天狗と骨董屋

吉良鳥一

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温泉旅行(上)

第三話

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 小妖達に荷物を持たせ山を登る利音と真尋は漸く旅館へと辿り着いた。
 外観は綺麗な日本的な旅館で、それほど大きいと言うわけでは無いが、小さくも無い。

「ご苦労」

 利音は小妖から荷物を受け取る。

「じゃあ帰りも宜しくね」

「え、帰りも!?」

 今回だけだと思っていた彼らに、利音は何か問題でも?と有無を言わせない雰囲気を纏い、強引に帰りの約束を取り付ける。
 完全にパシリにされていると真尋はジトッと彼らを見つめる。

 そして二人は中へ入ると右手の方にある受け付けからいらっしゃいませと仲居さんらしき女性の声が聞こえた。

「えっと、予約してた高住です」

「……はい、高住様ですね。
ではお部屋にご案内致します」

 仲居さんは部屋へ案内しながら旅館の説明をしてくれる。
 ふとその途中の廊下で大きな花瓶や絵画に利音は目が行った。

「ポール·セザンヌ?
それと伊万里焼……」

「……よくご存知で」

 案内していた仲居さんが利音の呟きに反応した。

「まぁ、骨董屋やってるんで」

「そうでしたか。
実はここのオーナーが骨董好きで沢山色んな物を集めては女将に怒られていて……」

 仲居さん曰くこの旅館のオーナーが本物かどうかも分からない物もどんどん買ってきてしまうので、妻である女将が呆れているとの事。

「是非とも鑑定して欲しいものです」
 
 仲居は切実な様子で言った。

「こちらです」

 部屋に着き、仲居さんが襖を開けると山から海や街並みの景色が一望出来る綺麗な部屋が現れる。

「おお~凄い!!」

「ごゆっくりどうぞ」

 そう言って彼女は去って行った。

「………しっかしここ、色々いるな」

「ああやっぱり?
なんかこの旅館不思議な感じがしたと思ったんですよね」

 山だけでなくこの旅館の中にも複数の妖気が感じられる。
 だがこの旅館は空気が澄んでる。
 それ程悪い感じも無い。

「まぁいいや、それより利音さん温泉行きましょ!!」

 真尋は早く温泉に行きたくて仕方無い。
 ここから見える絶景を写真に収めるとすぐに温泉に向かった。
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