスルリと掻い潜り、突破されてしまった。
 強力な妖気が近付いてくるのに気が付いた利音が、最悪と頭を掻きながらも仕方がないと構える。

「包縛 急急如律令!!」

 四方から鎖が現れ風楽を捕らえると、すぐさま次の術を繰り出す。

「禍い成す闇よ、無に帰せ」

 風楽を黒い膜のような物が包み込み、潰すかのように小さくなる。
 術が弾けると、風楽は多少傷を負ったがダメージは少ない。
 するとその真後ろから巨大化したネコが牙を剥いて襲いかかり、腕に噛み付くと真尋達の近くへ落ちて叩き付けられる。

「やった……?」

 真尋がそう呟くが、ネコの下で腕を噛まれながらもまだ生きている。

「犬神か……
よもや人にこのように使われるとは、嘆かわしい」

 風楽はネコの腹を蹴ると、ネコは遠くまで弾かれて壁に衝突する。
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