133 / 169
温泉旅行(下)
第九話
しおりを挟む
翌日利音は二日酔いでまだ頭痛が続いていた。
しかし一泊二日のこの旅行も帰宅の途に着かなければならないので、チェックアウトギリギリまで寝ていた。
一方真尋は外に出てダイダラボッチがいる山の深くへ大きな翼を羽ばたかせて飛んできた。
相変わらずただただ這って歩いているだけのように見え、意思と言うものがあるのかすら分からないダイダラボッチだが、真尋は目線の高さの木のてっぺんに登って話しかける。
「ダイダラボッチさん、昨日はありがとうございました」
「…………」
ダイダラボッチはただ悪い妖を排除したに過ぎないのだろうが、一応修羅像を倒してくれたのでお礼を言いにきたのだが、無反応。
それでも移動するダイダラボッチに並走するように横を飛んで着いていくと不意にピタッと止まって真尋に目をだけをギョロッと向けられ、思わず息が止まる。
何か癇に障っただろうかとビクビクする真尋の頭の中に突如声が響いてきた。
『チカゴロ ヤマ サワガシイ……』
「え、山が騒がしい……?」
女とも男とも取れるたどたどしい言葉のその声はダイダラボッチの物だろう。
頭へ直接訴えて来る山が騒がしいと言う言葉だが、ここはいつでも妖がわんさか居て騒がしいのではと言う疑問が浮かぶ。
「それってどう言う……」
真尋はどう言う事かと尋ねようとするが、ダイダラボッチはそれだけ伝えるとまた歩きだして行ってしまう。
「え、ちょっと待って!!
騒がしいってどう言う事?ねぇ!!お~い!!」
必死に呼び止めるがそれも虚しく一方的に伝えるだけ伝えて去って行った。
全くなんて自分勝手なんだと、呆気にとられる。
取り敢えずお礼は言ったし、もうすぐチェックアウトの時間なのでもういいかと真尋は旅館へ戻る。
部屋へ戻ると利音がのそのそと帰る準備をしていた。
「体調どうですか?」
「まぁ、多少はマシになったかな」
なんとか帰れそうと言うことなので安心した。
その横では虎雄が寂しそうに帰る支度をする二人を見ていた。
「また来てくれますか?」
「うん、今度は違う人も誘って」
真尋がそう言うと少しだけ笑顔を見せた。
しかし一泊二日のこの旅行も帰宅の途に着かなければならないので、チェックアウトギリギリまで寝ていた。
一方真尋は外に出てダイダラボッチがいる山の深くへ大きな翼を羽ばたかせて飛んできた。
相変わらずただただ這って歩いているだけのように見え、意思と言うものがあるのかすら分からないダイダラボッチだが、真尋は目線の高さの木のてっぺんに登って話しかける。
「ダイダラボッチさん、昨日はありがとうございました」
「…………」
ダイダラボッチはただ悪い妖を排除したに過ぎないのだろうが、一応修羅像を倒してくれたのでお礼を言いにきたのだが、無反応。
それでも移動するダイダラボッチに並走するように横を飛んで着いていくと不意にピタッと止まって真尋に目をだけをギョロッと向けられ、思わず息が止まる。
何か癇に障っただろうかとビクビクする真尋の頭の中に突如声が響いてきた。
『チカゴロ ヤマ サワガシイ……』
「え、山が騒がしい……?」
女とも男とも取れるたどたどしい言葉のその声はダイダラボッチの物だろう。
頭へ直接訴えて来る山が騒がしいと言う言葉だが、ここはいつでも妖がわんさか居て騒がしいのではと言う疑問が浮かぶ。
「それってどう言う……」
真尋はどう言う事かと尋ねようとするが、ダイダラボッチはそれだけ伝えるとまた歩きだして行ってしまう。
「え、ちょっと待って!!
騒がしいってどう言う事?ねぇ!!お~い!!」
必死に呼び止めるがそれも虚しく一方的に伝えるだけ伝えて去って行った。
全くなんて自分勝手なんだと、呆気にとられる。
取り敢えずお礼は言ったし、もうすぐチェックアウトの時間なのでもういいかと真尋は旅館へ戻る。
部屋へ戻ると利音がのそのそと帰る準備をしていた。
「体調どうですか?」
「まぁ、多少はマシになったかな」
なんとか帰れそうと言うことなので安心した。
その横では虎雄が寂しそうに帰る支度をする二人を見ていた。
「また来てくれますか?」
「うん、今度は違う人も誘って」
真尋がそう言うと少しだけ笑顔を見せた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
嫌われ者の僕
みるきぃ
BL
学園イチの嫌われ者で、イジメにあっている佐藤あおい。気が弱くてネガティブな性格な上、容姿は瓶底眼鏡で地味。しかし本当の素顔は、幼なじみで人気者の新條ゆうが知っていて誰にも見せつけないようにしていた。学園生活で、あおいの健気な優しさに皆、惹かれていき…⁈
学園イチの嫌われ者が総愛される話。
嫌われからの愛されです。ヤンデレ注意。
※他サイトで書いていたものを修正してこちらで書いてます。
やり直せるなら、貴方達とは関わらない。
いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。
エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。
俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。
処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。
こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…!
そう思った俺の願いは届いたのだ。
5歳の時の俺に戻ってきた…!
今度は絶対関わらない!
婚約破棄するなら、もう我慢しなくてもいいですよね?
水垣するめ
恋愛
伯爵令嬢のマーガレット・ルイスは侯爵家のクリス・マーシャルと婚約していた。
しかし学園のパーティーで突然クリスは婚約破棄を叩きつける。
理由は「真実の愛を見つけたから」
マーガレットは呆れながらも婚約者として、善意から男爵家の令嬢と付き合うのはやめたほうがいい、と忠告した。
明らかに身を滅ぼす恋だったからだ。
しかし浮気相手を罵倒されたクリスはマーガレットに激高した。
マーガレットの頬を叩きつけ、激しい罵倒を浴びせる。
善意を悪意で返され、マーガレットはついにクリスに愛想を尽かす。
婚約者として今まで我慢してきたので、もう我慢しなくてもいいですよね?
愛玩犬は、銀狼に愛される
きりか
BL
《漆黒の魔女》の呪いにより、 僕は、昼に小型犬(愛玩犬?)の姿になり、夜は人に戻れるが、ニコラスは逆に、夜は狼(銀狼)、そして陽のあるうちには人に戻る。
そして僕らが人として会えるのは、朝日の昇るときと、陽が沈む一瞬だけ。
呪いがとけると言われた石、ユリスを求めて旅に出るが…
アリシアの恋は終わったのです。
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)
とある文官のひとりごと
きりか
BL
貧乏な弱小子爵家出身のノア・マキシム。
アシュリー王国の花形騎士団の文官として、日々頑張っているが、学生の頃からやたらと絡んでくるイケメン部隊長であるアベル・エメを大の苦手というか、天敵認定をしていた。しかし、ある日、父の借金が判明して…。
基本コメディで、少しだけシリアス?
エチシーンところか、チュッどまりで申し訳ございません(土下座)
ムーンライト様でも公開しております。
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!
音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。
頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。
都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。
「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」
断末魔に涙した彼女は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる